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小林亜希子 院長の独自取材記事

あき動物病院

(横浜市瀬谷区/瀬谷駅)

最終更新日: 2023/01/22

取材スタッフが瀬谷の「あき動物病院」を訪れた際、女の子とヨークシャー・テリアが出迎えてくれた。小林亜希子院長の上の娘さんと愛犬アリエルだ。普段は2人の子どもを持つ母親の顔、愛犬をかわいがる飼い主の顔を持つごく普通の女性のように見えるが、獣医師としての考え方を伺うとキリっと表情が変わる。そもそも獣医師をめざしたのは「なぜ生き物って生きているんだろう、なぜ病気になるんだろう」、そこを解明したいという興味からだったという。生命に対する探究心から生まれる芯の強さや飼い主、そして患者である動物に寄り添う診療スタイルが話題を呼び、某報道番組で特集を組まれたこともあるのだそう。ママさん獣医師・小林亜希子院長の笑いあり、涙ありの奮闘の日々を覗いていきましょう! (取材日2013年8月6日)

変化を見逃さないことが、伴侶動物をいい状態で長生きさせる秘訣

閑静な住宅街にある病院ですが、ここを開業の地として選ばれたのはどのような思いからですか?

開業したのは2年半ほど前ですが、ここにはもともとアオキ犬猫病院という30年近い歴史のある別の病院があって、その先生から引き継ぎました。カルテもその先生のものが残っているので、そのままバトンをもらったような感じで患者様を診ています。また引き継いだのは患者様だけじゃなく、青木先生の考え方といったらいいかな。そこも引き継いでいます。人間だと何が何でも治して何が何でも生かして、たとえ植物状態になっても命をつながないといけないし、自分の意思で天寿をまっとうすることができますよね。でも動物の場合は、動物の意思というより飼い主様の意思が動物の意思につながるところもあるので、無理して生かしていくことが果たして一番の選択なのかといった問題があります。青木先生は「動物は、動物らしく、飼い主が望むように、生(しょう)をまっとうする」とお考えで、その上で飼い主様がペットにどこまでしてあげたいかといった意識や意向をうまく汲み取っていらっしゃる先生でした。だから私も先生の思いをそのまま引き継いで、飼い主さんがどうしてあげたいのかをしっかり汲み取って治療にあたっています。治療にはたくさんの選択肢があって、それを一つ一つ提示し飼い主さんの納得のいくものを選んでもらった上で治療するようにしています。それゆえ、治療についての説明は長くなってしまうんですけどね(笑)。

選択肢ですか。具体的にはどんなふうに説明をされているんでしょう?

例えば去勢・避妊手術でいうと、生殖系の病気というのは生殖器をとれば起こらなくなる病気があるんですね。手術をすること自体が予防になります。特に女の子であれば子宮蓄膿症や乳腺腫瘍、卵巣腫瘍など、男の子では前立腺肥大や肛門周囲腺腫は去勢していない場合、その発生率は高まります。そういった病気を未然に防ぐという意味で去勢・避妊手術をするという考え方もあります。ただそれは、子孫を残すという動物の本能的な部分を人間の都合で奪ってしまうことでもあります。ですので、私は、手術をすれば、そういった病気の予防や性格的な問題、性行動に伴う問題を防ぐことができるなどの様々なメリットがあることをお伝えしますが、だからと言って、積極的に手術をお勧めするようなことはしていません。色々な情報や飼い主様のお考えのもと、1から10までさまざまな治療法がありますから、まずは飼い主さんがどうしてあげたいのか、どこまでできるのか、動物に元気になる気があるのか、当院のキャパシティーがそれに対応できるのか、いろいろな要素としっかり向き合って治療していきたいと考えています。

クリニックのホームページを拝見しましたが、動物の飼い方の注意点などが事細かに書かれていて、動物に対する思いがすごく伝わってきました。

ありがとうございます。やはり普段から動物をちゃんと見ていないとちょっとした変化に気づきにくいこともありますし、状態が悪くなってから病院に連れて来られると救命率も余命もがとても短くなってしまいます。それを避けるためにも、動物がしゃべれない分、飼い主様がどう気づいてあげるかがポイントになります。動物も高齢化が進んでいて、それに伴ってどうしても慢性疾患も増えていますが、ちょっと不調な場合でも「まあ歳のせいかな」と飼い主様が判断してそのまま放っておかれることも多いんです。結果、状態がかなりギリギリのところまで悪化してから病院に連れてこられるケースも多い。なので、普段からちょっとした変化を見逃さずに早めに連れて来てもらえれば、いい状態を保ち長生きさせることができると思うんです。ホームページにはそうした思いを載せてみました。

やはり早期発見・早期治療が大事なんですね。

助けられるものも気づかなかったら何にもなりませんから非常に大事です。特に内臓疾患、例えば腎臓や肝臓、心臓などのように五臓六腑の機能の低下に関係して出て来る病気に関しては、早期発見によりいい状態で幸せに暮らせる期間がどんどん伸びていくと思います。早期発見が難しい病気もありますから日頃から病院に足を運んでいただくことが大事。定期的に診ていれば状態をつかみやすいですから。飼い主様は動物のそばにいるので状態の変化に気づきにくいというのもありますし、おなかの中で腫瘍が大きくなっていたりして、飼い主さんの気づかない内的な部分で変化が出ていたりすることもありますから、やはりコンスタントに専門家のところで検診を受けることが大事です。といっても当院では、検査、検査というわけではなく、フィラリアのお薬とかワクチンとか、何かの予防のついでに全身をくまなくチェックするなど、普段の何気ない診療から治療が始まっていきます。そういう意味でも、ホームドクターという形にこだわっています。

救急病院での経験を生かし緊急事態にも全力で対応

しつけなど、飼い方のコツをちょっぴり教えていただけますか?

例えば犬の場合で絶対外せないポイントというのは、甘噛みですね。子犬のうちに甘噛みをきちんと教えないと、やがて本気で噛むってようになってしまいます。家庭犬は人間社会で共同生活を送りますので、動物のほうに最低限守ってほしいところとして人間に危害を及ぼさないようにしつけをすることが大切です。他に犬の場合大体6ヵ月から1歳の間に反抗期というか自我が芽生える時期があるんですが、負けないでねって言っています(笑)。例えばワンワン鳴くので「じゃあ、ごはんね」となると、その時点で人間が負けてることになる。犬が何か要求した時にそれを丸のみしたら負け。そうならないように主導権をしっかり握ってほしい。難しいですけどね。またネコの場合は逆。ネコが王様ですから(笑)。何かしたら怒るのではなくて、させないように未然に防ぐようにしてください。ネコは高く飛ぶ動物ですから、食べ物を盗み食いさせないようにテーブルの上には何も置かない、登られたくない場所には、何かものを置いたり、ジャンプしようとした瞬間に大きな音を出したり……。犬でも猫でも、色々な性格があります。その子のキャラクターによって、アメとムチの比率は変わります。また、頭ごなしに怒らずに、うちの子が何を訴えているのかもよく汲み取ってしつけをすることも大事です。

先生は以前、テレビの報道番組で密着取材を受けられた経験がおありだとか。

はい。4、5年ぐらい前だったと思いますが、川崎の日本動物高度医療センター内にある夜間救急病院で勤務をしているときに取材を受けました。当時私は、その病院には週4日ぐらいのペースで勤務しながら昼間は他の病院で働いて掛け持ちしていたりして、子ども二人いるママさん獣医ってこともあってか話題性があったんでしょうね(笑)。

救急というとやはり大変な状況にもたくさん直面されてきたんでしょうね。

そうですね。例えばお子さんが寝返りを打った時に下敷きになったインコとか、梨を食道に詰まらせて呼吸困難になった犬とか、かなり悪い状態で来る子がたくさんいました。救急の役割はいかにその一晩のうちに状態を良くして飼い主さんの元に帰すかというのが大前提。時間勝負で集中力と気合で本当に全力でぶつかっていました。開業してからもそうした経験を生かして夜間の急病に関してもできる限り対応しています(当院の患者様に限りますが)。もちろん、ここに来て何とかなるケースとそうでないケースがありますから、まずはお電話をいただいて状況を伺ってアドバイス。大きい病院に行かないと治療できない場合には、日本動物高度医療センターをはじめ、藤沢の日本大学動物病院や横浜のDVMs動物医療センターなどに紹介するなど、一次診療としての役割を果たすよう努めています。

病院は病気になってから行く場所。そんな固定観念を取り払うためにさまざまな仕掛けを

先ほどこちらに伺う前に病院の前にある自動販売機で興味深いものを発見しました!

お茶とか水とか普通の飲料も販売しているんですが、同じ自販機で犬用のデンタルケアグッズも買えるようにしているんです(笑)。というのも、病院の中にわざわざ入らなくても、ペットのケアに関する情報発信ができればと思っているからなんです。動物の口の中ってものすごく汚くて、実は9割以上の子が歯周病にかかっています。歯周病菌ってものすごい数の細菌が潜んでいて、それ自体が寿命を縮める原因になると言われています。人間でも心内膜炎など、何かしらの病気を引き起こすと考えられているように、動物でも一緒です。ただ動物の場合はどこまでもほったらかされて気づいたら歯がなくなってたってことも多く、まあ歯が抜けてしまえば病巣がなくなるのである点ではいいんですけど、でももっと飼い主さんにケアに対する意識をもっていだきたいと思ってこういう試みをしてみました。体の健康はお口から。それほど歯って大事なんです。

デンタルケアグッズ、具体的にはどのように使うんですか?

そうですね、せっかく飼い主さんがケアをしてあげたいと思っても、動物って歯磨きなど口の中のケアに抵抗する子ってたくさんいるんですね。時には、ケアをしようと思ったら噛まれてしまう飼い主さんもいますし、そうするとだんだんケアすることに億劫になって放置する原因になってしまうケースも多いようです。最初のステップでいきなり歯ブラシをもって……というのではなかなか口を開けてくれなかったりして磨かせてくれないので、まずは何も使わないで口を触ることから始めていきます。慣れたら次は指で歯を触る練習です。それができるようになったら今度はデンタルフロス。ガーゼなんかを指に巻き付けてやってみてください。そして指サック状の歯磨きをやってみる、という感じで段階を踏んで飼い主さんにも犬にも徐々に慣れて行っていただくのが大事ですね。まあもしそれでもダメだったらデンタルガムを使ってみるのも一つの方法です。

では、最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。

やはり飼い主様には普段から予防の意識を大事にしてほしいですね。動物の4大予防と言われるフィラリア症やノミ・マダニ、狂犬病、混合ワクチンといったものでしっかり予防をしていく。また、10歳を目安に血液検査やレントゲン検査、超音波検査も受けていただきたいんです。人間と同じように動物もがんで命を落とすことも多いですから、そういった検診が早期発見につながる場合もあります。動物は人間と違って公的医療保険がないのでそれなりに費用がかかってしまいますが、早期発見のためには必要なことです。皮膚など目に見える部分にできるものならまだしも内臓のほうにできていても症状が表れにくく、と飼い主さんが気づいてあげることはなかなか難しいですから、気づいた時には転移したり播種をしてたりというケースも多いんです。だからこそ検査で早いうちに見つけてあげることが大事です。他にも、心臓病やホルモン疾患、腎機能障害など、高齢化に伴いさまざまな疾患があります。歳のせいかなと思っていても、病気が隠れていることも多々あります。とにかく気軽にご相談頂ければと思っています。散歩がてらに寄って、ちょっと相談できるような病院、飼い主様とペットがよりよい関係を築けるお手伝いを、そして、病気になってしまった場合には、正確な診断と飼い主様と動物にとって、最善の治療を施していきたいと思っています。

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