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南 毅生 院長の独自取材記事

ベイサイド・アニマル・クリニック

(横浜市神奈川区/神奈川駅)

最終更新日: 2023/01/22

CTにMRI、リハビリテーション機器。これら先進の機器が並んでいるのは、人間ではなく"動物のお医者さん"。「ベイサイドアニマルクリニック」は、最先端の高度医療に取り組んでいる動物病院だ。雑誌やTVなど各メディアでもたびたび紹介される南毅生院長。竹を割ったような人柄で、歯に衣着せぬ言葉が心強い。ちょうど取材前日まで放映されていた、獣医師のTVドラマの主人公のようだと話すと、「妻からも、あなたと同じこと言ってるわね、と言われてましたよ」と屈託なく笑う。最新の高度医療、ペットのリハビリ、ネットで獣医師に向けたオペのライブ中継、専門医認定制度への働きかけ……とにかく精力的に走り回っている院長。ペットの飼い主さんには、ぜひとも知っておいてもらいたい獣医師さんだ。(取材日2010年12月21日)

ペットのリハビリも! 最先端の高度医療アニマルクリニック

CTにMRI……。まるで人間の病院のような設備が並んでますね。

ここは高度医療のための設備とスタッフをそろえた動物病院です。関東地方の動物病院の二次診療も受け付けています。院内にはCT検査装置、MRI検査装置、がんを切らずに治療するための放射線装置、超音波診断装置、さらに内視鏡や腹腔鏡など他にもさまざまな最新の設備を用意しています。ペットのリハビリテーションにも積極的に取り組んでいます。ここには米国テネシー大学で犬のリハビリ専門資格を取得した獣医師がおり、おそらく現在、リハビリの専門資格を持つ獣医師は、日本で彼一人だけだと思います。なので水中歩行器などのリハビリテーション機器も備えています。獣医師とスタッフの数もグループ全体で50名以上います。もちろん一般の診療も行っています。一般診療についてはとくに予約は必要ありません。愛犬や愛猫の具合がおかしいなと思ったら、気軽に来ていただいて結構ですよ。

動物病院に放射線治療装置を導入したのは、先生が"日本初"だと聞きましたが。

15年ぐらい前です。放射線治療装置を施設に導入するには放射線取扱主任者第1種という国家試験が必要で、獣医師資格を持つだけでは無理だったんです。そこで何度も何度も文部科学省に足を運び、文部技官と何度も折衝を重ねました。そのとき「なんでペットに放射線治療装置が要るの?」と言われました。「ああ、これが日本の動物医療の現状なんだ」とショックを受けました。でも現在では関東の動物病院で5箇所が放射線治療装置を導入しています。ねらって行っているわけではありませんが、気が付くと「日本初」とか「日本で唯一」という仕事が多いように感じます。ちょうど今月からは、ネット回線を使って、オペの様子を全国の獣医師にライブ中継する活動も行います。これは僕も関係している「VMN」という獣医師グループのネットでの卒後教育活動の一環です。このように獣医師同士が情報交換し、次世代を担う獣医師をどんどん育てていかなければなりませんからね。

ペットのリハビリも、まだまだ知られていませんね。

最近では徐々に扱う病院が増えています。先ほどお話ししたように、ここには犬のリハビリ専門資格を取得した獣医師がいますが、もっとこのような獣医師が増えるべきなんでしょうね。動物医療先進国のアメリカではペットの整形外科専門のクリニックがあり、リハビリだけの専門病院もあります。ちょうど僕がその病院に見学に行ったとき、足が麻痺して歩けない犬がリハビリを受けていました。するとリハビリが終わった直後に歩行が可能になりました。そばにいた飼い主さんが「奇跡だ!」って泣いてましたね。当院はホームページで手術の種類と数を細かく紹介しており、椎間板ヘルニアの手術数もかなり多いです。ミニチュアダックスに多い病気ですが、手術してそれでおしまいというわけではありません。手術後にリハビリが必要な子もいます。人間と同じなんです。回復に半年かかる子もいれば短期間で治る子もおり、ここでリハビリを2回受けただけで歩けるようになった子もいます。今まで人間用のギプスを作ってきた技師さんが、犬用のギプスを作ってくれるようになったり。そんな仲間を増やしつつ、ペットのリハビリテーションを広めていきたいです。

専門性を高めた次世代の獣医師を育てることがミッション

そもそも先生が、ここまでの高度医療を追究されたきっかけは?

僕は日本の獣医大学を卒業した後、ニューヨークの動物病院に8年間いました。そこは世界で一番大きな動物病院でスタッフ数は400人以上。しかも細かく専門分野に分かれており、皮膚、心臓、血液、病理、歯にいたるまで、それぞれの専門科目に経験豊かな専門医が充実していました。そして日本に帰国したのが今から20年ほど前。それはものすごいギャップでしたよ。でもそのショックが、ここまで頑張るきっかけになったのかなあ。もう一つ、頑張ってこられた理由があります。僕はニューヨーク時代、素晴らしいドクターたちから、貴重な知識や経験を与えてもらいました。アメリカの良いところに、「教育を受けた者は、教育をしていく義務がある」という考えがあります。僕はアメリカで、当時、日本の獣医師が誰も知らなかったことをたくさん教えてもらいました。そして今度は僕がそれを教えていく順番だと。ここは若い獣医師たちを育てる場にもなっています。確かに最新の医療機器はいっぱいありますよ。でも一番大事なのは、教えること。10代20代はとにかく勉強して、30代は世に出てそれを活かし、40代はその仕事のクオリティを問われる。そのように考えています。

専門医認定制度の確立・普及にも、尽力されてますね。

僕は現在「日本獣医がん学会」の獣医腫瘍科認定医(I種・II種)の認定を行ってきました。さっきの「教える」という話題と大きく関係するのですが、日本には人間と同レベルの公的な専門医認定制度が現在なく、それぞれの団体が独自の認定制度を設けています。もちろんそれらの認定制度は厳格な審査のもとで行われていますが、現在はまだ人間のお医者さんのように大きく標榜することができません。なぜ専門医認定制度が遅れてるのと聞かれると、それは専門医を育てる専門医が日本にはいないから、とお答えするしかありません。だからこそ「教える」「育てる」ことが大事です。専門医認定制度の拡充は、飼い主さんの気持ちから始まりましたが、もっとその声を日本全国からあげていきたいです。エキスパートが増えることで助かるのは、動物の命。ペットは自分で勝手に病院に歩いてきて「ここを診てよ」と言わないでしょ(笑)。だからこそ人間が声を上げていかないと。

ところで先生は、なぜ獣医師に?

僕は3代目。祖父が戦争の時に騎馬隊にいて、戦利品として馬をもらったことに始まります。そこで祖父は獣医師の検定試験を受け、牛や豚を診療する仕事に就きました。父の代になっても、最初はやはり牛や豚。でもそのうち「先生、うちの犬を診てくれないか」という人がどんどん増えました。昔の獣医師さんは酪農家の家にいって牛や豚を往診していたので病院は必要なかったのですが、父の代になって病院施設を構えることになりました。今から40年ぐらい前の話です。そして僕が今、最先端の高度医療に携わっています。3代にわたって日本の動物医療の進化も見てきましたね。僕自身、ペットの飼い主です。先天性の心臓疾患を持ったウェスティーを飼っていました。アメリカで心臓外科の名医に診てもらいましたが、回復は難しいと言われました。でも一緒に日本に帰ってきて、最終的に10年も生きてくれました。この子に限らず、僕が飼い主として出会う子たちは、僕にとって大事な教科書です。

問われるのは、ペットを救うための"クオリティ"

ニューヨーク時代のおもしろいエピソードは?

こわいエピソードならたくさんありますよ(笑)。僕が暮らしていた1980年代のアメリカは犯罪が多くて、地下鉄の落書きもひどかった。座席に座ったらコートにペンキが付いたこともありました。グランド・セントラル駅という、日本でいうなら東京駅のような大きなターミナルで、朝の通勤時間帯に殴られて亡くなった人がいて、それを周りの人が知らん顔で通りすぎて行ったというショッキングな事件もありました。そんな大変な時期でしたが、ニューヨークは本当に大好きな街。いろんなことを学べましたからね。僕はマンハッタンのアニマルメディカルセンターにいましたが、アメリカの大学で獣医学を教えているドクターのうち半分は、この病院での勤務を経験しています。マンハッタンに住む有名なセレブのペットや、世界的に知られるアイドル犬やアイドル猫も来ていました。ただ本当に研修はつらかったですよ。勉強しなくちゃならないことばかりで、涙が出るほど大変だった。

ところで先生の率直なお人柄は、今も昔も、日本でも海外でも、ずっと同じなんでしょうね。

僕は言いたことを全部言っちゃう性格だからなあ。先日まで、獣医師を主人公にしたテレビドラマが放映されていたでしょう。その主人公の歯に衣着せぬ言葉を、妻が「これ、あなたと同じこと言ってるじゃない。まずいんじゃないの?」って(笑)。確かにはっきりした言い方だったけど、その主人公は決して間違ったことは言っていません。いつも獣医師をテーマに描かれたドラマや漫画って、どの獣医師も本当に天使みたいないい人ばかり。でもそんな偽善とか建前って、目の前で実際に苦しんでいるペットたちを救うわけじゃない。そもそも僕たち獣医師はボランティアじゃないんだし、目の前で苦しんでいるペットにとって、一番の治療をすることが役割です。問われているのはペットを救うための医療のクオリティなんです。

先生の今後の展望は?

ちょうどこの前、妻とこんな話をしたんですよ。妻も獣医師で、南動物病院グループの「甲南動物病院」の院長です。獣医大学の同級生で18歳の頃から一緒です。そんな妻が今までの僕たちの仕事を振り返って「すごくいい仕事だったね」と言いました。まあ、ほとんどケンカばかりしてるんですけどね(笑)。個人的なプランとしては、60歳ぐらいで第一線を退きたいなあと。その後はボランティア活動するのもいいですね。それまでは獣医師として、今後もクオリティの高い仕事をこなしていくのみです。ペットブームが落ち着いたせいなのか、ペットの登録数は減っています。その分、"質"が問われるのでしょう。今後、専門性を極めた動物医療はますます浸透していくと考えています。

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