鈴木憲太 院長の独自取材記事

この近くの恩田で生まれ育ちましたし、代々、恩田なので、生粋の地元育ちですね。恩田のあたりは、こどもの国などがあって今でも緑が豊かですが、私が幼い頃は当然住宅地として整備もされていませんし、こどもの国が出来る前でしたから、今よりももっと緑が深くて、まるで山の中のようでした。野山を駆け回って遊んでいましたから、ひとことで言えば「山の子」でしたね。獣医師になるくらいですから、もちろん動物も大好きでした。犬や猫、ニワトリなどたくさんの動物に囲まれているのが当たり前という環境で育ちました。ニワトリは卵を採るために飼育していたのですが、小学校1年生のときにチャボの卵からヒヨコを15羽もかえらせたりして、一生懸命になって世話をしました。3年生になると当時流行っていたレース鳩にも熱中しました。

自分では、何の取り柄もないと思っていましたから、どんな職業が向いているのかわかりませんでした。祖父がそんな私を見て、動物が好きだったら獣医師になったらどうかと勧めてくれたのが、きっかけですね。それ以前の獣医師と言えば、牛や豚などの畜産動物を診ることが主で、犬や猫の獣医師は、あまり主流ではなかったように思います。ですが、その当時もペットブームと言われはじめていて、これから先、犬や猫を診る獣医師が必要になるだろうと、祖父は考えたようですね。

私も同じですが、どの獣医師でも、治療の効果が出たのを見るときが、一番やりがいを感じるものだと思います。私の場合は、昔からの仲間と話していると、獣医師になって良かったなと強く実感しますね。と言うのは、好きだから仕事を選んだというケースは意外と少ないようで、他の仕事に就いている仲間の話を聞くと、辛そうだなと思うときがあります。私が仕事が辛くないのは、動物が好きでやっているからなのでしょうかね。

獣医学の世界の進歩は目覚しいですから、どんどんと常識が新しくなります。常に最新の知識を身につけていなくてはなりませんから、休みの日はセミナーや勉強会に出席していることが多いですね。そんな風に言うと格好良く聞こえますが、勉強するだけでなく、勉強会の後、獣医師の仲間とお酒を飲みながら、情報交換をするひとときが楽しいですから、勉強も苦にならないと言ったところでしょうか。獣医師同士のネットワークを広げることも、自分の見聞や知識を広めるために大切なことですからね。

子どもたちも、親と一緒に過ごしたい年齢ではありませんから、休みのたびにベッタリではありませんが、家族全員でスキーに行ったりしますね。先日は樹氷で有名な山形県の蔵王でスキーを楽しんできました。久々でとても気持ちよかったですよ。中学生の頃からスキーをやっていて、年に1回は行きたいと思っていまが、なかなか時間が取れませんね。

飼い主さんの経済的な負担や、動物の身体的な負担を考慮して、過剰診療にならないように心がけていますが、飼い主さんによっては、獣医師の私から見たら不必要と思われる検査を望まれる場合もありますので、ジレンマに感じることもあります。長年、動物を診ていますと、動物の仕草の観察や触診などから、検査が必要か否かわかってくるものです。もちろん、必要な検査はきちんと行っています。しかし、数値など目でわかる具体的な結果を飼い主さんに望まれると、ご納得いただくためにも、検査をせざるを得ません。もったいないと思いながらも、飼い主さんが検査結果を見て、安心されている顔を見ると、私もこれで良かったなと思うこともありますね。

プライマリーケアと言いまして、私の病院のような場所は、最初にかかる病院です。ですから、どんな病気も見逃さないように見極めることが重要ですから、一分野に特化することなく、広い知識をもって診療を行わなければなりません。広く浅くではなく、広く深く診療できるように、日々勉強しています。そういった中でも、皮膚科については、皮膚科で名高い米倉先生に師事し、より深く掘り下げて勉強をしています。

厳しい言い方ですが、時間に余裕のない方は、子犬を迎えるのをもう一度検討され直した方が良いかと思います。動物の世話は思ったよりも時間を取られますし、経済的な負担もかかります。そして、その状態が、犬の一生に及んで、平均でも10数年続くということを覚えておいてください。子犬選びのアドバイスとしては、10数年にわたって付き合う相手ですから、流行に振り回されることなく、家族構成やライフスタイルに合った犬種を選ぶと良いと思います。運動を必要とする活動的な犬種もいれば、おとなくし過ごすのを好む犬種もいます。まずは、ペットショップのスタッフや、すでに犬を飼っている方に意見を求めるのも良いでしょうね。

これからも今まで通りに地道に真面目に、日々勉強を重ねて行きたいと思っています。獣医学の世界も日進月歩の世界ですから、新しい情報や技術を取り入れ、飼い主さんの期待に応えてゆければと思っています。