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植田成利 院長の独自取材記事

神楽坂ペットクリニック

(新宿区/神楽坂駅)

最終更新日: 2023/01/22

都心の喧騒の中で江戸情緒を強く残す街、神楽坂。メインになる神楽坂通りを一本曲がった路地裏に、神楽坂ペットクリニックはある。院長の植田成利先生は下町育ちの江戸っ子。柔道、レスリングを愛するがっしりとした体格に、やさしい笑顔が印象的だ。先生の診療方針は、なるべく薬・検査漬けを避け、動物たちが本来持っている治癒力を大切にする医療。動物の自然を重視するその考え方は、併院のペットホテルにも適用されている。大好きな動物たちに囲まれ、毎日が幸せだと語る先生にお話を伺った。 (取材日2011年10月26日)

一度は断念した獣医師の道。周囲に助けられながら復帰へ

先生のブログ、毎回力作ですね。

ありがとうございます。僕は中学まで「将来は画家か獣医師、どちらかになりたいな」と思っていたくらい、絵を描くことが好きでしてね。飼い主さんに役立つ情報をイラスト入りで紹介できたらと、今のイラスト入りブログを始めました。週に1度、週末に更新していて、「今週はこれをテーマにしよう」と決まっているときはさらっと数時間で描き終えてしまうのですが、決まらないと何時間も悩みながら描いています。そしてスキャンしてブログにアップ。アップ後も原画は捨てず、全部クリアファイルに入れてテーマ別に保管しているんですよ。と言うのも、実はこれが診療にも役立つからなんです。例えば飼い主さんから「先生、猫の腎炎ってなんですか?」と訊かれたら、くどくど説明するよりもこれを読んでもらった方が早いこともあるんですよね。コピーしてお渡しもしています。

子どもの頃からの夢をかなえて獣医師になられたそうですね。

はい。実家は亀戸で代々続く旅館を経営していたのですが、僕自身は継ぎたくなくてね。物心ついたときから大の動物好きだった僕の姿を見ていて、親も日本大学の獣医学科に進むことを許してくれました。ところが、実は卒業後2年間インターンをした後、一度は獣医師の道を断念しているんです。と言うのも、やっぱり親の旅館をつぶすのは忍びないという気持ちが僕自身のなかに芽生えてきてね。それでメスを包丁に持ち替えて(笑)、旅館の板前修業。だから僕は今でも料理は上手いんですよ。ところがやがて旅館を買い取ってくれるという会社が現れ、だったら経営を譲ろうということになりました。6年間のブランクの後、僕は晴れて獣医師の道へと戻って来ることができたんです。

その後開業するまではどのような道を歩まれたのですか?

最初は埼玉県で、大学の先輩が経営する医院に勤務しました。僕は年を食っていた上に長いブランクの後ですからね、普通ならなかなか勤め先は見つからなかったはずですが、人の情に助けられたと思います。その後その先輩から、県内の新設駅でまだ獣医科のない地域があるから、開業したらどうかとアドバイスをいただきました。そこで一念発起して、開業。僕が31歳のときのことです。実はこのときも厚い友情に助けられました。近隣に、日大の附属高校時代からの友人の獣医師が一人、大学時代の先輩医師が二人開業していたのですが、難しい手術のときは電話一本で手伝いに来てくれました。そうやって埼玉の地に根づいて医院を経営していたのですが、11年前、ここに神楽坂へ越して来たのは、年老いた親のことを考えたからです。僕の実家が亀戸で、妻の実家が目白。両方の親に何かあったときに、すぐ駆けつけられる中間地点に移転したいと思うようになりました。それと僕はやはり下町育ちですから、江戸の匂いがする古い街が好きなんですよ。お寺があって、坂があって、というようなね。そんなわけでこの神楽坂の街で、今の医院を開業することになりました。

大らかで楽しいペットホテル、自然な治癒力を重視する診療方針

診療にあたって、先生はどのようなことを基本方針とされていますか?

まず大切にしているのは、「説明と同意」ということです。僕の治療は、なんでもかんでも注射を打って、薬をあげて、というものではなく、一見して急を要さない場合は、様子を観察しながらなるべくその子自身の力で治るようにすることを目指しています。ですからその方針をしっかりと飼い主さんにご説明して、たとえば「何がなんでも薬を出してほしい」という場合には、別の医院に行っていただくこともありますよ。それからもう一つ大切にしていることは、「医は仁術」という考え方です。金儲けのために医療を行うのではない、ということですね。僕は、飼い主さんの経済状態を考えた上での診療ということを大切にしているんです。そんなことまで考える必要はないと言う医師もいますが、果たしてそうでしょうか? だって飼い主の精神状態はペットに大きな影響を及ぼします。ペットにかかる経済負担が大きくなり過ぎないよう配慮することも、獣医師の大切な役目。それは結局「ペットが幸せに暮らせる環境を作る」ことにつながりますからね。

こちらのペットホテルも、とても自由で楽しい環境だそうですね。

普通ペットホテルというと、動物たちを一匹一匹個別のケージに入れて、隔離してお預かりします。ところがうちではみんなが大きな一つのケージの中。自由に歩き回り、一緒に遊びながらお留守番をするという考え方なんです。驚く方も多いのですが、猫も犬も一緒くたのケージなんですよ。ワンちゃん猫ちゃんたちは、最初の一瞬だけ「お、違う種類のヤツが来たな」とじっと見ていますが、すぐ一緒に遊びに始めるものです。もちろん、新しくお預かりした子はまず手前の小ケージに入れて、ほかの子たちとの相性を見る時間を作っています。どうしてもケンカになってしまう場合もありますから、そのときは個別ケージで隔離。また、極端に臆病な子もやはりいますから、そういう子は個別ケージでお預かりします。それでも、1回目にお預かりしたときはひたすら個別ケージで固まっているだけだった猫ちゃんが、2回目、3回目になるとすっかり慣れて甘えて来たり……そんなこともよくあるんですよ。

ペットの飼い方について、獣医師の視点からのアドバイスをお願いします。

ペットを育てるのも人間を育てるのも、大切なことは同じ。大らかに育てる、ということです。あれをしちゃダメ、これもしちゃダメ、と年中ぐちぐち言っていたら、人間の子どもと同じようにペットも聞く耳を持たなくなってしまうんですよ。それよりも、普段は大らかに見ていて、1週間に1、2度大きなことをがーんと怒る方がいい。そうするとペットもびっくりして、「そうか、これはダメなんだな」とわかるものですよ。また、飼い主の方々はどうしてもペットの病気に過剰反応するところがありますね。例えば人間の子どもが夜に熱を出したら、「朝まで頑張ろうね。朝になったらお医者さんのところへ行こうね」と言いますよね。ところがこれがペットだと、熱を出した、吐いたというだけで、即救急。落ち着いてよく症状を見れば、それほど大きなことじゃないとわかるはずですよ。

大好きな神楽坂の街で、大好きな動物たちと過ごす日々

オフタイム、先生の気分転換はどんなことでしょう?

僕は子どもの頃から柔道をやっていまして、格闘技が大好きです。5年前、57歳から、今度はアマチュアレスリングを始めました。週に2回練習に通って、毎年大会に出場しています。全日本マスターズレスリング大会で昨年は優勝、今年は準優勝を獲っているんですよ。あとは落語が好きでいつか自分も高座で話したいという夢を持っていますし、もちろん絵を描くことも好き。それから友人とお酒を飲むのも人生の楽しみの一つですね。ただ、神楽坂で飲むとすぐ飼い主さんに会ってしまいますから、飲むのはもっぱら別の街。乗り換えなしで御徒町や新宿にすぐ着きますから、その辺りで飲んでいますよ。一人酒ではなく、友人とわいわい喋りながら飲むのが好きですね。

"ペットロス"について、先生のお考えを教えてください。

僕はね、ペットロスって本当はおかしな現象だと思うんですよ。だって動物と人間、どうしたって動物の方が寿命が短いですよね。これはどうしようもないことなんです。その10年なり15年なりを、しっかり病気予防をしてあげて、楽しく一緒に暮らして、精一杯のことができていたのなら、それは寿命をまっとうさせてあげられたということなんですよね。だからいつまでもくよくよするべきじゃない。1週間は、思いっきり思い出にひたって、そうしたらもう次の子を飼えばいいと僕は思っています。例えば僕の家ではチワワを代々飼っていますが、あるときココちゃんという子が死んだんですね。で、すぐ次の子を育てながら、「あれ、ココちゃんはこんなことしなかったね」とか、「そうか、ここがココちゃんとは違うんだね」「この子はこうするけどココちゃんだったらああいう風にしただろうな」とか……そうやって、前の子のことを思い出しながら別の命を育てることが、一番の供養になるのではないでしょうか。僕はそう思っていますよ。

最後に、先生が今後目指すことについて教えてください。

僕ももう年ですから、何か新しいことを始めようというより、この町で一匹一匹の動物たちと、そしてその飼い主さんたちと、これからも大切に向き合っていきたいですね。月並みですが、骨折してうちにやって来た子が最後はすたすた歩きながら帰って行く姿。ぐったりして、手術が必要な病気にかかっていた子が毛並み良く元気に帰って行く姿。その後ろ姿を見送るときが、やっぱり本当に幸せなんです。僕は動物が大好きで、動物の病気を治す仕事をして、それでお金を頂いて家族を養って生きていける。こんな幸せなことはないと思っています。だから仕事のストレスはゼロ。今日も神楽坂の真ん中のこの医院で、動物たちと楽しく毎日を過ごしていますよ。

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