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野村潤一郎 院長の独自取材記事

野村獣医科Vセンター

(中野区/新井薬師前駅)

最終更新日: 2023/01/22

西武新宿線・新井薬師前駅から徒歩3分。中野通り沿いに建つ「野村獣医科Vセンター」は、国内屈指の設備と技術を誇る動物病院だ。ビル一棟すべてが病院で、2階の外来フロアは部屋の間仕切りがなく、受付や待合スペースの目の前が診療台という斬新な設計。隣接する手術室の壁や扉はすべてガラス張りで、希望すればガラス越しに手術の様子を見学することができる。院長の野村潤一郎先生は、多くの著書があり、メディアにもたびたび登場するカリスマ獣医師。華やかなイメージが先行しがちだが、その素顔はとても誠実で、どこまでもストイックだ。好きなお酒も、診療する動物に対して失礼だからとの理由で、開業以来25年間、一度も口にしていないという。「飼い主さんたちには、悔いのない動物ライフを送ってほしい」と話す野村先生に、診療哲学や動物医療に対する熱い思いをあますところなく語っていただいた。 (取材日2012年11月19日)

手術は常に真剣勝負。自分を徹底的に追い込んで

斬新な病院の設計に圧倒されました。手術を見ることもできるんですね。

病院の外観からインテリア、トレードマーク、スタッフのユニフォームにいたるまで、すべて僕自身がデザインしました。ワンフロアですべて見通せるつくりになっているのは、緊急事態が起きた時にスタッフが速やかに駆けつけることができるように、との考えもあってのことです。間にいくつも扉があって、いちいちそれを開けてスタッフを呼んでいるようでは、時間のロスがあまりに大きいですからね。それと同時に、自分をとことん追い込むための仕掛けでもあるんです。たとえどんな固い意志を持った人間でも少しは怠け心があるものです。ここではスタッフはもちろん、患者さんも診療や手術の様子を見ていますから、決して気を抜くことができません。僕は、ここを開業してからの25年間いっさいお酒を飲んでいませんし、食事も一日一食だけ。その日の診療を終えてから食べるようにしています。それぐらいの覚悟で臨まないと動物たちに失礼だと考えています。

こちらは高度医療に特化した動物病院なのでしょうか?

飼い主さんたちから、いろいろな相談を受けていますが、ほとんどは外科です。開業以来、数えきれないほどの手術を手掛けてきました。多い時は1日12件もの手術を行うことがあります。1回の手術で4リットルくらい汗をかいて、4キロ体重が落ちることもあり、手術を受ける動物だけでなく、僕にとってもまさに命がけの真剣勝負です。手術の9割がたは、がんの摘出で、直近1年を振り返ってみると、たいていが15歳以上の動物です。残念なことに、高齢になって、重い病気を患って、初めてうちに連れてくる飼い主さんも多いんですよ。本当は、普段から連れて来ていただきたいと思っているのに。当院は、MRIなどの最先端の医療機器が完備されていることから、高度医療に特化した病院だと誤解されがちですが、決してそんなことはありません。むしろ、かかりつけの動物病院として、爪切り、耳掃除から、しつけ、難しいがんの手術といった高度医療まで、全部診させていただきたいと思っています。日頃から親しくお付き合いさせていただくことが、飼い主さんとの信頼関係の構築にもつながります。僕たちも獣医師である前に人間ですから、どんなに厳しい状況であっても、親しい人や好きな人のためなら、なんとかしてあげたいと思う。だからこそ、ここぞという時に、普段の仕事以上の力も発揮することもできるんです。

飼い主と獣医師は病気という共通の敵と闘う同志

日常診療で心がけていらっしゃることはありますか?

病気と闘うにあたっての重要な情報を得るために、飼い主さんとのコミュニケーションをよくとって、その場の雰囲気を和らげ、飼い主さんの固く閉ざされた心を開かせることですね。動物は言葉を話せませんから、これまでの経過は飼い主さんに聞くしかありません。ところが、なかには獣医師に叱られるのが嫌だからと、正直に話してくださらない人がいます。飼い主さんが「昨日から様子がおかしかった」と言っても、こちらは専門家ですから、本当は何日も前からなのがわかるんですね。でも、そんな時も相手のことを決して否定しないように心がけています。だって頭ごなしに叱ったりしたら、もっと頑なに心を閉ざしてしまうでしょう。獣医師と飼い主は、病気という共通の敵に対して闘いを挑んでいく同志であるべきなんですよ。そのためには心のベールを取り払ってもらうことが何より重要なんです。飼い主さんに和んでいただくのには、ほかにも理由があります。というのは、飼い主さんが笑うと、動物も安心して緊張が解けるんですよ。すると、飼い主さんが気づいていなかった症状が現れて、それが病気の診断や治療法を考える際の重要な糸口になることがあるのです。

飼い主のこと以上に物言わない動物たちの目線での医療に徹していらっしゃるのですね。

「先生は動物と飼い主のどちらの味方ですか?」と聞かれたら、当然、動物の味方です。飼い主にやさしくするのは、そうしないと動物がかわいそうな目にあってしまうから。動物は飼い主の庇護のもとで生きるしかないですから、なにかあれば飼い主さんを説得するしかありません。時には厳しいことも言いますよ。それで飼い主さんに怖い先生だと思われることもあります。でも、それを恐れて言うべきことを言わないのは、本当のやさしさではないと僕は思っています。動物は人間のおもちゃではありません。最近は一度も面識もないのに、いきなり電話で「交通事故の手術はいくらでやってもらえますか」などと問い合わせをしてくる、ひどい飼い主さんもいて、嘆かわしい限りです。ほかにも、よく犬にあれはダメ、これはダメと自分の都合でしつける飼い主さんがいますが、そういう人には、「短い寿命の犬に長い命のあなたが何を求めるの?“癒し”というけれど、人間みたいな強い生き物がこんな小さな生き物に癒されてどうするの。あなたは80歳くらいまで生きるのだから15年しか生きられないこの生き物を逆に癒してやりなさい」と言うんです。すると納得されるのか、皆さん、急にいい飼い主さんになりますよ(笑)。

充実したペットライフのためにも信頼できる獣医師を見つけて

これまで診療されてきたなかで印象深い患者さんはいらっしゃいますか?

多すぎで一つに絞るのは難しいですね。ただ、ここ5年は、開業当初から診てきた子たちが寿命を迎えるケースが増えてきました。最近も開業間もない頃からずっと通っていた子を看取りました。子犬の時に「なんか様子がおかしい」と連れてきた時は、歯にガムが挟まっていて、「ガムが挟まってただけじゃない」と飼い主ご家族と大笑いしたのを、昨日のことのように覚えています。それから17年が経ち、小さかった子どもたちは独り立ちし、犬は年を取り、先日、亡くなってしまいました。その時、「次の犬はどうするんですか」と飼い主さんに聞くと、「もちろん飼います。この17年間とても楽しかったから。先生の言うことを聞いて本当によかった」と言ってくれました。その後、実際に新しい犬を飼われたのですが、子どもたちが巣立ったものだから、今度は旦那さん、奥さんそれぞれ1匹ずつ(笑)。かわいいのを2匹連れて、「また先生のところでお願いします」と来院されました。そんなふうに動物たちと充実した時間を過ごせれば、自然とまた飼いたくなるものなんです。すると、かわいい子犬が散歩しているのを見て、私も犬を飼いたいと思う人が出てくるかもしれない。そうやって動物好きの人間がどんどん増えていけば、もっとギスギスしない世の中になるんじゃないかと僕は思うんですけれどもね。

先生の今後の夢を教えていただけますか?

何もないですね。ただ飼い主さんたちがこうしてほしいと言ったら、その通りにするまでです。これまでも、「駐車場ないの?」と言われたから駐車場を作り、「手術を見られないの?」と言われたから手術室をガラス張りにし、「入院中に地震があっても大丈夫?」と言われたから耐震構造の建物にしました。今後も、そうした飼い主さんたちのニーズに真摯に向き合い、そして柔軟に対応していくスタンスを変えるつもりはありません。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

先ほど例にあげた飼い主さんのように、「17年間、犬と過ごして楽しかった」と思えるような悔いのないペットライフを送ってほしいと思います。そのためには、まず、きちんとした人間関係が築ける獣医師を見つけることです。僕は「ジプシー患者」と呼んでいますが、予防接種はあそこが安い、手術はあそこが得意というように、あちこちの動物病院を渡り歩くなんて論外です。信頼できる獣医師のもとで納得できる治療を動物に受けさせることができれば、たとえ不幸な結果を迎えたとしても、悔いは残らないはずですから。

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