浦安に開業して30年。ペットを救いたいという強い思いで走ってきた周藤行則先生が院長を務めるのが、「浦安中央動物病院」だ。犬猫を中心に、うさぎやハムスター、鳥やカメなどのエキゾチック動物の診療も行っている。避妊去勢や腫瘍摘出などの外科手術や、細胞診、がん治療など、高いレベルの治療を迅速に提供してくれるのがうれしい。「一匹でも多くの動物たちを、とにかく助けたい」と語る周藤院長。妥協はせずに、飼い主とともに全力で病気と闘っていきたいと願っている。そんな周藤院長の真剣な思いと、常に勉強を怠らないという真摯な姿勢。そして、「動物のお医者さん」というイメージにぴったりな優しい笑顔から、長年地域患者からの信頼を得ている理由が垣間見えた。
(取材日2015年6月29日)
―2015年にクリニック名を変更したそうですね。
「すとう動物病院」として開業して約30年が経ち、これまで以上に幅広く、かつきめ細かい医療を地域の皆さんにご提供していきたいという決意表明の意味で、クリニック名を「浦安中央動物病院」に変更しました。開業当初は、一般的な地域医療を行う動物病院であった当院ですが、勤務してくれているドクターたちのおかげで、より多くの動物やさまざまな病気に対応することができるように。例えば、エキゾチック動物の専門病院で勉強しながら、当院でも外来を担当しているドクターがいてくれることで、犬猫だけでなく、うさぎやハムスター、鳥類、カメなど、エキゾチック動物の診療も可能となりました。また、高度医療に携わってきたドクターのおかげで、これまでは大きな病院に紹介せざるを得なかった子たちも、当院で救えるようになったのです。
―新しくできるようになった高度医療についてお聞かせください。
当院には、病気の原因を診断する「細胞診」ができる藤野泰人先生がおります。そのおかげで、診断スピードが圧倒的に上がりましたね。例えば、これまでは当院で検査を行った後、検査センターにて調べていただき、約一週間後に検査結果をフィードバックしてもらうという流れでした。しかし現在は、診療中にその場で検査結果を出すことができるので、迅速に治療を進めることができるようになったのです。また、抗がん剤の使い方においても、決まりきった教科書通りの使い方ではなく、それぞれの体調や治療効果に即した処方ができています。ペットたちにより負担がなく、効果の高いきめの細かいがん治療が可能となりましたね。ドクターの技量一つでできることは無限大なのだと、藤野先生に出会って改めて実感することができました。私は、医療において外科と内科は車の両輪のような関係性だと思っています。一方の車輪だけが大きい車は、その場でクルクル回ってしまい前には進めませんよね。外科と内科も同様です。どちらかに偏っていては、前に進む医療はできない。外科出身の私と、内科出身の藤野先生が力を合わせることで、さらに多くの命を救っていけるクリニックをめざしていきたいです。そして、副院長の周藤明美先生は全国にまだ4人しかいない「犬アトピー・アレルギー免疫学会 技能講習履修獣医師」の資格を取得しました。これにより、アレルギーの治療もより一層力を入れていこうと考えています。がんは中〜高齢のペットに多く、アレルギーは若齢のペットに起こりやすい病気です。がん治療とアレルギー治療、それぞれを得意とする獣医師がそろっていることで、大切なペットを生涯を通して当院で診療できる体制が整いました。
―先生は外科のご出身なのですね。
鳥取大学を卒業後、東京大学の外科学教室で研究生をしていました。現在でも、避妊去勢や腫瘍摘出、歯石取りなどをメインとした外科手術を行っています。クリニックでの外科手術を通して感じることは、動物の医療を、人間の医療と同じように認識している飼い主様が多いということ。例えば歯石取りの場合は、人間でしたら歯科医院で麻酔をかけずにすぐにできてしまいますよね。そのため、避妊去勢手術の際に、「ついでに歯石も取ってください」とおっしゃる飼い主様が多いのです。しかし、動物の歯石取りは麻酔を用いる大がかりな手術。治療を分割して行える人間の歯科治療とは異なり、単に歯石を取るだけでなく、抜歯や歯根膿病の治療など、麻酔ができる1回のチャンスですべての治療を済ませなければいけません。15分ほどで終了する避妊去勢手術に比べて、歯石取りは30分から1時間ほどかかってしまう手術なのです。このように、人間の医療では当たり前のことであっても、動物には高いリスクを背負ってしまうことも多いのですよ。だからこそ、飼い主様にも動物の医療をしっかりとご理解いただけるよう、日頃からご説明は欠かさないように心がけています。
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