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中山孝大 院長の独自取材記事

かもめ動物病院

(横浜市中区/伊勢佐木長者町駅)

最終更新日: 2023/01/22

横浜市営地下鉄線の伊勢佐木長者町駅から徒歩3分。大通公園にほど近いビル1階にカフェのような佇まいを見せる「かもめ動物病院」。院長の中山孝大先生は大学卒業後、島根県の牧場で獣医として乳牛を診ていたという、ユニークな経歴を持つ。そこで学んだのは、動物を診ることだけが獣医師の仕事ではないということだという。「動物の医療は、動物と獣医師だけでは成立しません。そこには飼い主さんの協力が必要不可欠なのです。そのためにも、飼い主さんとのコミュニケーションも大切にしたいと考えています」と語る。近隣住民とそのペットにとって良きアドバイザーでありたいと言う中山先生に、医療にかける思いや獣医師としてのやりがいなどをお話しいただいた。 (取材日2014年11月5日)

未然に病気を防ぐための、かかりつけ医でありたい

シックな外観といいシンプルな待合室といい、一見して動物病院には見えない雰囲気ですね。

ありがとうございます。開業する際に院内の内装などを考えたときに、病院っぽいと構えてしまうのでカフェみたいにしようと思ったんです。“とにかく来てもらいやすい病院でありたい”ということをモットーにしています。動物たちはお家で見ていても症状が出ていないケースはたくさんあります。元気で食欲があって問題ないと思っていても、実はおなかの中にできものがあったり、腎臓がどんどん悪くなっていたりとかね。ですから人と同じように、一般的な問診、視診、触診というような診察だけでも、定期的に来ていただいた方が良いんです。人間でいうところの、かかりつけ医というのでしょうか、そういう存在でありたい。そのためにも、「ちょっと寄っていこうかな」と思ってもらえるような雰囲気にしたかったんです。また、この地域は働いている方が多いので、仕事から帰ってきて、飼い主さんがちょっと一休みした後に病院に来てもらえるように、夜も20時まで開けていますし、土日も診療しているんです。

人間でいう定期検診が、犬や猫にも必要なのでしょうか。

そうですね。けれど飼い主さんによっては、お金をかけたくないという方も、高度な医療まで求める方もいらっしゃって、ニーズはそれぞれなんです。よく「検査はした方がいいのでしょうか」と聞かれるんですね。定期検診は、した方がいいのでお勧めしますが、採血とかレントゲンなどの検査結果ばかりに頼るのではなく、普段から顔を見せてくれていたほうが、動物たちの体調の変化がわかるので病気の早期発見につながるんですよ。人は、病気の早期発見、早期治療のために定期健診を行いますよね。それと同じなんです。ですが、人と違って動物はしゃべれませんから、爪切りで来てくれた時や、顔を出してくれたときも触診をして異常がないか診ているんです。私のような町医者としては、入り口の部分で早く異常に気づいて、専門の先生に診てもらった方がいいのであればご紹介するというのが、大事な役割だと思うんです。だからこそ何もないときでも来ていただけて、何でも話せる雰囲気を大事にしています。

診療において大切にしていることは何ですか。

ゼネラルに幅広く、どんな病気でも初期対応ができることが重要だと思っているので、全体の質を重視しています。ですが、なによりもまず、飼い主さんのお話をよく聞くことですね。どんな症状がどういうふうに進んできたかを把握していないと、病気の本質に迫ることができません。そういう情報を持っているのは、飼い主さんなんですね。ですからその情報を、できるだけ具体的に伝えていただける聞き方をするようにしています。例えば「食欲がないんですよ」っておっしゃったら、「普段の半分くらいですか、それとも3割くらいしか食べませんか」とか、「調子が悪そうなんです」とおっしゃったら、「朝から悪いんですか、昨日の夜からですか、今日の昼ですか」というようにね。そういうふうに尋ねることによって、飼い主さんも動物たちを見る意識がだんだん変わってくるのではないかという期待もあります。それから動物たちの出すサイン、見た目はもちろん、聴診や触診によってわかる異常を見逃さないこと、これも重要です。獣医師にとって大切なのは、飼い主さんが持っている情報と、患者さんである動物たちの出すサインを、きちんとバランスよく見て判断、診断することなんです。そのためには、さまざまな情報を入手することが必至ですので、できる限り勉強会に出席したり、学会やセミナーに参加したりするようにしています。

牧場勤務で知った、飼い主と動物と獣医師のバランス

先生は、なぜ獣医師になろうと思ったのでしょうか。

獣医師になるという以前に、動物の生態に興味があったんです。子どもの頃、「野生の王国」という番組がすごく好きで、よく見ていたんです。野生生物の生態を取り上げていて、マウンテンゴリラと一緒に生活している女性の研究者が出てきたりしてね、そういう人になりたいなと、子ども心に漠然と思っていたんです。今になって思えば、動物行動学者だったんですけれど、当時は何をしている人なのか、どうやったらなれるかわからなかった。実際に、高校生の頃まで将来の仕事に関して具体的なイメージを持っていたわけではなく、進学を決めるとき、「動物のことなら、獣医師かな」と思ったくらいですから(笑)。単純に「動物に関わる仕事ができたらいいな」程度のものだったんです。それで獣医学部に進学したわけですが、勉強しはじめるとやはり動物の生態にも触れることができるし、面白くなってくるものなんですね。それでも、開業医になろうという思いはあまりない学生だったので、大学卒業後は牧場に就職して乳牛を診ていたんです。

乳牛ですか? 一般の獣医師のイメージとはずいぶん違うスタートだったのですね。

そうですね。でも、今でこそ獣医師というと犬や猫といった「ペットのお医者さん」というイメージがありますが、昔はそうじゃなかったんですよ。獣医師が関わる仕事って時代によって変わってきているんです。戦前は軍馬を診るのが主な仕事でしたが、日本人が肉を食べる需要が増えたことで豚や牛、鶏といった畜産系の方向に、獣医学自体がグッと傾いていったんですね。それも生産性を高めるために、与える食事や飼い方によって動物の健康状態を保つという方向になっていったんです。そういうことって、理詰めで面白いんですね。昔、漠然と憧れていた動物行動学に近い領域だったのかもしれませんね。病気の治療などいわゆる臨床といわれる領域の前の段階、予防であるとか飼い方であるとか、そういうところを重視していた傾向はあるかもしれないです。それで私が大学卒業が近づいてきた頃、そういった畜産系の仕事をしている先生がいて、そういう仕事ってすごく面白そうだなと思ったんで、お願いして紹介してもらったんです。

そのときの経験から得たものはありましたか。

牧場の仕事を紹介してくれた先生には、「乳牛に携わる獣医師は牧場の仕事ができなかったら、そもそも話にならん」と言われていました。牧場での私は、獣医師として生産性を上げるためのプレゼンをしてそれを実行してもらうわけですけれど、そのためには普通の酪農家ができることができなきゃダメなんです。酪農の仕事をすることで牛、乳牛というという生き物がわかるし、そもそもそれがわかっていない人間の言うことは、酪農家の人たちは聞いてくれません。ですから最初は牧場付き獣医師というよりは、牧場で乳搾りして、種付けしてと、そういう生活でした。牧場には2年間いたのですが、その間にわかったことは、やはり動物だけ診ていても、人だけ見ていても、ダメなんだなということです。「こういうふうにしてください。こういうふうに治療していきましょう」と指導しても、お薬を飲ませていただくのも、食事を制限していただくのも、安静にさせていただくのも、様子を見ていていただくのも、たいがいの場合は飼い主さんです。それが酪農家さんであっても、ここに犬を連れてくる方であっても、結局同じことなのです。飼い主さんがいて獣医師がいて、その間に動物がいる。ですから大切なのは、獣医師が思っていることを正確に伝えることと、その動物が出しているサインをきちんと伝えること。それは牧場にいた時期に、身をもって経験したことなんです。

やりがいは、ペットロスを克服した飼い主との再会

忘れられないエピソードなどはありますか。

牧場での仕事のあとは、2件の動物病院に勤務していたのですが、最初の病院にいた頃に担当していた子が、まだ治療法が確立していない病気にかかってしまったんです。その病院は、勤務獣医師が夜間の当直医として順番に泊まるというシステムだったんですが、私が当番じゃない日に具合が悪くなってしまったんです。もう飼い主さんも見ていられないという状態になってしまって、安楽死みたいな処置を望まれていたので、当直の先生が処置をしました。私は翌朝出勤して、その事実を聞くわけですが、私からすれば、夜中でも呼んでほしかった。そういう現実って、いつまでも残るものなんですね。なんて言うのかな、「あ〜、どうして呼んでくれなかったんだろう」っていう、後悔みたいな思いが。大小いろいろありますけれど、いくつかそういう経験はありましたから、そういった経験が開業したいという気持ちにつながっていったと思います。良いことも悪いことも、1から10まで、自分の責任でやりたいという思いが募って、開業を意識するようになったんです。

獣医師としてやりがいを感じるのは、どういったときでしょうか。

ペットを亡くした飼い主さんが「先生、また飼いましたよ」って、ちびっ子を連れてきたときが、いちばんうれしいですね。今、ペットロスだとかいろいろ言われている中で、飼い主さんがきちんと前の子のことを思い出にできて、次に1歩踏み出すことができた、っていうことのうれしさが1つ。それから、私のところで診ていて亡くなってしまったのに、それでも信頼してここに連れてきてくれたことに喜びを感じます。例えば最終的にどうにもならないから安楽死になってしまったとしても、飼い主さんからしたら、よけいその死に対するショックもあるだろうし、最後にその選択しかできなかった私に対する気持ちがあってもおかしくない。けれどそれでも来てくださるっていうのは、すごくありがたいし励みになりますね。それは勤務していた時代もそうでしたけれど、この仕事していていちばんうれしい、「あぁ、良かったなぁ」って思う瞬間ですね。

では最後に、犬や猫などペットを飼っている方へ、メッセージをお願いします。

動物を飼っていらっしゃる方は、やはり、きちんと見ていてほしいですね。その変化に気づくようになっていただきたいんです。例えば子どもを育てていると、様子がおかしいのってなんとなくわかるようになっていくじゃないですか。そういう目で動物たちを見てほしいんです。一緒に暮らすご家族が、皆さんそういう目で見ていていただけると良いのではないかと思います。そのためには、やはりいろいろな情報を知っていないと気づかないこともあるので、できるだけこちらからも飼い主さんに情報をお伝えしています。また、少しでも気になることがあったらどんどん聞いていただきたいんです。やはり基本は、飼い主さんと私たち獣医師のコミュニケーション。特に病気の治療に関しては、コミュニケーションが取れているかどうかが、その治療がうまくいくかどうかの大きな要因ではないかと思います。飼い主さんはペットの代弁者だったりするし、逆に私が動物たちの代弁者だったりすることもあります。やはり飼い主さんと動物と獣医師、このトライアングルがバランスよく保たれていることが、いい結果につながると思います。

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