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金子邦彦 院長の独自取材記事

見晴動物病院

(横浜市中区/元町・中華街駅)

最終更新日: 2023/01/22

横浜市の本牧地区は、1982年までアメリカ軍人とその家族らが暮らす、通称アメリカ村があり、まさにアメリカ文化の発信地だった場所。当時からジャズ、R&B、ロックに、身も心も躍らせる日本の若者たちが大勢いたが、今回紹介する「見晴動物病院」の金子邦彦院長もそんな若者の一人だ。「本牧にクリニックを構えたのも、この場所への憧れがあったから」と笑う。冗談も交えつつ、大好きなギターの話をする姿に、金子先生の気さくな性格がうかがえる。そんな金子院長には、診療への大きなテーマがある。それは、動物たちの終末期医療におけるクオリティオブライフの向上だ。動物と飼い主への思いなど熱く語っていただいた。 (取材日2015年8月26日)

犬が好きな母の影響を受け獣医師に

獣医師を志したきっかけを教えてください。

とにかく動物が好きだからですね。道を歩いていて、前から犬が来ると触りたくなります。あと、犬が車の窓から顔をのぞかせていたりするときありますよね。その車が赤信号で止まったときは、つい触ろうとして、飼い主さんをびっくりさせてしまうこともあります。これほどの動物好きになったのは、母の影響が大きいです。もともと両親が犬好きで、特に母が犬をかわいがっていましたが、そのおかげで家族全員が犬好きになりました。当時は雑種犬、マルチーズを飼っていたのですが、その中で私だけ他の動物に対しても興味を持つようになり、ハムスターや鳩、ジュウシマツ、ブンチョウなどを自分で飼って世話をするようになっていきました。高校生になり、自分が将来どういった仕事をするのか考えたときに、獣医師になりたいと思うようになっていましたね。大学は日本獣医畜産大学(現・日本獣医生命科学大学)に進学しました。卒業後は、インターンとして2つの動物病院で3年ほど勤務し、開業しました。実家で飼っていたマルチーズは、私が獣医師となった後に看取ったので、心に強く残っています。

開業する場所として、この本牧を選んだのはなぜですか?

実は、最初は戸塚に動物病院を開業しました。期間は15、6年くらいですね。しかし、料理が好きだったことと、音楽が好きだったことから、獣医師としての仕事を辞め、ここ本牧にブルースやロックが聞ける飲食店をオープンしたのです。この場所を選んだのは、私の憧れの場所だったから。本牧は1982年まで、米軍横浜海浜住宅地区といって、アメリカの軍人とその家族らが暮らしていました。そして、そのアメリカ文化の影響を受けたバンドが本牧から輩出され、活躍していたんです。そういう思いがあって、この場所を選びました。飲食店は3年くらいやりました。昼から仕込みをして、帰りは深夜。営業は夫婦でやっていましたので、上の娘が下の娘の食事の世話などをやってくれました。結局、私自身、商売があまり上手ではなかったことと、家族にも負担をかけていたことから、飲食店は諦め、もう一度、この場所で、獣医師としてやり直そうと思い、改装して見晴動物病院として再スタートしました。家族の支えがあってこそなので、家族には感謝しています。

クリニックの外観、内観のこだわりはありますか?

やはりアメリカの雰囲気が好きなので、外壁はレンガ調に、内壁は空色にしました。友人には、「海の家みたい」と言われています。初めて訪れる飼い主さんは、動物病院だと気付かないかもしれませんね。私自身はとても気に入っていますよ。

テーマは動物の終末期医療におけるクオリティオブライフの向上

診療において、何を大事にされていますか?

考えさせられるのは、私は終末期医療におけるクオリティオブライフの向上ですね。なぜなら、人ならばその人らしく人生を全うさせてあげたい。それは動物でも同じことがいえるのではないでしょうか。当たり前のことですが、重篤な病気やケガでないなら、過度な治療を行う必要はありません。入院させませんし、注射に通わせることもありません。投薬で治る見込みがあるなら、自宅で飼い主さんのそばで療養しつつ様子を見るということですね。重篤な場合なら、最期の最期まで、あらゆる手を尽くしてやってほしいという飼い主さんもいらっしゃいます。一方で、一時的にでも痛みをとってあげることで、食べたいものが食べられるようになった姿を見て、安心される飼い主さんもいらっしゃいます。診療のあり方は一つではありません。信頼する先生に診てもらい、納得のいくかたちで治療し、最期を看取ってあげることです。終末期医療においては、見極めがとても重要となりますから、責任の重さは感じていますね。

印象に残っている動物、飼い主さんのお話をお聞かせください。

当クリニックで治療していたラブラドールレトリバーなのですが、その犬には悪性の腫瘍があり、当初、他の動物病院でX線照射や抗がん剤治療を勧められていました。しかし、飼い主さんとしっかりと相談をして、悩みぬいた末に、痛みだけを取り除いてあげることにしました。あとは飼い主さんができるだけそばにいて、その犬の好きなものを好きなだけ食べられるようにしてあげて、最期を見送ってあげようという判断をしました。残念ながら、その犬は亡くなってしまいました。後日飼い主さんが、あらためてご挨拶に来て、話をしてくれたのです。亡くなった犬を車の後部座席に乗せ、雨の中、高速道路で北海道に向かう途中でスピンをしてしまったそうです。その自動車にはまだエアバッグが装備されていませんでした。自動車も道路壁に衝突し、大破したにもかかわらず、運転していた飼い主さんは無傷。というのも、急ブレーキの際、その亡くなった犬がハンドルと飼い主さんの間に挟まるように入りこんだおかげで、体をぶつけずにすんだそうです。その体験もあって、飼い主さんは、その犬の最期の見送り方が間違っていなかった、その生涯は幸せだったんだ、と思うことができたようです。このエピソードを獣医師としての私が紹介することは、あまり適切ではないかもしれません。しかし、飼っていた動物の最期をいかに見送るかという決断が、飼い主さんのメンタルに大きな影響を与えているということを、あらためて考えさせてくれました。

動物の心、人の心もケアしたい

休日はどのようにお過ごしですか?

ブルースやロックといった音楽が好きなので、月に1度、仲間とバンドを組みギターを演奏をしています。バンドのメンバーはライブハウスを出入りしてるうちに自然と集まった仲間たちです。類は友を呼ぶということでしょうか。私は高校生くらいからギターを始めました。大学時代になると、バンドに自分よりギターがうまいメンバーが入ってきたためベースへ担当替えに。そしたら、ベースがうまい人が入ってきて、ついにはドラムもやったりしました。とりあえず何でも小器用にできます。だから、ベースやドラムについついアドバイスしてしまい、メンバーにうっとうしがられることもあります。あとは、妻とショッピングに行ったり、娘と食事したりという感じですね。

読者の皆さんへメッセージをお願いいたします。

近くに気のおけない良い獣医師さんがいることを願います。どこでそれを見極めるのかは難しいですけれど、その病院に通って、飼い主さんの考え方にもとづいて話して、きちんと聞いてもらって、理解してくれるような先生に巡り合ってほしいです。最近、猫の飼い主さんが、「猫のウンチから虫が出た」と来院されたんです。顕微鏡で見たらただのゴミでした。大したことないかもしれないけれど、気兼ねなく相談できるような関係性が築けると良いと思います。動物の最期を見送るとき、私の飼い方がいけなかったのではないか、もっとできることがあったのではないか、と落ち込むことは誰でも少なからずあると思います。そのときに飼い主さんとしても、自分を責めることなく、なるべく心穏やかに心安らかになれる。そして、動物のためにも、エンディングをカッコよく決めてあげること。そうすれば、キザな言い方かもしれませんが、その人の心の中で生き続けることができると思います。私は獣医師という立場ですが、人の心と動物の心、両方のケアもしてあげられればいいと思っています。

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