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杉本 祐一 院長の独自取材記事

すぎもと動物病院

(練馬区/上石神井駅)

最終更新日: 2024/03/18

上石神井駅から徒歩15分。自然豊かな石神井公園の南側を通り抜けると、犬と猫のかわいらしいロゴが描かれた「すぎもと動物病院」の青い看板が目に入る。院内は白い壁と淡いブラウンでコーディネートされており、訪れた人をほっとさせてくれる落ち着いた空間だ。笑顔の優しい杉本祐一院長は、一般の大学を卒業後に獣医師をめざしたという熱意あふれる人物。二次診療施設の夜間救急診療で緊張感ある現場を経験した後、生まれ育った上石神井の地で開業した。大学病院で皮膚科診療に携わる獣医師も在籍し、内視鏡検査や皮膚疾患など、幅広く専門性の高い診療が同院の特徴だ。開業から10年がたち、「理想の体制に近づきつつある」と話す杉本院長に、同院の特徴や今後の展望について聞いた。(取材日2024年1月29日)

地元の人々に喜んでほしいと、生まれ育った場所で開業

先生は上石神井のご出身だと伺いました。

そうなんです、上石神井は私が生まれ育った大好きな場所。石神井公園など豊かな自然に囲まれていますし、練馬の町に出れば必要なものはすべてそろいます。都会すぎず、田舎すぎない、本当にちょうど良い場所だと思います。子どもの頃は石神井公園で釣りをするのが大好きで、友人とよくフナを釣っていました。この辺りには友人たちも多く住んでいますので、安心感がありますね。開業後も、子どもの頃から知っているお米屋さんが当院にいらしたり、同じ高校出身の方と懐かしい話に花を咲かせたり……。そんな出会いやコミュニケーションが楽しめるのも、地元で開業したからこそ。上石神井には土地に愛着のある方が多いので、何だか話しやすいんですよ。私の治療で大好きな地元の患者さんたちを喜ばせることができるというのは、大きなやりがいにつながっています。

一般の大学を卒業後、獣医学科に入学するという、珍しいご経歴をお持ちなんですね。

高校卒業後は立教大学に入学し、4年間経済学を学びました。実は、大学卒業後は銀行に就職も決まっていたんですよ。しかしいざ就職が決まって自分の将来を考えた時に、「手に職をつけたい」と思い始めたのです。その時に頭に浮かんだのが、獣医師という仕事でした。父が動物関連のテレビ番組制作に携わる仕事をしていた影響もあり、ずっと動物が大好きで、中学生の頃から獣医師の仕事には興味があったのです。しかし私は数学が大の苦手でして……。大学3年から一念発起して数学を猛勉強し、日本大学生物資源科学部獣医学科に合格することができました。大学生の頃一緒に過ごした友人たちとは、今でも付き合いがあります。当院は特殊な医療技術が必要な場合に備え大きな動物病院と連携しているのですが、そこに大学時代の友人が大勢いるので、コミュニケーションが取りやすいんです。おかげで治療を引き継ぐ際に、方針もしっかり共有できています。

獣医師になられて、思い出に残っているエピソードはありますか?

当院を開業する前に水族館に勤務していたことがあります。「せっかく獣医師になったのだから、普段はなかなか触れることのない生き物に接したい」と思ったからです。そこでイルカの出産などにも立ち会い、生き物の命を預かるということの緊張感や厳しさを学ぶことができました。肉体労働とも呼べるようなハードな日々でしたが、とても貴重な経験を積めたと思います。水族館では、飼育員が動物たちの家族になるわけです。彼らは本当に真剣に動物たちのことを考えていて、その姿を見て、改めて生き物の命に関わる仕事の尊さを体感できました。

専門性の高い内視鏡検査や皮膚科診療

こちらでは内視鏡検査を受けることもできるそうですね。

はい。検査のベースは血液検査・エックス線検査・超音波検査となりますが、そこで「何かしらの異常がありそうだ」となった場合に内視鏡検査に進むことがあります。体の中から患部を確認できますし、先端には鉗子がついていて、おなかにメスを入れることなく異物の除去や組織の採取が可能です。内視鏡がなければ、開腹手術をして患部を確認したり異物を取り出さなくてはなりませんからね。例えば消化器にできた腫瘍が良性なのか悪性なのか、その見極めや確定診断の際に内視鏡検査は欠かせません。また「元気がないけれど、病気ではないか」と検査をすると、実は誤飲だったというケースもとても多いです。検査後は問題がなければそのままご帰宅となりますが、症状によってはそのまま入院となることも。内視鏡を含めた検査や手術に対応できるほか、入院設備、ICUも備えていますので、小さな動物病院ではありますが当院でできる診療の幅は広いです。

消化器の他に、専門的に診ている分野はありますか?

皮膚科疾患です。毎週木曜に皮膚科を専門とする先生が診療を行っているのですが、すぐに予約が埋まってしまうほどです。アトピー性皮膚炎の症状のあるワンちゃんが多いでしょうか。人間と同じく、動物の皮膚症状も長い目で治療する必要があります。皮膚科の先生はとても話しやすい方で、ワンちゃんやご家族の気持ちに寄り添って診療してくださいます。また猫ちゃんの場合、同じ箇所をなめ続けて皮膚の病気があるかと思いきや、「実はそこの関節が痛くてなめていた」ということもあるんですね。先生は普段から大学付属の動物病院で同様のケースに多く携わり、そのような症状にもすぐ気づいてくださいます。動物の皮膚科を専門とする先生は少ないですし、困りに困って当院にたどり着いたという方も多いんですよ。

診療の際に心がけていることを教えてください。

ご家族としっかり話をしてから、治療方針を決めるようにしています。ワンちゃん猫ちゃんが病気になった時、どこまで治療をしてあげたいと考えるかはそれぞれです。がんが発症した場合も、「抗がん剤を使用してとことん治療してあげたい」と望む方もいれば、「もう高齢だし、そっとしておいてあげたい」と考える方もいます。その思いをくみ取り、精一杯の治療を行うのは獣医師として当然のこと。その他にも時間や費用面など、ご家族の要望にできるだけ沿った診療を提供できるように心がけています。消化器や皮膚など専門的に診られる分野を増やし、診療の幅を広げているのはそのためです。多くの選択肢をご用意した上で、ご家族の気持ちを優先しながら治療内容を決めています。

昼も夜も、信頼できるかかりつけ医をめざす

夜間も診療しているそうですが、その理由は何でしょうか?

私は以前「どうぶつの総合病院」の夜間救急診療に従事しており、その時の経験が大きく影響しています。夜間の診療は、昼間の診療とはまったく違うんです。幅広い知識が求められますし、スピード感も必要です。また夜に起こりやすい病気と、昼に起こりやすい病気は微妙に異なるんですよ。急な発作を起こしたり、交通事故に遭ったりした動物も運ばれてきます。もし私が日中の診療しか経験していなかったら、胃捻転や重度の肺水腫といった緊急性が高い症状に戸惑ってしまったかもしれません。

夜間診療を利用する際の注意点はありますか?

当院の夜間診療は、火曜・日曜・祝日を除く平日の20時から22時までです。防犯の都合から入り口を閉めていますので、ご来院前に必ずお電話ください。最小限の人数で対応していますので治療内容には限りがあり、ご家族に診療時のお手伝いをお願いすることもあります。またどうしても、普段より当院に通われている方が優先となります。お近くにお住まいの方は、ぜひ一度いらしてください。カルテも作成できて、その子の普段の様子もわかりますし、万が一の際も治療がスムーズに進むかと思います。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

ご家族とのコミュニケーションを大切にしながら、ワンちゃん猫ちゃんの不調を広くかつ専門的に診られるクリニックをめざしています。消化器や皮膚科の病気については現状その形に近づきつつありますが、眼科や循環器内科なども、さらに専門性を高めていきたいです。検査の度に動物病院を行き来するのは動物のストレスにもなるでしょうし、ご家族も大変でしょう。上石神井で暮らすワンちゃん猫ちゃんとそのご家族にとって、利便性が良く信頼できる動物病院でありたいですね。ここは私が生まれ育った大好きな土地ですから、育てていただいた地域の皆さんに恩返しをする気持ちでこれからも頑張ります。

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