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伊地知 功史 院長の独自取材記事

かわさき もみの木動物病院

(川崎市高津区/梶が谷駅)

最終更新日: 2023/01/22

高津区内の静かな住宅地の一角にある、もみの木と動物の絵が描かれた看板が目印の「かわさきもみの木動物病院」。伊地知功史(いじち・かつし)院長が2000年に開設したイヌ、ネコを専門とするクリニックだ。“ムツゴロウ”に憧れて北海道で獣医学を学んだ伊地知院長は生物研究者から獣医師へと転向して独立した経歴を持つ。テンポの良い会話で親しみやすい、気さくなドクターだ。「健康な体作りは毎日の食事から」をモットーにペットの手作りフードを推奨し、犬種や症状に合わせた食餌療法に力を入れているのが特徴だ。さらにホメオパシーなどの代替医療を取り入れ、個々の動物たちの体に適した診療を行っている。「動物たちの治ろうとする力を引き出して生命力を高めることが目標」という伊地知院長に獣医師になるまでの経緯や食事療法、今後力を入れていきたいという代替医療など興味深い話をたっぷりと伺った。 (取材日2012年2月21日)

「動物の命を生かしたい」と生物研究者から獣医師の道へ

獣医師を志したきっかけを聞かせてください。

私は山口県に生まれ、高校卒業まで広島県で過ごしていました。獣医学の分野に進もうと決めたのは高校3年生の大学受験ぎりぎりの頃です。獣医師というよりも研究者になるのが夢でした。中学生の頃に「ムツゴロウ」のあだ名で知られる動物学者の畑正憲さんの書物に感銘を受け、「自分も学者になりたい」と強く思った影響が大きかったですね。高校卒業後は北海道江別市にある酪農学園大学に進学しました。畑さんが動物と暮らしていたのが北海道だったし、当時大学生だった姉から北海道の魅力を聞かされていて以前から憧れていました。北海道の冬はとても厳しかったけれど、大自然に囲まれてのびのびと暮らせましたね。広大な土地にたくさんの動物が飼育されていたので、獣医学を学ぶうえでとても恵まれた環境でした。大学の研究室では牛の白血病ウイルスをテーマに研究に取り組みました。当時は研究者を目指していたので、内科や外科などの臨床に進むことはまったく考えていませんでした。

大学卒業後は民間企業で研究職に就いていたそうですね。

大学卒業後は千葉県にある食品会社に就職して、ヘルペスや帯状疱疹、肝炎ウイルスなどの研究をしていました。会社では医師や薬剤師などさまざまなバックボーンを持つ方と共同で研究を行っていましたが、感心させられたのは、医師の場合は基礎研究と共に臨床が行えることです。獣医療では基礎研究と臨床のいずれかを専門とすることが多いので、私自身も獣医師免許を持っているけれど、動物を診療することはできなかったのです。それに気付いてからは、「獣医師であるのに臨床ができないのはおかしいのではないか」と思い始めるようになりました。また研究ではたくさんの動物実験を行い、実験後の動物たちも「処分」しなければならないのです。実験を続けていくうちに、動物たちの命を生かすはずの獣医師が逆に命を奪っていることに矛盾を感じるようになっていました。そうしているうちに、「せっかく獣医師の資格を持っているのなら、動物たちの命を生かすことがしたい」という気持ちが芽生えてきて。それで会社を退職して獣医師になる決意をしました。その後の3年間は千葉県内の動物病院で臨床経験を積みましたが、ゼロからのスタートで本当に苦労しましたね。でも、今思えばサラリーマンを経験してから獣医療の世界に足を踏み入れてよかったと思います。一つの病院だけに勤めていたら、視野が狭くなって考えが偏りがちだし、院長は病院の経営者でもあります。企業に勤めた経験があると、経営者の厳しさというものが多少はわかります。また人間関係でも柔軟に折り合いを付けることができますから、その点でも会社員としての経験が役に立つことが多いと感じますね。

今ではすっかりこちらの地域にも定着されたのでしょうね。

開業して12年目になりますが、この辺りは都心に近いながら、のどかな雰囲気があって生活がしやすいですね。動物を飼っている方も多く、なかでも小型犬を飼っている方が多いようです。皆さんペットをたいへんかわいがって大切にされていますよ。ご近所で通っていただいているオーナー様も多いですが、八王子や横浜など遠方から足を運ばれる方もいらっしゃいます。当院では混合ワクチンの接種を3年に1回としているので、ワクチンに抵抗があるオーナー様が来られます。またホメオパシーなどの代替医療にも力を入れているので、代替医療に関心の高い方も多くいらっしゃいます。来院するペットたちの症例は皮膚病や消化器疾患、腫瘍などが多いですね。昔に比べるとアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患もかなり増えてきているようです。これらは普段の生活習慣から改善していくことが大切ですね。

健康な体は良い食べ物から。手作りフードでペットの健康を保つ

こちらでは食餌療法に力を入れているとお聞きしました。

病気の大半は生活習慣から起因して起こると考えています。では動物にとっての生活習慣とはなんだろうと考えたら、食事だと思うのです。ですから日頃から良いものを食べさせてあげることが非常に大切です。だからと言って特別な食べ物を与える必要はありません。極端なことを言えば、普段、ご家庭で食べている食事の残り物でいいのです。昔から動物と人間とは生活を共にしてきたものですから、それで問題はないはずなのです。でも小さい頃からドックフードを食べさせて、それがたまたまその子の体質にあっていなかったら、年を取った時にさまざまな病気になる恐れがあります。ドックフードはおいしくて見栄えがよく、日持ちするように作られていますので、保存料や着色料、防腐剤などさまざまな添加物が混入されているものがほとんどです。たまに食べるのならいいですが、毎日そればかり食べていたら体にも影響が出てきますよね。食べ物で体が作られるわけですから、良い物を食べていたら健康な体が作られるし、悪い物を食べていたら健康を害してしまうのは当然のこと。オーナー様にもそれらのご説明を通じて、ペットたちの毎日の食事について見直していただいています。手作りの場合には、犬種や性格、それぞれの症状に合わせた食材選びや栄養バランスなどを考慮して、専門スタッフが個別指導を行っています。また忙しくて手作りができない方には当院でお勧めの食事をご紹介しているので、上手に利用していただきたいですね。食事の違いは年を取れば取るほど顕著に現れるものです。14歳の老犬で、ドッグフードと手作りの食事を食べている子では、明らかに動き方が違うし、毛のつやが全然違います。大切なペットたちがいつまでも健康でいられるように、日頃の食事を見直していただきたいですね。

代替医療も積極的に取り入れているそうですね。

当院では従来の西洋医療にさまざまな代替療法を組み合わせて、個々にもっとも適した治療を行うことを心がけています。具体的には、動物たちの回復力を底上げするためにサプリメントを使用したり、ホメオパシーという療法を用いた排毒や治療などを行っています。このホメオパシーは「西洋の漢方薬」とご説明することが多いのですが、レメディーと呼ばれる治療薬を処方して症状を回復させていく療法です。この療法では、体に負担がかからないので安心して治療を受けていただけるのと、さまざまな症状に合わせてよりきめ細やかな治療が行えるのが良いところです。ただ、それぞれの動物たちの体の状態をじっくりと見極めて治療を行っていく必要があるので、診療に時間がかかってしまうのが課題ですね。今後はさらに代替医療に力を入れていくことを計画しているので、木曜日は完全予約制とさせていただいています。

診療におけるモットーを聞かせてください。

生物は元来、自分自身で治す力を持っています。われわれ医療従事者は病気を治すのではなく、その子が持っている「治ろうとする力」を引き出して、その手助けをしているのです。動物たちの「治ろうとする力」を引き出して、いかに生命力を高めていってあげられるか。そして障害となっているものをしっかりと取り除いていくということを常に意識して診療に臨んでいます。その方法は排毒であったり、食べ物であったり、個々の動物によってさまざまです。生き物ですから、いつか命が尽きることは仕方がないことです。それでも病気で苦しんで亡くなるのではなく、その子の生命力を尊重して、命が燃え尽きるまでより良く生かしてあげられるような医療を提供していくことが一番の目標です。

代替医療を中心に動物の生命力を引き出す医療を目指していきたい

こちらではさまざまなセミナーを開催しているとか。

毎月1回、手作りフードの勉強会や実習を中心にさまざまなセミナーを開催しています。減量のための食餌セミナーやペットマッサージなどのオリジナルな内容も多くて、オーナー様にも好評をいただいています。毎週火曜日には専門の獣医師による子犬の社会性を身に付けるための「パピー教室」も開催しています。生後2ヶ月から5ヶ月の間に社会性を身に付けるトレーニングを行うことで、将来、無駄吠えや噛みぐせなどの問題行動を起こさずにご家族と良い関係を築くことができます。オーナー様にはイベントを活用して、ペットと共により良い生活を送っていくためのヒントを学んでいただきたいですね。またセミナーはペットについての疑問や悩みなど、オーナー様の生の声を聞くことができるので、われわれにとっても有意義な場なのです。今後も皆さんに喜んでいただけるようなイベントを企画していきたいと考えています。

仕事以外で楽しんでいる趣味はありますか。

3年ほど前に「ジャンベ」というアフリカの太鼓の生演奏を聞く機会があり、その音の迫力に震えるほどの感動を覚えてすっかり魅了されてしまいました。それからジャンベを習い始めましたが、これがなかなか難しくて。自分のなかのリズムに合わせて太鼓を叩くのですが、単純な作りなのにいろんな表現ができます。まだまだ満足には演奏できませんが、叩いているだけでも楽しいです。仕事の後に診療所で練習していることもあります。試しに動物たちの前で演奏してみたら、じっと静かに聞いてくれました。きっと不快な音ではないから聞いてくれたのでしょうね。いつか上手く演奏できようになったら、溝の口駅前でストリートパフォーマンスをするのが夢です。

今後の展望を聞かせてください。

現在は西洋医療が治療の中心になっていますが、将来的には代替医療をメインに据えた動物医療を展開していきたいと考えています。そのためには代替医療とはどのようなものか、オーナー様に積極的にアピールして理解を広めていく必要があります。今後はセミナーなども開いて、代替医療について知識を深めていただけるように努めていきたいと考えています。それらを通じて、体に無理や負担をかけずに動物たちの生命力を引き出していけるような医療の実現を目指していきたいですね。

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