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柏瀬 匠 院長の独自取材記事

タック動物病院

(さいたま市南区/中浦和駅)

最終更新日: 2023/01/22

中浦和駅から徒歩6分の県道沿いにある青と黄色の看板が目印の「タック動物病院」。浦和で生まれ育ったという院長の柏瀬匠先生は、「自分を育んでくれたこの場所で恩返ししたい」という思いから、地元での開業を決意。幼なじみなど昔からの知り合いも多く来院するという。2010年に現在の場所に移転オープン。院内は清潔感にあふれ、外光がたっぷり入る明るい雰囲気だ。待合室は広さも十分にあり、パピースクールもここで行っている。開業15周年を迎える同院では、10年以上勤務するスタッフも在籍し、大切なペットを安心して任せられる体制が整えられている。子どもの頃からの夢を実現し、獣医師になったという柏瀬院長に、診療へのこだわりなどを聞いた。 (取材日2016年2月10日)

小学校1年生からの夢をかなえ獣医師の道へ

浦和ご出身だそうですね。

そうなんです。浦和で生まれ、高校まで地元の学校に通っていました。もともとの住まいもここから歩いて行ける場所にあります。浦和という場所がとても好きなので、開業にあたって他の選択肢はありませんでした。2001年に開業しましたが、その後手狭になってしまったので、今の場所へ2010年に移転しました。来院されるのは、やはり近隣地域の方々が中心です。みなさん、さまざまな情報を集め、整理し、家族として迎えた動物のために上手に利用されていると感じます。地元だけあって、同級生や恩師、お世話になった方々にもたくさん来院していただけるのはうれしいことですね。

設備面でこだわっている点はありますか?

新しい医療機器は、一通りそろっています。例えば超音波吸引装置は、椎間板ヘルニアや肝臓の腫瘍などを取るときに出血を抑えながら吸引することができるので、体を傷つける程度が低くてすみます。あとは電気メスやシーリングシステムも導入しています。シーリングシステムは糸を使わずに縫合ができ、炎症が起きにくい。手術時間も短縮できます。こちらで数多く手術をおこなっていますが、内容によっては専門の先生にご紹介するのも1つの選択肢だと思っています。その判断力と患者さんにメリットを説明できる知識も必要です。そのためには、日々新しい情報を取り入れ、勉強することが大切。学術系の雑誌を読んだり、国内外のセミナーにも積極的に参加しています。

獣医師をめざしたきっかけを教えてください。

やはり、動物が好きだったからだと思います。実は小学校1年生のときに「獣医師になりたい」という作文を書いていたんです。父親の仕事や友人が興味を持っていることなどを通して、いろいろな世界があるというのはわかっていましたが、あまりピンとくるものがなくて。そんな時、幼少の頃に志した作文を書いたことを思い出して、やはりここが行きつくところかなと。書いたときのシチュエーションは覚えていないのですが、そこが原点ですね。純粋な思いを綴った作文に、間違いなく自分の進むべき道を決定づけられたと思っています。また作文を書いた頃、犬を散歩させる私の姿を見た近所の方が「イヌのひみつ」という本をプレゼントしてくれたんです。そのような経験も、この仕事に導いてくれたきっかけですね。

長年勤務するスタッフたちとの絆で安心感を与えたい

画像診断に力を入れていると聞きました。

大学時代は放射線学研究室に所属して、画像診断を徹底的に学習しました。尊敬できる先輩や後輩との出会いもあったし、当時の経験が、獣医師としての礎になっていると感じます。クリニックでは、2つの部屋にそれぞれ超音波検査の機械を設置して、些細なことでもすぐに使えるようにしています。ちょっとお腹をこわしていたり、食欲がないというときにも、体を傷つけることなく検査できるので安心です。超音波では、胃腸の粘膜の状態や、リンパ節がはれていないか、などいろいろなことがわかるんです。心臓についても、レントゲンより多くの徴候を得られるし、被ばくや体の固定無しで情報を集められるので、動物、ご家族、獣医師、みんなにメリットがあります。すべてがわかるわけではないですが、強力なツールですね。

診療を行う中で印象に残っているエピソードはありますか?

それぞれの場面で思い出があり、なかなか選ぶのは難しいですね。最近で印象に残っているのは、尿が出なくなってしまったワンちゃんです。クリニックで尿を抜いていたのですが、ご家族が雨の日も風の日も連れてきてくださって。その後亡くなってしまったのですが、獣医師でないとできないことですから、休日返上で対応しました。あとは、開頭手術を紹介したワンちゃん。大きな手術を2回も行い、目が見えず、寝たきりになってしまって。それでもご家族は、1年以上一緒に過ごすことができて満足していたようです。治せる手術ではないし、本当に必要なのかという葛藤もありましたが、ご家族の様子を見て、勝手に自己解決してはいけないと気が付きました。価値観は人それぞれですから、情報提供の仕方に注意しなくてはと考えさせられました。

長年勤務するスタッフが多いそうですね。

はい。10年以上勤務する看護師、トリマーが3名、9年目も1名います。産休からの復帰や、復帰予定のスタッフもいます。ずっと同じスタッフたちが関わり、患者さん、ご家族を見守ってきたことが当院の自慢ですし、チームワークで安心感をご家族に与えることができると思っています。安心感とは、病院の入りやすさや清潔感、スタッフの意識の高さなど複数の要素の融合だと考えていますが、やはり入ってきたときに知った顔がいるというのは、うちの強みですね。最近は15周年を迎えて、看取りも増えてきました。ずっと見てきたペットとの最期のお別れをサポートするのも大事な仕事だと言っていますが、私がケアできない部分をスタッフたちがフォローしてくれるので、ご家族にも心強く思っていただけるのではないかと自負しています。

最善の解決策を導くため情報収集を怠らない

診療の際に心がけていることを教えてください。

最新の情報をスタッフで共有し、それを整理したうえで、ご家族に提供することです。客観的な情報を具体的に示して、みんなで問題に立ち向かっていくことを意識しています。私を含め常勤医師は3名おり、それぞれ得意分野があるので、「三人寄れば文殊の知恵」というように、全員で総合力を高めることを心がけています。また、スタッフによって話すことが違うというのは、絶対あってはならないことなので、ミーティングなどでよく話すようにしていますし、情報共有のためにセミナーに一緒に出席することもあります。設備面でも、安心安全が提供できる新しい医療機器をそろえ、治療の質を常に向上できるようにしています。ご家族にとって当院が身近な存在であり続けたいので、気軽に相談してもらえる雰囲気作りも大切だと思っています。

健康のために実践していることはありますか?

夫婦で週1回水泳を習いにいって1000メートル泳ぐほかに、筋トレを週2回以上、ランニングも続けています。子どもたちも習っており、親としてはジュニアオリンピックを目標にしてほしいと思って、みんなで市民プールにも通っています。ジムと水泳を初めてからは6キロも痩せました。太っている獣医が患者さんに痩せましょうと言っても説得力ゼロですし、健康に気を配ることは大切です。また、最近は太り気味のペットが増えていることも感じています。動物も太ってくると成人病になったり、関節を痛めやすくなったりと問題が起きやすくなるので、気を付けていただきたいです。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

どんなに些細なことでも相談していただきたいですね。スタッフもベテランが多いですし、後悔しないようなお答えができるように心がけているので、ぜひ何でも話してください。お口のにおいが気になる、散歩の足取りが重いなど、ちょっとした変化が病気の始まりかもしれません。大丈夫なのか、それとも病気の徴候なのかをお伝えするのが私たちの仕事です。また、積極的に呼びかけているのが、健康診断の受診です。特にシニアになると健康そうに見えても病気が潜んでいるかもしれません。一緒に過ごす時間を長くするためにも、お勧めしたいです。それから、当院では猫にも力を入れています。私自身、大人になってから初めて飼ったので、ご家族の悩みもわかります。爪切りだけでも気軽に来院していただきたいですね。

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