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相川 武 院長の独自取材記事

相川動物医療センター

(新宿区/落合南長崎駅)

最終更新日: 2023/01/22

西武池袋線東長崎駅、都営大江戸線落合南長崎駅から徒歩5〜7分。目白通り沿いにある「相川動物医療センター」は、一見すると普通の動物病院だが、その治療内容は大きく異なる。院長の相川 武先生は、日本人ではまだ3人しかいない小動物外科専門医。そんな院長を中心に、当院では脳神経疾患や骨関節疾患、消化器系疾患など、外科治療に特化した治療を行っているのだ。なかでも定評があるのが椎間板ヘルニアの手術。再発が少ないと、治療を受けさせた飼い主の間で絶賛されている。専門医という特性上、患者の9割はほかの動物病院からの紹介だというが、院長の腕を聞きつけ、自ら来院する飼い主も後を絶たない。ほかの獣医師には手に負えない難病の手術の実績も多いと聞く獣医師界の専門医とは、いったいどのようなものなのだろう。世界的に評価の高い先生の椎間板ヘルニア手術の秘密にも迫った。 (取材日2013年7月23日)

再発しにくい椎間板ヘルニアの手術で、国内外で高い評価を受ける小動物外科専門医

先生は外科の専門医だそうですね。

はい。僕は小動物外科専門医協会が認定する小動物外科専門医に認定されています。現在この資格を持つ日本人は3人おり、そのうち日本で活動しているのは僕を含め2人です。当院は、一般的な動物病院とは異なり、脳神経外科、整形外科、軟部外科などの分野でほかの獣医師には治療が難しい症例を扱っています。なかでも椎間板ヘルニアについては、多くの犬の手術を手がけてきました。そのほか、慢性的な関節の病気で、一般的な治療では治らないものや、取り切れなかった腫瘍を切除する手術など、様々な難病の治療にも取り組んでいます。

先生の椎間板ヘルニアの手術は、再発が少ないと伺っています。

椎間板は、首から尻尾のつけねまで骨と骨の間にあって、クッションの役割を果たしているものです。これが外に飛び出したり、椎間板内にあるゼリー状の「髄核」が外に出てしまったりする病気を、椎間板ヘルニアといいます。犬の胸腰部椎間板ヘルニアの場合、95%くらいが第11胸椎から第4腰椎までの6か所から起こります。遺伝的にこの病気になりやすい犬種は、それらの椎間板が同時に変性を起こすため、そのうちの1ヶ所がヘルニアを起こせば、残りも同じように変性を起こしてきているんです。そのため、早ければ数週間以内、あるいは数年以内にほかの部分でもヘルニアが起こることがよくあるんです。そこで僕らは手術の際に、予防的造窓術という方法を用いています。これは、椎間板ヘルニアが好発する胸腰部椎間板に対して、病気の原因となる病的な変性を同時にすべて取り除くという方法です。そうすると、ヘルニアの再発が起こりにくくなるんです。

その手術法は、先生が新たに考え出したものなのですか?

いいえ。この方法自体は以前からありました。ただ、再発を予防する効果があるとは言われながらも、それが本当なのか、あるいは合併症などの危険はないのかを確かめた研究報告が、これまでなかったんです。そのために、専門家の間でも意見がわかれる治療法だったんですね。そこで僕らは、これを検証することに決め、自分たちが手がけた椎間板ヘルニアの予防的造窓術約900症例について、その後十年間にわたって経過を調査しました。日本は、遺伝的にこの病気になりやすい犬種、ダックスフント、フレンチブルドッグ、ビーグル、シーズーなどにとても人気があります。僕たちにこの検証ができたのは、それだけ多くの症例データを得られるという環境にあったからなんですね。その結果、この方法が椎間板ヘルニアの再発予防にとても効果があり、かつ安全であることが証明できました。僕はこの結果を論文にまとめ、国内外に発表しました。そうしたところ、アメリカの権威ある専門誌に掲載され、おかげで日本だけではなく世界中の獣医師にこの治療法の効果を知ってもらうことができたんですよ。

治せないとされた病気の治療法を見つけて動物の命を救えることは大きな喜び

動物の椎間板ヘルニアは、どのような症状が出たら病院に行けばよいのですか?

犬が立てなくなって慌てて病院に連れてくる飼い主さんが多いですが、もっと前の段階で気づいてあげられるといいなと思っています。「歩くとふらつく」というのはこの病気の初期症状として知られていますけれど、そのほかにも、「遊び方がこれまでと違って激しくない」「散歩に行きたがらなくなった」「抱くと痛がる」といった様子が見られたら、早めに病院に連れていくことをお勧めします。治療としては、早い時期に手術をするか、様子を見て悪くなった時点で決断するかということになると思いますが、ただ、椎間板ヘルニアがほかの病気と異なる点は、軽症から急に悪化することが珍しくないということです。病院に連れて行ったときにはすでに手遅れということもあるので、日頃から愛犬の様子に気を配っておくとよいでしょう。

予防策はないのでしょうか?

この病気は遺伝的なものなので、飼い主さんが何かに気をつけたからといって発症を防ぐことはできません。家系において遺伝的要素の強弱があるため、発症率が高い特定の家系を避けて犬を選べばよいということは言えます。でも、事前にその情報を得ることはなかなか難しいのではないでしょうか。体重を増やさなければよいとか、激しい運動をさせないほうがよいということもよく言われますが、二次的な要因は防げても、全体としてはそれほど効果的に発症リスクを下げられるものではないんです。実際、当院で治療を受ける犬は、太った子ばかりではなく、痩せた子も標準的な体型の子も来ていますからね。繰り返しになりますが、ヘルニアに限らず、犬は犬種によって遺伝的になりやすい病気があります。体の形に代表される特徴が、その病気になりやすいように作られているからです。ですから、「この病気になるかもしれない」ということを頭におき、普段から注意して愛犬を観察することが一番の予防策です。

専門医は責任も大きそうですが、プレッシャーもおありなのでは?

そうですね(笑)。僕らの病院は、飼い主さんと一対一の関係ではなく、たいていそこには、間に入って紹介してくれた動物病院の先生の期待もあるわけです。また、日本の専門医の水準がどれくらいかを示すという意味では、自分たちの治療が日本の獣医師界全体にも影響を与えるという意識も持っています。でも、これまで治せないといわれていた病気の治療法を見つけ、たくさんの動物の命を救えたことは、そんなプレッシャーを上回る喜びなんですよ。チャレンジは楽しいですし、実際にその病気が治ったとなれば、僕らとしても達成感は大きい。チャレンジといっても、もちろん、技術レベルはある程度維持できるところで仕事をしているので、一か八かの手術ばかりをしているわけではありません。たいへんなチャレンジも時にはありますが、これまでの長い経験から「治せる」と判断した症例を、飼い主さんにご説明の上治療していることがほとんどです。たとえ専門医でも、転移や浸潤の程度が思ったよりひどい腫瘍などは、最終的には救えないこともあります。どんなケースにしろ、事前に説明をしっかり行い、飼い主さんへの説明不足による期待はずれという事態は起きないように努めています。

専門医の治療という選択肢が与えられぬまま、終わりになっているケースが多いことが残念

先生はなぜ獣医師になり、専門医を目指したのですか?

昔から動物が大好きだったので、医師とどちらがいいかなと迷った結果、獣医師を選びました。獣医師のほうが、診療科を限定せずに様々な病気にアプローチできるのでおもしろそうだと感じたんです。今では反対に、専門医として治療にあたるほうがおもしろいんですけどね(笑)。スペシャリストになったのは、アメリカ留学がきっかけでした。アメリカの獣医学のほうが日本より何十年も進んでいるので、そこで勉強したいと思い、1994年に渡米して、ノースカロライナ州立大学やカリフォルニア州立大学デイビス校などで学びながら働きました。当初は、そこでどれだけのことができるかわかりませんでしたが、日々トレーニングを重ね、ステップを一段ずつのぼるうちに、おのずと目標は「外科の専門医」に定まっていったんです。そして、そこに向かって自分を追い込んだんですよ。

以前から動物好きとのことですが、何か動物を飼っていたのですか?

子どもの頃は雑種の犬を飼っていました。僕が高校一年生くらいの頃に飼い始め、19歳まで生きたんです。長生きしてくれたおかげで、最終的にはこの病院で最期を看取ることができました。アメリカから帰国後にこの病院を開き、たしか一年目でした。老衰で亡くなったんです。飼い始めた時は、まさか自分が獣医師になって、自分の医院でその子を看取ることになろうとは思いもしなかったので、長生きしてくれたことに感謝しています。現在はゴールデンレトリバーを飼っています。手術で血液が必要な犬のために、供血犬としても協力してもらっています。

診療を離れたご趣味も教えてください。

スポーツが好きです。特に水泳やサーフィン、スキーが好きで、休みの日は健康づくりもかねて体を動かしています。この仕事は体力勝負ですから、自分の外科医としての性能を維持するためにも、運動は欠かせないんですよ。仕事を忘れてリラックスするという意味でも、泳いだりサーフィンしたりするというのはとても効果的です。特に自然の中で体を動かすのは、とてもよい気分転換になりますね。

今後の目標をお聞かせください。

希望する方には高度な医療を提供できるように、社会全体が変わっていってほしいと思っています。残念ながら、僕のような専門医がいても、その治療を受けるという選択肢が与えられないまま、そこで終わりになってしまっているケースがとても多いんです。実際当院には、「ほかで治療したけれどうまくいかなかった」と問い合わせをしてくる飼い主さんが少なくありません。そのたび残念に思うんですよ。骨折など、手術のやり直しができるものであればいいのですが、脳脊髄疾患や腫瘍疾患は、最初の手術が最大のチャンスなので、そこを逃して時間が経ってしまうと、どんな手術をしても治せなくなってしまうんです。そうしたことを、ぜひホームドクターの先生方に認識してほしいと思っています。そんななかでも、勉強熱心なドクターの紹介で当院へ来られる方、また自ら調べて専門医を求めて来られる方がいらっしゃいます。僕らにできることは、その動物たちの治療に全力を尽くすことです。そして、獣医師向けに学会で講演をしたり、獣医学機関紙を通じて情報を公開したり、また、専門家として世界で活躍している先生方と情報を交換したりしながら、日本獣医師界のレベルを上げていくことも大切な仕事だと考えています。病気に苦しむ動物に最善の治療を提供できるようにすることが、これからも僕の目標です。

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