―先生が獣医師をめざしたきっかけは何でしたか?
子どもの頃から生き物が好きで、動物たちと一緒にいられる獣医師に興味を持ちました。しかも詳しく調べると牧場で働く獣医師もいると知って、「豊かな自然、大草原、牧場」とイメージはふくらみました。『北の国から』という北海道が舞台のドラマ、アメリカ開拓時代を描いた『大草原の小さな家』などを見て育った世代なので、そういう開拓イメージにも憧れて北海道の酪農学園大学を選んだんです。入学してハマったのは山登りで、卒業後にはネパール側からヒマラヤ山頂に登るチームに参加したほど。しかし1年近く海外にいて帰国すると、もう牧場で働くような就職口は残っていません。それでも企業の研究職や公務員などで臨床から離れるのは嫌でしたから、やはり動物病院に就職しようと決めたんです。働いたのは大学の先生に相談して紹介された神奈川県の動物病院。じっくり就職先を選んでも、そこが本当に自分に合うのかは実際に経験しないとわかりません。紹介してもらえたのはチャンスと捉え、まず1歩先に進むことが大事だと思いました。獣医師は現場で学ぶこともたくさんあるので、「何でもやります、教えてください」と休みなく働き、週4回くらい夜間の当直をこなした時期もありました。当直の場合は自分だけで診療する機会も多く、責任感と決断力を磨く経験になりましたね。
―こちらで開業された理由を教えてください。
私は横浜市港南区の出身なので、開業するならそことよく似た庶民的な雰囲気の町がいいと思っていました。自分のざっくばらんな性格にも合うし、私がやりたいのは動物たちのホームドクターで、飼い主さんと気さくに交流できるのも大事でしたから。しかし場所探しは苦労しました。当時は動物病院として借りたいというと、汚れるとかうるさいといったイメージが強いのか、貸してくれるところが少なかったですからね。ようやく探し当てたのが踊場にあるビルの1階でした。しばらくして隣が空くと聞いて、移転したのが今の場所です。その方が気兼ねなく診療できると思ったんですよ。以前より少し狭くなりましたが、もともと手を広げるより、地域の皆さんの希望をできるだけくみ取った診療が目標。以前、日曜日は休診でしたが、最近は日祝午前中も開けています。また急患なら休診日でも電話をいただければ、対応も可能です。
―開業されてお休みの過ごし方は変わりましたか?
子どもも大きくなって、休日につき合ってくれないので、今は1人の趣味としてオートバイやジャズ演奏を楽しんでいます。サックスを始めたのは40歳過ぎ。初挑戦なので教室に週1回ペースで通い、たまにカラオケボックスに自分のiPodを持ち込んで、曲を流して練習をするんですよ。バイクに乗り始めたのは大学時代の北海道で、その頃はアウトドア派でした。最近は高速道路も2人乗りができるのでオンロードタイプのバイクで、妻を乗せてツーリングに行くこともありますね。山登りは今でも好きなのですが、本格的にやると長期の休みが必要で、急患への対応などで難しいですからね。
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