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加藤直之 副院長の独自取材記事

カトウ獣医科クリニック

(横浜市港北区/日吉駅)

最終更新日: 2021/10/12

「カトウ獣医科クリニック」のホームページを開くと、スタッフの1人(?)であるネコのグレが院内をとても可愛らしく紹介している。ネコ好きにはたまらないブログを作成しているのは加藤直之副院長の奥様。「どちらかと言えば妻はネコ派で僕はイヌ派かなあ。でもどちらも比較できませんね」と笑う直之副院長。父である加藤精二院長とともに総勢7名のスタッフで動物医療に情熱を注いでいる。直之副院長はイヌの股関節のレントゲン診断法「Penn HIP(ペンヒップ)」のライセンスを取得した頼れるドクター。動物医療の最前線事情など、興味深いお話しを伺った。(取材日2010年11月13日)

開院して27年。飼い主としての目線を生かした動物病院

こちらの動物病院のホームページは、とても可愛いネコちゃんが案内してくれてますね。

グレですね(笑)。当院のホームページは、動物看護師としても勤務している僕の妻が作製しています。僕は獣医師でもあると同時に、飼い主の1人でもあって、小さな頃から絶えず動物が周りにいる暮らしでした。当院は父が昭和58年に開院し、僕はつねに動物に囲まれて育ちました。イヌもネコも飼っており、実家には昔スカイテリアというとても珍しい犬種のイヌがいました。国内のドッグショーでもほとんど見かけない犬種で、今もなお年間国内登録数は1桁台だと思います。このスカイテリアはある事情からうちで引き取ることになりました。そのようなきっかけには事欠かなくて、今もなおワイマラナーロングというイヌとネコ3匹とともに暮らしています。休日も愛犬のトレーニングに出掛けたり、ドライブがてらドッグランに行くことも多いですね。日々彼らのたくましさに力をもらっています。

先生はお父様の影響で獣医師になったのですか?

最初は人間の医師という道も考えました。けれど人間を診る医師というのは、いろんな科に専門が細分化されています。僕はできることならオールラウンドで診たかった。獣医師ならそれが実現できます。平成12年に日本大学獣医学科を卒業し、その後は都内の動物病院で勤務していました。そして平成17年から当院での診療を始めました。じつは現在も母校の大学病院(ANMEC)で研修医という立場で、最新の動物医療に触れる環境にいます。そこでは診療はしていないのですが、いろんな勉強の機会を与えてもらっています。こんな風にお話しすると、生真面目なタイプだと思われそうですが、僕は小さい頃、本当に気弱なダメな子でした。イヌには平気で触っていたくせに、虫には触れませんでしたからね。カマキリに負けてましたから(笑)。そんな僕を見て両親は剣道や少林寺拳法などをさせたぐらいです。今も格闘技はコツコツと続けています。この仕事は体力勝負ですから、役には立っているのかな。

こちらはスタッフの数も多いですね。

当院のスタッフ数は7名。獣医師は父と僕の2名。他に動物看護師や、愛犬美容室を開いているためトリマーさんもいます。当院は獣医師は2名だけですので、獣医師が何人もいるような大きな動物病院のように、診察のたびに獣医師が変わることはありません。最近では大きな動物病院も担当医制を導入するところが増えているようです。やはり一つの病気は一人の獣医師がしっかり診た方がいいですからね。当院でも2名獣医師がいますが、初診で診たペットは治療が完全に終わるまで一人の獣医師が診察するようにしています。

年々進化する動物医療。脳腫瘍の放射線治療も

先生は「Penn HIP(ペンヒップ)」という特別なライセンスをお持ちですね。

「Penn HIP(ペンヒップ)」とはアメリカのペンシルバニア大学で開発された、イヌの股関節のレントゲン診断法です。従来の方法とは異なり、生後4ヶ月という早いうちに、そのイヌが将来、股関節形成不全が発症するかどうかを予測できるようになりました。この検査法はライセンス制で、現在国内には約50人前後のライセンス取得者がいます。股関節形成不全は主に大型犬に起きやすい症状です。もし仮にこの病気になったら、人工関節を埋め込む治療法があります。けれども当院に限った話ではないのでしょうが、現在は大型犬よりも小型犬や中型犬が多く、当院にも小型犬や中型犬のワンちゃんがよく来ます。なのでなかなかこのライセンスを活用する機会はないのですが、仮に当院に股関節形成不全によって人工関節を希望する飼い主さんが来られたら、僕のコネクションを生かして、専門機関へとご紹介できます。

動物医療は年々、進化しているのですね。

そうです。例えばイヌの脳腫瘍についても言えます。僕が学生だった頃は、脳腫瘍ができてしまったイヌは開頭手術を行うことが最新治療だとされてました。けれども人間のように早期に発見できるケースは少なく、結局、開頭手術をしても脳腫瘍は助けられないのかなと思っていました。ところが現在は、放射線治療ができるようになりました。そして生きて飼い主さんの元に戻れる子がとても増えているんです。これは大きな進歩です。以前は脳腫瘍の疑いのあるイヌには、MRIを撮ってより精密な診断を受けるよう飼い主さんに勧めていました。ところが飼い主さんの中には「MRIを撮ったって、この子はどうせもうダメなんでしょ」と言う方もいました。けれど今は希望が持てる時代です。MRI検査の結果をもとに診断して、いくつかの治療法を選択できるようになりました。今もなお、開頭手術は行われており、それで助かるワンちゃんもいます。大変な手術であることは違いありませんが、大学でも手術数は増えています。

最新医療をよく知る獣医師さんに診察してもらえるのは、飼い主さんも心強いでしょうね。

飼い主さんの中で最新のオペをご希望される場合には、先ほどもお話ししたように、然るべき専門機関へご紹介しています。ただ、僕がここでできることとして心掛けているのは、やはり確定診断をしっかり出すことです。確定診断がついて、やっと次のステップに進めるわけですからね。それともう一つ、僕が絶えず肝に銘じていることは動物たち一人一人と向き合い、目の前にいるその子を診るということ。そして動物たちの顔色をしっかり見ることです。人間に表情や顔色があるように、動物にもその子が持つ独特のオーラがあるんですね。そのオーラや顔色の違いはとても微妙な変化ですが、決して見落としてはいけないポイントです。「このネコちゃんは昨日と比べてどうか」「このワンちゃんは、前回の診療のときと表情に変化はないか」など、これらもしっかり見たうえで確定診断を出します。この"ペットの顔色"はぜひ飼い主さんにもチェックしてもらいたいです。

ペットが与えてくれる奇跡と勇気

記憶に残るエピソードはありますか?

"奇跡"って、ひょっとしたら人間よりもペットの方が多いのかなと思う瞬間があります。以前、足が腐ってしまう病気に罹ったワンちゃんを、ここに連れてきた飼い主さんがいました。診断した結果、その子はもう長生きできないことが分かり、飼い主さんは安楽死を考えました。すると飼い主さんの娘さんがちょうど臨月を迎えていて、「赤ちゃんが生まれる前に、たとえイヌであっても殺生なんかしないでほしい」と言って、そのワンちゃんは生き延びることができました。そしてその娘さんは無事に赤ちゃんを出産なさったのですが、なんと赤ちゃんが生まれたその日に、そのワンちゃんは旅立ちました。まるで赤ちゃんの誕生を待っていたかのように。最初は安楽死を考えていた飼い主さんも「この子は孫の誕生を待って旅立った。この子が娘のお腹の子を守ってくれてたのかなあ」とお話しされてました。このような感動に出会うことが多いように思います。僕自身、我が家のネコから元気や勇気をもらっていますから。

ネコちゃんがどのような勇気を与えてくれるのですか?

うちには今も昔もネコがいますが、その中には片目のない子や半身麻痺の子もいました。でもどちらのネコも、その障害を感じさせないで、元気な他のネコたちと一緒に走り回っていました。自分の抱えたハンディーキャップなんてちっとも気にしていない様子でした。障害を引け目と感じてないというか、少しもいじけた素振りは見せないんです。そんな姿を見て、ついつい弱音を吐いてしまう自分に対して、もっと頑張らなくちゃと励みにしたことがありますよ。

最後に読者の方にメッセージをお願いします。

ペットの健康のことで気になることや困ったことがあれば、気軽に相談に来てください。今はアトピーやがんなどペットに関する病気の情報がたくさんあふれていて、混乱している飼い主さんもいると思います。ここにもよく電話でいろいろな質問をされる人がおられますが、まずは僕にワンちゃんやネコちゃんの顔色をじっくり見させていただきたいです。ここで治療できないレベルだと判断すれば、すみやかに高度動物医療が受けられる病院や大学を紹介します。どの飼い主さんも、精一杯ペットを愛しておられると思いますが、中には、もう少しはやくここに来てくれたらよかったのにと思う子もいます。飼い主さんも、どうか"ペットの顔色"をしっかり見ることを心掛けてほしいですね。最近は二次診療施設に紹介することがよいことの風潮ですが、行かれる飼い主さんは丸1日がかりでかつ大学の偉い先生に気楽に質問もできず、初めての病院でわが子を預けて何時間も不安な気持ちで緊張して待っていることになる為、肉体的・精神的にかなり大変です。自分は少しでも自身の病院で解決できることが増やせるよう努力しています。

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