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千原恒生 院長の独自取材記事

たんぽぽ動物病院

(横浜市瀬谷区/三ツ境駅)

最終更新日: 2023/01/22

子どもの頃から動物が大好きだったという千原恒生院長が、三ツ境の地で「たんぽぽ動物病院」を開業したのは2003年のこと。以来10年たつというのに、こぢんまりとした医院の中にいても動物病院特有の匂いがほとんど感じられないのは、日頃のこまめな掃除の成果のようだ。「10年もたつと、初めの頃に予防接種に来ていた仔犬たちが、そろそろ病気になったり、亡くなったりし始めます。最近それがちょっときつくて……」と苦笑する先生は、見るからに優しそう。「自分がもしこの子だったら」という視点で、末期がんのペインコントロールや往診に力を入れている。現在の関心は、最近相談が増えつつある犬や猫の問題行動。「何か少しでも気になることがあれば、世間話でもするつもりで気軽にご来院ください」と話してくれた。 (取材日2012年7月26日)

時間をかけて飼い主の話を聞く

獣医師になられた理由をお聞かせください。

子どもの頃から動物が大好きだったんです。特に象や牛や馬のような大きな動物が好きでした。吉祥寺や三鷹の辺りに住んでいたので、井の頭動物園が近場にあり、よく足を運んだものです。井の頭動物園には「はな子」という長寿の象が今でもいますよね。そういう大きくて力の強い動物たちを見ながら、「動物の病気を治す獣医さんってすごいなあ」という憧れを漠然と抱いていました。テレビ番組で、獣医師が牛の出産を介助するシーンを見た記憶もあります。牛の赤ちゃんを懸命に引っ張る姿がとても印象的でした。でもその頃はプロ野球選手になることが夢で、自分が獣医師になるとは思っていませんでした。

いつ頃から獣医師になることを考え始めましたか?

高校生になってからです。医療全般に興味があったのですが、中でも子どもの頃から好きだった動物の病気を治したいと思い、大学の獣医学部に進みました。親元にいたときは集合住宅に住んでいたので、ハムスターや小鳥、昆虫といった小さな生き物しか飼えませんでしたが、大学に入って一人暮らしを始めると、ウサギを飼い始めました。夕方、家に帰ったときに動物がいるというのはいいですね。動物をなでながら「今日こんなことがあったんだよ」なんて話しかけるだけで癒されます。もっとも動物のほうは、話の中身などわかっていないのでしょうけれど(笑)。

開業するまでの経緯と、診療の際に心がけていることをお聞かせください。

大学卒業後しばらくは、個人で開業している何ヵ所かの動物病院で勤務医をしていました。どの病院の獣医師も、いつも飼い主と世間話をしながら診察していました。その様子から学んだのは、世間話は決して無駄ではないということです。ちょっとした話の端々から、動物たちの病気の原因や、治療のヒントにつながる情報をつかめることは多いのです。だから私も、今の日々の診療で「時間をかけてお話を聞く」ということを心がけています。5年間の勤務医時代を経て「たんぽぽ動物病院」を開業したのは2003年。大学時代から住んでいた神奈川県内で物件を探していたときに、たまたまのご縁で出会ったのがこの地でした。

今後日本にも増えてきそうな、動物の問題行動

今、関心のあるテーマは何ですか?

3、4年前から、犬や猫の問題行動の治療に関心を持っています。最近、無駄吠えや噛みつきといった攻撃的行動に出る犬が徐々に増えているようです。これには人間と犬の距離が非常に近くなってきたことも大きく関係していると思います。かつては犬を飼うと言えば外飼いが基本で、犬は犬、人は人という、ある意味いい距離が保てていました。でも今は室内で飼う家庭が増えています。その結果、人間と犬が、お互いへの依存度を高めてしまい、飼い主がちょっと留守にしただけで不安になるような犬が増えたんです。そのことが、問題行動にもつながっています。飼い主が、動物の小さいときの甘噛みを修正できず、そのまま大きくなると攻撃的になったケースや、無駄吠えしてしまうケースなどが多いですね。これらに対しては、飼い主さんに動物に真摯に向き合ってもらい、噛んでいいモノ悪いモノで褒めたり無視したり、あるいは吠える前に室内に初対面の人を入れて動物と対面させるなど、地道な努力を繰り返してもらうしかありません。このように、飼い主さんの地道な努力を補助するパートナーとして、みなさんの力になれるようこれからこの分野の勉強を強化していくつもりです。動物行動学研究会主催の講座を受けて症例を勉強するなど、やることはたくさんですね。

このテーマに関心を持ったきっかけは?

たまたま参加したセミナーで、アメリカにおける飼い犬の死因に、安楽死がかなりの比率を占めているという話を聞き、衝撃を受けたんです。理由の多くが、犬の問題行動を飼い主がセーブしきれなくなったから。つまり無駄吠えや噛みつきに手を焼いて、安楽死を選ばざるを得なくなるらしいのです。日本はアメリカと比べて大型犬を飼うことは少ないですし、安楽死に対する抵抗もありますから、あまりピンと来ない話かもしれません。でも日本でも室内で大型犬を飼う家は増えていますから、今後そういう問題がクローズアップされてくることは十分あり得ると感じました。それからまもなく東日本大震災が起き、わずかな揺れで不安になってしまう動物の症例をたびたび耳にするようになりました。それでますますこのテーマの重要性を感じるようになり、今も関連のセミナーや勉強会には積極的に参加するようにしています。

こちらの病院でも問題行動の相談は増えていますか?

確実に増えています。皆さん必ずしも問題行動が理由で来院されるわけではないのですが、予防接種や病気の診療のついでにいろいろなお話をしていると、実はしつけがうまくいかずに悩んでいるとか、気になる行動があるといった話題が出てくるんです。そしてそのこと自体が、実は病気と深くつながっていたとわかるケースも少なくありません。例えば以前、犬が足先を痒がって、しょっちゅう自分で舐めているという相談がありました。飼い主は皮膚病だと思い、薬を塗るなどしていましたが、一向によくならなかったそうです。お話を聞くうちに、そのご家庭にはちょっとしたトラブルがあることがわかってきました。私はそのことが犬に不安感を与えているのではないかと思い、飼い主に聞いてみたところ、「なるほど、そうかもしれません」と。子どもって、よく情緒不安定になると指しゃぶりをしますよね。その犬も同じで、不安感から自分の足先をガジガジ噛むことが癖になっていた。そのために皮膚が真っ赤に腫れ上がっていたわけで、皮膚病でも何でもなかったんです。動物の症状にも、人間と同様、「心」が関係しています。飼い主の結婚や、赤ちゃんの誕生に対するやきもちが、問題行動の原因だったというケースもよくあるんですよ。

往診だからこそわかること、できること

先生はよく往診に出られるそうですね。

はい。医院での診療がもちろんメインですが、時間が許せばできるだけ出かけるようにしています。往診可能な範囲というのは特に定めていません。5?や10?くらいなら、自分の健康のためにも自転車で行っています。往診に出かける理由は、主に2つあります。1つは家での日常の様子を見るため。問題行動がある動物も、病院の診察台の上ではおとなしくしているものなんですね。だからできるだけ家に伺い、日常の様子を見せてもらっています。家に伺うと、やはり飼い主の訴えどおり、盛んに唸ったり吠えたりしている。それをこの目で確認できますし、生活環境や飼い主の接し方も見ることができます。すると飼い主が気づいていない問題行動の真の原因が見えてくるんです。ただ、私が一度も診たことがない初めての動物の場合は、往診に行っても結局その場では何もできないということがあるので、往診で対応可能だと私が知っている、既に受診歴のある動物に対して行っているのが現状です。ワクチン接種など、初診でも可能なものの場合は、往診でも対応しております。

もう1つの理由は何ですか?

ペインコントロール、いわゆる緩和治療のためです。末期のがんで、もう助かる見込みはないんだけれども、痛みだけは抑えてあげたいという動物に、鎮痛の処置をしに出かけます。緩和治療はかえってがんを悪化させるので、行わないほうがいいと考える獣医師もいますが、私はできるだけ苦しみを和らげてあげたいという考えです。自分自身、痛みが大の苦手なので、「自分がもしこの子だったら」と想像すると、悪化に向かうとわかっていても、痛かったり動けなかったりするのはいやなんです。それに、動物にとっても飼い主にとっても、最期まで家にいるほうが絶対に幸せなんですよね。だから末期が近づくほど入院よりも往診をメインにしています。

読者へのメッセージをお願いします。

動物を飼い始める前に、くれぐれもその動物の特性をよく理解しておくようお願いします。最近、よく理解しないまま飼い始めたために、小さい頃のしつけが十分にできていない動物がとても増えています。それが大きくなってからの問題行動に結びつくことも多いんです。また、ワニやヘビなどを飼いたい方は、診療してくれる動物病院が近所にあるかどうかを確認しておいたほうがいいでしょう。爬虫類などを診る病院はとても少ないので、飼い始めてから慌てる方がよくいます。勤務医時代にいたある病院ではヘビなども診ていたのですが、ある飼い主さんが、ヘビが脱皮するたびに「また脱皮しました!大丈夫ですか?」と電話をかけてこられました。その動物を飼えばどんなことが起きるかを動物のために勉強しておくと、飼い主さんも不安を感じることが減ると思います。

今後の展望をお聞かせください。

犬や猫の問題行動に関する勉強を、ますます深めていきたいと思っています。できるだけ多くの症例を集め、どんなケースにも対処できるようにしていきたいです。問題行動の治療というのは、薬はあまり使いませんし、切ったり張ったりの外科的手術も伴いません。飼い主に「こういうふうに接してみてください」、「家の中の環境をこんなふうに変えてみてください」などと言葉でアドバイスし、時間の流れの中でじっくり経過を見ていくという、とても地道な治療です。目に見えて成果がわかるものではないし、長期戦になる覚悟も必要です。だからこそ飼い主とよくコミュニケーションをとりながら、その子が幸せに暮らしていける方向を、一緒に探っていけたらと思っています。

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