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齊藤 昭男 院長の独自取材記事

齊藤動物病院

(北区/西巣鴨駅)

最終更新日: 2023/01/22

西巣鴨駅にある住宅街の一角に日本の小動物医療の発展に貢献してきた獣医師がいる。「齊藤動物病院」の齊藤昭男院長だ。まだ日本で小動物医療があまり行われていなかった頃から海外で使われている治療法や薬を取り入れるために勉強を重ねてきた齊藤院長。その臨床経験を多くの人に継承すべく、小動物医療に関する書籍も世に送りだしてきた。穏やかで優しそうな齊藤院長は、獣医師歴50年以上のベテランでありながら今もなお休日返上で新しい治療法の勉強にも取り組むという知識に対して貪欲な側面も合わせ持つ。「獣医師であることが誇り」だと齊藤院長は語る。その背景にはペットを飼う者以外にも関わりのある大きな思いがあった。齊藤院長に今まで関わってきた獣医療について詳しく話を聞いた。 (取材日2016年1月14日)

小動物医療が一般的でない時代に治療法や薬を輸入

先生の今までのご経歴について教えてください。

大学を出てから約2年間、愛知県農共連渥美家畜診療所で主に大動物を診ていました。私は体が虚弱で大動物を診るのはとても大変でしたので、かねてより興味のあった小動物を診るべく、日本動物愛護協会附属動物病院に勤務し、犬と猫を中心に診療するようになりました。当時は現代のような高度な小動物に対する獣医療も進んでいないし、犬猫疾病診断の文献もあまり日本にはありませんでした。しかし、所属病院の設立・経営者がイギリス人であったため、治療法や輸入薬が多く手に入ったのです。特に小動物専用麻酔薬が入手されてから、安全に犬猫の避妊手術が行われるようになり、骨折などの外科手術も出来るようになりました。その頃から、私は日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)の研究員として小動物専門の桑原内科に籍を置いて勉強するようになりました。その後、開業以来、臨床一筋です。

ご著書はどのような内容ですか?

誰が見てもわかるように書いた犬猫の学術の本とエッセイがあります。本に掲載した写真は全部私が臨床の現場で撮影したものです。中には今も獣医学の教科書に載せるのに写真を利用したいと申し出がある貴重な写真もあります。なぜこうしたことができたかというと、昔、野良猫が多くなりすぎると困るという理由で、開業してから、不幸なのら猫を増やさないために、私が実施した避妊手術の摘出臓器や、その時から逐一記録を取いた数百例の症例を、整理した実物写真だからです。本の完成までは15年程かかりましたが、写真を見れば、妊娠すると、どれぐらい子宮の中での胎児が発育するのかが一目瞭然です。今は飼い方の本もたくさん出ていますが、臨床獣医師が犬猫の症例写真を載せ、病気が見てわかる本は少ないです。この本で動物の見逃してはならないサインを実際の写真で見られる意義は大きいと考えています。

犬や猫の診察がここまで身近になったのは先生のおかげなのですね。

最近では、中学生の通信教育教材にも私の研究内容が使われています。といっても、獣医学そのものではなく、猫が人間に換算すると何歳になるか、といったことを計算式で出す「齊藤式年齢換算法」です。この内容はここ3~4年連続で使われています。教材を見た孫からも「おじいちゃんの名前が出ているよ~」と言われたのが、最近の私の一番の自慢です(笑)。皆さんペットが病気になると「人間の年齢だと何歳になるのか」とお聞きになります。しかし、当時、動物と人間の年齢は大雑把な換算表しかありませんでした。そこで、飼い主のみなさんに役立つようにと人間と動物の平均寿命を統計的に処理してこの数式を作ったのです。

獣医学がペットを飼う者以外にも関係がある理由

印象に残っている患者さんのエピソードを教えてください。

子宮に膿がたまる子宮蓄膿症に出会い、当院でその手術をしました。その犬は4歳になるチワワでした。この年齢で子宮蓄膿症になるのは比較的まれでしたが、様々な診断を通して、経験から子宮蓄膿症に間違いないと考えましたが、経験と勘だけで判断するのは危険です。そこで私も一緒に、高度医療施病院にて血液生化学検査とCT撮影を依頼しました。すると、やはり子宮に膿がたまり、緊急手術の必要性があるとわかりました。「私はもう歳だから、手術はしたくない」という旨を飼い主さんに話しましたが、手術は是非私にとの強い要望だったので、即日手術を実施しました。幸い手術は無事成功に終わりましたので、飼い主さんには、大変喜んでもらえました。その犬が入院中だった約2ヵ月間は、毎晩1日も休まずお見舞いに来て、私と看護師の2人分の夕食を作ってくれたのですよ。本当にありがたいことで獣医冥利に尽きる思いです。

診察で気をつけているのはどんなことですか?

人畜共通の感染症に対しても注意を払っています。私たちが動物の診療をするということは、動物の病気を治すと同時にそれらが人間にうつらないようにすることでもあります。例えば、猫の皮膚病である真菌症はカビの一種で人にもうつりますし、狂犬病は人畜共通の一番怖い伝染病として知られています。最近では「猫エイズは人にうつるのか」といったことも飼い主さんには教えなければなりません。獣医学というのは人間にも役に立つ、大事な学問です。犬や猫をかわいがって病気を治せばいいというのではなくて、人間のためにも研究しなければならないのです。私はそれを誇りに思いながら生涯現役で獣医師をやっています。

先生は豊島区池袋保険所運営協議委員の経験もあるそうですね。

20~30年前に人間の医師、薬剤師など医療関係の人が集まって運営協議会というものを保健所で行っていました。私は獣医師として人畜共通の感染症問題、それから環境・食品衛生の問題などに関わりました。ヒ素などの薬物、食品中毒問題も扱いました。ペットの誤嚥、乳幼児の誤飲などの予防問題も提案しました。そのとき、保健所がどう対応するか、もう少し検討したほうが良いのではないかと動物を扱っている者の立場から提言したことがあります。先ほどの話に出たように、人畜共通の感染症の問題や肉の保存方法の検討も獣医師の大事な仕事です。

海外の文献を読むのにはネットや自動翻訳も利用

先生の休日の過ごし方を教えてください。

私には休みはありません。日曜も祭日も、体が動く間は動物診療一筋です。くたびれて他のことができない時が休み時間です。動物を診療していくことが私の一番の楽しみ。患畜(犬猫)を治療して、病を治して動物の命が救うことができれば、それによって飼い主さんからも喜ばれ、また動物たちが可愛がってもらえるのが喜びなのです。これからは動物も高齢化の時代。犬や猫も昔は10年ぐらいの寿命だったのが今は15年、長い場合は18~20年長生きするものもいます。当院でも、高齢になってからの腎臓病、心臓病、歯の病気が問題になってきています。昔はそういった症例は少なかったのですが、現代は犬猫の老齢病についても勉強しなければなりません。新しい治療法の資料や新しい薬も用意しなければなりませんので日々診療ですね。

正に、生涯現役を貫かれていますね。

今は犬猫以外の小動物の文献もたくさん出ているから、勉強することがたくさんあるんですよ。でも、今はずいぶん楽になりましたよ。海外のものでも、文献を取り寄せると言ったってすぐ手に入りますから。そして、たとえ完全な訳ができなくてもネットの翻訳ソフトである程度は意味をつかめます。その後、単語と文法を自分なりにつなぎ合わせれば内容を理解できるのですから、昔の勉強方法と比べるとずっと楽ですね。獣医師は私の天命ですから、健康である限り勉学に勤め、生涯現役を貫きます。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

近年は難しい病気の診断も高度獣医療の応用によって、的確に診断できるようになり年々小動物の寿命も延びています。ただその中で飼い主さんはすぐ、その病気の診断結果を知りたがり、高度な検査を望んで、その数値から病名を知りたがる傾向があります。獣医師は、飼い主さんの一般状態の説明から得た症状や臨床から得た経験、血液検査の結果などを総合的に照らし合わせて診断します。「検査をすること」自体が目的となってしまうのは本末転倒です。私は基本的な視診、聴診、触診、体温測定などの臨床症状と向き合いながら、検査項目を選び的確な診断を得るように心がけています。最近は検査に頼りすぎて高額な治療費を請求されるケースもあると聞いています。ペットにとって本当に必要な治療・検査は何かということを見極めた上で高度な獣医療を利用してほしいなと思います。

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