上原大地 院長の独自取材記事
霞ヶ関どうぶつクリニック
(川越市/霞ヶ関駅)
最終更新日: 2023/01/22
東武東上線の霞ヶ関駅南口から徒歩10分程の場所にある「霞ヶ関どうぶつクリニック」。おしゃれで美しい外観の同クリニックは、2015年1月、新院長に上原大地先生が就任し、前身の医院からリニューアルしたばかり。院内は清潔に保たれ、明るく開放感のある空間となっている。診察室2室と処置室、検査室など必要なスペースがしっかりとレイアウトされており、なかでもクリニックでは珍しい陽圧滅菌仕様の手術室を備えているのが特徴。ペットの疾患全般に対応してくれる上に、整形外科や神経外科などの難易度の高い手術も行っており、他の動物病院からの紹介症例も多く受け入れている。骨折、脱臼、ヘルニアなどの治療が遠方の大学病院まで行かずに受けられるので、地域の飼主様たちにも喜ばれているようだ。 (取材日2015年11月12日)
動物の総合診療を行うクリニックとして認知を広めていきたい
最初に、院長就任までの経緯からお聞かせください。
2015年1月1日より、前任の猪野正毅先生からこの病院を引き継ぎ、院長に就任しました。猪野先生からは獣医師として、また院長としての技量や心構えなど全般にわたって厳しくも温かいご指導を受けながら、時間をかけて院長となる準備を進めてまいりました。猪野先生は外科、特に整形外科や神経外科を専門とされていたので、技術面においても本当に多くの事を学ばせていただきました。現在はその経験を生かし、多くの動物さん達の治療に当たらせていただいています。
先生は診療に対してどのような考えをお持ちですか?
病院にはさまざまな動物さん達が来院されます。日常のケアや予防接種、そして体調を崩してしまった子の診察や手術など仕事は多岐に渡ります。命を扱う仕事の為、大きな責任が伴いますが、日々の診療に対して非常にやりがいを感じています。常に良い医療、サービスを提供し、皆様に笑顔で帰っていただけるようにスタッフと力を合わせて診療を行っています。当院は犬と猫の患者様が多いのですが、犬と猫ではもちろん診察の方法が全く異なりますし、さらに皆それぞれ性格も異なります。基本的には動物病院が苦手な子が多いと思いますので、動物さん達がなるべくストレスを感じないように診療することを心がけています。
こちらの病院の特色は。
地域に根ざした動物病院として、動物さん達の総合診療を行っています。日常のケアや飼育相談、ワクチン接種、フィラリア予防、避妊や去勢などの予防医療はもちろんですが、万が一動物さんが体調を崩してしまった際に、すぐに対応できるような体制を整えています。また、医療機器としては内視鏡なども備えているため、幅広い疾患に対応できます。また当クリニックは総合診療の他に、整形外科・神経外科に力を入れています。歩き方がおかしい、どこか痛そうだ、などの主訴で来院される方が多いです。内科的な治療と外科的な治療を合わせて骨折、脱臼、靭帯断裂、椎間板ヘルニアなど治療を行っています。今も月に数件はこういった手術があります。川越市外の病院からの紹介でいらっしゃる方も多いですね。車でいらっしゃる方のために駐車場も完備しています。
陽圧滅菌手術室にて、クリーンな手術を実施
診療や手術に対する方針も教えてください。
インフォームドコンセントを旨としていまして、当クリニックでどのような治療ができるのかをしっかりと説明し、相談の上、手術・治療法を飼い主様に選んでいただいてます。また、ペットを最近飼い始められた方と、これまで長年、何頭も飼育されていた飼い主様とでは、やはり経験や理解力に違いがありますので、その差を埋めるのも私たちの医療サービスの一環だと考えています。加えて費用面に関する点でも、「この治療ではこれだけかかる」ということはお伝えしていますね。「今日何をする必要がある」だけではなくて、この先どんな流れになり、治療であればその方法や使用する薬に関すること、そして費用面をある程度は見通してお伝えするようにしているので、トータルの費用もだいたい見当をつけていただけるのではないかと思います。
整形外科、神経外科というのは、どのような症状が多いのでしょうか。
飼い主様が気づくのは、歩き方が何か変だ、足を痛がっている、腰が立たないなどの症状です。地域柄でしょうか、公園も広いですし、住宅にも余裕があるので大型犬の飼い主様も多いです。公園で犬仲間から当クリニックの噂を聞いて来院されるケースもけっこうありますよ。よくある疾患としては骨折、膝蓋骨脱臼、前十字時靭帯断裂、レッグペルテス、股関節脱臼、椎間板ヘルニアなどです。どれも後遺症が残らないよう丁寧に手術していく必要がありますので、術前の手術計画立案から術後管理やリハビリまで、毎回が真剣勝負です。常に技術の向上が図れるように努力しています。
手術室は特に充実した医療環境ですね。
前院長が整形・神経外科分野では著名な方でしたので、手術室はこだわって整えられています。整形外科の器具は高額なものが多いので、なかなか備えるクリニックも少ないなか、当院では大型犬まで対応できる器具を揃えていますし、整形外科や神経外科に必要な医療機器は備えています。一般の動物病院で、陽圧滅菌手術室を備えているところは、大規模病院を除けばなかなか無いと思います。陽圧滅菌室とは、外から空気や雑菌の侵入ができないよう圧力がかかっている部屋です。ほとんど人間の手術室と同程度の無菌環境になっています。人のケースでもそうですが、100%の安全性が保障された手術というものはありません。そのため、可能な限りリスクを抑える必要があります。陽圧滅菌室もそうですが、術衣やドレープなどの医療材はディスポーザブルのものを用いています。
ペットと長く楽しく暮らすために、定期健診は欠かせないもの
動物さん達にも定期健診が必要なのですね。
動物さんは基本的には弱みをみせないので、飼い主様が異変に気付いたころには症状が進行しているケースが多々あります。病気は早期発見が重要なので、どんな小さなことでも相談していただきたいのです。また、定期的な健康診断も非常に重要だと考えています。元気な子でも、病院に足を運んでもらい、定期的な診察を受けてもらえればと思っています。
流行している疾患など、注意すべきことは?
ここ1〜2年、人間の病気としてSFTS (重症熱性血小板減少症候群)というマダニが媒介する疾患が流行しています。高齢者では致死率の高い恐ろしい病気です。動物さんには散歩の時にマダニがついてしまうことがしばしばあります。そのマダニがこのように人間に害を及ぼすことがありますので、しっかりと動物さんのマダニ予防をしていく事が必要です。また、最近はノミによる被害も多くみられます。ノミも人間に対して病気を媒介します。なかには部屋のカーペットに潜んで越冬するノミもいますから、冬でも気を抜かずに、ノミ予防をしていくことが大切です。今はマダニ、ノミは一つの予防薬でどちらも防げます。予防薬としては首の後ろにつけるタイプのものや、飲み薬などがあり、約1ヵ月間効果が持続します。また最近では3ヵ月くらい効果が続く薬も出ていますので、予防法の選択肢も増えており、その子にあった予防法が見つけやすくなっていますね。
地域の小学校でも獣医師として貢献されているそうですね。
ええ、埼玉県獣医師会の活動の一環として、小学校に行って動物の生態や、飼育方法などを教えています。質問も実に子どもらしい、ストレートなことを聞いてくるので、なかなか面白いですよ。また、具合が悪くなったウサギをこちらのクリニックで治療することもあります。動物達と暮らしていくことの大切さや、公衆衛生の知識を伝えていくことも獣医師の大切な仕事だと考えていますので、これからも継続していきたいと思っています。
今後の抱負、そして来院される方へのメッセージをお願いします。
私は獣医師として、一つの分野を深く掘り下げていきたいという気持ちがあり、整形、神経外科は今後も力を入れていくつもりです。難易度の高い手術だからこそ、本当に困っている飼い主様や動物さん達の力になることができると考えているからです。飼い主様が不安の中で手術の決断をされ、それに100%答えることができたときは代えがたい達成感があります。獣医師になってよかったと心底思える瞬間であり、さらに技術を磨いていくモチベーションになっています。私たちはこの地域の動物病院として、なるべく多くの動物さん達を受け入れられる病院でありたいと考えています。動物病院に対する飼主様の要望は多岐に渡り、ひとりひとり異なると言っても過言ではないでしょう。ふらっと立ち寄って世間話が出来るような場所でもありたいですし、人間医療並みの治療を提供できるような本格的な医療施設でもありたいと考えています。動物病院選びで迷われている方がいましたら、ぜひ一度当院へご連絡ください。ご期待以上の医療を提供できるよう日々努力してまいりますので、安心して来院していただければと思います。