―印象に残っている患者さんはいますか?
手術をするのが難しいタイプの腫瘍ができた高齢の猫ちゃんがいました。ご飯は食べられていたので、腫瘍を上手にコントロールできれば、生活の質を保ちながら長く一緒に過ごすことができると考え、飼い主さんにも協力をお願いしながら、猫ちゃんの状態に合わせてできるケアをさせてもらいました。最終的に亡くなってしまったのですが、その時に飼い主さんに「ありがとう」と感謝していただいたことが今もすごく心に残っています。病気が治せなくなると、何もしてあげられないと思って無力感にさいなまれる方が多いと思います。しかし実際は、どんな状態でもしてあげられることは必ずあります、病院でできることに加え、飼い主さんが自宅でもできることをお伝えする。そして動物と飼い主さんの双方にとって身体的、精神的な負担を減らし、その子がその子らしく最後まで生きられるようにサポートすることが、緩和治療であり、ターミナルケアだと思っています。
―休みの日はどのように過ごしていますか?
病院のすぐ近くに住んでいるので、休みの日も、預かっている動物に急変があれば対応しています。また、万が一に備えて、スタッフルームは宿泊できる設備を整えています。学生の時に陸上部の部長を務めていたのもあり、今もジョギングが好きで、駒沢公園を走っています。また妻もお互いに動物が好きなので、飼っている犬と猫と戯れたり、一緒に水族館へ行ったりしています。犬と猫は毎日一緒に出勤しているので、ぜひ会いに来てほしいです。
―最後に、来院される患者さんへメッセージをお願いします。
現在は、僕と、トリマーの資格を保有している看護師を含めた計3人のスタッフがおります。3人とも同じ大学の出身で、障害を持った子どもたちや自閉症の子どもたちに乗馬を通してアニマルセラピーを行う、障害者乗馬というサークルにいた仲間なんです。なので、昔から同じ志を持った、気心の知れた仲なので、クリニックの和やかな雰囲気は誇れることです。地域の住民の方々にとって、普段は気軽に来やすく、いざという時は頼りになる病院づくりをめざしています。だからこそ「自由が丘アニマルクリニックがあってよかった」と思ってもらえるよう、この先も精進したいと思います。そして飼い主さんの求めることは何か、そして動物に必要なことは何かを擦り合わせて丁寧に診療し、両者の架け橋のような存在でありたいです。
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