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太田 肇 院長の独自取材記事

航空公園動物病院

(所沢市/航空公園駅)

最終更新日: 2023/01/22

西武新宿線・航空公園駅より徒歩で8分。航空公園に面した西新井交差点の一角に佇む3階建ての建て物が「航空公園動物病院」だ。太田肇院長は、とても謙虚で優しい雰囲気の先生。この地に開院して2016年で10年目を迎える個人クリニックだが、動物と人間の素敵な暮らしを支援するクリニックとして、いまでは地域になくてはならない存在となっている。インタビューでは「動物との共生文化を広めていきたい」と語る太田院長に、その具体的な内容を詳しく聞いた。 (取材日2016年8月9日)

犬の飼い主も散歩がてらに来院できる場所に

開業されてから今日までの経緯から伺います。

勤務医として最初に勤めた武蔵野市の動物病院時代からの先輩とのご縁で、ここ所沢にテナントクリニックとして開業するきっかけを2004年にいただきました。その後、腰を据えて医院を続けられる場所を探していたところ、交差点の一角の土地で、さらに航空公園に近いということでこの場所に決めました。のちに隣接する土地を駐車場として貸して頂くこともでき現在3台分用意することができています。この場所は何と言っても緑の多い大きな公園の近くなので、飼い主さんにも爪切りなどで散歩がてらに気軽に立ち寄ってもらえるところが魅力です。

院長先生が獣医師をめざされたきっかけは?

動物が好きだったからです。生き物を飼うことの大変さに厳しい家庭でしたが、昆虫程度なら許されていました。それでカタツムリに始まり、バッタ、トカゲなどを捕まえてきては飼っていましたね。ただ子どものころは知識やスキル不足で飼育に失敗する(笑)。いま思えば、犬や猫は何年単位で健全に育てなければならないので、自分には早いと親が判断していたのでしょうね。進路を決めるときには、しゃべらない動植物相手の仕事がいいなと考えていました。しかしいざ獣医師となってみると飼い主さんやスタッフ間での密なコミュニケーションがより一層重要な職業だとわかりました。つまるところ自分の存在意義や社会貢献を望む時に人間は社会性動物ですから、組織なり、コミュニティーなりに組み込まれ、協調しつつその場における役割を果たしていくことは必然なんですよね。

このエリアの方たちの印象や、考え方に傾向を感じることはありますか?

ご家庭や個人ごとの各々の事情でリクエストは異なりますね。これはご家族内であっても個人個人で思い入れの温度差があったり、過去の経験値、経済的な問題などのさまざまな理由により考え方や求めていらっしゃるものが違ってくるからです。その動物を取り巻くご家族の足並みをそろえ最良の選択を提案することも大事な仕事の一つです。また最近は、以前よりも飼い主さんの知識が増え、質問も専門的になってきています。健康への意識が高まっているので、指導や治療の理解は得やすいです。さらに高度医療や専門科医療を受けられる医療センターも所沢周辺エリアには複数箇所にでき、充実してきました。治療や診断が難しかったケースにおいてこれらの高度医療センターへの受診も選択肢の一つとなったので、ホームドクターとしてはスムーズな引き継ぎや連携が重要だと感じています。

大きな手術前には家族の意思統一も大切

医院入口の看板に「鼻」のデザインがありますが?

当院の居候犬のトイプードル「モナカ」の鼻からデザインしたものです(笑)。だいたいはブリーダーさんから虚弱体質で病気持ちなので、ペットシッョプへの流通に乗らない子がいると言われて、引き受ける結果になるんです。ただ当院としても勉強になるなと思いましてね。初代の「風ちゃん」はもう亡くなってしまいましたが、二代目の「アンディー」、三代目の「モナカ」は、いまも元気に2階で過ごしていますよ。さすがに2頭いますし、あまり抱え込んでしまうと、患者さんの入院スペースがなくなってしまうので、今後は控えたいと考えていますが(笑)。

診療の内容を教えてください。

みて、さわって、きいて、時には臭いをかいで、まず自分自身の感覚から健常な状態であるかどうかを観察します。また、おうちでの様子や気になる箇所がどこで、いつ頃からどのようになってきたのかも、とても重要な手がかりになるのでお聞きします。気になる状況があればこれまでの経験と照らし合わせ、病気をいくつか推定し、検査で診断を絞り込みます。ただ、検査や治療に入る前で直観的に「複雑な病気になる」と思った場合、その段階で飼い主さんにお伝えし、いくつか選択肢も提示します。大きな病院で高度治療を受ける場合も、手術のリスクや術後ケア、後遺症の可能性、治療全般の費用などについてわかる範囲でお伝えしています。どのような治療でも、ご家族全員で話し合われ、意思統一をしてから決断されるようお勧めしています。治った時の喜び、失った時の悲しみ、その全てを一緒に共有して経験に変えることが動物と暮らす意義の一つだと思っています。

重篤な症状の場合の判断は、実に難しいものですね。

ええ、僕も確かな希望があれば、治癒に向けて頑張ってほしいと思っていますが、反対にさしたる希望もないままに高額な手術をお勧めすることはできません。もちろん命は尊いものですし、可能であれば生き続けてほしい気持ちは一緒です。ただ、ペットはいまや家族の一員でもありますから、それによって愛情が過剰に出過ぎて、犬や猫の個としての生き物に対するリスペクトや客観性がなくなっている面も否定できないと思っています。例えば、自分の所有物のように扱うこともそうですし、手当てをしてちょっと痛がっていると「もうやめてください」とおっしゃる方もいます。しかしペットは個の生物ですから自立させて、われわれは彼らと適正な距離感を持って付き合っていくなかで、その生と死を見つめ、自分自身の死生観を深めることが大切なのではないかと僕は考えていますね。

いずれ再生医療の進化によって「救える命も」と期待

ペットと人間の関係性について、深く考えてみる必要がありそうですね。 

人間と動物の関係はいまちょっと違った方向に行ってしまっているのではないかと感じています。現代はペットロボットなどもいますし、アプリでデジタルペットを飼うなど、どんどん便利になっています。だからこそ、もう一度、ご自分の周りにいる動物、植物や昆虫など生物全般を平らな気持ちで眺めてみてほしいですね。生き物はロボットのように人工物ではないので、なかなか自分の思うようにはしてくれないものです。ペットを飼う理由は「癒やされたい」、「かわいい」など単純な理由からでしょうが、飼い始めて生活を続けるなかでお互いに自立した存在になってうまく共生できるようになり、その過程で人間は動物からさまざまなことを学べると思うのです。つまり、動物との“共生文化”をつくれればいいと僕は考えていますね。

動物との共生文化、すばらしいお考えだと思います。

それほどでもないのですが(笑)。加えて、いまは獣医師同士もSNSでつながって、治療法や薬に関することなど、いろんな意見を交換し、情報共有できる時代となりました。こうなると、特殊な医療設備が必要な場合を除けば、治療の差というのはそんなに出てこない時代になる。そうした状況でも助からない子は残念ながらいると思いますが、獣医師はその状況をどのように飼い主さんやご家族に受け容れてもらえるよう導けるか? も大切な診療行為となるはずです。つまり飼い主さんのメンタルケアや、動物と共生する暮らしの意識づけなど、ソフトウエアの分野ですね。われわれ獣医師がその面においても、飼い方相談などから入って、やがて動物との共生文化まで考えられる飼い主さんを一人でも多く増やしていければ、よりよい動物と人間の関係が築ける、いい社会になっていくと思っていますよ。

院長先生が今後、期待されることは?

iPS細胞で話題となっている再生医療ですが、獣医学の分野でも最近では幹細胞を投与した症例で、例えば歩けなかった子が歩けるようになるなど、すでに好ましい臨床例が報告されているのです。つまり再生医療が獣医学界の普通のエビデンス(確かな臨床調査結果)になる日も、遠くないと感じています。これまでは諦めなければいけなかった疾患が、再生医療という自己治癒力を生かした体への負担の少ない治療でこれまでと同じくらいに元気になれるわけですから、僕も個人的には大いに期待していますね。この先も病気と治療のあり方や動物と人のあり方は変化していくと思います。その変化に合わせた診療スタイルを日々の現場の診察に生かし続けていきたいです。

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