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鈴木健一 院長の独自取材記事

オリーブ動物病院

(川崎市幸区/尻手駅)

最終更新日: 2023/01/22

JR南武線尻手駅から徒歩5分。2014年3月に開院した「オリーブ動物病院」では、動物と飼い主に安心を届けたいという思いを込めて、日々地域の動物たちの診療を行っている。院長の鈴木健一先生が「安心」にこだわるのは、七年もの間、夜間救急で診療を行ってきたからこそ。夜間救急では重症の動物の処置を行い不安そうな飼い主に対応するが、その後のフォローは昼間の病院に任せることになる。自分が関わった動物や飼い主は最後まで責任を持って見届けたいとの思いが開業につながった。動物も人も好きだと話す鈴木先生。お話上手で優しい笑顔が印象的だ。学生時代から趣味でボクシングを続けているそうだが、開業してからは忙しくて練習の時間もままならないそう。いつかは24時間対応の病院にしたいと夢を語る鈴木先生に、夜間救急での経験から学んだことや、飼い主のフォローの重要性のほか、獣医師をめざしたきっかけなど、たっぷりと語っていただいた。 (取材日2014年8月12日)

地域の動物と飼い主に安心を届けられる動物病院に

開院おめでとうございます。はじめに、開業に至った経緯をお話しください。

臨床の現場に出て八年間のうち七年間は夜間救急動物医療センターに勤務していたのですが、夜間病院では夜の間だけ治療を担当するので、その後の動物や飼い主さんのことまでフォローはできませんでした。そのような中、最後まで自分で診たいという思いが強く、これまで勉強してきたことを生かしていこうと、この度の開業に至りました。この地域で診療を行うのは初めてなので、開業してからしばらくの間はなかなか信頼してもらえないのかなと思っていましたが、大きな手術を任せてくださったり、説明もきちんと聞いてくださる方が多く、飼い主さんの動物医療に対する意識が高い地域だなと感じています。院名の「オリーブ」は聖書に出てくる「ノアの方舟」のお話に由来しています。大洪水の後、ノアは陸地を探すためにハトを放ち、オリーブの枝を運んで戻ってきたことで水が引いていることを悟ったそうです。ノアにオリーブの枝を届けたハトのように、動物医療を通して動物や飼い主さんに安心を届けたいという思いを込めて、「オリーブ動物病院」と名付けました。ロゴマークにもオリーブを咥えたハトを使用したからか、犬や猫のほかに小鳥を連れて来られる飼い主さんも意外に多いですね。

先生が最初に救急の現場を選んだのはどうしてだったのですか?

臨床1年目は比較的大きめの一般病院に勤務していたのですが、大きい病院だと分担が決まってしまっています。ある程度自分で何でもこなせるようになりたくて、救急病院での勤務を選びました。基本的に医師やスタッフの数が少ない救急の現場で、あらゆることにその場で対応できるような経験を積みたいと思っていましたね。救急病院では特殊な症例が数多く来院します。例えば、循環器では肺水腫で呼吸困難を起こしていたり、不整脈で倒れていたり、消化器では胃捻転を起こしていたり、泌尿器では急性腎不全を起こしていたり、神経では発作が止まらなくなっていたり、といったような重症例を数多く経験しました。いずれも初期治療が救命率に大きく影響するものばかりです。今申し上げたような症例は、もちろん病院の規模にもよると思いますが一般病院ではそれほど多くは経験できないと思いますので、救急病院での7年間は貴重な経験になったと思います。

安心を届けるため、具体的にはどのような方針で診療されていますか?

一つ目は22時まで診療を行っています。夜間病院はたいてい21時から診療を始め、一般病院の診療時間は19時までという所が多いため、19時から21時までの間は受診できる医療機関が極端に少なくなります。そこを埋めるという意味で22時まで対応としました。二つ目は、処置や検査などは基本的に飼い主さんの目の前で行っています。本格的な処置も、ご希望であれば飼い主さんの目の前で進めています。これは救急病院での七年間の経験からなのですが、動物の様態が重症であればあるほど飼い主さんはそばに付いていたいと思うもの。そういう意味では目の前で処置をすることは安心の材料になるのではと考えています。特に隠すことでもありませんし、処置を見ることができるということを喜ばれる方が多いですね。三つ目はインフォームドコンセントを重要視しています。考えられる病気や適切な治療法の情報を提供し、治療の選択肢はどれだけあるのか、その中で推奨される治療はどれなのか、各治療にはどのようなメリット、デメリットがあるのか、納得していただけるまで丁寧に説明します。その上で飼い主さんの意向を十分に尊重し、できるだけ同じ目線で病気と向き合っていきたいと思っています。

救急病院での経験をもとに話やすく飼い主に寄り添った診療を

飼い主とのコミュニケーションで大切にしていることはありますか?

なるべくリラックスできる雰囲気作りを心がけています。処置中も僕が黙ってしまうと緊張されると思うので、なるべく話をしながら進めています。世間話や、動物の行動の癖など、病気とは関係ないようなことにも触れながら、緊張を解いていくような感じですね。そういった何気ないやりとりの中にも病気のヒントが隠されていることもありますから。飼い主さんは動物が病気になると、特に重い病気の場合には飼い方が悪かったのではないか、もっと早く病院に連れていけばよかったのではないか、とご自身を責められることが多いので、そんなときには、それは違いますよ、こんなに大事に飼われていたじゃないですか、と僕たちから伝えることも大切です。救急病院に勤務していたときは、急性疾患で泣き叫びながら連れて来られる方や、終末期の状態悪化などで大変悲しまれている方も珍しくありませんでした。そういう方たちが何を言ってほしいのか、どんな言葉を投げかけるべきなのかを、飼い主さん一人ひとりから教わってきたように思います。予後が非常に厳しいような場合には淡々と事実をお話しするしかない場合もありますが、できるだけ丁寧にわかりやすく説明することで、患者さんの不安を少しでも解消できるように心がけています。また、特に救急疾患の場合に大事なのは動物の苦しみを早く取り除いてあげること。例えば交通事故で運ばれてきた子にはレントゲンも超音波検査も血液検査も必要ですが、まずは鎮痛、鎮静をかけて痛みと不安を和らげてあげます。最初につらいことを取り除いてあげることで、動物も楽になりますし、飼い主さんも少し落ち着いてお話をしてくれるようになりますので、正確な問診を取ることができるようになります。

これまでの診療で印象に残っている出来事はありますか?

救急病院にいた頃、よく胃捻転を起こした土佐犬を連れてくるブリーダーさんがいました。何度かこちらで処置をしていたのですが、そこの土佐犬が、夜、病院が開く前に胃捻転を起こしてしまったことがあったんです。僕が出勤したら、飼い主さんが病院のシャッターをむりやり開けようとしていました。そのときは驚きましたね。もちろん開けても誰もいませんし、警備会社の人が飛んでくるだけなのですが、それほど心配で急いで来られたのだなと思いました。クリニックはまだ開業して日が浅いので、それほど驚くような出来事はないのですが、今は健康な動物が予防接種で来院することも多く、それが嬉しかったりします。開業前は病院の性質上元気な動物を診る機会が少なかったので、終始笑顔で診察できるのはとても魅力的で、新鮮な感じなんです。ホテルでお預かりをする場合も、ケージの中でずっと過ごすのではなく、危険がない範囲で外に出しているので、病院内でスタッフと一緒に遊んでいるのを見ていると、癒されますね。

先生ご自身は現在、動物を飼っているのですか?

猫が二匹います。以前勤めていた病院の前に、生まれたばかりでまだ目も開かないような状態で捨てられていたのを拾って育てました。今ではすっかり大きくなって、少々メタボ気味ですね。自分で飼っていると飼い主さんとの話もしやすいですし、病気のこと以外にもこういう行動はおかしいんじゃないかと心配されているときに、専門的な知識だけではなく日頃の習性や癖などのお話もできるので、役立っていることも多いですね。毎日色々な動物とふれあっていても、やっぱり自分の家の猫は違うもの。一緒に暮らしていると感情移入もしますから、獣医師の僕もうちの猫たちの前では完全な素人で、冷静に考えれば何でもないようなことでも心配になってしまったりします。そういう意味では僕も一飼い主なので、ちょっとしたことでも不安になる気持ちはよくわかります。動物を飼うと新たな自分を発見できることも。僕も飼うまでは猫に話しかける自分とか、考えられませんでしたから(笑)。

動物も人も好き。夢は24時間対応の動物病院

先生が獣医師をめざした理由は何でしたか?

昔から動物が好きだったので、獣医師をめざしたのは僕にとっては自然なことでした。父が昔、獣医師になりたかったという話を少し聞いたことがあったので、その影響もあるかもしれません。獣医学部に入ってからは基礎研究に興味を持ち、遺伝子や蛋白の解析をしていましたが、実際に研究か臨床かどちらの道に進むかと悩んだ末、僕は動物はもちろんですが人も好きなので、人と接しながら動物のことを考えていける仕事ということで臨床の道を選びました。実際に臨床の現場に出てみると、大学でやってきた基礎研究とのギャップに初めは苦労しました。臨床の現場、特に救急の現場では尚更ですが、具体的なことが次々に要求されます。理論的なことももちろん大切ですが、目の前で苦しんでいる動物に実際にどんな処置をするべきなのか、理想的な検査、処置は全て可能な状況なのか、可能でないとすれば、その優先順位はどうなのか、というようなことを先輩の治療を見ながら学んできましたし、動物から教わる部分も多かったですね。

先生ご自身の夢や今後のクリニックの展望を教えてください。

僕自身の夢は病院を24時間対応にすることです。現在常勤は僕一人なので今すぐにというのは難しいですが、徐々にスタッフを増やすことで無理のないシフトを組めるようにし、少しずつ診療時間を延ばしていきたいですね。昼間の病院と夜間病院の分業が進んでいますが、できればかかりつけの病院で診てほしいという飼い主さんも多いと思います。かかりつけ病院にはこれまで何度も診察した担当獣医師がいますし、検査データも蓄積されているわけですから。24時間対応の病院ができれば、飼い主さんも安心できると思いますね。また、このクリニックの非常勤獣医師は二人とも僕の同期で臨床経験は同じなのですがそれぞれ得意分野が違うので、話しているととても勉強になります。開業するとどうしてもディスカッションの機会が減りますし、セミナー等への参加もなかなかできなくなりますので、同期の獣医師が定期的に来てくれることは大変良い刺激になっています。お互いに情報を共有しながら、知識面、技術面共にレベルアップしていきたいですね。当院の方針である「夜間対応」、「目の前での処置」、「飼い主さんとの知識の共有」は今後も徹底し、地域の皆様に安心をお届けできるような、信頼される病院を目指します。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

地域の動物と飼い主さんに安心を届けたいというのが当院の理念であり、僕の生きがいだと思っています。どんなに小さな疑問でも構いませんので、気になることがあれば何でも聞いてください。僕は動物も人も好きなので、治療とは関係ない話でも飼い主さんとコミュニケーションが取れること自体がとても嬉しいです。診療時間外でも電話は僕の携帯電話に転送されるので、救急の場合はいつでもご連絡ください。こんなことで電話していいのかな?こんな軽い症状でもいいのかな?と躊躇されるかもしれませんが、飼い主さんが救急だと思ったときが救急です。動物の状態がいつもと違うことに飼い主さんが不安を感じた、そのこと自体が救急なんです。飼い主さんの不安を解消するのも僕たち獣医師の重要な責務ですから、お電話をいただければ可能な限り対応していきます。地域に根差した動物病院として、人と動物の福祉の向上に貢献できれば幸いです。

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