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金沢伸一郎 院長の独自取材記事

カナザワ動物病院

(品川区/旗の台駅)

最終更新日: 2023/01/22

「今の薬を変えたいんだけど……という悩みを聞いて、新しい薬を探して仕入れたこともあります。治療するときは、動物たちの命と同じように、飼い主さんの考え方も大事ですから、気軽に相談してほしいんです」と、大柄な体に笑顔たっぷりの金沢院長の話からは、30年近く地域に寄り添い、診療を続けてきた優しさが伝わってくる。町とともに住む人も動物たちも成熟し、その世代に合った診療が必要な時代になったと言う金沢院長。「心臓病や腎臓病などの慢性疾患を、早く見つけて早く治療する。それで飼い主さんと一緒過ごせる時間を少しでも延ばしてあげたい」と、動物たちの生涯を支える考えを聞かせてくれた。獣医師も同様に、成熟することで得るものがあるのだろう。「循環器の病気になって、その痛みが実感でき、飼い主さんに説明しやすくなりました。それも人生を重ねて良かった点かもしれません」と、自分の経験と診療のことを語ってくれた金沢院長。その偶然から始まったという獣医師の仕事について聞いた。 (取材日2012年11月16日)

幸せな偶然で得た、一生の仕事とパートナー

獣医師になったのは、偶然の巡り合わせだとか?

大学受験前に体を壊し、1年休学したことから、獣医師になったんです。といっても子どものころから動物は大好きで、中学校、高校と生物部に入って、ネズミやハムスターの世話に明け暮れていました。そのクラブの先輩や同級生は獣医師になる人も多かったのですが、当時の私は医師をめざしていました。しかし1年休学した後で、親しくしていた高校の先生に、「医師はもっと体力が必要だろう。お前は動物も好きなんだし、獣医師に向いているんじゃないか」と勧められて、方向転換したんです。北里大学を選んだのは、獣医畜産学部のある青森県・十和田キャンパスへのあこがれから。私は東京で生まれ育ったので、一度は自然が豊かな場所で暮らしたかったんですよ。大学時代は八甲田山や十和田湖などの自然を満喫しました。卒業して数十年たった今も、とても思い出深い場所です。妻と出会ったのもその大学で、本人はキャンパスの隣町出身。獣医師になる大学に行かなければ会えなかったでしょうから、人生の偶然にとても感謝していますね。

卒業後の仕事はどのようにお考えでしたか?

マイペースな性格なので、人に雇われる生活は長く続かないだろうと感じて、いずれは動物病院を開業するつもりでした。そこで大学在学中から、夏休みなどは都内に戻って、知り合いの動物病院で仕事を見学していたんです。ちょうど獣医師の診療現場に大変革が起きていた時代でしたね。レントゲンが手軽に活用されるようになり、さまざまな学会も発足し、より科学的に診療する動きが活発でした。「これから知識や技術がすごく進歩するだろうし、今以上に面白くなりそうだ」とワクワクしていました。それだけに大学の勉強では足りなくて、現場でも必死に勉強しないと駄目だと思い、最初はアメリカ留学から帰ってきた先生の動物病院に勤めたんです。しばらくして別の病院に移り、最終的に開業したのは卒業後3年少したったころ。開業場所は私の実家にも近い旗の台に決め、その年の11月には結婚もして、「ずっとここで診療を続けよう」という体制が整いました。

開業時と今で、診療内容に違いはありますか?

開業当初は生まれるときから亡くなるまで、とにかく全部面倒を見たいと思って張り切っていましたね。帝王切開手術を年100件以上やった時期もありました。現在は町も成熟したので、高齢の動物たちに多い病気、心臓病や腎臓病などを中心に診療したいと考えています。飼い主さんと同様、犬や猫たちも高齢社会を迎え、そうした分野は重要になっています。お産の手術を行うのは体力的には難しいのですが、これまでの経験をもとに相談に乗り、助言はしています。安産の象徴でもある犬たちも、小型犬は骨盤も小さく、難産のケースは多くなっています。そうした事情を知って、経験を積んだ獣医師でないと、十分な対策が取れないこともあるんですよ。

治療の悩み事なまで、何でも相談できる病院

現在の診療方針について教えてください。

今も昔も変わらないのですが、飼い主さんに病気や治療内容をしっかり把握していただくよう、丁寧に説明して診療することです。ただ現代特有の問題として、飼い主さんがインターネットで調べた情報と、私たちから提供する情報が食い違う場合、どう折り合いを付けるか?という部分が出てきました。これまでの治療実績などにもとづいて、正確にお伝えしようと心掛けていますが、理解していただくのは難しいですね。少し時間がかかっても専門用語を使わず、わかりやすくお伝えしようと思います。飼い主の皆さんが、病気や薬のことをわからないと、途中で治ったと判断して、薬をおやめになる場合があるんです。見た目には良くなったようでも、治療途中ということがほとんど。そこで薬をやめる、また最初からやり直しです。私の努力不足、説明不足なのですが、動物たちのためにも、しっかりとご説明しておきたいですね。

治療のことを、自分なりに考える人が増えたのでしょうか?

ええ、そのこと自体はとてもいいことだと思いますし、飼い主さんが動物たちの治療をどこまで望むのか、その範囲も時代によって変わっていると感じます。以前は「病院で治療をして、手を尽くして亡くなる」のが当たり前でしたが、最近は「治療しても治る見込みがないなら、私が自宅で面倒を見て、最期をみとりたい」という希望も増えています。そういうときは、この状態でどの程度長生きできそうか、私なりの判断もお伝えした上で相談して、痛みをとる在宅向けの治療に切り替えることもあります。この部分もしっかりとしたコミュニケーションが大切です。今は「この治療で治る」と獣医師が勧めるだけで、皆さんが100%納得する時代ではないんです。動物たちが穏やかに最期を迎えるため、苦痛をとってあげるという治療も必要になっているのだと思います。

飼い主の皆さんから、何かご相談されることは?

よく相談を受けるのがしつけのことです。犬や猫は家族の一員といいますが、それでもお互いの立場をはっきりとさせることは大事なんです。特に高齢の方には多いのですが、一方的にかわいがり過ぎると、犬たちは人間と自分を同等だと勘違いします。飼い主がかまれる、飼い主の言うことをきかないといった問題も起きてしまうので、ちゃんとしつけが必要だと、当院にお見えになった方にはお話ししています。これは動物たちが社会の一員になってきた現代だからこそ必要とされるマナー、教育です。最近は「動物行動学」の視点からも、そうした行動の理由が検討されていますから、獣医師として病気を治すだけでなく、動物たちを社会的に育てるためのアドバイスや情報提供もしっかり行いたいですね。

高齢の動物たちが、長く飼い主と一緒にいられる地域に

獣医師になってよかったこと、たいへんなことは何でしたか?

私にとって、犬は小さいころから身近な仲間でした。しかし犬にとって獣医師は「痛いこと、嫌なことをする人」ですから、病院では攻撃的になったり、露骨に避けられたり。薬品の臭いがするせいか、町で動物たちに会っても近寄って来ませんから、獣医師になってからはかなり寂しい思いをしています(笑)。それでも「なってよかった」と思えるのは、病気やけがをした動物たちを治して、飼い主さんも一緒に喜んでもらえるから。人間と同じで犬や猫も高齢になると、いろいろな病気が増えてきます。がんもそうですが、心臓病や腎臓病などにかかる子も多いんです。あまりほめられた話ではありませんが、私自身も循環器の病気をしましたから、そうした病気の痛み、不安感などは、自分の経験をもとにお話しできますし、検査を受ける方の気持ちもわかります。心電図の場合は病院に来てすぐの興奮状態で検査をすると、正常な数値は測れません。しばらく検査器の前で落ち着かせて、データを取らないといけないんです。

そうした病気を家庭で見つける手掛かりはあるでしょうか?

これが病気の決め手という症状はなく、さまざまな症状や行動をお聞きして、総合的に診断することがほとんど。ですから本当はかかりつけの動物病院で、定期的に健診をしてもらう方がいいですね。地域によって違うとは思いますが、この辺りは町も成熟して、飼い主さん自身も高齢の方が多くなっています。「この子が最期に飼う子かもしれない」と、とても深い愛情で接しているように感じられます。それだけ動物たちも高齢になっているので、7歳、8歳過ぎたら健診を受けてほしいと思います。病気を早めに見つけて、早めに治療することで、少しでも一緒にいられる時間を延ばせるからです。

今後はどんな病院をめざしていますか?

当院は30年近く診療を続けてきた、町の身近な動物病院です。これからも気軽に何でも相談できるホームドクターとして、多くの方に利用してほしいと思います。「今もらっている薬だけど、ちょっと高いから続けるのは難しいんですよね」とご相談をいただければ、当院にない薬も調べて仕入れることも検討します。治療は動物たちの命と、飼い主さんの暮らし、考え方に関わることなので、是非気軽に相談してほしいですね。実は私には言いにくいことも、仕事のサポート役である妻には話しやすいらしくて、飼い主さんがこっそりと打ち明けているんですよ。また妻からは「あの説明は、こう話した方がわかりやすかったんじゃない」と、診療内容のアドバイスももらっています。仕事のパートナーとしても本当に手助けしてもらえる有り難い存在です。これからも二人三脚で、マイペースで診療を続けたいと思います。

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