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武内 啓二郎 院長の独自取材記事

モーリスどうぶつ病院

(東村山市/新秋津駅)

最終更新日: 2023/01/22

JR武蔵野線・新秋津駅から徒歩15分。「モーリスどうぶつ病院」は東京都東村山市の住宅街にすんなり溶け込む、三角屋根の一軒家が目印だ。武内啓二郎院長の家で飼われていた猫・モーリスからその名をとった看板横の入り口を入ると、住宅の間取りを応用した受付と待合室、診療室が作る空間はとても落ち着いていて、病院に恐怖心を抱きやすい犬や猫の目にも、ことさらに冷たく映ることはないだろう。厳しい修行時代から開業後もたくさんの経験を重ねてきた院長がたどり着いた、あるべき動物の一次診療の姿とはどのようなものなのか。開業に至る経緯やスタッフに求めることなども含め、たっぷりと語ってもらった。 (取材日2016年6月8日)

夜7時までの診療のほか救急の相談にも真摯に対応

一軒家をそのまま動物病院にした感じですね。

ここはもともと父が持っていた土地で、1991年の夏に開業しました。1階で診療を行い、当初は2階に家族で住んでいたのですが、入院などで預かった動物のためのケージを置くスペースが足りなくなった事情もあり、今は人間だけ近所に引っ越して(笑)、2階も動物のために改造して使っています。元和室の押し入れに組み立て式のケージを入れて猫用の入院室兼ホテルにしてあるなど、あちこちに手作りの跡が見て取れると思います。比較的近くに住んでいますので、心配な動物がいる時など、夜間にたびたび来て様子を見ることも苦になりませんね。

大学卒業から開業までの歩みについて教えてください。

卒業後の2年近くは2つの動物病院に勤務して代診を担当し、それから同期の友人の病院に移って、しばらく手伝いをしていました。もう30年ぐらい前の話になります。当時の動物病院の仕事というのは今に比べても相当過酷で、初めの頃は朝8時から深夜2時まで休みなし。食事の最中も来院者が途切れないからすぐに箸を置かなければいけないほどの忙しさで、すべて終わったら、あとは帰って寝るだけの生活でした。正直、このまま続けたら体を壊すんじゃないかという不安もありましたね。だから、そんな経験にも押されて、もっと腰を落ち着けてこの仕事でやっていくには、自分で開業するしかないと決意を固めたわけです。それからは開業準備でいくつもアルバイトを重ね、どうにか自分の病院を持つことができました。

診療時間はどのようにして決めましたか?

今は木・金曜の休診日を除き、毎日朝9時から正午までと午後1時から夜7時まで診療を行っていて、午後1時から4時は手術と往診の時間に当てています。平日は動物の飼い主さんも仕事その他で忙しい方が多いので、週末も開けたほうがいいだろうと最初から考えていました。しかし当然のことながら、犬や猫がいつ体調を崩すかは予想がつきませんから、診療時間外、夜遅くや休日にも、飼い主さんの電話を受けることがよくあります。留守番電話で「10分経っても折り返しの連絡がない時はほかの動物病院をお探しください」とあらかじめご案内した上で、できるだけお返事を差し上げていますが、初診の方などはすべてに対応しきれていないのが現状です。ただ、こうした姿勢自体が珍しいのか、ほかにかかりつけの動物病院がある方からの相談も多いですね。

治療の選択肢を示すのが医師の仕事

ともに働くスタッフに一番に求めたいことは何ですか?

明るさと、コミュニケーションがとれることですね。今は僕と動物看護師2人の3人体制で、手が足りないので獣医師と看護師のどちらも募集中なんですが、もし応募してくれる方がいるなら、技術や能力以前に、人として当たり前の振るまいができるかどうかを重視したいと思います。専門職とはいえ、患者さんという顧客──この場合は動物の飼い主さんということになりますが──とじかに接するという点では、ほかの多くの仕事と同じように、あいさつやハキハキした応対ができなければ始まりません。それが身に付いているなら、あとは僕の教え方次第で、どんどん伸びていくことができるはずです。

どんな症状の動物を診ることが多いですか?

最近目立つのは、犬や猫にもみられるIBD(炎症性腸疾患)やアトピー性皮膚炎、腫瘍、また季節によって嘔吐や下痢などですね。経験からつかめる今の状態によって、より高度な手術やMRI検査などが必要と判断される場合には、大きな病院での二次診療をご紹介します。現在の獣医療は、僕が開業した頃に比べると、かなり様変わりしました。手術ひとつをとっても、鎮痛剤のバリエーションが増え、術後の痛みをなるべく緩和するような対策もとれるようになっていますので、治療のことで気になる点があれば何でも質問してほしいと思います。

飼い主との接し方で特に意識していることは?

獣医師として自分の考えばかりにこだわらないことですね。飼い主さんにもいろいろな主張や信念がありますから、専門家の立場でただこうしなさい、ああしなさいと押し付けたり、飼い主さんの言われることを最初からだめだと決めつけたりはしません。どんな診療をお望みなのかじっくりと伺って、なるべく受け入れるようにしています。僕らの仕事は、とくに一次診療の場合、限られた情報から判断して、今この動物がどのような状態にあると考えられるのか、そしてどんな対処法がありうるのかを提示することです。つまり治療の選択権は飼い主さんにあるんですね。そして、飼い主さんが希望する選択に対して、精一杯の努力をするのが僕らの役割なんです。だから、こうしなさい、ではなく、まずはインフォームドコンセントと分かりやすい説明を徹底するよう心がけています。

自由な対話で獣医療への不信感を取り除く

先生はなぜ獣医師になろうと思われたのですか?

人や動物、自分自身のことも含めて、生き物というのはどういうしくみのものか、特に「心」というものの正体を知りたい、という欲求が原点だと思います。学問でいうと動物行動学とか神経学とかの領域になりますが、そういう言葉も知らない幼少の頃から、生き物の不思議に強い興味を持っていました。もちろん動物と触れ合うこともずっと好きで、そうしたもろもろの関心が高じて、獣医師の道を選ぶことになりました。それなら人の医療でもと思われるかもしれませんが、動物は喋れないからこそ、逆に深く考えさせられるところがあるんですね。それと、医学部に進むよりもこちらのほうが、生き物を眼科や胃腸科という風に細分化せず、個として、トータルに診ることができるので、そういったところにも惹かれました。

休日はどんな過ごし方をしていますか?

長く続けているのは太極拳とランニングです。健康のためでもありますが、仕事から離れて体を動かすことだけに集中する時間は、自分をリセットし、また新たな気持ちで仕事に向かう状態を作るためにも大切だと思っています。およそ考えるという行為は、頭の中を一度空っぽにしないとうまくいかないものです。気がかりなことや数日先の予定が頭に居座ってしまうと、自由に思考を広げることができなくなってしまいます。そんなコチコチになった心をほぐすのに、太極拳もランニングもぴったりですね。

最後に、読者に向けてメッセージをいただけますか?

開業した当初、電話で10回以上も問い合わせをくださる方や、初診時から毎回30分以上お話をされる方がいて、どの方からも共通して伝わってきたのは、獣医師一般に対する不信感でした。おそらく、以前にどこかの動物病院に行って、何か嫌な思いをされたことがあるのだろうと想像します。さっき言った、獣医師が何から何まで決めつけたり、飼い主さんの話を一蹴するような態度も、そうした嫌な体験に含まれることでしょう。当院ではどの飼い主さんに対してもまず話を聞くことから始めます。こちらからも型通りの模範解答に終始しないで、自分自身がこう思うということをお答えしています。どうか、獣医さんにもっともっと話してみてください。こんな小さなことでと遠慮しないで、納得がいくまでコミュニケーションを重ねましょう。そうすることが、良い獣医療と出合うための第一歩になるはずです。

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