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金子賢一 院長の独自取材記事

花園動物病院

(新宿区/新宿御苑前駅)

最終更新日: 2023/01/22

地下鉄丸ノ内線・新宿御苑前駅から徒歩4分。都会の真ん中に現れた小さな公園の向かい側に、「花園動物病院」はある。院長の金子賢一先生は、長年東京農工大学で教鞭を執られた研究者出身。その専門知識を生かしながら、現在は「土日も夜7時まで診療」を掲げ、新宿の街でペットたちの健康を守っている。研究の世界から街の医師へ。「動物や飼い主さんとのコミュニケーションが楽しく、ストレスゼロの毎日です」と語る先生に、これまでの道のりと現在の治療方針についてお伺いした。 (取材日2011年11月14日)

獣医学教授から街の獣医師へと転身

先生が獣医師を志したきっかけを教えて下さい。

私は子どもの頃から生命現象そのものに興味がありました。例えば、昆虫を観察するのが大好きでしたし、ペットも、小鳥、うさぎ、犬、猫、熱帯魚とさまざまな動物を飼っていました。その興味を大切にして、獣医科に進もうと決意。東京農工大学に進学しました。入学当初は一般的な獣医学を専攻するつもりだったのですが、やがて微生物の研究に興味を持ち、大学院の修士課程へ進みました。さらに博士課程では北海道大学で学び、博士号を取得しました。専門分野は、豚の体内にいる微生物の研究。何を研究していたかと言うと、時々テレビで「豚肉で食中毒発生」なんてニュースを見ることがありますよね?あれは豚肉そのものではなく、豚の体内に住む微生物が起こす感染なんです。その微生物が人間の粘膜にどう取り込まれて行くのか?どんな予防法と治療法があるのか?広く世の中の役に立てる点に夢を感じて、研究に熱中する毎日でした。その後、北海道大学の助手を経て、母校の東京農工大学の教授に就任しました。

そんな先生が大学を辞めて開業されたのはなぜですか?

研究自体は面白かったのですが、大学というのは閉鎖的な世界で、どこか息が詰まるところがありました。それよりも街のなかで、好きな動物たちの治療をして暮らしたいと思ったのが転身の理由です。調布方面に住んでいますので、京王線で通える所で開業しようとあちこち物件を見て回り、今のこの場所に出会いました。人生半ばからの再スタートには不安もありましたが、おかげさまで今年で開業8年。手術件数も1300頭を越えて、新宿周辺の皆さんにご支持をいただいています。遠方に引っ越した後も引き続き通ってくださる飼い主さんがいらっしゃるのは嬉しいですね。

どのようなことを医院の治療方針とされていますか?

まず大切にしているのは、飼い主さんのお話に注意深く耳を傾けるということです。時間をかけて、1匹1匹のペットが毎日どのような生活を送っているのかを理解するプロセスが欠かせないと考えています。例えば、ワンルームマンションで飼われているのか、一軒家なのか。飼い主さんは不在がちなのか、それとも大体いつも一緒に過ごしているのか。生活習慣全体がペットの病気や体調変化の大きな要因となりますから、時間がかかってもこのプロセスを大切にしています。それを踏まえた上で、目の前にいるペットの状態をよく観察します。つまり、観察だけでもダメですし、お話を聞いているだけでもダメ。観察した結果と、お話から浮かび上がって来た日々の生活から来る要因を総合して診断を下すこと。これが私の治療方針ですね。

すっかりなじんだ新宿の街で、専門を生かした治療を

開業後8年。新宿の街にはなじまれましたか?

先ほどもお話ししましたように、特に新宿に知り合いがいたわけでもなく、また住んだ経験もありませんでしたから、まったくのゼロからのスタートでした。実は最初の5年間はとても孤独だったんですよ。道を歩いていても誰にも声をかけてもらえませんでしたし、お祭りや商店街のイベントがあっても誘ってもらうこともありませんでした。ところが5年を過ぎた頃から、だんだんと街の皆さんが挨拶をしてくれるようになったんです。実は新宿の街は商売の競争が激しく、お店でも医院でも続かない所が多いそうなんです。だから、5年くらいは様子見。それを過ぎると街の一員、ということなんですね。今では終業後に道を歩いていると、地元の商店のご主人から「先生ちょっと飲もうよ」なんて声がかかって、一杯やることも多いんですよ。毎日楽しく過ごしています。

ペットを飼うときに特に注意しなければならないことは何でしょうか?

できるだけ守っていただきたいなと思うのは、「多頭飼いをしない」ということですね。よく、「仕事が忙しくて不在がちだから、ペットもきっと淋しいはず。仲間を作ってあげたい」と2匹、3匹とペットを増やす方がいらっしゃいますよね。でも、人間に置き換えて考えてみてください。たとえばあなたがお気に入りの友人たちと楽しく暮らしている所へ、いきなり自分によく似た顔のヤツがやって来る。そして友人たちに甘え始めた上に、あなたの持ち物を我が物顔で使ったり、お気に入りのベッドに勝手に寝ていたとしたら……強いストレスを感じませんか?動物もまったく同じなんです。ペットは、飼い主との関係からストレスを受けることはほとんどないと言っていいと思います。ところが多頭飼いを始めたとたん、病気になってしまう。動物でも人間でも、強いストレスを受けると脳から特定のストレス代謝物質が出てそれが体内に広がって、例えば膀胱炎など、体全体にさまざまな症状を引き起こします。当院にもそうなってつれて来られるワンちゃん猫ちゃんがたくさんいますよ。私はいつも本当にかわいそうだなと同情しながら治療をしています。ペットは、なるべく一頭で飼うこと。やむを得ない事情で増やす場合は、元のワンちゃん猫ちゃんを優遇して、一番に扱ってあげること。これを守ってほしいですね。

先生が得意とされる治療分野はありますか?

口内炎の治療が得意ですね。何しろ大学でずっと粘膜の研究をやっていましたから(笑)。どこの病院を回っても治らなかった頑固な口内炎のワンちゃんが、当院に来たら1回で完治。飼い主さんにすごく喜んでいただけた時は嬉しかったですね。また、さまざまな診療の基礎となる「心音の聞き分け」も得意としています。今は検査に頼ってしまう獣医師が多いのですが、聴診器を当てて心音を聞けば、どのくらい老いのダメージが来ていて、どんな健康状態なのかは大まかに判断できるものなのですよ。検査だけに頼らず、基礎的な情報収集をしっかり行っています。

大切なペットと楽しく暮らすために……獣医師からのアドバイス

先生の気分転換法はどんなことでしょうか?

映画やドキュメンタリー番組を観るのが好きですね。映画館にもよく行きますし、ケーブルテレビのドキュメンタリー専門チャンネルを、休みの日に観るのを楽しみにしています。第2次世界大戦の有名な戦闘の分析とか大きな事件の裏面史とか、知られざる事実を知ることが面白いですね。ついこの間は映画館に、ジャッキー・チェンが孫文を演じる『1911』を観に行きました。ところが孫文が使っているメスが、替え刃式のものでね。この時代はまだ替え刃式のものはないはずなのに、と時代考証にうるさく観ています(笑)。

ワンちゃん猫ちゃんの日々の健康管理で、気をつけるべきことを教えてください。

犬でも猫でも、太らせないようにすることが大切ですね。特に最近増えているのは、犬の椎間板ヘルニア。これは肥満によって起こることがほとんどです。当院に連れて来られたワンちゃんの中にも、後ろ足がまったく動かなくなっていたり、つねっても感覚がなくなっている子がいたり。ここまでにならないよう、餌の与え過ぎに気をつけてほしいと思います。猫はお腹がいっぱいになれば自分で食べるのを止めますが、犬はいくらでも食べ続けようとします。特に飼い主の側での注意が必要ですよ。また、犬はとにかく運動させなければいけない、と思い込んでいる方が多いのですが、これは大きな間違いなんです。犬の心臓は5歳を境に老齢化します。つまり体力のピークは1〜2歳で、内臓のなかで心臓の老化が最も早く5歳から始まります。それを過ぎた犬に過度の運動をさせると、心臓に大きな負担がかかってしまうのです。5歳を過ぎたら、散歩の量などを見直していただきたいですね。

最後に、飼い主のみなさんへのメッセージをお願いいたします。

最近は「ペットロス」が社会現象になっていますよね。私のところにも悲しみに暮れた飼い主さんが時々いらっしゃいますが、ペットたちはみんな飼い主さんを信頼して、飼い主さんのことが大好きなもの。だから飼い主さんに心から感謝して息を引き取るのだと思いますよ。大切なのは、そうやって100パーセントの信頼を寄せてくれる動物たちに、これまでお話したような基本的なルールを守りながら最良の環境を作ってあげること。そして思い切り愛情をそそいであげること。それでもう十分なんです。ペットと過ごす1日1日を大切に暮らしていただきたいですね。

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