綾部博行 院長の独自取材記事
あやべ動物病院
(大田区/池上駅)
最終更新日: 2023/01/22
東急池上線の池上駅から徒歩5分の「あやべ動物病院」。2014年にオープンし、池上・西蒲田・東矢口地域の動物の健康を支える。診療動物は犬、猫、ウサギ、ハムスターをはじめ、爬虫類と魚類以外であればエキゾチックアニマルにもある程度は対応可能だ。一般診療のほか、軟部・整形外科・避妊去勢手術、予防接種、しつけ相談、ペットホテル、トリミングも行っており、ペットとの暮らしをトータルでサポートしている。外科手術を得意とする綾部博行院長は酪農学園大学を卒業後、故郷の千葉県で10年間の経験を積んだ後に開業。幼少時から動物を飼っており、現在も2頭の飼い犬をリュックに入れて自転車通勤しているという筋金入りの動物好きだ。「動物を診ることができて幸せ」と語る院長に、さまざまな話を聞いた。 (取材日2015年8月18日)
ペットとの暮らしをトータルでサポート。得意は外科手術
まずは、診療の特徴を紹介してください。
当院では、犬、猫、ウサギ、ハムスターなどを診療しています。いわゆるエキゾチックアニマルについても、ハリネズミやフェレット、フクロウ、モモンガなどを診療した経験があり、爬虫類と魚類以外であれば、まずはご相談いただければと思います。診療内容は、一般診療、軟部・整形外科・避妊去勢手術、予防接種、しつけ相談など幅広く行っています。個人的には整形外科や帝王切開など、外科手術全般が得意ですので、他院では難しい手術でも対応できる場合があるかと思います。また、ペットホテルやトリミングも行っていますので、病気やけがに限らず、飼い主さんとペットとの暮らしをトータルでサポートしていける体制を整えています。
特に外科的処置を得意とされているのですね。
ちょうど今日の午前中、13歳のメスのワンちゃんを飼い主さんが「夏バテ」と思って連れてきたところ、診てみると子宮に膿みがあったんです。ずっと健康診断を受けていなかったので、気付かないまま悪化してしまったんですね。高齢ということもあり肝臓も悪かったので、手術に耐えられるかどうか判断が難しいケースだったのですが、結果的には手術を行い、うまくいきました。私は外科手術を得意としており、負担をかけないように短時間で手術を済ませれば大丈夫だと判断してのことです。あと数日遅れていたら、助からなかったかもしれません。今回は早い段階で見つけることができ、対応することができました。このように早期発見が動物の命を左右することもありますので、当院では予防注射やトリミングの際に必ず検診を行っていますし、定期検診もおすすめしています。
地域の開業医としてのお立場から、飼い主さんが心がけるべきことを教えてください。
動物病院での診療件数の割合は、内科がいちばん多いんです。腎臓や心臓、肝臓の異常ですね。これらは、たとえば腎臓であればおしっこの回数が多いとか、水をいつもよりたくさん飲むなど、心臓なら咳をする、散歩を嫌がるなど、何らかの異常が現れます。屋外で飼っている場合は、おしっこの回数などには気付きにくいかもしれませんが、室内飼いであれば、普段から動物をよく見ていれば気がつきやすいことです。この地域に多いシーズーやチワワといった犬種は、心臓病になりやすいということもありますが、普段から健康診断を受けていただき、予防に努めることが何よりも重要になってきます。
動物を愛する地域に根差し、丁寧な診療を
診療にあたってのポリシーは何でしょう。
それぞれの動物の状況をきちんと見て、飼い主さんと話し合いながら適切な治療を行うことを心がけています。こちらの行いたい治療を押し付けるのではなく、コミュニケーションをとりながら治療にあたることを重視しています。例えば、飼い主さんが共働きかどうか、ワンちゃんは薬が飲める子かどうかなど、普段の生活の様子をお聞きしながら治療法を提示し一緒に選んでいきます。飼い主さんが大切にしている動物を預けていただくのですから、飼い主さんの立場にたち、丁寧に診療を行っています。当院は私のほかに看護師が1名、トリマーが2名という体制ですが、みんな真面目なしっかり者で、動物の細かな変化に気付いてあげることのできる優秀なスタッフばかりです。高齢のワンちゃんネコちゃんや、他院で断られてしまった場合もぜひ声をかけていただきたいですね。
飼い主さんの年齢層や地域の特徴があれば教えてください。
この地域住民の方がメインで、特に主婦の方が多いです。この地域は成熟した町で、長く住まれている方が多いので、年齢層としては50歳代後半から60代の方がメインですね。お子さんが独立して、ご年配のご夫婦とワンちゃん、ネコちゃんで住んでいるご家族が多い印象です。「いつもスリスリしてきて、孫より可愛い」と笑う方もいらっしゃいます。ご高齢でも、動物のことを一生懸命勉強して、健康のチェックに力を入れている飼い主さんが多く、動物を家族として大事にしている方の多い地域だと感じています。あるあばあちゃんが長年可愛がっていたワンちゃんが亡くなってしまい、ご自身の年齢を考えて次のペットを飼う決心がつかなかったそうなのですが、ご近所の方が「いざという時はみんなで面倒を見るから」と後押しをしたというお話も聞きました。そういう温かい近所付き合いのある土地柄ですね。ワンちゃんと一緒に住む90歳のおばあちゃんもいらっしゃれば、もちろん、20代前半の若いご夫婦もいらっしゃいますよ。
そもそも先生が獣医師を志したきっかけは何でしたか?
私は千葉県で生まれたのですが、犬、猫から、鳥、魚、爬虫類まで、小さい頃から家にさまざまな動物がいました。実家を出て一人暮らしの期間も含めて、これまでの人生で動物を飼っていなかったのは、大学の1年から3年までの間だけなんです。小学校、中学年の頃には、親鳥が死んでしまったツバメのヒナを助けて育て、手乗りになるほど懐いてくれたこともありました。ですから、動物に関わる仕事に就いたのはごく自然な成り行きでしたね。大学は北海道の酪農学園大学に進みました。寄生虫を専門に学び、実習では牛に多く触れたのですが、牛をとても気に入って、一時期は牛の獣医師になるのもいいなと思っていました。北海道はとても良いところで、学生時代の旅行も思い出に残っています。卒業後そのまま北海道に残った大学の仲間も多く、私も、いつかまた住みたいと思っています。
「大好きな動物を診られること」が本当に幸せ
卒業から独立に至るまでの経緯を教えてください。
卒業後は千葉に戻り、昨年当院を始めるまでの10年の間に3つの動物病院に勤務しました。医師を10人ほど抱える大きな病院では外来の経験を多く積むことができましたし、2つ目の病院では院長職も経験しました。3つ目の病院も外来が多く、その中でも外科が多かったので、外科の技術を磨くことができました。現在私が外科手術を得意としているのは、ここでの経験のおかげです。こうして経験を重ね、ある程度自分でできるようになってきて、2010年頃から開業することを考えるようになりました。治療や薬の処方など、私の考える診療を自由に行ってみたいという気持ちからですね。ちょうど当院の場所が空いているということで話をいただいて、独立開業に至りました。前職の病院では非常にやりがいを感じ、充実して働いていましたので、このお誘いがなければ今もそこに勤務していたと思います。
お忙しい毎日だとは思いますが、ご趣味や休日はどのように過ごされているのですか?
私は動物が本当に大好きで、いちばんの趣味も動物にかかわることです。動物を診ることを仕事にできて、とても幸せな人生だと思っています。今も犬を2頭、パピヨンとチワワを飼っていて、2つ隣の駅から彼らをリュックに入れて自転車通勤しています。休みの日は、多摩川沿いに散歩に連れていくことが多いですね。
最後に、今後の展望を教えてください。
実は当院を始めてみて、24時間診療へのニーズが強いことを感じているんです。夜中にペットに異変が起きたときの駆け込み先にもなりますし、24時間診療であれば、大切なペットを預けるときにも安心につながりますよね。そこで、将来的には当院から車で30分から1時間圏内を目安に2〜3の動物病院を展開し、当院を中心に24時間体制が取れるようにしたいと考えています。飼い主さんや動物たちのためにも、自分が描いている体制を早く整えられるように、将来に向けて、少しずつ行動を起こしていきます。ですが、当院をオープンしてまだ1年3ヵ月ですので、まずは当院をしっかりと地域に根差した存在にすることをめざし、日々の診療を続けていきたいと思います。何かお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。