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佐々木直人 院長の独自取材記事

佐々木動物病院

(相模原市南区/東林間駅)

最終更新日: 2023/01/22

東林間駅西口を出て、パン屋や豆腐屋などが立ち並ぶ通りを歩くこと約3分。通り沿いにあるコンクリート造のすっきりした建物が「佐々木動物病院」だ。開業は1984年。東京大学畜産獣医学科卒の佐々木直人院長は、静かな語り口と穏やかな風貌に少年のような雰囲気も残すドクターだ。子ども時代に愛犬をフィラリアで亡くし、くやしい思いをしたことが獣医師を志した原点だという。「動物と飼い主の幸せがいちばん」という信念のもと、丁寧な治療をモットーにし、動物の生態や行動を熟知した健康管理のアドバイスも行う。動物医療への情熱とホームドクターとしての矜持。下半身マヒの犬・はなこちゃんと過ごした9年間のお話にも感銘を受けた取材だった。 (取材日2011年11月21日)

たくさんの動物に囲まれて育った子ども時代。自然と獣医師の道へ

こちらの診療科目をお聞かせください。

犬・猫・ウサギ・ハムスター・リス・モルモットを主に診ています。診療する動物は、この順番で多いですね。動物のホームドクターとしてあらゆる病気を診ますが、大学で外科を専門に学びましたので外科治療、中でも腹部外科、腫瘍外科・膝の外科、あと眼科・歯科の治療を得意としています。高齢化が進んだことで、犬は乳腺腫瘍、猫は体表部にできる腫瘍などが増えています。また、犬や猫は結膜炎・角膜炎や歳をとると白内障・緑内障など目の病気になりやすく、また歯周病も非常に多いため、毎日眼科や歯科を診ることになります。ウサギの場合は、「ごはんを食べない」として受診されるケースがほとんどですが、歯周病になって膿が顔中に回ってしまったというケースもあります。開業当時は、フィラリア、ジステンパーなど感染症を診ることが多かったのですが、ワクチンの普及やわれわれの啓蒙が行き届いたことで減ってきて、寿命が延びたことで人間と同様に生活習慣病を診ることが増えていると言えますね。

先生は、いつ頃どのようなきっかけで獣医師を志したのですか。

子どもの頃から犬や猫を飼っていましたので、単純にそこがスタートですね。いちばん最初の動物との付き合いは、家で飼っていたコリー犬です。僕自身が初めて飼ったのは、小学校1年の時に拾ってきた犬で、両親は、最初は「ダメ」とか言うのですが、根が動物好きですから、結局飼うことになります(笑)。中学生の時に猫を拾ってきて、その子が子どもを産んで、増えて……横須賀にあった実家には18歳までいましたが、犬4頭、猫4頭を飼いました。そういう環境のなかで、生物学者になりたいという気持ちがひとつあって、その流れで獣医師になりました。最終的に、志望したのは大学に入学してから。僕は、東京大学の農学部畜産獣医学科卒ですが、東大は理科?類で入学して2年の最後に学部を決めるんです。今の獣医学部は6年制ですが、僕の時代、獣医学科は4年制で、卒業後は2年間外科の教室で研究生活を送りながら臨床の経験を積み、3年間東京での代診医を経て、1984年に相模原に開業しました。

動物との思い出はたくさんおありでしょうね。

最初に飼った犬は、白と黒ぶちの雑種で、左右の目の色が違う「オッドアイ」のきれいな犬でした。名前はリリです。その子は、6・7年くらいしか生きることができませんでした。次に飼った2代目のリリは、家に来て1年で、フィラリアで死んでしまいました。犬をフィラリアで亡くして、くやしい思いをしたことが獣医師の仕事につながったと思います。今ほどワクチン接種の必要性が言われていなかった時代なので、感染症を知らない飼い主さんも多かったんですよ。なので、愛犬をフィラリアやジステンパーで亡くした方は、たくさんいたんです。動物を飼っていると、動物病院には度々行くようになるのですが、初めて自分で動物を病院に連れて行った時のこともよく覚えています。獣医師が何人も仕事しているのを見て、「こんなにたくさんのドクターが働いているんだ、すごいな」と思いましたね。3代目のリリは子宮蓄膿症になりましたが、手術をして元気になって戻ってきたときは嬉しかったですね。当時家の犬を診てもらっていた先生は先輩として今もお付き合いがあるんですよ。

飼い主と話す時間を十分に取ることで、納得のいく治療を

診療の方針をお聞かせください。

飼い主さんとよくコミュニケーションを取ることですね。診療は予約制を基本にしています。飼い主さんがどういう治療を望んでいるかを聞かなくてはなりませんし、費用面のこともありますから、時間に追われて診察が駆け足になったりしないよう、お話しする時間を十分に取れるようにしています。先端医療を希望されるには、出身の東大、藤沢市にある日大を中心に紹介することもできます。診療のいちばんの目的は動物と飼い主さんの幸福ですから、そのために何をすべきかを常に考えています。治療方針も何もかも医師の独断で進めてしまえば、ある意味簡単でしょうし、お金も儲かるでしょうが、きちんと手間をかけないと、あとあと飼い主さんが後悔するかもしれませんし、過剰な検査で動物に苦しい思いさせることにもなりかねません。また、病気には治らないものもあるので、病気とうまく付き合いながら、なるべく普通の生活をさせてあげられる方法を考えます。悪いものを切っても、それで生活の質が落ちてしまっては意味がないですよね。動物も飼い主さんも苦しむ延命治療はしたくない。僕はよく「ソフトランディング」という言葉を使いますが、動物も人間も納得した最後を迎えられるというのが最終到達地点。それが動物の医療の最終的な目標になると思い、その目標に向かっていつも仕事をしているつもりです。

健康を守るため、よりよい診療を受けるため、飼い主さんへアドバイスはありますか。

人間もそうですが、動物はバランスのいいものを食べるのが健康の基本です。最近増えているペットの肥満は、ごはんをあげ過ぎている、運動不足になっているなど、飼い主の問題ですね。たいていの飼い主さんは知らないのですが、1時間くらいの散歩ではほとんど運動になりません。犬は本来走るものですから。ドッグランなどで走らせてあげれば十分に運動できますし、爪も自然に減り、切らなくて済むのでおすすめしています。また、歯に歯石がつくのは、固いものを噛んでいない証拠です。動物本来の生活スタイルや食事に近づけることが、健康維持に役立つんです。ですから、動物を飼い始める時にアドバイスできると飼い主さんにとっていいと思いますし、こちらとしてもやりやすいですね。今は、インターネットでさまざまな情報を得られますが、獣医師が発信しているもの以外にはいろいろと間違いがあるんです。一般の人がブログに書いたことが伝言ゲームみたいに広がっていくんですね。やはり専門家から正しい知識を得てほしいと思います。

お忙しい毎日、お休みの日はどのようにリフレッシュされていますか。

小さい頃から音楽が好きで、ジャズピアノを弾いたり、聴きに行ったりもします。ピアノは独学ですが、中学時代からバンドをやっていて、今も昔の仲間と演奏したりジャスクラブでセッションすることもあります。映画も好きですね。ハリウッド映画よりもヨーロッパの映画が好きで、トリュフォーやゴダールなどフランスの監督の作品や東欧の作品をよく観ます。最近観て印象に残ったのは、少し前の作品ですが、バルカン半島が舞台の「アンダーグラウンド」。これは、すごい映画でした。車、特に旧車も趣味で、最近は時間がなくてあまりできませんが、昔はレースもどきを楽しんだりしていました。あと奥さんが絵描きなので美術も好きですね。

ホームドクターとして、動物の健康と幸せを守っていきたい

こちらの看板娘的存在だったはなこちゃんが、最近亡くなったそうですね。

今年の9月25日に亡くなりました。はなこは、9年前の雷のひどい晩に、ブリーダーの家を飛び出して車にはねられてしまい、背骨が折れた状態でここに運ばれてきました。飼い主らしき人は見つかったんですが、見捨てられてしまって、以来家の犬になりました。脊髄損傷で下半身がまひしていましたから、排泄は毎日しぼって出してあげなくてはならないんです。僕とスタッフ、家族で9年間それをやりました。散歩は、僕が作った車椅子に乗って、スタッフが連れて行ったり、両親が散歩のおともにしたり。普段は、いつもカウンターの前辺りにいて、受付嬢をやっていましたよ(笑)。最後は認知症のような状態になり、カウンターの前に置いた椅子に座らせていたのですが、そこで亡くなりました。亡くなるその日までごはんを食べ、苦しまずに逝きました。

先生をはじめ、ご家族、スタッフのやさしさで、はなこちゃんは幸せでしたね。

病院の上階が住まいで、妻も子どもたちも、同居している両親も動物が好きなんです。世話をしてくれたスタッフも病院に通われる方も、はなこを大切に思ってくれていて、亡くなったと知り、お花をくださる方や泣いてくださる方もいました。はなこが座っていた椅子に飾っている写真に、はなこと写っている女の子は、しょっちゅうここに遊びに来ていた子で、亡くなったことを知らせたら大泣きしして……。その子が生まれて初めて仲良くなった動物がはなこですから、無理もありませんね。犬を飼うのは、この子に9年間エネルギーを取られましたから、少しひと休みという感じです。自宅では、猫を3匹飼っています。皆捨て猫だった子で、いちばん年上は19歳。病院前にダンボールに入れられて捨てられていた子もいます。家の動物で、自分から飼ったのは、最初の供血犬と供血猫(※輸血用の血液を提供する犬や猫)だけで、それも拾った子たち。捨てられていた子、頼まれて飼うことになった子が集まって、開業してから20数匹飼いました。

飼い主さんにメッセージをお願いします。

飼い主さんには、「わからないことがあったらいつでも聞きに来てください」「気軽に遊びに来てください」といつも話しています。実際、ここには遊びに来る子が結構多いんですよ。お散歩の途中で寄っておやつをもらって帰っていったり(笑)。そのくらいの気軽さで来てもらえたらいいと思います。困ったことにすぐ対応できますし、病気も早く発見することができますから。動物の具合が悪いようだったら、「ちょっと様子を見よう」とは考えず、すぐに病院へ連れて行ってあげてください。うちの病院はそういう意味で敷居が低いです。今は、なんでも検査検査という風潮がありますが、それは動物にとっても必ずしもいいことではありません。僕は、もちろん必要な検査はしますが、かれこれ30年この仕事をやっていますから、「こういう状態だったらこういうことが必要だろう」と勘が働きます。また、その動物を小さい頃から診ていると、「この子はこういう傾向がある」ということがわかりますから、長いお付き合いが大切ですね。日頃から飼い主さんとコミュニケーションを取り、動物のことをよく知っているのがホームドクター。これからもホームドクターとして、動物の健康と幸せを守っていきたいと思います。

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