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齊藤邦史 院長の独自取材記事

斉藤動物病院

(川崎市麻生区/柿生駅)

最終更新日: 2023/01/22

皮膚病のスペシャリストとして知られる斉藤邦史院長。連日、「斉藤動物病院」には皮膚のトラブルに悩むペットたちが遠くからもやってくる。最初は痒みや痛みのあまりイライラしていたペットも、改善すると院長の顔をなめて、彼らなりの感謝の言葉を述べるそうだ。もともとは院長の熱心な研究意欲からスタートしたという動物医療の道。しかし動物医療にかける思いや、ペットと飼い主の心をしっかり見据えたお話しをうかがっていると、動物病院の獣医師という仕事は院長の天職のように感じた。診療、講演、執筆、学会の理事など精力的に駆け回る熱いハートを持つ獣医師を取材した。 (取材日2011年2月24日)

動物のさまざまな"現場"を見たうえで選んだ獣医師という仕事

皮膚病のスペシャリストでもある先生ですが、そもそもなぜ獣医師に?

もともとは人一倍強い研究心・好奇心からのスタートでした。僕は物心付いた頃から医学に貢献できる研究をしたいと決めてました。医学の根底にあって、なおかつ目を逸らせてはいけない大切な柱として、動物実験があります。今は世界的な潮流として動物実験を行うことはかなり減りましたが、当時はそれを知らなければ医学の研究はできない時代でした。そこで僕は研究心から動物医学に関心を寄せ、北里大学へ進学しました。入学後はいちはやく研究室にも属し、同時に動物にまつわるいろんな職業をこの目で確かめようと思いました。製薬会社のお手伝いもしたし、山羊の脳を使ったワクチンの研究も目の当たりにしました。動物に関係する仕事はすべて見たいと思ったわけですから、牛や豚がお肉になる食肉センターの現場でもアルバイトをしました。動物をめぐる現場では、ここではちょっとお話しできないようなきつい場面があったのも確かです。でもそのような事実を知っている獣医師と、知らない獣医師とでは対処できる幅も違ってくるだろうと考えたのです。

人一倍強い研究心から、なぜ動物のお医者さんに?

大学院1年目のときです。臨床の現場、つまり動物病院もしっかり見ておかなくてはと、先輩の動物病院で1ヶ月間住み込みで働くことになりました。そこに1匹のフィラリアに感染した犬がやって来ました。末期の本当にひどい状態だったんです。治療の甲斐なく亡くなってしまったのですが、自分の目の前で可愛い犬が死んでいくシーンを見て本当にショックでした。僕はそれまで多くの動物のさまざまな現場を見てきていたし、こんな性格ですから泣くなんてことは滅多にないんですよ(笑)。なのに、そのときだけはさすがに僕も堪えきれなかった……。「こういう仕事があるんだなあ」と獣医師の仕事を再発見した瞬間でもあるんですね。それ以来180度路線が転向し、今ではすっかり町の動物のお医者さんです。

町の獣医師さん以外にも、執筆や講演、勉強会など多彩に活躍されてますね。

育った環境も影響しているのかもしれませんね。じつは僕の父も獣医師で、さらに母校の北里大学の教授も務めていました。仕事柄、家にも顕微鏡があって、小学生の頃から花粉や朝顔の葉っぱについた光化学スモッグを観察していました。僕はたまたま父のいた大学に進んだわけですが、父が教授であることを黙っていた時期もありました。「うちの親父? サラリーマンだよ」と答えていましたね。でも必ず素性はばれるわけで、だったらそれを前向きにとらえようと。そしていろんなことを学び、吸収しようと。「ジュニア」なんてあだ名にもいつしか慣れていましたね(笑)。

多くのペットや飼い主さんが頼る、皮膚病のスペシャリスト

ここには皮膚病に悩む犬たちが、遠くからも来るそうですね。

僕が皮膚病の治療を得意としていることを、口コミや勉強会、書籍などでお知りになった飼い主さんたちが、首都圏全域あるいはそれより遠方からも来られます。現在は動物医療も細分化される傾向にありますが、ほんの少し前までは獣医師は内科も外科も一人で診ていました。オールマイティに治療できる先生もたくさんおられましたが、眼や皮膚といった感覚器についてはまだまだ充分ではありませんでした。一方でどの動物病院でも、皮膚にトラブルを抱えてやって来るペットたちが大勢いたのです。なのにしっかりと治療できる先生は少ない。そんな現状を改善しなくてはと、アメリカから帰国された先生が中心になり、皮膚治療の専門的な研究会を起ち上げたのが今から15年前のことです。皮膚の病気は、他の病気と違って目に見えて苦しみがわかります。愛犬が痒そうにしている様子が見えるわけですから、飼い主さんの気持ちも重くなります。

犬にもアレルギー性皮膚炎が増えているのですか?

はい。人間と同じように、アレルギーを持つペットたちは増えています。人間同様、食物アレルギーを持つ子もいます。増加の原因は何かと聞かれると、これまた人間と同じで、ライフスタイルのどこかに問題があるのでしょう。食事・フードに関しては徐々に改善されつつありますが、高気密・高断熱の住まいが人間同様、ペットにも影響を与えていると考えられます。ではどうやってアレルギー性皮膚炎のペットたちを治療していくかというと、これも基本的には人間と同じで、治すというよりも症状をコントロールしていく治療法を選びます。ただし人間と大きく違うのは、人間は塗り薬を上手に仕えますが、ペットたちはそうではない点。保護具のエリザベスカラーなどを使っても、ペットたちは無我夢中で外したり、塗った薬もぺろぺろとなめてしまいます。そこで大切になるのがシャンプーです。その子の髪質や皮膚にあった物を選ぶことで、症状が改善する子がいます。

皮膚病の愛犬を見ていると、飼い主さんもいたたまれない気持ちになりますよね。

皮膚病は最初は痒いという症状から始まりますが、痒みの度が増すと痛みに変わります。本当に痛々しい状態の子がたくさん来ます。人間も痛みが続くと精神的にまいってしまうのと同じで、イライラしている犬たちも多いんです。ときには診療中に僕の手を噛む子だっています。でも皮膚病が改善すると、性格も本当に穏やかになるんですよ。やさしい顔付きになって僕の顔をなめてくれる子もいます。きっと彼らなりに「ありがとう!」と言っているんでしょうね。皮膚病は目に見えるわけですから、改善していく様子もよくわかります。なので飼い主さんの気持ちもやっぱり軽くなれるんですね。皮膚の病気については、アレルギー性皮膚炎だけでなく皮膚の腫瘍も増えています。老齢化の影響によるものが多いと考えています。ペットの世界は、まさに人間社会の縮図なんです。

内視鏡検査も実施。大切なのはペットを病気にさせないこと

小学校での講演や職業訪問など、子どもたちへの啓蒙活動にも熱心ですね。

学校を訪問して授業を行うこともあるし、実際に当院に見学に来る子どもたちもいます。最初のご質問のように「先生はなぜ獣医師になったの?」と、同じようなことを聞かれてますよ(笑)。中学生の中には真剣に「将来は獣医師になりたい」と明言する子もいますね。小学校の授業では、それぞれの動物たちの心臓の音を聞かせるときもあります。ゾウ、ネズミなど大きさに関係なくそれぞれに1個ちゃんと心臓があって、それぞれに一生懸命働かせているんだよと。他にも獣医師という仕事は動物病院だけでなく、製薬会社、化粧品会社、あるいはバイオテクノロジーの分野などいろんなフィールドで活躍できる仕事であることも伝えています。学校で飼われている動物たちの診療を行うこともあります。予算がない中で飼われている子たちですから、場合によっては可哀相なことになってしまいます。そんな動物たちをできるかぎり守ることも、獣医師の大切な仕事だと考えています。

ペットブームが続く中、先生が気にしていることはありますか?

飼い主さんからすれば、この子が可愛くてしょうがない、となるのでしょうが、じつはその愛情によってトラブルを抱えるペットがいます。当院ではまだ他では珍しい内視鏡検査を行っています。当初は腫瘍の早期発見のために導入したのですが、現在はこの内視鏡によって胃潰瘍を見つけることが増えました。驚かれるかもしれませんが、ストレスが原因と思われる胃潰瘍を持つ犬たちが多いんです。もちろん飼い主さんたちの愛犬や愛猫に対する愛情は素晴らしいと思います。けれど一部のペットたちには、それが回りまわって負担になってしまう子もいます。人間とペットとの関係をきちんと考えていかなければ、また新たな病気が出てきてしまう可能性はあると思います。

とてもエネルギッシュに活躍されてますが、息抜きなどはされてますか?

休診日も結局仕事をしてますからね。現在、日本臨床獣医学フォーラムという日本最大レベルの獣医師の学会の理事も務めており、そこでは若い獣医師たちのための講演も多く行っています。僕の夢の一つとして、飼い主さんとペットが日本中のどこの動物病院に行っても、同じ高水準の安心できる診療を受けられるようにしたいんです。それに加えてそれぞれの専門性も活かし、獣医師同士の連携も深められたら、きっとたくさんの小さな命が助かると思っています。最後にぜひ飼い主さんにお伝えしたいのは、大切なペットをまずは何よりも病気にさせないこと、つまり予防が一番大事なのだと知っていただきたいです。病気にさせないためにできることは、やはり日頃からの観察です。「いつもガツガツ食べるのに、急に食欲がなくなった」なんてことがあれば、やっぱりそれはペットからのサインなんです。そんなときにはできるだけはやく動物病院の扉をたたいてください。

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