動物病院・獣医を探すなら動物病院ドクターズ・ファイル

動物病院・獣医を探すなら動物病院ドクターズ・ファイル。
獣医の診療方針や人柄を独自取材で紹介。好みの条件で検索!
街の頼れる獣医さん 918 人、動物病院 9,832 件掲載中!(2024年03月29日現在)

齊藤眞樹 院長の独自取材記事

斉藤ペットクリニック

(目黒区/不動前駅)

最終更新日: 2023/01/22

山手道りに面したビル1階にある「斉藤ペットクリニック」。多様化する飼い主のニーズと高度化する治療技術に対応していくため、同世代の獣医師6人と独自のネットワークを組む新しいタイプの動物病院だ。院長の齊藤眞樹先生はこのネットワークについて「各獣医師の得意分野を生かすことで、少しでも動物たちのためになればいい」と話してくれた。インタビューではご自身のペットや大学時代の思い出話をはじめ、飼い主とのコミュニケーションをとることの重要性を語ってくださった齊藤先生。新しい獣医療の世界を目指す意気込みが強く感じられた取材となった。 (取材日2010年12月9日)

ペットに対する考えは千差万別。だからこそ飼い主とのコミュニケーションが重要

獣医師ということで動物相手の診療をされていますが、先生はペットを飼われていたことはありますか?

小さい頃はペキニーズを飼っていたり、魚を水槽で飼育したりしてはいたのですが、実はあまり記憶が定かではないんです。ですから思い出に残っているペットといえば、妻と結婚してから飼うようになったラブラドールレトリーバーですね。僕たちは大学の同級生なのですが、大学2年生の時、妻が大学で生まれた犬の子どもを飼うことになって、結婚してそのまま一緒に暮すようになりました。その1年後には猫も飼い始めたので、しばらく犬と猫が一緒の生活をしていました。このラブラドールはかなり活発で、泳ぐのが本当に好きな女の子でした。車に一緒に乗っけて海までドライブしたこともありました。本当に元気な子でした。残念ながらもう亡くなってしまったんですが、そういう楽しい思い出しかないですね。その子が亡くなるときは僕もすでに獣医師になっていて、しっかり看取ることができました。だからペットを失うということに対して、自分でもある程度納得はできたかなとは思っているんです。

そういう意味では先生ご自身、飼い主さんの気持ちがわかりますよね。

そこが獣医師としては一番難しいところなんですよね。飼い主さんはお一人おひとり違う考えをお持ちで、ペットに対する思いや飼っている理由も人それぞれなんです。同じ病気であっても、ある飼い主さんはできる限りの治療をやりたい、でも別の方はペットの負担が多くなるから最小の治療でという方もいらっしゃいます。飼い主さんによってペットに対する考え方や感じ方はさまざまなんです。自分がペットを飼っている場合、言葉が通じない代わりにその子のことを知ろう、知ろうと思いますよね。でも飼い主さんが連れてきた動物に関しては、動物が何を考えているのかということは全くわからないことのほうが逆に多いと思うんです。だからこそ獣医師は動物の治療をするだけではなく、飼い主さんからペットのことをヒアリングする必要があると思っています。その飼い主さんとのコミュニケーションがすごく難しいところですね。

飼い主さんとのコミュニケーションで工夫されていることは?

時間をかけてお話しをする以外方法はないのかなと実感しています。でも初診で重篤な状態で運ばれてきた動物の場合、治療が最優先になりますので病気のことだけで終わってしまう。そういう時はどうしても飼い主さんと動物の関係が見えてこないこともあるんです。ですから日常生活で飼い主さんがその動物とどんな風にコミュニケーションを取っているのか、お休みの日や時間のある時に、その動物の普段の元気な姿を見させてもらえることは僕にとっては非常にありがたいですね。飼い主さんもそうそう気軽に病院へ来るというわけにはいかないと思いますが、例えば予防接種などで来院した時などに、できるだけ時間をとってじっくりお話しできるような環境が作れるよう心がけています。

飼い主が気持ちの揺れ動きを話してくれる。そんな人間関係を築きたい

獣医学部時代はどのように過ごされましたか?

大学は日本獣医生命科学大学へ入学しました。もともと僕は大動物をやりたくて、大学では内科学教室に所属していました。ここは学内でも唯一大動物を持っていた研究室で、馬、牛、豚、それにヤギや羊もいました。今はかなり数が少なくなってしまったようですが、僕らの時代は実際の動物を使った実習がまだまだ盛んで、学内でも家畜を飼育していたんですね。そうした動物たちを世話しているうちに、大動物のなかでも産業動物に興味が湧いてきたんです。大学6年までは大動物の獣医師になろうと思っていたのですが、東京出身で大動物となると、実際には環境的に難しい点がたくさんあったんですね。そこで当時在籍していた研究室の先生が小動物専門の方だったので、その先生に勧められて小動物へ転向することになりました。

学生時代の実習で思い出に残っていることは?

高学年になってから行うポリクリニック(臨床実習課程)が一番面白かったですね。通常だと大学の教授や研究生が診察・診断を行い、学生は治療のサポートをするのが役目なんです。しかしポロクリニックは学外から病気の動物を連れてきて、学生だけで検査・診断・治療までを一貫して行えるというものでした。この実習ではひとつの症例に対してどういうことがやれるのか、好きなだけやりたい研究ができたという充実感がありました。一般大学ではありえないことかも知れませんが、夜中でも学内に人がいることも普通のことでした。実習を通じて仲間といろんな話をして、彼らからいろんなものを吸収したということが自分にとっては大きかったと思いますよね。そういう意味では仲間との連帯意識も生まれましたし、今思えば貴重な体験だったと思います。働き始めてからではとてもできないことですからね。

その後実際に獣医師として働くようになって感じたことは?

獣医師になりたての頃は、できるだけ飼い主さんと動物が一緒にいられる時間が長ければ長いほどいいと思っていたんですね。でも最近はそうじゃない、それだけが答えではないと感じることもあるんです。動物たちにも当然人間と同じようにクオリティーオブライフというものがある。しかしそれは飼い主さんの考え方が反映される部分が大きいんですよね。獣医師としてではなく僕個人が動物に対して思う感情と、獣医師として飼い主さんに提示しなければならないものというのはある。そのギャップを埋めていく作業が難しく、僕の葛藤の部分なのかも知れません。

そうした葛藤を通じて出てきた答えとはどんなものでしょうか?

それは動物も飼い主さんも両方が楽しく過ごせることが一番だということね。つらい思いをしているペットを見ているのは、飼い主さんにとってもつらいですよね。治療している動物を傍らで見ている過程で、飼い主さんの意見が変わることはいくらでもあると思うし、あっていいと思うんです。人の気持ちは日々変わるもの。だからこそ解決法を一つに決めない流動性が必要です。そしてもっと大切なのは、飼い主さんがその気持ちの揺れ動きを僕に話してくれる、そういう人間関係を僕自身が飼い主さんと築いていくことだと思っています。

開業医同士が連携することで、これまで助からなかった命を助けたい

多様化する獣医業界ですが、今挑戦されていることはありますか?

昔はなんでも自分ひとりの力で治そうと思っていたのですが、今は分業することの必要性も感じるようになってきました。ここまで獣医療が多様化してきて、それに対する高度な技術が必要になってくると、ひとりの獣医師だけではとても抱えきれないからです。そこで僕と同年代の獣医師6人が集まって、それぞれが連携しあうネットワークシステムを作り出しました。参加しているメンバーは腫瘍や外科など専門に特化した強みを持っており、今年から本格的に始動したところです。これまでは高度医療が必要な場合、大学病院でしか治療ができませんでした。しかし開業医同士で連携をとることによって、その動物に適した医療を迅速に提供することができます。お互いが技術力を共有しあうことで、これまで助からなかった命を救うことにもつながっていると思います。

先生はこのグループ内でどのような役割をされているのですか?

僕自身は何かに特化した治療をやっているわけではありませんが、メンバーのなかで開業医歴が一番長いんです。そういう意味では経験してきた症例数が多いので、症状によってベストな受け入れ先を考えるコーディネーター的な役割ができているかなと思います。開業医としてひとりで病院を運営していると、どうしても行き詰ってきますよね。ですからフランクに意見交換ができたり、大きな手術でアシストが必要なときにお互い助け合える環境というのは、僕も含めメンバー全員にとっても心強いことなんです。どうしても動物病院には、人間の病院のように各専門科目に分けて運営していけないという現実があります。ですからこれからの時代に対応していけるよう、開業医同士の連携を強めながら、大学病院のように総合的な医療が提供していきたいですね。将来的にはこのネットワークがうまく稼動して、一連の病気を一貫して診られるような場が作れればと思っています。

最後に今のやりがい、そして今後の夢についてお聞かせ下さい。

ありふれた言葉かも知れませんが、動物と飼い主さんの喜ぶ顔を見ること。これに尽きますね。治療していた病気が治ることがやっぱり一番うれしいし、動物の治る姿を見ることがやりがいです。長年いろんな動物の治療に携わってきましたが、つらい思いをした動物たちのことは今でもフラッシュバックのように思い出されるんです。「どうして治らなかったんだろう」「なぜ治せなかったんだろう」という思いが自分のなかにいつまでも残っているんですね。ひとりの獣医師では限界があります。だからこそ今後は獣医師同士が協力しあうネットワークを広めながら、飼い主さんに治療の選択肢を増やしていきたいと思っています。

動物病院ドクターズ・ファイルは、首都圏を中心としてエリア拡大中の獣医師・動物病院情報サイト。
路線・駅・行政区だけでなく、診療可能な動物からも検索できることが特徴的。
獣医師の診療方針や診療に対する想いを取材し記事として発信し、
ペットも大切な家族として健康管理を行うユーザーをサポートしています。

掲載情報について

掲載している各種情報は、株式会社ギミック、または株式会社ウェルネスが調査した情報をもとにしています。
出来るだけ正確な情報掲載に努めておりますが、内容を完全に保証するものではありません。
掲載されている医療機関へ受診を希望される場合は、事前に必ず該当の医療機関に直接ご確認ください。
当サービスによって生じた損害について、株式会社ギミック、および株式会社ウェルネスではその賠償の責任を一切負わないものとします。
情報に誤りがある場合には、お手数ですがお問い合わせフォームより編集部までご連絡をいただけますようお願いいたします。

TOP