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渡邉尚洋 院長の独自取材記事

きづきペット診療室

(川崎市中原区/元住吉駅)

最終更新日: 2023/01/22

尻手黒川道路に面し、緑の大きな看板が目を引く「きづきペット診療室」。クリニックの名前の由来について伺うと「"動物病院"ではなく、もっと敷居の低い"診療室"として動物たちの健康管理に携わりたかった」と話してくれた院長の渡邉尚洋先生。取材時は、以前の勤務先から一緒にやってきたという居候犬、アメリカンコッカスパニエルのモモちゃんがお出迎え。「この犬の顔を見た人は不思議とみんな笑顔になるんです」という院長の言葉どおり、キョトンとした愛くるしい表情がなんとも言えない診療室のシンボルドッグ。渡邉院長とモモちゃんが醸し出す和やかな雰囲気に思わず引き寄せられて寄り道したくなる、そんなクリニックだ。(取材日2010年8月16日)

動物たちから学んだ、生きていく上での営みの大切さ

小さい頃から動物は身近な存在でしたか?

父親がすごく動物好きで、小さい頃からずっとペットと一緒の生活でした。鳥や魚のほか、犬は私が生まれたときから数えると、全部で4匹飼いました。思えばいつも犬と一緒の暮らしでしたね。家族が留守をして帰ってきたときなんかは、犬が裏庭からバーっと駆け出してきて、くるくる回りながら「おかえり〜」とやってくれて、いつも大喜びしてくれましたね。別の犬が出産するときは、夜中寝ないでずっと見ていたり、いろんな思い出があります。

すでにその頃から獣医師になる素地があったんですね。

いいえ。実は動物が好きだったから獣医師を目指した、というわけではないんです。私は高校生の頃、自分の将来についてすごく悩んでいた時期があるんです。自分は将来何をすべきか、どういう生き方をすべきなのかと。周りの同級生たちがどんどん自分の進むべき道を決めていくなかで、私は目指していく道しるべが見つからずにいたんですね。悩みに悩みながら、世の中の仕事についていろいろと調べて考えていくうちに、自分が楽しそうだと思える仕事を選ぼうと思うようになりました。そのうちのひとつが獣医師という仕事でした。そこでいくつか大学を絞って、自分がチャレンジしてみて結果が出たところに進もうと思ったんです。最終的に獣医学部に合格して、この道に飛び込んでみようと思いました。

思い切って飛び込んだ、獣医学の世界はいかがでしたか?

大学時代の実習はとにかく楽しかったですね。ヤギとか牛、犬の人工交配をするのに、みんなでキャーキャー言いながら精子を採取する台に動物を載せたり、直腸検査でお尻の穴に手を入れている時に、便がドバーっと出てきたりね(笑)。人間の文化的な生活のなかでは、不潔なこと、性的なことは表面に出さずに避けて通ることですが、動物の世界ではそれがあけすけで、とても自然なんです。生きていく上の営みとしてすごく大切なことだと実感しましたね。あとは1日に10時間くらいずっと顕微鏡の中を覗き込んで、細胞レベルでどれだけのものが生きているのかとか、ガン細胞がどうして悪いのか、その理由を突き詰めていったり、それこそ目がチカチカするまで顕微鏡を覗き続けても楽しくて楽しくて、まったく飽きませんでしたね。

ペットは「家族の一員」というより「飼い主の一部」

獣医師を志すなかで、印象に残っている出来事はありますか?

実は大学3年生の時、バイト中に交通事故に遭って長い間入院していたことがあったんです。今はほとんど完治して大丈夫なんですが、当時は体に機能障害が残りそうな感じがあり、自分の進むべき道が限られてくるんじゃないかと思っていました。体力的にも牛や馬を扱う大動物はできないだろうなって。それで小動物の方だけ考えるようになりました。あの時の事故はアンラッキーなことだったんですが、事故によっていろんなことが見えてきて、それが自分にとっては逆にラッキーだったんです。いろいろな意味であの事故がなかったら、自分の人となりも今とはかなり違っていたんじゃないかと思います。

事故の経験から、学ばれたことはどういったことでしょうか?

事故に遭ったことで、いかに自分が周りの人に「生かされている」ということに気付かされました。自分という人間は、自分の思いや力だけで出来上がっていくものではなく、周りのさまざまな影響を受けながら「作られていく」ものなんだということを実感したんです。入院中は老若男女問わず、いろんな人と話をする機会があって、みんなパジャマ一枚ですから、お互い格好もつけられないわけです。そういう環境のなかで、広い社会の色々なところで生き抜いている方々と本音で話をしながら、ものすごくたくさんのことを学ばせてもらった気がします。

獣医師になられて16年。日々の診療を通じて、どんなことを感じていらっしゃいますか?

私は獣医師を「生業」としているわけですが、それに対しての報酬とは別にいつも飼い主さんや動物たちから、非常に多くのものを頂いているなあと思っています。先ほどの事故で学んだ経験にもつながることですが、人と人とのつながりの大切さというものを日々感じています。飼い主さんとペットの結びつきのなかにも、それは感じられますね。一般的な風潮としてよく、ペットは飼い主さんにとってかけがえのない「家族の一員」と表現されることがありますが、私はどちらかというと、「家族の一員」というよりも「飼い主の一部」という風に考えてペットの治療にあたるように心がけています。手、足、目、耳、動物の体のどこを診るにしても、常に飼い主さんの一部を診察しているという気持ちを持っています。例えば人間だったら子どもを育てる時に、その子どもが立派な大人になるために褒めたり、時には厳しく叱ったりしますが、すべての方が必ずしも飼っているペットに、それを求めているわけではないんですね。何もしなくてもいい、元気で一緒にいてくれさえすればいい、だけどいなくなったらとても困る。ペットにはそういった部分もあるのです。そばにいてくれるというだけで飼い主の方が心強くなるということを考えると、やはりペットをご自分の一部のように考えていらっしゃるんだと思っています。

ペットと生きていくために、飼い主自身も健康に留意して欲しい

診療の際、一番心がけておられることはどんなことですか?

一番大事にしていることはコミュニケーションですね。どういう方が、どんな動物を、どんな風に飼っているのか。またペットに対してどういう気持ちを持っておられて、どれだけのことをしてあげたいのかということを、きちんと飼い主さんに伺うようにしています。教科書どおりであれば、この病気の場合はこの治療という風に、本筋があるのかもしれませんが、必ずしも飼い主さんがそれを希望されているかどうかはわからないわけです。なかには治療を希望されない方や相談だけしたいという方もいらっしゃいますので、いかに飼い主さんが希望される治療方針を引き出すか、引き出せるかどうかだと思っています。これは私の治療方針として、いつも念頭に置いていることですね。

動物に対しては、どのような気持ちで接しておられますか?

動物は言葉で気持ちを伝えられません。この治療をしないと治らないというこちらの理屈も、もちろん理解できません。それにも関わらず、動物たちは痛い治療に耐えてくれているわけですから、そのことに感謝して「注射を我慢してくれてありがとう。痛くして悪かったね」と思いながら治療にあたっています。またケガや重病で入院している動物たちには、ただ痛みを取るだけではなく、安心感を与えることのほうが重要な場合があります。そういったときは私たち獣医師や看護師よりも、ご家族の方の協力が必要になってきます。時には飼い主さんをお呼びして面会していただいたり、入院という形を取らずに通院してもらう場合もあります。動物によって性格も違いますから、その子が一番安心して、リラックスできる環境を常に考えるようにしています。

ペットを飼っている方に何かアドバイスはありますでしょうか?

自分のペットが元気でいるために、まず飼い主の方がご自身の体のことに気をつけて、健康管理をしていただきたいということでしょうか。自分のペットのためにすべてをなげうってペットの命を救うのではなく、そのペットを生かすために、ご自身がしっかり生きていく、きちんと生活をしていくということを心がけていただきたいと思います。ペットを飼う目的を取り違えないよう、またペットを飼うということが苦しみにならないようにしていただきたいなあと思います。

最後に先生の目指す、理想のクリニック像をお願いします。

私は一次診療の獣医師として、間口は広くありたい、という気持ちで診療にあたっています。これまで野生動物なども診察して、元気になったら野に放すといった活動も経験し、さまざまな動物の治療してきました。犬・猫をはじめ、鳥、ハムスター、亀など、どんな動物でも何かあったらとりあえず聞いてみようという感じで来ていただければと思います。散歩のついでに、ちょっと中に入って気になっていることを聞いていったり、体重だけ量っていったり。これは「動物病院」という名前をつけなかった理由にもつながるんですが、気軽にいつでも来られる「診療室」として、飼い主さんたちが身近に感じていただけるとうれしいです。

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