―動物に対しては、どのようなことを心がけていますか。
治療中にストレスをかけないように心がけています。同じ病気でも、その子の状況によって、かかってくるストレスが違うんですよ。例えば、来院の頻度が増えれば、動物の負担も増え、結果的にストレスが増します。嫌がり方が違うので、見ればわかりますね。そういう場合は、自宅で療養できる方法や薬物療法などで対処できるように計らうこともあります。また、ウサギの場合は診察台に乗ることすら嫌がることが多い。そういう場合は、なるべく下に降ろして診察してあげるようにしています。
―院長は最近、栄養管理アドバイザーを取得したと伺いました。きっかけは何ですか。
私だけでなく、スタッフ全員が栄養管理アドバイザーの資格を取得しました。飼い主さんに「このフードがいいですよ」と勧めることが多いのですが、その成分を説明したり、病気のステージによってフードを使い分けたりすることで、より安心していただけると考えたのです。患者さんに自信をもってお話しをできるようになりましたから、院内全体がレベルアップしたと思っています。実際に患者さんからの相談も増え、コミュニケーションの活性化にもつながっていますね。
―楽しそうに仕事をしていらっしゃいますが、とりわけ、やりがいを感じたことはありますか。
ある猫が腎不全にかかり、毎日来院して点滴などの治療を受けていました。残念ながら、猫は1年くらいで亡くなりました。でも、その飼い主さんは、もはや家で猫を飼っていないにもかかわらず、いまだに当院に顔を出してくださったり差し入れをしてくださったりするんです。「スタッフの方も本当によくしてくれたので」と感謝してくださるんです。それは、本当にうれしいですね。その患者さんにとって亡くなった猫は家族以上の存在だったと思います。少子高齢化の影響もあり、ペットがわが子の代わりだと考える人が増えていると感じています。そんな愛猫が病気にかかったけれど、1年の闘病生活をよく診てくれた、いい最期を迎えられた、と思っていただけたのは、獣医師としての喜びですね。
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