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梶原 正 院長の独自取材記事

浜田山かじわら動物病院

(杉並区/浜田山駅)

最終更新日: 2023/01/22

浜田山駅から徒歩3分。線路沿いの閑静な住宅街の一角に「浜田山かじわら動物病院」はある。白を基調とするお洒落な外観だ。1990年の開業以来、地域のホームドクターとしてペットの健康を支えてきた梶原正院長は、自宅でもチワワを5匹、猫を1匹飼うという大の動物好き。大学のクラブ活動で学んだ経験を生かし、チワワは自宅で交配、繁殖も行っている。「お金さえ出せば誰でも気軽にペットを購入できてしまう時代だが、命が生まれてくる過程を知り、その大切さも知ってほしい」と話す。梶原院長の動物を愛する気持ちは、言葉の一つ一つから強く感じ取れる。どうすれば大切なペットが幸せに命を全うできるか、少しでも考える機会になればとさまざまなお話しを聞かせてくださった。 (取材日2014年11月28日)

交配や繁殖活動を通じて、命を守る大切さを訴えていきたい

先生が獣医師になられたきっかけから教えてください。

幼い頃からとにかく動物が好きだったというのが一番の理由です。小学生の頃は家で金魚や小鳥を飼い、高校生の時に初めて犬を飼いました。私の両親は特に動物が好きというわけではありませんでしたので、高校生になり自分で身の回りの世話がすべてできるようになるまでは許可が下りなかったんです。犬を飼っている家がうらやましくて、知人に頼みこんで、その人が飼っていた犬の散歩をさせてもらったこともあります。ですから獣医師になるというのは難しく考えていませんでしたね。自宅でもチワワと猫を飼っています。

日本獣医畜産大学(現・日本獣医生命科学大学)ではどのようなことを勉強されましたか。

ケネルクラブという犬を飼育する大学独自のクラブに入部していました。ただ飼育するだけではなく、交配や繁殖も行いそのすべてに関わる活動をしているクラブです。今、私が飼っているチワワも自宅で繁殖させた子たちです。実は獣医師をしていても、生まれた時から最期まで診るという機会はなかなかありません。大学で学んだことを生かしながら、自宅で交配、繁殖、そして寿命がくるときまで面倒をみる。今はどうしてもペットショップなどでお金を出せば簡単にペットを購入することができてしまうので、「生き物」というよりは「所有物」という感覚になってしまいがちです。ヨーロッパの方ではブリーダーが動物を繁殖させ、これから飼おうという人たちがそこで予約をし、生まれてくるのを待って初めて自分の元にやってきます。どんなきっかけで動物を飼うのも悪いわけではありませんが、簡単に購入できてしまうというよりは、そのような形で繁殖を通して自分の元にやってくるほうがより命の大切さがわかりますよね。

病気を治すということだけではなく、動物の命を守ることの大変さも伝えたいとお考えなのですね。

私個人がそれを広く伝えていくことは難しいですが、このように訴えている人間がいるということを一人でも多くの方にわかっていただければいいなと思います。最近、栃木県でチワワなどの人気種の死体が遺棄される事件がありました。このような悲しい事件の背景として、一時的に人気が出た犬種をむやみに大量繁殖させ、ペットショップで売れ残ったり、それほど人気がなくなってしまった動物たちを処分したということが考えられます。ペットショップに行けばかわいい動物たちがたくさんいますが、その裏側にはこういった悲しい事実もあるのです。ですから、これからペットを飼おうと考えている方は、おもちゃや商品を購入することと同じ感覚で動物を飼わないでほしい。動物たちを、新しい家族として責任持って迎え入れていただきたいと思います。

かわいさゆえにペットを擬人化してしまう飼い主が増加

診療で心がけていることを教えてください。

できるだけ病気にならないように、予防医療が基本だと考えています。病気になってから積極的に治療するよりは事前に予防できることは予防する。予防接種はもちろんですが、犬や猫の場合は避妊去勢手術を行うことが病気予防に効果的であると言われています。赤ちゃんができないようにすることが避妊去勢だとお考えの方が多いと思いますが、それだけではありません。年齢が高くなればなるほどホルモンが病気を誘発してしまいます。ですから犬の乳がんは早い時期に避妊手術をすれば高確率で防げると言われています。オスも去勢手術をすることで前立腺や会陰ヘルニアなどオス特有の病気を予防できます。予防接種を早い段階で行うというのはだいぶ浸透してきましたが、同時に避妊去勢も行ってほしいと思います。ただしこれは飼い主さんの判断ですから、私はこういったことがありますよ、という知識をお知らせするだけで強制はしません。本当は動物に聞くのが一番なのですがそれは無理ですので、あとは飼い主さんにお任せしています。

ペットの予防医療についてもう少し詳しくお聞かせください。

予防接種や避妊去勢以外のことは、餌や運動など日常生活の基本的なことになってしまいますので、そこまではなかなか口出しできないというのが現状です。最近はペットも家族のように同じ部屋の中で暮らすことが増え、かわいがりすぎて擬人化してしまう方も多いです。食事や環境もすべて人間の子どもと同じように考えてしまう。ペットのおやつもいろいろありますが、本当は動物には必要ないものもあります。けれど、人間がおやつをあげたいんですよね。人間の感覚でいえばビスケット1枚はほんの少しですが、小型犬で体重が1〜2kgしかない犬にしてみれば相当な量です。最近太りすぎてしまっているペットが増えていますが、そこは人間と同じで贅沢しすぎれば糖尿病にだってなるし、食べすぎて運動しなければ太ってしまいます。ペットもおやつをあげれば喜びますが、動物にとって本当に必要な栄養なのかどうかをしっかり考えてほしいと思います。栄養さえしっかりとれていれば、「喜ぶから」といっておやつを毎日あげる必要はありません。他にも同じ布団で一緒に寝たり、かわいい洋服を着せてあげたりすることも、人間ほど暖かくしなくてもいい動物もいますので必要ないという場合もあります。動物を「かわいがる」のとかわいがりすぎて擬人化してしまうのは違います。予防医療という意味ではそのあたりも飼い主さんたちに理解していただきたいですね。

ペットにとって何が本当に必要で幸せかを考えてほしい

こちらのクリニックの特徴を教えてください。

血液検査やレントゲン、入院設備など基本的なことができる設備はそろえています。今は飼い主さんがご自分で勉強され、先端の医療を受けられる施設も増えました。ですから希望される方には高度医療機関を紹介しています。私自身、新しいことは知識として取り入れていますが、設備的にできないことも多いので、動物にとっての選択肢はたくさん用意し、私のところでできることは最善を尽くしたいです。薬や器具、設備もどんどん進化していますが、それらをすべてこのクリニックでというのは難しく、人間もそうですが病院も細分化しています。我々は地域のホームドクターとして飼い主さんと一緒に、動物の予防から治療までをサポートしていきたいと考えています。

これまで診療してきて印象に残っているエピソードはありますか。

来春で開業25年になります。25年もたつと、生まれたての小さい頃から15年以上たち、最期を看取った犬や猫も少なくありません。飼い主さんが納得できる形で大往生で亡くなったペットもいます。亡くなったこと自体はとてもさみしいのですが、犬が15年以上生きられたときは天寿を全うできてよかったなと思います。もちろん治療や手術で病気が良くなって喜んでいただけるのもとてもうれしいですよ。長く獣医師をしていると一生に関わっていけるのでとても幸せだと思います。

最後に読者へのメッセージをお願います。

飼い主さんはどんな子より自分の子が一番かわいいものです。どんなペットでも自分で飼いはじめれば愛情もわきます。そのかわいい子と長く一緒にいるために何が必要なのかを常に勉強して、考えていただきたいと思います。ペットのすべては飼い主さんが握っています。ペットは自由に生殖活動ができないので、それは自然に反していてかわいそうだから人間がコントロールすべきではないという意見もあります。野生の動物はもちろんそうで、そこに人間が介入すべきではありません。しかしペットとして飼う以上は、私たち飼い主がすべて責任を持って、発情期などの性的な衝動もコントロールしてあげないと逆にかわいそうだと思います。性的な衝動に駆られながらも、ジレンマを感じながら生活しなければならない動物たちと、そもそもそういった衝動に駆られることがないのでジレンマを感じることもない動物たち。どちらがストレスなく生きられるでしょう。避妊去勢も食事も運動も、すべて飼い主さんが考えるのがペットを飼うということです。その動物の行動や生理現象を制限する以上、そのペットの一生を握っているという意識をしっかり持っていただきたいと思います。そして、飼い主さんが最善の方法を考え、納得した結論を出ていただけるよう、予防や医療の選択肢を多く持ってお手伝いするのが私たちの仕事です。絶対高度なことをしなくてはならないというわけでもありません。年齢が高く弱っているペットが手術をしたからといって必ず幸せになるかといえばそうでもありません。それぞれに合わせて、何が最善かを話すことができないペットの代わりに飼い主さんとじっくり相談し一緒に考え、みんなが後悔のない結果が出せるようこれからも最大限努力していきたいと思います。

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