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小川密子 先生の独自取材記事

湘南動物愛護病院

(茅ヶ崎市/茅ケ崎駅)

最終更新日: 2023/01/22

小さい頃から「将来は動物とふれ合う仕事に」と決めていた小川密子先生は、獣医師になり、生まれ育った地域の動物愛護活動を支える「湘南動物愛護病院」で診療にあたっている。同院はJR各線茅ヶ崎駅近くにあり、保健所で不幸な最期を迎える猫や犬を減らすため、避妊去勢手術を積極的に行ってきた。「そうした手術や治療以外でも、病気の予防や早期発見を目的に定期健診にも利用してほしいんです」と、動物たちの健康や長生きを願う小川先生。体重の増減や水を飲む量の変化など、健康管理に役立つ点を飼い主にきめ細かく助言するのもそのためだ。動物たちを診る時間も家族一緒の時間も楽しいと笑う小川先生に、診療のこだわりからプライベートまでを聞いた。 (取材日2015年8月26日)

不幸な最期を迎える動物たちをなくすのが目標

こちらの病院は動物愛護の精神から生まれたと聞きました。

ええ、当院は何十年も動物愛護活動を続けてきた女性がオーナーとなり、1999年に設立されました。理解のある動物病院の協力を得て、以前から野良猫の避妊去勢手術を行っていたのですが、搬送する距離や手術費用などの問題が重なり、それならばと動物病院をつくったそうです。ですから当院の大きな目的は猫や犬の避妊去勢手術を引き受け、保健所で死を迎える動物たちを減らすこと。そのために多くの飼い主さんに避妊去勢手術が身近になるよう、手術やお薬の費用負担を減らす努力をしています。最近は殺処分の件数が話題になりますが、みんなが責任を持って飼えば件数ゼロは当然のはず。当院での避妊去勢手術が、不幸な最期を迎える猫や犬を減らすよう願っています。

診療面ではどんな特色があるのでしょうか?

院長という役職がなく、獣医師全員が横並びの関係で仕事をするのは特色の一つといえます。「この先生は心臓に詳しい」「この先生は腫瘍のエキスパート」と専門性を持つ獣医師も多く、必要に応じていろいろな先生に相談し、力を合わせて診療するのが当院のやり方なんです。このように全員が仲良くアットホームな雰囲気は、飼い主さんや動物たちにも伝わるのではないでしょうか。ただ曜日や時間帯で担当獣医師が異なりますから、「同じ人に診てほしい」という飼い主さんには予約制ではなく、来ていただいた順番で診察しているため、待ち時間が長くなる点はご了承いただくことになります。また当院は年間を通じて休診日はなく、土日もお盆もお正月も診療しています。このため、ほかの病院が閉まっていたときなどもお役に立てているようです。

診療ではどんなことに気をつけていらっしゃいますか?

動物たちをしっかり診た上で、症状がいつ始まり、どのような経緯をたどったかなどを飼い主さんに詳しく聞き、適切な診断に努めています。また重症だったときは、どこまで治療するかの判断も重要になります。当院では病気をしっかり治すことも、痛みをとって安らかに過ごしてもらうこともできますから、現状で選べる治療を飼い主さんと相談し、その子にとって一番楽な形で治療やケアができればと考えています。ただ飼い主さん自身が高齢だと、猫や犬を介護するのはとても大変。飼い始めてしばらく経った頃、どのように看取るかも意識されることも必要でしょう。現実問題として、高齢の飼い主さんが病気になった子の面倒を見きれず、保健所に送る不幸なケースは多いのです。

大変な状況から動物を救う、人々の優しさを手伝う

どういった目的で受診される方が多いですか?

当然ですが猫や犬の避妊去勢手術は多いですね。当院の開設目的でもあり、手術には可能な限り対応しています。中にはご自分の飼い猫でなく、野良猫の手術費用を出される方もいて頭の下がる思いです。病気やけがの治療も済ませて、ご自分でお飼いになったりされて、本当に動物たちのことを大切に考えておられるのが伝わってきます。また、当院にある愛護会の里親募集コーナーでは、拾った猫や事情があって飼えなくなった犬の里親さんを探していますが、最近は里親希望も増え、私たちも「引っ越す可能性のない持ち家か」などをお聞きし、飼いたい気持ちをしっかりと確認した上で、飼い方をご説明してお譲りしています。当院で診る病気の種類はさまざまですが、急患では肺水腫や腹部腫瘍の破裂など非常に重い病気が中心。の腫瘍などは腫れてもわかりにくく、「何となくおなかがふくらんだ」と思っている間に進行して破裂することもあります。がんは増えていますから、注意してほしい病気の一つです。

病気の予防にはどんな注意が必要でしょうか?

生後2〜3ヵ月で最初のワクチン接種を済ませ、その後も毎年接種を欠かさないことです。また病気の予防のためにも、避妊去勢手術は猫で3ヵ月くらい、犬で5ヵ月くらいから可能なので、そちらも強くおすすめしています。そのほか太りすぎると、糖尿病や心臓の病気をはじめとする生活習慣病が心配なのは人間と同じです。体重を定期的に測り、毎日の食事の量と回数にも気を配るといいでしょう。体を洗ってあげるときは、人用のシャンプーを使ったり、ゴシゴシと力を入れて洗ったりするのはNG。猫や犬は人間よりも皮膚がとても薄く、そうした洗い方では刺激が強すぎ、きれいにしたつもりが逆に皮膚病を招きかねません。食事のことも含め、病気にならない暮らし方ができるよう当院からも情報提供したいと考えています。

では飼い主の皆さんにアドバイスをお願いします。

避妊去勢手術やワクチン接種、病気の治療はもちろん、できれば定期的な健康診断にも病院をご利用いただければと思います。人間と同様、動物たちが長生きするには日頃の健康管理、病気の予防と早期発見が大切ですから。また早期発見には、飼い主さんご自身が普段から動物たちの変化を見逃さないことも重要です。体重の増減、水を飲む量の違い、口の中など粘膜の色はぜひチェックしてほしいポイント。ご自宅で定期的に体重を測る方は案外少なく、具合が悪くなって受診したときに測って、「こんなに痩せていたのか!」と驚かれることもよくあります。また水を飲む量が増え、下痢・嘔吐が続くと、胃腸炎でなく胃や腸のがんという場合も考えられます。調子が悪くてもしばらく様子を見るのではなく、少しでも異変を感じたらすぐ受診してください。

治療した動物が見せる、「生きよう」とする力に励まされる

診療で印象的だったエピソードをお聞かせください。

とても高齢の犬で、老衰で体の一部が腐敗してうじがいるような子を診たことがあります。飼い主さんも諦め顔でしたが、当院でお預かりして皮膚を丁寧に洗い、必要な治療をするとかなり改善してました。お戻しするととても喜ばれ、その子が亡くなるまで家の中で一緒に過ごされたそうです。動物たちが高齢になると、諦めムードで「苦しまないうちに死を迎えた方が……」と考える方も多いんです。しかしそうした手段は精いっぱい手を尽くした後に選ぶもの。私はできる限り最後までしっかりとお世話をしてほしいと思っています。また片目や片足をなくすような病気やけがをした野良猫でも、里親として引き取っていただける方がいると私たちもうれしいですね。当院の母体である湘南動物愛護会とも協力し、そうした優しい気持ちを支援していきたいですね。

先生が獣医師をめざされたきっかけは何でしたか?

子どもの頃から動物が大好きで、自宅でも犬やウサギなどを飼っていました。獣医師になったのは、小学生のときに北海道のムツゴロウ動物王国に行き、「こんなところで働きたい!」と思ったからです。成長しても考えは変わらず、自宅から近い日本大学の生物資源科学部で学びました。この「湘南動物愛護病院」を知ったのは、卒業を控えて勤め先を探していたとき。「野良猫などに避妊去勢手術を行い、保健所に送られる動物をゼロに」というオーナーの考えに共感し、入職したんです。当時は避妊去勢手術が今よりも多く、動物たちを診るより手術時間の方が長かった時期もありましたね(笑)。入職して10年たちましたが、自分が治療した子がよくなっていく様子を見ると、「私も頑張らなくては」と逆に励まされます。動物たちの「生きよう」「治そう」という気持ちを手助けできる仕事ができて本当によかったと思います。

仕事以外の時間はどう過ごされるのでしょうか?

子どもが来年から小学校に入るので、それまでは家族で一緒に過ごす時間を大切にしています。平日夕方は子どもを保育園に迎えに行くため、病院は時短勤務に。休みの日は横浜市のズーラシア動物園や金沢動物園、平塚市の総合公園にあるふれあい動物園などで、動物たちと親しんでいますね。それに自宅には当院から譲ってももらった猫が2匹いて、もはや家族の一員になっています。ただ私自身の趣味となると、今は「仕事が趣味」のような状態で……。これからは自分の趣味の時間をつくったり、飼い主さんにもっと詳しく説明できるようペットの飼い方やしつけ方、ターミナルケアについて詳しく学んで、動物たちの健康維持のアドバイスに役立てたいと思っています。

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