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木村淳一 院長の独自取材記事

キムラ動物病院

(荒川区/町屋駅)

最終更新日: 2023/01/22

「子どもたちに命の尊さを知ってほしい。そのために動物が身近にいる環境は、とても大事なんです」そう語るのは「キムラ動物病院」の院長である木村淳一先生。下町の静かな住宅街で開業して35年、地域に根ざした医療を提供し続けてきた。自身の子どもが生まれ育った町屋は、木村院長にとっても地元に等しいそうだ。クリニックで医療に従事するだけでなく、小学校で「動物触れ合い教室」を開くなど地域活動も積極的に取り組んでいる。インタビュー中、そんな木村院長の口から多く飛び出した言葉は「子どもたちのために」「命の大切さ」。子どもたちの未来に心砕く木村院長に、獣医師になったきっかけや生命に寄せる熱い思い、現在の活動から今後の展望まで医療にとどまらぬ興味深い話をたくさんお話しいただいた。 (取材日2014年6月23日)

獣医師の夢を掴んだのは32歳。小さな命が背中を押してくれた

獣医師をめざしたきっかけを教えてください。

私は小さい頃から動物が好きで、捨てられた犬を拾わずにはいられない子どもでした。ただ私の住んでいた場所は集合住宅だったので動物は飼えず、何人かの友人と力を合わせ、公園に小屋を作って世話をしていました。そうした経験の中で、動物を助ける仕事に就きたいと思うようになりました。また小学生の時の鮮烈な記憶も、夢への思いを強めるきっかけになったのだと思います。縁日でひよこを買った私は、一生懸命世話をし成鳥まで育てました。しかし、「朝方の鳴き声がうるさい」と近所から苦情がくるようになってしまったんですね。そしてその年のクリスマス、私が学校から帰ると鶏が食卓の上に乗っていました。私たちの時代、肉は高級品でしたから父は「人様に迷惑をかけるくらいなら」と思ったのでしょう。命の大切さをその時痛感し、その思いが夢への原動力になりました。そして大きくなるにつれ手に職を持ちたいと考えるようになり、獣医師への道をはっきりとめざすようになったのです。

先生が獣医師になった時代は、ドクターの数自体少なかったのではありませんか?

その通りです。獣医師は珍しい職業で、当時は医師や歯科医師よりだいぶ冷遇されていた印象があります。今と違ってワンちゃんは外で飼われていいて、裏口から庭に向かい、家に上がることはまずありませんでした。当時は、獣医師といえば家畜(大動物)の医師でしかなかったんですね。私は大学在学中から獣医師の代診として現場を回り、ご指導いただいていた先生から「まず動物に触れて、知識ではなく体感で動物を知りなさい」と教わりました。ただ、昔の医師は頑固でなかなか技術を学ばせてはくれず、医院の技術は門外不出。今のようにさまざまな分野の先輩方に教えを請うこともできませんでした。しかも当時の獣医師は給料が安かったので、ずっと誰かの下で働いていては生活ができません。多くの獣医師は、新任3年ほどで自立を余儀なくされていましたね。

では、先生は大学卒業後すぐに開業されたのですか?

いいえ。大学卒業後は生活費を稼ぐため、臨床検査技師の資格を所得していたので人間の医療機関に勤務していました。ただ、大学病院では臨床検査技師というのは立場が弱く、苦しい時期が続きましたよ。臨床検査に関係のないレントゲンや採血なども私に回ってきて、まるで便利屋さんでした。当時は「仕事だからやるしかない」と思っていましたが、それらの知識や技術は動物の検査が盛んに行われるようになった近年、開業医として私の強みになっています。何事も経験だと今は思っていますよ。

生活するための仕事を辞め、動物病院開業を決意したきっかけは何だったのでしょうか。

臨床検査技師をやっている間も、獣医師になるための学費を出してくれた父の恩にも報いたい、獣医師になる夢を諦めたくない、とずっと思っていました。その一歩を踏み出すきっかけとなったのが妻の妊娠。子どもができたと知った時、この分かれ道で決意しなければ一生後悔すると思ったのです。ブランクもありましたし、獣医師の開業は本当に苦しい時代でした。でも、あの時踏み出していなければ私はきっと後悔していました。どんな苦労があっても、あの一歩があったから今の私があるのです。

ボディーランゲージが動物と心通わす最高のコミュニケーション方法

クリニックの特徴といえば何ですか?

医療だけでなく、地域の人たちとの関わりが深いことが当院の特徴です。というのも、うちの子どもたちはみな町屋で生まれ育ったため私自身この地域の住民なんです。子どもの学校でPTAを務めた時は、「動物を飼うことで、命の尊さを学ぶ」というコンセプトで始められた生活科の非常勤教師として小学校に出向きました。当時、子どもたちは飼育小屋で飼われていたウサギやニワトリを抱いたことがなかったんですよ。それで獣医師の私が子どもたちに動物との接し方を指導していったのです。動物を抱くと暖かい、動物の鼓動を聴診器で聞けば心臓の音が聞こえる、そんなことを教えてきました。これは20年以上前の話ですが、今でも小学校に出向いて「動物触れ合い教室」をさせていただいています。病院での診療を越え、地域に関わっていくことは私の使命だと思っています。

先生が一番力を注いでいる診療と、動物と接する時に大切な診療スタンスを教えてください。

最近は動物も高齢化しているのをご存じですか? 家ネコちゃんや室内飼育のワンちゃんが増え交通事故が少なくなり、ワクチン接種や予防が徹底されて感染症などにもかかりづらくなりました。そのようにして高齢化した動物の慢性疾患に、飼い主さんはどうやって付き合っていくべきか、そのご指導に力を注いでいます。当院は専門性に特化した病院ではありませんから、幅広く診療して病気の早期発見できる高度医療の窓口でいられるよう努力しています。また、動物と接する時に大切にしているのはボディーランゲージ。動物は言葉を話さないけれど、獣医師は動物の言葉を感じ取ることができる。動物もまた、人間の言葉は理解できなくても、言葉のイントネーションを感じ取っています。私はどんな些細なことも見逃さないよう言葉をかけ、触れ合い、目や耳だけではなく、体に触れて感じ取る診療を大切にしています。

「トリミング=美容」のイメージですが、病院と美容室を併設するメリットは何でしょうか。

メリットは、病気の早期発見につながることです。私は開院した当初から美容室を併設していますが、私自身ずっとトリミングを手がけてきました。シャンプーやカットを獣医師が行う時代だったというのもありますが、体中を触って動物とコミュニケーションを取りながら、お腹にしこりがある、耳の中が炎症を起こしていて臭いがきつい、肛門の汚れから下痢が疑える、などただ見るだけではわからない小さな変化に気づいていけるのです。トリミング室が病院と併設されていれば、その小さな変化がすぐにトリマーさんから獣医師に伝わり、医療の質向上にもつながります。もちろん病院側のメリットだけでなく、キレイになりつつ病気の早期発見ができスムーズに治療していければ、飼い主さんにとっても大きなメリットだと思います。

動物との触れ合いが、子どもたちの“心の気づき”につながる

先生にとって印象深い患者とのエピソードはありますか?

昔、小学生くらいの子どもたちが、まだへその緒がついたままの弱った子猫を連れてきたことがあります。何とかして助けてあげたいと彼らは考えましたが、お母さんたちには「うちでは飼えない」と言われてしまったそうです。私は、子どもたちの心に芽生えた命への思いやりを失わせたくなくて、「じゃあ、里親を捜しましょう。決まるまでは病院で預かってあげるから、その代わり1週間に1回は必ず顔を見せて、自分でこの子猫の面倒を見るんだよ」と言って子猫を預かりました。2ヵ月ほどして里親は見つかりましたが、今度は子猫に情が移ってしまった子どもたちが離れたくないと言い出したんですね。最後は泣いて別れることになったものの、一生懸命育てて手放したことで、子どもたちは命の大切さを知りました。子どもたちには、ぜひそうした“心の気づき”をたくさん経験してほしいと思っています。

クリニックと先生ご自身の「今後の展望」を教えてください。

クリニックの今後の展望は、私の後継者を育てること。分院の「オダイ動物病院」は今の院長にそのまま継いでいただくので、本院も早く跡継ぎを見つけたいですね。私自身は今後、さらに地域活動に力を注いでいきたいと思っています。獣医師とは直接関わりがありませんが、私は今「保護司」として奉仕活動をしているんですね。保護司とは、簡単にいうと矯正施設に入っていた少年少女の生活環境を整えたり、保護観察をし、犯罪再発予防をする人のこと。私の周りにも元気すぎる多くの子供がおりまして、中学のPTAで「おやじの会」というのを作って夜間パトロールをしていた経験から、そういった活動に興味を持ちました。自分の子どもも地域にお世話になったのですから、微力ながら私も地域に貢献していきたいと思っています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

動物を飼ったことのない方は、まず動物に興味を持っていただきたいですね。ただしペットは一つの命です。飼えば手間やお金、時間が必ずかかります。一生家族として面倒を見てあげる覚悟を持って、動物を迎え入れてあげてください。そして、お子さんがいるのなら、子どもに命の大切さをきちんと伝えていってほしいと思います。例えば、ワンちゃんの世話を子どもに徹底させるなど、子どもにもきちんと役割と責任を与えてください。「子どもがやらないから私がやるしかない」と、お母さんが手を出すのが一番いけません。動物は世話をしなければ生きていけない、それを教えることも豊かな心を育てるためには大切ですよ。願わくば動物の出産に子どもを立ち会わせ、命の尊さを教えてあげてほしいですね。

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