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九鬼正己 院長の独自取材記事

JOY動物病院

(世田谷区/奥沢駅)

最終更新日: 2023/01/22

東急目黒線奥沢駅から徒歩5分、東急東横線田園調布駅 から徒歩7分の世田谷区東玉川の住宅地にある「JOY動物病院」。玄関先に並ぶ色とりどりの草花が植えられたプランターや木目調のドアなど、一見病院というよりも隠れ家風のカフェのよう。院内の待合室も家庭のリビングでくつろいでいるような居心地のよさだ。院長の九鬼正己先生はこの病院を犬や猫たちの憩いの場であり彼らと一緒に暮らす家族が自由に集える場所にしたいと考えている。その思いから、病気の治療はもちろんのこと、動物と一緒に暮らしたいと思った時から家族として最後を看取った後の精神的なケアまで、トータルでサポートできるホームドクターをめざしご活躍の毎日だ。そんな九鬼先生に、診療モットーや印象に残っている出来事、獣医師になった理由などたっぷりと語っていただいた。 (取材日2012年7月2日)

「人間と動物の絆」を守るホームドクターをめざして

なぜこの地に開業されたのですか?

私の住まいが奥沢にあり開業前からこの辺りの土地柄はよく知っていました。すぐ近くに多摩川が流れ自然がいっぱいでワンちゃんやネコちゃんが暮らすにはよい環境だと思っていたので「こんな場所で開業できたらいいな」と考えていたところ、この場所を見つけました。同じ獣医師である妻の実家が川崎市にあり、実家が近いことも魅力でした。近ければ安心して仕事ができると思ったのもこの地を選んだ理由の一つです。そこで、2009年3月に「JOY動物病院」を開業しました。院名はいろいろ悩んだのですが、「JOY」という言葉の響きがよく覚えやすい点や「祝福」「よろこび」といった意味も気に入ったので採用しました。開業前に勤めていた都心の動物病院に比べ、住宅地であるこの辺りではホームドクター的役割が大きく、私の提供したい獣医療に合っていると感じています。実際に来られている患者さんは、ご近所にお住まいの方や近隣の大田区、目黒区、川崎市などから来られる方のほか、妻が以前勤めていた久我山からわざわざ来てくださる方もいます。また、なかにはホームページの情報をもとに遠方から来られる患者さんもいらっしゃいますね。

日々の診療において、大切にされていることはなんですか?

動物と一緒に暮らすご家族の方が不安なく暮らせるようにお手伝いし、社会に貢献することを根本的理念とし日々診療にあたっています。私たち人間が犬や猫と生活し、病気になれば心から心配して病院に連れて行くのは「ヒューマンアニマルボンド」つまり「人間と動物の絆」があるからです。そしてその「絆」を守るために獣医師の仕事があると思っています。獣医療は人間の小児科と似ています。言葉を話せない赤ちゃんに「どうしたの?どこがいたいの?」と聞いても答えられないのと同じで、動物も話をすることはできませんからご家族とのコミュニケーションが大切になってきます。この子たちとどんな生活をしていて、どんな思いをされているのか、家族構成、バックグラウンド、お仕事などを一通り聞いて状況を把握してから治療方針を決めていきます。最初のコンタクトでどれだけ御家族のバックグラウンドについて知ることができるかが重要ですね。患者さんの考え方は十人十色で皆さんご自身の育て方が正しいと思って動物に接していますから、例えその方法が間違っていたとしても私たち獣医師の理念や理想を押し付けるわけにはいきません。コミュニケーションスキルを持って説明することでご理解いただき、正しい方向に導くことが大切だと考えています。

今までの獣医師生活で印象に残っていることはありますか?

前職では外国人の患者さんも多く価値観の違いを目の当たりにしたことです。特に日本人と欧米人とは宗教観も価値観も倫理観もここまで違うのかと衝撃を受けましたね。当然動物に対する考え方も全く違います。例えばワンちゃんに末期がんが発覚した時、日本人だったら「最後までがんばってできる限りのことをしたい」と言うご家族がほとんどですが、欧米人は即、安楽死を選びます。「つらい闘病生活でこの子が苦しむくらいなら、今、楽にしてやってほしい」という考え方なのです。もちろん彼らも簡単に言っているわけではなく、彼らの価値観での愛情による選択です。ほかにも本国に帰ることになったご家族の方が「この子を連れて帰ることはできない。だけど、この子は私たち以外の人間と暮らすことを望んでいないので処分してほしい」と言われたことがありました。日本人の感覚では「はい、わかりました」とは言えないですよね。これも明らかに価値観の違いで言い争っても折り合いはつきません。結局は引き取ることになりますが、一緒に暮らしてみると仲良く生活できなんの問題もありません。価値観は数学や物理のように答えが一つではないので、獣医療に限らず世界の人々と一緒にやっていくのは本当に難しいことだと実感しましたね。

動物との生活を思いたったときから墓場の後までサポート

社会貢献を実感したエピソードを教えてください。

あるお嬢さんが小さいときから育ててきたビーグル犬が血管肉腫という悪性の病気になりました。早期発見だったのでまずは腫瘍を取る手術をし、転移の可能性も考え延命効果のある抗がん剤治療も始めました。同じ頃、このお嬢さんのおじいちゃんががんを煩っていたのですが、もう先は長くないだろうし痛い思いをするのは嫌だからと積極的に治療に取り組む気にはなれなかったそうです。しかしおじいちゃんは、孫の愛犬が一生懸命に病気と闘っている姿を見て、自分も病気に立ち向かって行く決心をし、二人三脚でがんばることができたという話をご家族から聞きました。その後、おじいちゃんもワンちゃんも亡くなったのですが、ご家族はとても満足されていました。これも社会貢献の一つなのかなと思いますね。一度は治療をあきらめていたおじいちゃんに病気と向き合うきっかけを作れたことを大変うれしく感じますし、僕だけではなくスタッフ全員の励みになる出来事でしたね。

動物と一緒に暮らしたい方のために無料相談を行っているそうですね。

動物たちと一緒に生活しようと思った時に、ほとんどの場合はブリーダーのところやペットショップへ行って購入し、ワクチンを打つ時期になって初めて動物病院に足を踏み入れます。これは別に間違った方法ではありませんが、本当は動物と一緒に生活したいと思い立った時に動物病院に来ていただきたいのです。家族構成、家の広さ、住環境、仕事、ライフスタイルなどトータルで判断し生活環境にあった動物を紹介させていただきます。流行の犬種を購入してみたけれど、誰も世話をしないことで問題行動が多くなりお互いに不幸になってしまってからでは遅いですからね。欧米では動物と暮らす前には必ずブリーダーやシェルターのところへ行って、家族全員で審査を受け、動物と共に生活をするのに適した環境だと判断された場合のみ一緒に暮らすことができます。こういった考え方は日本ではまだ浸透していませんが、少しずつご相談に来られる方が増えています。動物が病気の時だけ訪れる場所だという動物病院の固定観念を捨て、ぜひ、これから一緒に生活したいとお考えの方にも足を運んでいただきたいですね。

在宅医療にも積極的に取り組まれているとお聞きしました。

人間も病気になり入院すると早く家にかえりたいと思いますよね。犬や猫は理屈で考えず感性で捉えているので、人間が思う以上にいろいろなことをストレートに感じています。だからこそ、居心地のよい家族のもとで少しでも長く生活することでストレスなく終末期を過ごすことができるのです。家で過ごすより病院で看護したほうが明らかに効果的であれば入院を優先するようにお伝えしますが、そうでなければ、貴重な時間をご家族と一緒に過ごすことをお勧めします。これは動物だけではなくご家族のメンタル面においても有益なことで、最後まできちんと看取り後悔のない時間を過ごすことが、動物が亡くなってしまった後の人間の感情を落ち着かせることでペットロスの軽減化につながります。だからこそ、在宅医療は選択肢の一つとしてご提案していきたいと思っています。

散歩の途中にふらりと立ち寄りくつろげるサロンのような存在に

ところで、どんなきっかけで獣医師の道を選ばれたのですか?

昔から、数学、物理、化学などいわゆる理科系の教科が得意でした。小さいときから医師が主人公の漫画や物語、生物学の本などに影響を受け医療の世界に憧れてはいましたが、具体的に獣医師になりたいとは思っていませんでした。しかし、獣医学部に縁があって入学したことを私の叔父に報告したところ「獣医師という仕事は資格があって社会貢献ができ、かつ、一生涯勉強し定年もなく安定しているから進むべき道としては悪くないぞ」と言われて。「なるほど、それもそうだな」と思いましたね。叔父は戦時中に従軍しており、当時の獣医師が軍馬を人馬一体の精神で育てている姿を知っていたからこそ、崇高な仕事だと僕に教えてくれたのでしょう。臨床の現場を経験するうちに数多くの人や動物との出会いがあり、こんなにおもしろい仕事はないと感じました。獣医師という道を選んでよかったかどうかはまだわかりませんが、少なくとも、自分が出会った方の人生になんらかの影響を与えているという実感があるので、人の本懐とでも言うのでしょうか、本望だと思いますね。

今後の医院の取り組みや展望についてお聞かせください。

医学の世界はめまぐるしく変化していきます。これからも常にさまざまな情報を入手し、患者さんに還元していきたいですね。末期がんなどで手の打ちようが限られて来たときこそ、選択肢がたくさんあることが希望につながります。数年前まではメジャーではなかったオゾン療法をはじめ代替療法などにも積極的に取り組んでいきたいと思っています。いわゆる型にはまった医療だけではなく新しいものを提示できるように努力していきたいです。僕自身は大学を卒業してから20年以上になるので、本音を言うと楽しくやっていきたいと思っています。獣医師の仕事はものすごくハードワークですが、それでも辞めようと思わないのはいろいろな意味で快感を得られるからです。社会貢献をするためには自分が倒れるわけにはいきません。今はまだオーバーワークも可能かもしれませんが、行く行くはゆったりとおおらかな医療を提供していきたいですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

動物病院は敷居が高いとお考えの方も多いと思いますが、本当にちょっとした相談でも足を運んでほしいと思います。病気じゃなくても散歩の途中で立ち寄って遊んで帰るサロンのような存在として考えていただければいいですね。うれしいことに散歩中にこの病院の前を通らないと気が済まないワンちゃんがいるんですよ。前まで来たら中に入って遊びたくなっちゃって必ず立ち寄ってくれます(笑)。こんなふうに普段から動物病院に足を運び楽しい場所だと感じてくれれば、病気になって病院にかかることになってもこわがったりいやがったりせず結果的に動物やご家族のためになります。また、今動物が身近にいない方にはぜひ動物と一緒に暮らすことをお勧めしたいです。子どもにとって動物は遊び相手であり相談相手にもなります。大人にとっては無条件にかわいい存在となりあらゆる局面で助けられることでしょう。そして最後は自らの死をもって命の尊厳を教えてくれます。最後を看取る時はこの上なくつらいかもしれませんが、やがてその経験が残された人間にとっての糧となります。人生のどのタイミングでもいいので、生活スタイルに合わせて動物との生活を始めていただきたいですね。きっと人生の幅が広がりさまざまな影響を与えられることでしょう。人間が今まで動物と暮らすことを望み癒されていると感じてきたように、動物も心地よいと感じ人間と一緒にいたいと思っているはずです。私たち獣医師はそんな人間と動物の見えない絆を守りサポートするために存在しているのです。

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