辻堂駅北側、東海道を日本橋方面へと進むと、新湘南バイパス 藤沢インターの手前左手に、王冠モチーフの黄色い看板がひときわ目をひく。2015年7月にこの場所でオープンした「アリイ動物病院」は、「ペットと家族を見つめて、寄り添う」ぬくもり溢れる診療で早くも人気を集める動物病院。取材にお邪魔した当日にも、多くのペットと飼い主たちがひっきりなしに訪れていた。地元藤沢出身という渡部寛之院長は、若さ溢れる新進気鋭の獣医師。その温かい眼差しと真摯な姿勢に、すでに人間、動物を問わず数多くのファンを獲得しているようだ。選ぶ言葉の一つ一つに動物たちへの愛情がにじむ院長に、クリニックの現在と将来についてなど、さまざまな話を聞いた。
(取材日2015年11月18日)
―この場所での開院を決意されたきっかけは?
私は藤沢出身で、以前から「開院するなら地元で」という思いを持っていました。辻堂駅の北側は近年開発が著しく、街の姿がガラリと変貌しつつある地域。新しくお住まいの方やペットも増えているということから、この場所でのクリニックオープンを決めました。東海道沿いという立地に加えて、あえてガラスを多用したスケルトン形式のクリニックとしたことから、おかげさまで皆さまへの認知も高まっているようです。当院では私の飼い犬であるポメラニアンのカイと、動物看護師の愛犬トイプードルのダンロが、毎日医局で過ごしています。学校帰りの子どもたちなどにも院内をのぞいてもらうことが多く、看板犬として可愛がってもらっているのですよ(笑)。
―ガラス張りの診察室で、中の様子がすべて見えるのですね?
はい。レントゲン以外のすべての処置について、ご覧いただくことが可能です。血管確保なども実際に行うところを見ていただくことが、信頼につながると考えています。当院のインテリアはそうした可視性と、ぬくもりを感じる天然素材にこだわりました。アトピー性皮膚炎などのアレルギーに対応するため、壁はすべて吸湿性の高いしっくいにしてあります。
―診療は犬と猫が中心になりますか?
はい。メインは犬猫ですね。とはいえ、基本的に連れて来ていただければ何でも診たいとは思っています。ハムスターやフェレットなどのエギゾチックアニマルも対応可能です。開院以来、なぜかうさぎの来院がとても多く、特に夜間の緊急対応がたくさんあります。湘南夜間救急動物病院(SEAMeC)では、犬猫は毎晩診療していますが、うさぎには対応していない日があるので、そうしたケースで当院にご来院いただいているようです。
―こちらでは夜間の診療も行っているのですか?
基本的には診療時間は19時までなのですが、緊急の場合には診療時間外の夜間や休日にも対応しています。人間には救急車がありますが、動物たちにはそうした24時間365日頼れる存在はありませんから、当院が少しでもお役に立てればと、体力の許す限り頑張っています。また、入院中のペットについても、24時間面会をお受けしています。もちろん、私にもプライベートはありますから「必ずお受けします」と言うことはできませんが。正直大変だなと感じることもありますが、できるところまで続けたいと考えています。
―飼い主さんのわがままに応えていただける対応は心強いですね。
ペットにとっては、やはりご家族と一緒にいる時間が一番大切です。特に、体調が悪く心細いとき、いよいよ最期を迎えるというときなどに、入院によってペットを飼い主さんから引き離すということは、彼らにとってはとても寂しいことだろうと思います。そういった考えから「アリイ動物病院」と名付けました。「アリイ」には、ハワイ語で「一番」といったような意味があるのですが、動物たちとそのご家族にとって、「一番近くに寄り添う」動物病院でありたいと願っています。
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