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新井 弦 院長の独自取材記事

はる動物病院

(横浜市港北区/新羽駅)

最終更新日: 2023/01/22

訪れたのは12月。クリスマスツリーが飾られた待合室にはゆったりしたソファが置かれ、何とも居心地のよい雰囲気の「はる動物病院」。専門性・高度化が進む動物医療の中で、町の動物病院にできるプライマリケアの意味をとてもわかりやすく教えてくださったのは新井弦院長。一方で高度医療にも詳しい獣医師さんだ。「ペットにとって私はいい飼い主だろうか?」そんな疑問をもつ飼い主さんにも、院長の答は明確で心にしみる。ご家族の話もフランクにお話ししてくださった。ブルーライン新羽駅からほど近く、県道13号沿いに面した動物病院と、「診療に時間をかけすぎるのが僕の癖」と笑うユーモアあふれる獣医師さんを取材した。(取材日2010年12月13日)

院内も、そしてドクターも。病院的ではなく家庭的な雰囲気の動物病院

まずは先生が獣医師を目指した理由を教えてください。

まあ、そんな質問が来るのかなと思ってました(笑)。僕は小さいころ、医者になろうと思った時期があるのですが、高校時代に天文同好会と生物部の両方に入っていて、どちらも野外での観察で学外に出る機会が多くそのころから山登りが好きになりました。生物部では野鳥の観察などをしてましたが、僕はそれよりもニワトリの世話をしたかったんだと思います。その高校にはニワトリ小屋があって、ある日、ニワトリたちが犬に襲われる事件が起きました。そこでまだ息のあったニワトリを近くの動物病院に連れていったのが、獣医師という仕事との初めての出会いでした。もともと「なおす」という行為に興味があって、機械を直すことも好きでした。でもその出会いによって病気を「治す」、その対象も人間ではなく動物へと変わっていきました。当時、家にも月子という名の犬がいて、この子は18年間生きたんですよ。ただし犬を飼ってはいたものの、あまり動物病院に行くことはありませんでした。これは僕の親の考え方でもあったんでしょうね。

先生は、北海道での生活も長かったそうですね。

麻布大学獣医学部卒業後、北海道の動物病院に勤務しました。北海道の動物病院というと牛や馬をたくさん診ているイメージを持たれるかもしれませんが、僕が診察していたのは犬や猫などのペットです。最近某CMで知られる北海道犬、別名アイヌ犬も診ましたし、サモエドなどかなりの大型犬もいましたね。こんな風にお話しすると、北海道は家も大きいからだと誤解されそうですが、みんながみんな牧場のような家に住んでおられるわけではありませんからね。先入観は禁物です(笑)。ただ個人的な経験としては、北海道の猫はこの辺の猫よりも二回りほど大きかったなあ。病院に車に轢かれたエゾシカが運ばれてきたこともあります。北海道の動物病院には5年間勤務し、こちらに戻ってきてからは開院の準備もかねて1年間他の動物病院でお世話になり、そして2004年に開院しました。

受付にとてもカラフルで美味しそうなお菓子が置いてありましたが。

あれは犬用のボーロです。うちの子も食べてますけどね(笑)。ここを開院する際に、あまり病院らしくない雰囲気にしようと思いました。そんなに特別にこだわったわけではありませんが、自分なりの動物病院をつくったらこうなったという話です。ここでは犬と猫で入院施設を分けています。猫舎は完全に仕切られた空間にしており、神経質な子にも安心です。犬と猫では温度管理も違ってきます。犬には涼しくても猫には寒すぎる場合もありますからね。この新羽というエリアには動物病院が他になくて、けれど工場、農家、マンション、住宅街が混在した地域で、横浜では珍しく下町や田舎の雰囲気があるところです。やはり必要とされる場所で動物医療に携わりたいと考えました。ここには犬・猫・ウサギ、そしてハムスターがよく来ますが、他院に比べて猫の割合が多いかもしれません。ときおり猫を得意としない先生もおられるので、わざわざここに来られる猫の飼い主さんもおられます。当院にも桜子という猫がいます。学生時代に大学の病院で生まれた子です。

プライマリケアのための動物病院と、高度医療のための動物病院

こちらの動物病院の特色はどのような点ですか?

当院のコンセプトとしてHealth(健康)、Amusement(楽しみ)、Relaxation(くつろぎ)、Unison(調和)を掲げており、それぞれの頭文字を繋げると「HARU」になります。今、動物病院には大きく2種類あると考えていて、一つは最新の高度医療を行う最先端の動物病院。そしてもう一つは当院のように、町の中で一人の獣医師が開いているプライマリケアのための動物病院。プライマリケアということは、末期医療・緩和治療などのターミナルケアも仕事の一つになります。人間の場合でも、いわゆる町医者と呼ばれるお医者さんがいて、最新治療は行わないけれど、患者さんの話をじっくり聞いて、そして誰しも年老いたら体が悪くなっていくことを当然のこととして受け止め、押し付けでない患者さんの望む治療を行っておられると考えます。僕もそうです。自分でも「時間かけ過ぎかな」と思うほど、一件一件の診察に時間をかけています。そしてちょっときつい言い方のときもあるかもしれませんが、飼い主さんの混乱を避けるためにも的を射た発言しかしません。地元に密着したプライマリケア。そういうことが当院のなすべき役割なんでしょうね。

一方で先生は、先進の高度医療・二次診療にも造詣が深いと聞きましたが。

動物二次診療を行う横浜夜間動物病院の運営にも携わっています。横浜夜間動物病院は、50以上の動物病院が協力し合って、一つの動物病院では規模的にも資金面でも難しいハイレベルな高度医療を行える設備を設けています。CTも撮ることができ、がんを発見できる子もいれば、ダックスフントなどの小型犬に起こりがちなヘルニアなども細かく診断できます。今までは開腹手術をして発見するしかなかったのが、CTという便利な道具を使うことで、ペットの体を傷つけずに病気を診断できるようになりました。これからの動物医療は、当院のようなプライマリケアを受け持つ動物病院と、専門性を高めた高度医療を行う動物病院との連携がより強く求められるでしょう。また二次診療の病院に行けばそれですべて終わりというわけではありません。治療の継続が必要なペットもおり、そのようなフォローも町の小さな動物病院の仕事です。

飼い主さんたちにとって、治療の選択肢はたくさんあるわけですね。

ただ一つ言っておきたいのは、お金のかかる最先端医療をペットに施すことが、すなわちペットに愛情をかけているわけでもないと思います。最初から高度医療を希望する飼い主さんも、また当院のような小さな動物病院にペットを連れてくる飼い主さんも、どちらも心底心配してペットを動物病院に連れて行くわけだから、それで十分ペットのことを大事にしているんですよ。よくペットロスの問題が話題になりますが、仮に短い寿命で旅立っていった犬や猫がいたとしても、その子たちが生きている間、飼い主さんに可愛がってもらっていたなら、「なんで僕はこんな短い一生なの?」などとは絶対に考えていません。きっとどの子も自分の死を静かに受け入れているんじゃないかなあ。きっとペットは感謝してくれているはずです。

よりトータルな視点からの動物医療

こちらに、ちょっと変わった自転車が置いてありますが。

それはビーチクルーザーです。といっても全然ビーチを走ってはいませんが。趣味が乗り物全般で、自転車だけでなく車もバイクも好きなんですよ。ただし休日らしい休日がなくて、なかなかドライブなどは楽しめていません。うちには2人の子どもがいて、下の子が男の子なんですが、やっぱり乗り物には興味を示します。最近はミニカーに興味を示さない子がいるらしくてさみしい限りなんですが、うちの子はどうやら乗り物好きのようでよかったです。

ところで先生に、お父様の話を少し聞いてもよろしいでしょうか?

そうですね。以前は、父のことが前面に立ってしまうことを避けていましたが、僕が獣医師として認められるようになりましたから、少しはお話しできると思います。僕の父は芥川賞作家の新井満です。最近では「千の風になって」の訳詩者として話題になりました。僕が中学の頃から父は有名になり、どうしても作家・新井満の息子という見方をされてきました。なので、普通でいたい、目立ちたくない、と思った時期もあります。しかし高校生になって、僕自身の色を出していくことが、そんな気持ちを打ち消せるのかもと考えるようになりました。わざわざ北海道の動物病院を選んだのも、そのような思いからでしたし、実際に、獣医師として仕事の面で僕を認めてくれる人が増えてきました。冒頭で、月子という名の犬の話をしましたが、この月子が父と僕の関係に大きな位置を占めます。18年も生きたので、最期は歯も抜けてもうボロボロ。そんな月子の容体について、一人の獣医師として父たちに助言しました。父は僕の意見をプロの意見として聞いてくれました。ずっと父と違うポジションで頑張りたいと思ってきたわけですから、そのような暗黙の認識はうれしかったです。でも昔も今も、あちこちで「君も小説書かないの?」と言われてますがね(笑)。

先生の今後の夢は?

たくさんあります。まずは動物医療について、ただ一介の獣医師としてだけではなく、もっとトータルな面からよりよいサービスを行いたいということ。そして診療のモットーを貫きつつ、この動物病院での診療を続けていくこと。そして僕自身が健康であること。だって今僕が倒れてしまったら、一番困るのは飼い主さんとそのペットたちですからね。こちらの病院も、そして携わっている夜間病院も、どちらも飼い主さんが安心して任せられる動物病院でなければいけません。そのためにも頑張らなくては。遠い将来のことはまだはっきりわかりませんが、僕はリタイアとかは考えてないんですよ。体力的に今と同じような診療が難しくなったら、その後は、現在も行っているように飼い主さんたちとたくさんお話ししながら、その中で自分にできる診療を行っていきたいです。学生時代、恩師から「君は将来、獣医師をやってないだろう」と言われましたが、獣医師という仕事にとらわれないという意味だと勝手に解釈しています。

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