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志賀大輔 院長の独自取材記事

シンバ動物病院

(目黒区/池尻大橋駅)

最終更新日: 2023/01/22

淡島通りに面し、一見カフェのようにおしゃれな雰囲気の「シンバ動物病院」。受付の奥では随分とリラックスした表情の"招き猫・トト"が迎えてくれる。「患者さんから、トトちゃんこれ以上太るとまずいですよと注意されてます」と話すのは志賀大輔院長。最先端の動物医療にも詳しい頼れる獣医師だ。「シンバ動物病院」の院名に秘められた院長のアフリカでの経験。その経験からあらためて動物医療の在り方や意味も考え直したそうだ。ペット・飼い主・医師の三者が連携したオアシスを目指す院長。トトちゃんのパワーも影響しているのか、確かに"オアシス"としてのムードが感じられる動物病院だ。 (取材日2010年12月2日)

ケニアで獣医師のボランティア。家畜という貴重な財産を守るために

「シンバ動物病院」の"シンバ"とは、何を表しているのですか?

"シンバ"とはスワヒリ語でライオンの意味。スワヒリ語が公用語のケニア共和国に、僕は2年半青年海外協力隊員の一員として派遣されていました。学生の頃から旅行が好きで、アメリカ、アジア、アフリカと旅したのですが、獣医師という仕事をしているからには、やはりアフリカに行ってみたかった。ケニアでは主に牛や羊、ヤギなどの家畜について、飼料の与え方や飼い方全般、さらに伝染病について職業訓練校で教えていました。授業の空き時間には、実際に現地の家を訪ね、そこで直接家畜の世話を指導していました。ケニアはアフリカの中では比較的恵まれた国。裕福な酪農家もいて広大な敷地で牛や馬、山羊を放牧させている人もいましたが、一般の人にとって家畜はとても貴重な財産です。1頭2頭の牛や羊、ヤギの存在は普通の人にとってやはり高価な存在で、それをもとに銀行からお金を借りる人もいます。けれど伝染病などに関する知識が普及しておらず、ウイルスに関する緊迫感もありませんでした。ですから教育が必要だったのです。

やはりライオンやシマウマなどにもよく遭遇したのですか?

それは東京の人に「ニホンカモシカをよく見ますか?」と聞くのと同じですよ(笑)。僕はナイロビの首都圏の郊外にいましたが、ナイロビでライオンやシマウマに遭遇することはありません。ただし洪水の後に、大きなカバやワニが流されてくることはありましたけどね。ちなみにライオンやシマウマなどは国家プロジェクトとして国が保護しています。そのようなメジャーな野生動物には予算が大きく使われるのですが、家畜にまで回ってきません。そのような部分を日本から派遣された僕たちが担っていました。ケニアでのエピソードは事欠かないのですが、ある月夜の晩に僕が宿舎を出て、学校の敷地内の食堂に行こうとしたときです。当然、外灯なんてありません。真っ暗な道を進んでいたら、どこかから僕を呼ぶ声がしました。声の主が10メートルほど近づいてやっと知人だとわかりました。彼らが言うには「50メートル先から見えたのに。それにドクター、そっちの方向は食堂じゃないよ」と(笑)。アフリカの人はそれだけ目が良いんですね。視力が4.0とかは普通です。

ケニアの人は、どのような国民性を持っているのですか?

とにかく陽気です。面倒臭いことは後回しというか、そういうルーズなところもまた魅力。でも一度、とても危険な目に遭いました。ある会合がナイロビの都心で開かれ、その後、郊外の宿舎へ戻るため市場の中のバス停まで行きました。そしてトイレに入ったところ、後ろから誰かにライフル銃を突き付けられました。そこで僕はスワヒリ語で「オレは金なんか持ってない。ボランティアで仕事してるんだ!」とまくし立てると、犯人が一瞬ひるんだんです。その隙に市場に出て、通りを行く人たちに「強盗にあった。オレにこんなひどいことするんだよ」と訴えると、みんなが心配して集まってきてくれて、お巡りさんも迅速に駆け付けました。もしこれが治安の悪かった頃のアメリカだとしたら、容赦なく撃たれたかもしれません。でも僕がいた頃のケニアは、強盗も根っからの悪人じゃなくてアマチュアみたいなものだったし、一般の人同士も積極的に関わり助けてくれましたね。

最新のがん治療「活性化リンパ球移入法」

ところで先生は、なぜ獣医師という仕事を選んだのですか?

もともと魚が好きで、小さな頃は漁師や魚屋さんにも憧れました。水族館でイルカやアザラシなどの海獣を見るのも好きでした。しかし水族館や動物園では担当している動物だけを診ることになります。そこでたくさんの動物を全般的に診られるのは獣医師だと。小さな頃からつねに家には犬や猫がいました。庭に雑種の犬が2匹、家の中にはポメラニアン。離れに祖母が住んでいてそこには雑種の猫。僕はクワガタなどの昆虫をしょっちゅう捕まえてくるし、海や川で釣った魚を、鯉が泳いでいる家の池に放して父にものすごく怒られたり(笑)。今思えばちょっとした動物園状態でした。小学校の頃、チン(狆)の血が入った犬を保護して、結局飼い主が見つからずにうちで飼ったこともあります。今ここにいるトトも、やはり保護された猫の一匹です。僕が最初に勤務していた動物病院に、地域猫の保護をしている女性がいました。井の頭公園一帯の地域猫の面倒を見ているような人で、その方が病院に来るたびに僕に「黒いのはどう?」などと聞いてきました。ある日「茶トラ柄ならいいなあ」と言ったら、その通り茶トラの猫を連れてきて、それがこのトトです。 

最新のがん治療「活性化リンパ球移入法」の相談など、最新医療にも取り組んでおられますね。

活性化リンパ球移入法のさきがけである東京動物医療センター(杉並犬猫病院)と提携しています。よく人間のがん治療でも「第四の選択肢」としてこの活性化リンパ球移入法が徐々に知られるようになっています。今までのがん治療と言えば外科手術、抗ガン剤、放射線でしたが、そこにこの活性化リンパ球移入法が新しい選択肢として加わりました。ペットの場合も治療の仕組みは人間と大きく変わりません。採取した血液を試験管の中で処理してリンパ球だけを回収し、増加させて攻撃力の強いリンパ球を増やし、活性化したリンパ球を点滴で体に戻します。副作用はほとんどありません。当院では直接この治療を行っていませんが、希望される飼い主さんには僕がかつて勤務していた東京動物医療センターをご紹介しています。

腫瘍科外来も設けておられますね。ペット医療はどんどん進化してるんですね。

人間と同じですね。長生きできるようになった分、がんに罹るリスクも高まるし、さらにがんを検出する設備などもどんどん改良されています。同時にがんに関する飼い主さんの知識も増えてきました。当院にもがんで罹ってくる犬や猫がいます。放射線治療を選ぶ方もいますが、やはり一番多いのは抗がん剤治療を希望される飼い主さんです。人間同様、チャンスや条件が揃えばいろんな最新の治療法を受けられる時代になっています。なお僕は大型犬の股関節の緩みの程度を前もって診断できる特殊なレントゲン検査「ペンヒップ(PennHIP)」の勉強のためアメリカの大学でも研修を受けています。がんを含め各専門分野へのネットワークを充実させながら、日々の診療を行っていますので、ペットのことで気になることがあれば気軽に相談していただきたいです。なお当院では犬と猫、ハムスターやうさぎを中心に診療しています。ただしハムスターやうさぎについてはより詳しく診断できる病院をご紹介することもあります。犬や猫など責任を持って診断治療できる動物しか診療しない方針です。

ペットが平等に医療を受けられる時代を目指して

2007年の開院以来、たくさんのペットや飼い主さんとのエピソードも増えたのでしょうね。

両極端と言えばよいのでしょうか。というのは同じ症状で同じような状態でここに2匹のペットが来たとしても、片方は元気に回復し、もう片方がうまく行かないということもあります。でも飼い主さんの「この子を何とかして欲しい」という思いは同じ。同じ治療をしても助かる子もいればそうじゃない子もいる。助かった子については本当にうれしく思いますし、そうじゃなかった子がいれば他に原因はなかったのかなど、ずっと考え込んで落ち込むこともあります。治療においての当院の方針としては、できるだけ飼い主さんに治療を見てもらうようにしています。例えば注射をするときも飼い主さんの目の前でしますし、この薬の名はこうで、このような目的のために注射しますと理由を伝えます。血液検査の結果も口頭ではなく、ちゃんと紙にして飼い主さんに渡しています。飼い主さんとの信頼を築くという点では、今後も努力を続けていきたいです。

飼い主さんの気持ちを汲み取ることを大切になさってるんですね。

そうですねえ。けれどついつい飼い主さんのことを考えすぎてしまうのは、僕のよくない癖かな(笑)。というのは治療の中には高額なものもあり、そのような治療法のご提案についていろいろ躊躇することも、正直あります。 いつもここが僕のストレスになっていて、もちろんペットの生死はとても大事な問題ですが、ここで高額な治療法をご提案しても、飼い主さんから経済的なゆとりがないと言われることもあります。そのペットにあった最良の治療法はなんなのか、いろいろと考えてしまいます。まあ、突き詰めてしまうと、ここで一生懸命治療するしかないんでしょうね。一生懸命治療して、たくさんのペットにも来てもらって、そしていろんな意味で困っているペットにも還元できるような病院にはやくしたいです。

アフリカでの経験は、先生の診療スタイルにも影響を与えましたか?  

アフリカでは病気になってお医者さんに診てもらえる人はごく少数。日本のような健康保険はありません。じゃあ貧しい人たちはどうするかというと、祈祷師に頼んだりします。経済的に恵まれ知識もある一部の豊かな人は最新の医療にかかれるけど、そうじゃない人もいる。この構図はペット医療とも通じる点があるのかもしれません。考え出すとなかなか答の出ないとても難しい問題なんですけどね。ただできれば日本のペットにも、もっとよい先進の医療を提供できる環境づくりに僕も貢献できればいいなと。飼い主さんに愛されてここに連れてきてもらえるペットはまだ幸せで、今なお孤独にさ迷っている犬や猫がいます。東京都獣医師会では小笠原で野良猫の保護治療活動を行っているのですが、当面の僕の夢はその保護活動に参加することです。その活動は2週間ほどかかるのですが、現在、当院を2週間休む余力はありませんからね(笑)。当院の運営が軌道に乗れば、ぜひ参加したいですね。

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