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市川陽一朗 院長の独自取材記事

いちかわ動物病院

(松戸市/北小金駅)

最終更新日: 2023/01/22

「動物が好きでなくてはできないが、好きということだけでもできない」と獣医師の仕事の厳しさを穏やかな口調で語るのは、「いちかわ動物病院」の市川陽一朗院長。中学時代から暮らす地元に動物病院を開業してから来年で25年になる。市川院長は獣医師として、麻布大学や筑波大学で顕微鏡を用いたマイクロサージェリーによる目や脊髄の手術を学び、臨床経験も豊富に持つ。クリニックの院長としては、診察室の拡大や新しい機器の導入、腹腔鏡手術への早期取り組みなど、意欲的に新しいことも展開してきた。今は週1回「パピークラス」(しつけ教室)も開催。「子犬が病院に慣れ、飼い主さんもしつけが楽しくなれば、みんなが幸せ」と目を細める。バイクで走ることが好きという市川院長に、まだまだ続く獣医師の道について伺った。 (取材日2015年8月31日)

得意・専門分野を持つ獣医師とスタッフがチームとなって「1.5次診療」をめざす

多くの獣医師が在籍しているようですね。診療内容について教えてください。

産休中の獣医師を除くと、12人の獣医師が現在勤務しています。眼科、歯科、皮膚科、神経、内視鏡、循環器などを得意とする獣医師たちです。町のクリニックは1次診療、大学病院など大規模な病院は2次診療といいますが、当院は「1.5次診療」をめざしています。2次診療までのことはできませんが、幅広い分野の専門医が他院の診療協力やセカンドオピニオンの相談などに積極的に取り組んでいます。スタッフが多いので、複数の目で患者さんを診るようにしています。そうすればミスも防ぐことができますからね。設備としては、目の手術を行う顕微鏡、超音波、CT、レントゲンを導入し、オペ室やICU、入院設備も完備していいます。

どんな患者さんが多いのでしょうか?

この辺りは犬も猫も多いのですが、犬のほうが来院頻度は高く、7割を占めています。2番目に多いのは猫で、モルモットやウサギといった動物は1割もいませんね。猫は保護活動をしている方もいらっしゃいます。飼い主さんの年代は、若いご夫婦、独身の方、高齢の方などさまざま。この場所がちょうど柏市と松戸市の境目ですから、両市から来院されます。小さい頃に親と犬と一緒に来ていた子が、大人になって自分で飼っている動物を連れて来るなんていう、3世代で通ってくれているご家族もいらっしゃいますね。症状は季節によっても異なりますが、高齢の犬だと心臓や腎臓、腫瘍の病気。高齢の猫には腎臓や甲状腺の病気が増えています。夏は皮膚病も多い。人の高齢化が進んでいるエリアなので、動物も高齢であることが多いんです。老齢犬には、リハビリ指導をしています。リハビリをすると予後が違うんですよ。

しつけ教室も開催されているようですね。

「パピークラス」というしつけ教室を水曜日の午後と日曜日の午後に、開催しています。JAHA(公益社団法人日本動物病院協会)の認定資格取得者のインストラクターが指導しています。子犬は5ヵ月までに社会化をする必要がありますが、しつけ教室に通うことで犬が病院に慣れて好きになります。さらに、飼い主さんもしつけが楽しく感じられるようになります。ケージに速やかに入れられるようにしつけをしていれば、いざ災害にあった時にも助かるんですよ。犬を長年飼っていると、しつけはできると思っている飼い主さんもいらっしゃいますが、その子その子にあったしつけ方法があります。「しつけ教室に改めて通ってよかった」とおっしゃる方も少なくありません。

治療を通して、飼い主が幸せな生活を送れるようにすることが病院の役割

開業から25年が経ちますが、飼い主さんに変化は見られますか。

昔は高度な医療を希望する飼い主さんはそれほどいませんでしたが、現在は、飼い主さんもインターネットや本などで医療情報を調べ、専門知識を持つことが当たり前になりました。ですから、治療に関する説明や予後の経過を明確に話すことが、以前よりも求められるようになりました。ただ、そんな中でも忘れてはいけないのは、高度な医療が必ずしもいいものではないということです。スタッフにもよく話すのですが、私たちは動物の治療を通して飼い主さんの暮らしに役立ちたいと考えています。治すことが目標ではありません。飼い主さんが幸せな生活を送れることが大切。飼い主さんの中には、あまりよくわからずに抗がん剤や化学療法を望まれる方がいて、若い獣医師も学んだことをそのままやろうとします。でも、めいっぱいやることで、動物も飼い主さんも疲れてしまうことがあります。それは幸せな生活ではないと思うのです。私たち獣医師は、動物と飼い主さんが苦痛を伴わずに楽に、ともにまっとうできるような治療や選択肢を提示してあげることが役目です。

入院においても同じ考え方ですか?

すごく具合が悪いからといって、ずっと入院させることが動物にとっていいとは限らない。少しでも家にいた方がいい場合は、昼間だけ預かって夜は自宅で看るという選択肢を選んでいただいています。ずっと家にいることが動物にとって楽であれば、往診することもあります。治療においても、入院においても、選択肢をたくさん提示することが大事です。そして、患者さんの選択を肯定する。患者さんの気持ちが変われば治療も変える。こうした対応を心がけています。

患者さんと接する中で、やりがいを感じるのはどんなときですか?

治療が成功し、飼い主さんの喜ぶ姿を見た時ですね。また、動物が亡くなってからしばらくして、再び新しい動物を飼って連れて来てくれた時はうれしい。動物を飼うことは、人にもとてもいい影響を与えるんですよ。実際に、犬や猫を飼っている人の医療費はそうでない人に比べて少ない、というデータも出ています。特に高齢になると、子どもたちが独立することで家庭内の会話が減りますが、犬がいればコミュニケーション相手になります。私が代表ディレクターを務める日本動物病院協会などがおこなっている、高齢者施設や病院に犬を連れて訪問するCAPP活動にも協力しています。それは高齢になっても安心して犬や猫と暮らせる社会を作りたいと考えているからです。これは、私が携わっている獣医師会の目標でもあります。

患者に対して精一杯やるだけ、そして飼い主、病院、社会全体の役に立つ

獣医師をめざしたきっかけをお聞かせいただけますか。

立派な理由はないんですよ(笑)。父はサラリーマンで、ちょうど高度成長期だったので、家庭にいることも少なく帰宅も夜遅かった。そんな中、近所の獣医師が気楽な仕事に見えたんですよ(笑)。でも実際はまったく違いましたね。もう少し楽かと思ったのですが、そんな仕事はありませんね。そんな私が獣医師になりたての頃は、常に緊張し、「ミスをしたらいけない」ということばかり気にしていました。でも、「私でもやっていける」と思わせてくれたのが、久喜で開業する竹田誠先生のおおらかな姿。同時にとても熱心で、夜中でも一人で手術をしてしまうようなバイタリティにあふれる方。「自分の力なんて知れているので、精いっぱいやっても結果が伴わなかったら謝るしかない」と教えてくれました。今でも頭が上がりません。

治療の緊張から解放される瞬間はありますか。プライベートについても教えてください。

最近は、家族に誘われ、はやりの映画を見に行くことが休日の過ごし方ですね。妻は動物看護士で、休診日にパピークラスの講師をしており、子どもは全寮制の学校に通っているので、そうやって家族で集まれることは貴重な時間です。以前はゴルフをしたり、大学生の頃はオートバイでツーリングをしたりするのが好きでした。だんだん反射神経が落ち、今は原付バイクに乗っています。オートバイは何も考えずに風を感じて走ることができるのがいい。あと、自宅では17歳の犬のトイプードルと13歳の猫(雑種)を飼っています。2匹とも高齢で、犬は聞こえないし見えないですが、少しでも楽に生きてほしいと願っています。

最後に展望をお願いします。

地元の人に支持されると同時に他の動物病院にも役立てるよう努力していきます。患者さんの紹介を受ければ動物を診察し、再び病院にお返しできるよう最善を尽くします。当院は規模の大きい病院になりましたが、意図して拡大させたわけではないんです。患者さんが増えて待合室が狭くなったので病棟を増やし、腹腔鏡手術など新しい分野や治療法に取り組むうちに、若い獣医師が集まるようになりました。これからも、ニーズに応じながら、ずっと社会に貢献していける病院をめざします。新しく犬を飼う人には、ぜひ里親制度にも目を向けてほしいですね。私が理事長をしている公益財団 千葉県動物保護管理協会では、事情があって飼えなくなった犬や猫に、新しい飼い主を見つける活動もしています。もともと躾けられている子もいますし、愛護センターでしつけをしてから、新しい飼い主とのマッチングをすることもあります。子犬から飼うとしつけのハードルがありますが、里親制度ではそれを下げることができます。また、ペットショップで買う場合ですが、飼い主さんの家庭環境や家族構成を配慮した上で犬種を選んでほしいですね。これは、とりわけお店の方にお願いしたい。飼い主さんには、15年飼い続けるという覚悟をしっかり持ってほしい。それが動物も飼い主さんもみんなが幸せに暮らせることになりますからね。

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