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手術からリハビリまで 永く元気な生活をめざす膝蓋骨脱臼の治療

久米川みどり動物病院

(東村山市/久米川駅)

最終更新日: 2023/05/29

いわゆる膝の皿と呼ばれる膝蓋骨が正常な位置からずれてしまう病気である膝蓋骨脱臼。犬の関節疾患でよく見られるものの一つである一方で、「膝蓋骨脱臼は飼い主さんが気づかないことも多いですし、放置していると高齢犬になってからの歩行に支障を来たすことが多いので注意が必要です」と話すのが、「久米川みどり動物病院」の畠中道昭院長だ。動物の整形外科疾患の治療にも力を入れる同院では、犬の膝蓋骨脱臼に対し、保存療法から手術、リハビリテーションまでに取り組むことで、犬が飼い主とともに末永く、楽しく生活が送れるようサポートすることをめざしているという。そこで、畠中院長に犬の膝蓋骨脱臼の概要や同院における治療などについて、詳しく教えてもらった。(取材日2023年2月21日)

手術とリハビリテーションで、高齢犬になっても元気に走り回れるようにすることをめざす

  • Q.膝蓋骨脱臼とは、どのような病気ですか?

    A.

    ▲畠中院長は整形外科とリハビリテーションを得意としている

    いわゆる膝のお皿の骨と呼ばれる膝蓋骨が、正常な位置からずれてしまうのが膝蓋骨脱臼です。その多くは、生まれてきたときから足の骨に変形が起きていて、それが成長に伴ってずれた位置やずれやすい位置で固定化されてしまうことで起こります。この病気は、トイプードルやポメラニアン、チワワなどの小型犬によく見られるのが特徴です。足を痛がって挙上する。歩くときに足をついたり、つかなかったりする。けんけんするような歩き方をするというような症状がありますが、それらの症状は1歳くらいまでに出やすく、それを過ぎると脱臼している状態に慣れてしまって普通に歩けるようになり、病気に気づかなくなってしまうことも少なくありません。
  • Q.気づかなかったり放置していたりすると、どうなりますか?

    A.

    ▲動物たちが幸せで長生きできるよう取り組んでいる

    多くの場合は、その後もかなり長い期間を無症状で過ごすことができます。ですが、その間も膝蓋骨はずれた位置にありますから、軟骨がすり減っていったり、こすれている部分に炎症が起きたりするなどのダメージが、10年などの期間で徐々に蓄積されて、最終的には膝の関節全体が変形してしまう変形性関節症になります。この変形性関節症は治すことができず、痛みの管理しか図れません。変形をしても普通に歩ける子もいれば、痛みがひどく足が曲がらない、つっかえ棒みたいにして歩くなどになってしまう子もいます。ですから、早めに気づいてあげて、変形が出てくる前に正しい位置に、膝蓋骨をとどめておけるように処置をすることが大切です。
  • Q.どのように治療をするのですか?

    A.

    ▲動物の生涯を見据えた医療やケアの提供に努めている

    大きく分けて保存療法と手術があります。この病気は、症状が軽いほうからグレード1〜4に分けられ、膝蓋骨がほとんど正常な場所にあるグレード2までの状態なら、普通の生活をしている限りは薬物以外の選択肢が中心となり、痛みなどの症状がある場合は鎮痛剤の投与、ジャンプを控えるなどの運動制限などで対処します。膝蓋骨が外れたままになっているグレード3以上の場合は、膝蓋骨が正しい位置に来るようにするために手術が必要です。手術は、内容にもよりますが概ね1時間〜1時間半で、5日から1週間程度の入院が必要です。手術によって、普通の生活ができるようにすることをめざします。
  • Q.こちらではリハビリテーションにも力を入れていると伺いました。

    A.

    ▲きちんと歩くことに意識を向かせるトレーニング

    膝蓋骨脱臼では足の機能に障害が出ていますし、手術では関節を矯正します。その過程で関節の可動域が変わったり、傷が治るまでに使わなかった部分の筋力が低下していきます。それらの機能障害を正常な状態に戻し安定化を図り、普通の生活を送れるようにすることをめざすのがリハビリテーションの目的です。犬は順応性が高いので、リハビリテーションをしなかったからといってすぐに大きな支障が出ることは多くありません。ですが、関節の可動域が正常に戻っていないと後々になって足にトラブルが起きることがありますので、より良い状態をめざしてリハビリテーションを行うことが重要です。
  • Q.リハビリテーションでは、具体的にはどのようなことをしますか?

    A.

    ▲浮力により無理なく歩くことができる

    当院ではリハビリテーションを専門的に学んだスタッフが、ワンちゃんが楽しく取り組めるよう努めています。開始は手術10日後に抜糸をしてから。最初の頃は正しい姿勢で立ったり、歩いたりできるよう訓練をします。それから、バランスディスクやバランスボールなどを使うバランス運動で手術した足に負荷をかけたり、カバレッティレールというハードルのような器具をまたいで関節の可動域の回復を図ったりします。また当院には水中トレッドミルがあり、水中でベルトコンベアの上を歩いてもらうことで関節への負担を減らしながら筋力をつけていくことが望めます。陸上より大きく足を動かすように歩くため、可動域訓練が上手に実施できるでしょう。

動物病院からのメッセージ

畠中道昭院長

私はもう20年以上も獣医師をしていて、子犬の頃から亡くなるまでのたくさんのワンちゃんを見てきました。その中で、以前はあまり膝蓋骨脱臼の手術はしていませんでしたが、老齢犬になってから、やっておけばよかったと後悔することもたくさんありました。また、最近では人間でもロコモティブシンドロームがあり、そこから寝たきりになるなど生活の質の悪化につながっていますから、足をしっかりさせておくのは大事なことです。膝蓋骨脱臼の手術は、必要なときには積極的に受けていただきたいと思います。いつまでも心配なく思いっきり走れたら、ワンちゃんもうれしいのではないでしょうか。

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