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山田和子 院長の独自取材記事

末吉動物病院

(横浜市鶴見区/鶴見駅)

最終更新日: 2023/01/22

おっとりとした女医の山田和子院長が笑顔で迎えてくれる「末吉動物病院」は、こぢんまりとしているがとても温かい雰囲気の病院だ。健康診断や爪切り等のケアが診察の中心で、難しい症例や特殊検査等は、大きい病院を紹介しているという。診察後に家族の愚痴を聞き、人生相談所さながらになってしまうこともあると笑う山田院長。専門医のセミナーに参加したり、今後は犬のしつけを勉強したいと意欲的な山田院長は、休診日も必ず病院に来て、セミナーのテキストを読んだり、カルテのチェックをしたりしているそうだ。野良猫保護のボランティアをしている方にはできるだけ協力したいという山田院長は、自らも保護猫を9頭飼っている。それぞれに個性があり感情があるのでそれを大切にしたいといい、動物と飼い主の気持ちが通じ合うことが、動物の生命力アップにつならると思うと、静かにしかし力強く語ってくれた。 (取材日2012年3月26日)

愛犬をフィラリアで亡くした経験から大学では寄生虫学研究室に在籍

獣医師を志したきっかけを教えてください。

私はひとりっ子で、両親が共働きだったので、ずっと兄弟が欲しかったんです。兄弟が無理なら犬や猫が欲しかったのですが、祖母が動物嫌いでなかなか飼わせてもらえませんでした。小学生の頃、算数が苦手だったのですが、「5」の成績を取れたら犬を飼わせてくれることになったんです。一生懸命勉強して目標達成し、黒い雑種の犬を飼い始めました。でも、当時は病気予防の知識がまったく無かったので、フィラリアになり、苦しみながら死んでいく姿を目の当たりにしました。その時の悲しみや悔しさが、獣医師になりたいと思ったきっかけです。両親ともに教員で、私も幼い頃から教員になれと言われて育ちましたが、中学生の頃にははっきりと獣医師になりたいという意思を持ち、獣医大学を目指して勉強を頑張るようになりました。

待望の獣医大学に入学し、勉強や研究は楽しかったですか?

基礎的な分子生物などの科目にはなかなか興味を持てませんでしたが、内科や寄生虫学等、臨床に近い分野は非常におもしろかったです。以前、フィラリアで愛犬を死なせてしまった経験から、専門は寄生虫学研究室を選びました。卒業後は、結婚して専業主婦をしていた時期もありましたが、何ヵ所かの病院で、勤務医やパートタイマーとして、臨床に携わりました。そして、時代とともに診察方法が変わったり、土地柄によって多い病気が異なったり、獣医師ごとに得意分野が違うということを知りました。30年以上前、一番最初に勤務した病院では院長先生の経験重視の診察で、血液検査すらあまりしませんでしたが、現在は各種検査のデータ重視ですよね。前橋の病院に勤務した時は、ブリーダーの多い地域だったのでブルドッグやペルシャ猫の帝王切開手術が多く、外科手術や採血を間近で見て勉強させてもらいました。ただ、聴診に自信がなかったので、麻布大学の循環器第一外科に研修生として入り、4年間勉強しました。その段階で、すでに50歳近くなっており、50歳を過ぎたら開業する気力体力ともに衰えるのでは、と思い、研修生をしながらこの病院を開業しました。

開業してみて、多い症例などありましたか?

当院は、基本的に爪切りなどのケアが多いのですが、季節の変わり目には胃腸障害が増えるし、最近は皮膚病、ホルモンの病気、高齢動物の認知症も増えています。アレルギー疾患、アトピーも多いです。アレルギー疾患は、原因を調べきれないことも多く、手作り食を勧めてみたり、かゆみを抑える対症療法で様子を見たりしています。アレルゲンを調べる検査はいろいろあるのですが、それにはかなり費用がかかります。当院に初診で来た方に、費用のかかる検査をいろいろ勧める前に、飼い主さんと相談しながら、まずはこの薬、効かなかったらこの薬、というようなかたちで治療をし、ケースにより対応しています。

飼い主さんに笑顔でお帰りいただきたい

開業してからも、循環器の勉強を続けていらしたのですよね。

心音の聴診は自信がつきましたが、心エコーは難しいですね。もし、聴診で異常を感じたら、心臓の専門医を紹介してエコーで診察してもらうことをお勧めしています。また。皮膚科、眼科、麻酔科などは専門医のセミナーを何度か受講しました。そのときのテキストは今でも重宝していますが、動物の病気はテキスト通りに治療できることばかりではありません。そんなときは、セミナーに来ていた他の獣医師の質問や雑談の内容が役立つこともあります。また、当院に来ていた認知症の犬が、他の睡眠薬では効果がないため強い睡眠薬をごく少量処方していたことがあるのですが、麻酔科のセミナーで自分の処方が間違っていなかったことを知り、安心したことがあります。その後は、自信を持ってその薬を処方できるようになりました。

印象に残っている動物や飼い主さんはいらっしゃいますか?

開院当初から来てくれている、現在14歳になる柴犬ですね。最初は目がしばしばして目やにが出る、という症状で来院したのですが、飼い主さんも私も目薬をさすことができないくらい気性のきつい子でした。その次に耳がかゆそうだ、と来院した時は、口輪をして診察することを提案し、了承していただきました。そうしたら、きちんと診察・治療ができるようになり、その後、季節性のアトピーで来院したときも投薬でだいぶよくなりました。最近、以前のアトピーとは異なり、皮膚が黒ずんだり毛が抜けてしまうという皮膚疾患で来院し、検査したら甲状腺のホルモンが低下していることがわかりました。ホルモン剤を処方しましたが改善しません。足先をなめて毛がなくなってしまっていたので、アカラス(毛包虫・ニキビダニ)を疑ったのですが、患部を削って顕微鏡で調べても発見されません。一応弱い駆虫薬を処方し、サプリメントも追加しました。それでも改善せず、悩んだ結果、高齢なので用心しつつ駆虫薬の濃度を上げてみたところ、ようやく毛が生えてきましてね。飼い主さんも喜んでくれて、私もとてもうれしかったです。その犬が元気になってくれたこともうれしかったし、飼い主さんがあきらめずに通い続けてくれたことも大きな喜びとなりました。

診察・治療の際のモットーはありますか?

当院は、飼い主さんに笑顔でお帰りいただく、ということを心がけています。何度も来院されるうち、お子様のこと、ご家庭の愚痴なども話されていく方も多く、人生相談のようになってしまうこともありますが、それで飼い主さんの気持ちが楽になるならいいな、と思っています。また、保護したばかりの野良猫を連れていらした場合も、診察しています。野良猫の保護活動をされている方にはできる限りご協力したいと思っていますので、サンプルのフードをおわけしたりすることもありますよ。

今後は犬のQOL向上のためにしつけの勉強をしたい

休診日はどのように過ごされているのですか?

365日、必ずこの病院に来ています。カルテを書いたり、お預かりの動物の世話をしたり、セミナーのテキストを読んだり……。たまに、親しくなった飼い主さんにパソコンを教えてもらったり、一緒にランチしたりすることもあり、それがよい気分転換になっています。気の合う飼い主さんと仲良くなれる、おつきあいできる、というのも、私の楽しみのひとつなんですよ。

お嬢様も獣医師と伺いましたが、期待されていることはありますか?

娘は他の病院で勤務していています。親子でも考え方が違うところはありますし、私が勉強した頃より獣医学も進化していますから、娘がこの病院の設備に満足するかもわかりません。今後一緒にやっていくかどうかは未定ですが、いい感じでバトンタッチできれば、と思います。娘に望むことは、動物を大切にして、飼い主さんの気持ちがわかる獣医師になってほしいということと、何かひとつ得意分野を持ってほしい、ということです。

読者の皆さんにメッセージをお願いします。

動物にも感情があり、個性がありますので、それを見極めて尊重することが大切だと思います。かわいがられて満足している子は顔つきが違います。動物と飼い主の気持ちが通じ合うことが、動物の生命力アップにつながるのではないかしら。何か問題行動のある場合は、飼い主さんのしつけの問題もあると思います。動物目線で考えてあげれば解決することもあると思いますよ。

今後の展望がありましたら教えてください。

犬の訓練やしつけを勉強したいと思っています。お預かりした犬で性格のきつい子もいますが、散歩に行くとちゃんとアイコンタクトができるんです。そういうとき、犬ってかわいいな、ちゃんとしつけができたらもっとよくなるのに、と思います。しつけができていない犬は、診察や治療もきちんとできないことがありますが、小さい頃にちゃんとしつけをしていれば、しっかり診察・治療ができます。しつけができていないために、病気が治らない、というのはとてもかわいそうですよね。きちんとしつけられた犬は、人間の言葉に従うことに喜びを感じるようになり、QOLも向上すると思います。そのために、まずは自分がきちんとしたしつけ方法をマスターしたいと思っています。

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