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野村 道之 院長の独自取材記事
野村動物病院
(西東京市/田無駅)
最終更新日: 2023/01/22
西武新宿線田無駅から徒歩で約5分。武蔵境通り沿いに位置し、犬、猫に加えうさぎ、フェレット、ハムスター、小鳥などの診療にも対応する「野村動物病院」。一軒家の佇まいとシベリアンハスキー犬をモチーフにしたエンジ色のトレードマークが目印だ。野村道之院長は、「地域の飼い主さんに安心して通ってもらえるよう、幅広いサービスを提供したい」と、複数のドクター体制、緊急度の高い疾患の際の連携体制を整え、診療時に動物の飼い方についてのアドバイスも行うなど、親身な対応を心がける。「病気になったりケガをしてしまった動物たちの苦痛をやわらげ、飼い主さんに喜んでもらえることにやりがいを感じています」と、快活な口調で語る。こんな野村院長に、診療ポリシーや今後の展望について聞いた。 (取材日2016年7月20日)
飼い主の幅広いニーズに対応
開業までの経緯と開業年を教えてください。
当院は1998年に開業しました。日本獣医科学生命大学を卒業後、池袋の動物病院に勤務していましたが、地域の飼い主さんに幅広いサービスを提供できる動物病院を開業したいとずっと思っていたのです。開業場所については、大学の近くで土地勘があったことと、のどかで自然が多い田無の物件と出会い、診療を始めることに決めました。その後2006年に、最初に開業した場所からすぐ近くのこの地に移転し、もうすぐ10年になります。当院は、犬、猫に加えてうさぎ、フェレット、モルモット、ハムスター、小鳥などの診療に対応しています。来院する8割以上の飼い主さんは犬や猫を連れていらっしゃいますが、それに次いでうさぎやフェレットを連れてくる方が多いですね。
診療の特徴はどのようなところですか?
当院では、私をはじめ常時2〜3名の獣医師が対応しています。それぞれ得意分野をもっていますので、動物の症状や緊急度などに応じ、なるべくその場に適した獣医師が対応できるような体制を整えています。また、私自身、2013年4月より動物救急センター練馬に非常勤医師として登録しています。高度な医療機器があり、緊急性の高い病気にもいち早く対応できる病院ですので、当院にいらっしゃる飼い主さんにも必要に応じてスムーズに連携できるのも特徴だと思います。動物の病気やケガは、いつ起こるかわからないものですよね。突然のトラブルにもなるべく対応できるよう、土曜日は午前と午後、日曜日の午前中も診療を行い、飼い主さんの幅広いニーズに対応しています。
診療ポリシーについて教えてください。
動物の病気の治療は、獣医師と飼い主さんが一緒に取り組んでいく必要があります。より的確な診療ができるよう、治療方針などについて十分な説明を心がけ、飼い主さんに納得していただいた上で診療を行っています。手のほどこしようがない状態の場合でも、動物の状態を飼い主さんと共有しながらゴールを設定し、「ここまでしてあげることができて満足です」と思ってもらえるような診療を心がけ、飼い主さんから必要とされる存在であり続けたいと思っています。また、私自身は外科の出身ですが、内科、皮膚科、眼科、耳鼻科、神経科など幅広い疾患の診療が可能です。守備範囲を広くもち、当院で対応しかねる場合は迅速に救急センターや大学病院などの二次診療施設に紹介し、飼い主さんに安心していただけるよう心がけています。
動物と楽しく快適に暮らすための手助けも行う
大学時代に力を入れて学ばれてきたことを、診療にどのように生かしていますか?
犬の飼育に興味があったので、犬の飼育と繁殖の実習を行うクラブに所属し勉強していました。ほえる、噛み付くなど犬の問題行動の多くは、飼い主の対応に原因があることが多いものです。「犬の常識と人間の常識はもともと違う」ということを理解できず、人間の常識にあてはめて飼育することで犬との関係が悪くなり、問題行動と呼ばれるトラブルに発展することはよくあるケースです。動物といっしょに楽しく暮らしたいからペットを飼うのに、適切な対応をとらなかったためにペットと一緒に生活することが苦痛になってしまったら、本末転倒ですよね。これまでの知識や経験をふまえ、診療の際、動物といっしょに楽しく生活できるちょっとしたコツなどのアドバイスも行っています。
飼い主さん向けの飼い方レッスンも開催されているのですね。
そうですね。当院では、訓練士を招き、家族の一員となった犬との暮らしをより快適に、楽しくするためのポイントやコツなどを知ることができるような場を設けています。訓練士と直接ふれあう機会をつくり、困ったことがあったら当院だけでなく訓練士にも相談できるような関係をつくることも大切だと思っています。当院の看護士にも、専門的なトレーニングを受けている者がいますので、病気やケガについての相談だけでなく、動物と楽しく生活を送れるための手助けができる場所としての役割も果たしていきたいですね。
初心者の飼い主さんがしてしまいがちなのは、どんな対応なのですか?
よくあるのが、「言葉で伝えれば大丈夫」「愛情があれば伝わる」といった思い違いです。好ましくない行動をした時に優しく「だめよ」などと言葉だけで伝えても、犬には通じません。また、好ましい行動ができた時などにほめることを忘れてしまうと、犬は、自分がどんなことをしたら飼い主がほめてくれ、ごほうびをもらえるのかが理解できません。ささいなことですが、このようなすれ違いが続くと飼い主と動物の間で健全なコミュニケーションがとれず、関係がこじれてしまうことがあります。一度こじれた関係を修正するには時間や手間がかかってしまうことが多々あるので、飼い始めの対応が、とても大切なのです。
幅広いサービスをいつでも提供できる体制を保つ
獣医師をめざしたきっかけを教えてください。
小さい頃から動物が大好きで、自宅では犬や小鳥を飼っていました。中学生になった頃には、病気やケガで苦しんでいる動物の苦痛をとりのぞいてあげることで飼い主さんの手助けができる獣医師をめざしていましたね。確か、中学1年の時の文集で、「将来の夢は獣医師になること」と書いた記憶があります。獣医師の仕事はハードですが、大好きな動物と向き合う毎日はやりがいがありますし、診療を通してたくさんの動物とふれあうことができるのが何よりの喜びです。
先生ご自身は動物を飼っていらっしゃいますか?
今は、猫と犬を飼っています。猫は、2年くらい前に小笠原からやってきました。小笠原で野生の猫が繁殖し、世界遺産となっている動植物をあらしてしまうのが問題になっています。世界遺産を守りたいけれども猫を殺処分することもできないということで、東京都獣医師会が窓口となって野生の猫を人に慣れさせ里親に提供していく取り組みをしています。その流れを受け、当院で引き取りました。犬は、シベリアンハスキーを飼っています。もともと日本犬が好きだったのですが、学生時代、ハスキー犬を飼い始め、育て方や繁殖のさせ方を勉強しました。今の犬で3代目になります。「ハスキー犬は飼いにくい」などと言われることもありますが、ひとなつこくて非常に味わい深い犬だと思います。
今後の展望について聞かせてください。
飼い主さんの幅広いニーズに対応できるよう、スキルのある獣医師や看護士、スタッフ皆で力を合わせ、一定のレベルのサービスは常に提供できる状態を今後も整えていきたいと思っています。当院では、トリマーによるトリミングも行っています。疾患をかかえていたり、心臓が悪くていつ倒れるかわからない動物も安心してトリミングしてもらえるような環境をつくることで、飼い主さんも安心しますよね。これからも、トータルな角度から飼い主さんに信頼され、安心して通い続けていただけるような病院をめざしていきたいと思います。