木村 奈美 院長の独自取材記事
むさし小金井キャットクリニック ねこの病院
(小金井市/武蔵小金井駅)
最終更新日: 2025/03/04

武蔵小金井駅より徒歩10分、小金井街道沿いに位置している「むさし小金井キャットクリニック ねこの病院」。れんが模様の愛らしい外観が目印だ。全体的に丸みを感じる院内では、看板猫の「ごまたま」と「まがたま」がのんびりとくつろいでいる。木村奈美院長がめざすのは、猫と家族に優しい動物病院。その取り組みの一つとしてキャットフレンドリークリニックのゴールドレベルの認定を受け、安心して通える環境を整えている。猫目線を大切に、すべての猫を温かく見守る木村院長に話を聞いた。(取材日2025年2月13日)
猫目線を大切にした、猫に優しい動物病院
先生はなぜ猫専門の動物病院を開かれたのですか?

当院ができる前に私たち夫婦が2004年に開院した「みなみ小金井動物病院」は、犬も猫も広く診る動物病院です。ですが猫ちゃんの中には待ち時間に熱が上がってしまったり、ワンちゃんのにおいや鳴き声を怖がってしまう子もいました。ご家族からも「ワンちゃんもいると動物病院に行くのが不安」とのお声をいただくこともありまして……。「みなみ小金井動物病院」が10周年を迎えたのをきっかけに、「何か動物のためにできることはないか」と考える中で生まれたのが、猫ちゃんに特化した当院です。「猫ちゃんのための、猫ちゃんに優しい病院」として、猫ちゃんやご家族が安心して通える動物病院をめざしています。
院内づくりでこだわったポイントを教えてください。
診察台は丸くて小さく、獣医師とご家族とで猫ちゃんをぐるりと囲める形にしてあります。猫ちゃんが端に寄ってしまっても、丸い診察台なら動いた場所にすぐ寄り添えますからね。台はひんやりとした素材なので、猫ちゃんの足元が冷えないようにお手製のマットを敷いています。一頭一頭交換して使用できるように、何枚も作りましたので、ほかの子のにおいがすることはありません。むしろマットにもタオルにも、また院内全体に、合成フェロモン剤を使用し、猫ちゃんが少しでも落ち着くよう配慮しています。また、落ち着いて外の景色が見えるよう高い位置に窓を設置し、照明も手術室以外は明るさを抑え、猫ちゃんが落ち着いて診察を受けられるように工夫しました。検査時に使っている顕微鏡は、「みなみ小金井動物病院」の開院時に祖父からお祝いでもらったもの。こちらへ移った時にも持って来て、今も大切にしてずっと使っています。
猫に優しい受診環境が用意されているのですね。

そう感じてもらえるとうれしいです。当院は開院時より受診環境の向上に努め、ISFMが定めるキャットフレンドリークリニックのゴールドレベルの認定を受けました。ゴールドレベルを維持するためには、いくつかの要件があります。猫専門なのでそれ以外の動物との接触はクリアできるとして、診察や入院の設備、その際の食事の出し方など、猫ちゃんにとって快適な環境を用意できなくてはなりません。更新のたびに私たちも新たな知識を得ることができますし、より良い環境へとバージョンアップしていけるのは素晴らしいこと。「猫をどの病院に連れて行ったら良いだろうか」とお悩みのご家族にとっても、当院がキャットフレンドリークリニックのゴールドレベルの動物病院であることは、一つの安心材料になるかと思います。
心の声に耳を傾けることが、病気の早期発見につながる
先生にとって猫とはどんな存在でしょうか?

予測がつかない行動も猫ちゃんの魅力の一つ。べちゃべちゃになるまで私の髪の毛づくろいをしてくれたり、新聞を広げるとその上にごろーんとしたり、トイレに入っていると「開ーけーてー」とドアをカリカリするんです。でもこの行動は、家族のことが大・大・大好きでしていることなんですね。自分たちしか知らない、甘えた表情やちょっとした仕草がたまらなく魅力的。トイレは教えなくとも砂があれば覚えますし、日中は勝手気ままに寝ています。おしっこやうんちはちょっと臭うけれど、それは人間だって同じこと。猫ちゃんとのゆるゆる楽ちんのんびり生活も、なかなか楽しいですよ。猫たちの存在は私の心のよりどころ。赤ちゃんのようで守ってあげたくなるのですが、ふとした時には頼もしく見えることもあるんです。
猫ならではの、健康上の注意点はありますか?
ふわふわで毛づくろいをする仕草もかわいいのですが、特に長毛種では換毛期にトラブルを起こすことがあります。舐め取った毛を全部吐き出せず腸へ流れ込んで、腸の動きが悪くなることがあるんです。完全に腸が閉塞してしまうことはまれですが、具合が悪くなるケースが多く見受けられます。冬から春、夏から秋にかけて、水を飲む量が減って、尿路結石などの持病があると再発しやすいものです。引っ越しなどの環境の変化にも慣れにくく、それが下痢や膀胱炎の引き金になることも。そうしたストレスを発散しようと毛を舐めて落ち着こうとする行動が、皮膚病につながってしまうこともあるんですよ。猫はストレスを感じやすい動物ですので、ご家族も十分気をつけてあげてほしいと思います。
そのほかに、猫の行動で気をつけるべきポイントを教えてください。

トイレのトラブルには「なぜそうしているのか」の原因があります。トイレの外にうんちをしてしまうのは、決して嫌がらせではないんです。トイレの砂が踏ん張りにくい形状のものだったり、関節の具合が悪くて姿勢が取りにくかったりするのかもしれません。あるいは同居猫が済ませた後には入りたくなかったり、洗濯機の近くなど場所的な問題があることも。粗相を叱って済ませずに、猫ちゃんの心の声に耳を傾けてください。当院ではスタッフ手作りの説明書きを用意したり、私が選んだ本をご紹介したりするなど、「猫ちゃんの気持ちを知ってほしい」とご家族に呼びかけています。トイレだけでなく、食事や運動などのちょっとした違和感にも要注意。それが人と言葉を交わせない猫ちゃんの、病気の発見につながることもありますから。
猫の成長に合わせた医療と、健康的な生活のサポート
生まれたばかりの猫を対象にしたプログラムもあるのだとか。

はい。JSFMが主催している子猫フレンドリープログラムに参加しています。小さいうちから動物病院に慣れてもらうための練習です。1ヵ月に1度ご来院いただき、キャリーケースから出てみて、スタッフと触れ合って、「ここは怖くない場所」と覚えてもらいます。生後2ヵ月頃からの1年間が対象ですので、最初のワクチンと同時期に始めるのも良いかもしれません。毎年春からのスタートとなります。ご興味があればお問い合わせください。
高齢で一人暮らしの人でも、安心して猫を迎えられる方法があれば教えてください。
当院も開院10年目を迎えましたから、実際にそのようなご質問をいただくことがあります。「猫ちゃんを見送って、新たな猫ちゃんとの生活を考えているが、自分も高齢で自信がない」というケースです。提案できる方法の一つに「預かりボランティア」があります。施設にいる猫ちゃんを、「その子を引き取りたい」という方が表れるまで、一定期間預かって育てるという制度です。人間社会の高齢化に伴い、この「預かりボランティア」には小金井市も積極的に取り組んでいます。
今後、力を入れていきたい分野はありますか?

健康診断のプランを充実させていきたいと思っています。今はいくつもの項目の中から選んで個別のプランを組み立てていますが、皆さん「うちの子には何の検査が必要なのだろう」と迷ってしまわれるんですね。そこで年齢別に必要な項目を私がピックアップして、症状に応じてプラスできるような、わかりやすい方法を考案中です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
この10年間でも新たな薬が次々と開発され、猫ちゃんにとってより負担の少ない治療を選択できるようになりました。私たちも知識を増やしながら、猫ちゃんの行動や心理にも目を向けて優しい医療の実現に努めています。地域の皆さんに支えられて10周年を迎えることができました。今年はその感謝を込めた記念グッズの製作も予定していますので、楽しみにご来院くださいね。看板猫の「ごまたま」と「まがたま」、虹の橋を渡った「あわたま」も一緒に、スタッフ一同、猫ちゃんとご家族を笑顔でお出迎えいたします。