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玉置健一郎 院長の独自取材記事

アニマルメディカルステーション

(横浜市栄区/本郷台駅)

最終更新日: 2023/01/22

本郷台駅と港南台駅のちょうど中間に位置する「アニマルメディカルステーション」。自然光が入るレンガ調の院内には絵画が飾られ、温かみのある雰囲気だ。近所の人たちがコミュニティー感覚で立ち寄れるような内装を心がけたという玉置健一郎院長は、治療以外でも気軽に来院し、わからないことについてはどんどん質問して、ペットを暮らす上での知識を増やしてほしいと語る。物言わぬ動物を診療する上では、丁寧な触診が第一のモットー。言葉を介した「会話」に限界はあっても、「対話」はできるとの思いから、ペットと飼い主のライフスタイルに合わせた治療を提案してくれる。銀色の長い髪がアーティスティックな印象の玉置院長に、獣医師になるきっかけとなった子どもの頃の思い出や、ペットと長く生活を共にするための心得について、興味深いお話を伺った。 (取材日2012年11月26日)

ライフスタイルによって異なる、ペットへの愛情の注ぎ方。「良かったね」といえる最期を

開業される際、こだわった点について聞かせてください。

コンセプトとしては、“町医者”であることにこだわりました。現在では、人間の総合病院レベルといってもいいほどの大きな動物病院もありますが、飼い主さんにとっては、そういった病院をいきなり受診するのはちょっと気が引けるのではないかなと思っています。栄区は、横浜市のなかでも高齢の方が多い地域です。最近は、二世帯住宅やマンションが建つようになって、小さなお子さんのいる家庭も増えてきましたが、どのような世代でもペットを飼っている方にとっては、あまり敷居の高くない場所にしたかったんです。ですから、白い壁の、いかにも病院という内装ではなく、レンガ造りで温かみのある作りにしました。この地域に住む方にとって、ひとつのコミュニティーのようになれればいいなと考えています。また、開業当時は病院前の大通りはまだ建設中で、戸塚の方面に向かうルートの“はじまり”という雰囲気に心惹かれました。交通の便がよくなることもわかっていたので、車で来院される飼い主さんのために駐車場を5台分用意しています。

専門分野や診療方針について教えていただけますか?

犬と猫の内科全般の診療を行っています。獣医師はどのような症例にも対応することが前提なので、皮膚や歯を診ることもあります。診療においては、とにかく飼い主さんと話し合いを重ねた上で、それぞれのライフスタイルに合った治療を選んでいただき、飼い主さんにとってもペットにとっても幸せな最期を迎えられるようにという思いがあります。例えば、入院して積極的に治療しても、元気になって帰れる可能性が50%を切っていることがあります。そういったケースは、だいたい高齢のことが多いんですが、14〜15歳になってから手術をして痛い思いをさせるよりは、対症療法を行ってお家で一緒に過ごす時間を持ちたいと考える飼い主さんもいます。そのような場合、初診で30分くらい話をしただけで判断することはとても無理で、治療をいつからどんな形で進めていくか、きちんと時間をかけた話し合いが必要です。ですから、飼い主さんとは日頃からペットにとっては何が幸せか、飼い主さんとしてはどのような生活が理想なのか、できる限りさまざまな相談をしておくことが大切だと思うんです。

一人ひとり異なる飼い主さんの思いを受け止めるのは大変ですね。

愛情の注ぎ方というのは人によってまったく違うはずなので、教科書通りの治療をしていても、いつでも誰にでも納得していただけるわけではありません。通り一遍の診療で満足するのは、獣医師の側だけでしょう。医学的にはベストな判断だとしても、飼い主さんにはそれを100%受け入れられない事情もあるわけです。その判断の溝を埋めるためには、しっかりと話し合うしかありません。お互いの意見や気持ちをすり合わせることは、私の得意な分野かもしれませんね。例えば、ペットががんを患っている場合、外科手術・抗がん剤・放射線治療など、人間と同レベルの治療を積極的に受けることも可能です。ただし、それにはかなりの費用がかかります。飼い主さんとしては、できる限りの治療を受けさせたいとの思いがあるでしょうが、現実的には難しいことが多いですよね。そうなった時に、高度な治療でなくても苦しまずに暮らしていけるように、必要な検査や治療、費用についてきちんと情報提供をすることは、獣医師の重要な仕事だと考えています。

ペットと飼い主の適切な距離感を。ただし、病気に関しては“過保護”であるべき

ペットと飼い主の関係になにか変化を感じることはありますか?

最近は、犬や猫を飼うのが初めてだという大人が増えてきたように感じます。幼い頃に近所で子犬や子猫をもらってきて飼う、そういう経験のチャンスが少なくなったせいかもしれません。そもそも、犬や猫の存在意義が少し変わってきていますよね。”癒し”という言葉が定着してずいぶん経ちますが、確かに動物たちは飼い主にある種の幸福感を与えてくれます。家族の一員と言っても、人間とは比べものにならないくらい自分を認め、必要としてくれます。それは、生きる上での大きなエネルギーになりますから、ペットがなくてはならない存在になっていくんです。ただし、度を超えると、飼い主がペットロスに陥ってしまうという問題も出てくるわけです。今や、犬は単なる番犬ではありません。犬としてではなく、人間のように育てられるペットがたくさんいます。それは、一概に不幸だとは言えませんが、犬が犬である以上、人間とは相容れない部分は必ずあります。それを人間の子どもと同じように育てていけば、犬にとっては強いストレスになりますし、飼い主さんにとっても同じです。子ども時代からペットを飼っていて、別の趣味も持っているような飼い主さんのほうが、ペットとの距離感が適切ですね。その方が、お互いに余計なストレスを抱え込むことなく、健全なのではないでしょうか。

手をかけ過ぎるのはよくないということですね。

人間と同じようなレベルで、あれもこれもとかわいがり過ぎるのはあまりいいことではありません。ただ、別の意味で“過保護”にするのはまったく悪いことではないとも思うんです。健康状態については、常に気にかけてあげるべきです。犬などは、実際はかなり重い病気を患っていても、一見まったく元気な様子でいることがほとんどです。病気になってから目に見える症状が出るまで、人間に比べてものすごくタイムラグが大きいんです。決して我慢をしているわけではなく、自覚症状もないのだと思います。あるラインを突破した段階で、積み重なったものがどっと出て、急変したように見えるわけです。しかし実際には、症状が顕在化する前でも少しずつ体調の変化はあったでしょう。ご飯をあっという間にたいらげていたのが、2分くらいかけて食べているというような小さなサインです。普段の顔つきやご飯の食べ方、おしっこのし方をよく把握しておき、少しでもいつもと変わった部分がないかどうか、ペットの健康管理については“過保護”になるべきです。人間の子育てと一緒ですね。

動物と接する際に心がけていることはありますか?

診察の基本として「ハンドリング」、つまりいかにうまく触れるかということに気をつけています。ペットにとっては診察台に上げられるなんてことは非日常的な行為で、心にさざ波が立つ子が多いのは当たり前です。その気持ちを増幅させないように、こう触ると嫌なのかな、こっちから触ると大丈夫かなと、細心の注意を払っています。言葉を介した「会話」は無理ですが、触ることによる「対話」は可能です。尻尾を振っていても、嬉しいとは限らず、恐怖心から振っていることもあるんですよ。もちろん、丁寧な触診は大切な情報収集にもなりますから、ちょっとした違和感があれば、飼い主さんに検査を提案することもできます。あまり時間をかけ過ぎると、動物たちは嫌になってしまいますが、触っていくうちに、彼らがどんな気持ちになっているのか、どんどんわかってきます。それは、才能などではなく、本当にその子のことを知りたいという純粋な思いがあればできるようになってくるものです。

「知らない」ことが不幸につながらないように

飼い主に対してはどのようなスタンスで接しているのですか?

犬や猫の気持ちどころか、触り方も何もかもまるでわからないという飼い主さんもいます。そういった方たちに対しては、まず、犬や猫にはこういう特性があり、飼い方にもそれなりの方法があるということを伝えます。コミュニケーションを図るためには、飼い主さんも勉強しなければいけないことがたくさんあるんです。マニュアル本などを読むのもいいですが、焦らずに、1年かけても2〜3年かけてでも、本当の信頼関係を築くことができるようサポートしたいと考えています。診察するのはペットですが、実際に治療の要となるのは飼い主さんです。ですから、病気について、お薬や治療法について飼い主さんにきちんと理解していただく必要があるし、知らないということは、むしろ罪だと思うんです。さまざまな知識を得ることで不安や悩みが解消されますから、獣医師としてはとにかく情報を伝えていきたいと考えています。飼い主さんのほうでも、病気でなくとも、聞きたいことがあれば気軽に何でも聞きに来てほしいですね。

獣医師をめざしたきっかけを教えてください。

昔から自然や生きものが好きでした。今は開発されてしまいましたが、磯子にある実家の裏は山で、小さい頃の遊び場でした。まわりには、いつも自然があったんですね。野犬はさすがにあまりいなくなっていた時代ですが、まだ捨て犬は時々いて、私自身も飼った経験があります。小学5年生から飼っていた犬がいたのですが、高校2年生の時にフィラリアで死んでしまいました。散歩中に咳をしていたんですが、歳をとったのかなと思っただけで、血を吐いた時も、ピンク色だったので血だとは気づきませんでした。だんだん元気がなくなってしまったので、知り合いの獣医師に診てもらったらフィラリアだと言われ、入院することになってしまいました。予防をしていなかったのはもちろん、当時はフィラリアという病気についても知りませんでした。病気について調べたくても、今みたいにインターネットがあるわけでもありません。翌日、病院に行っていろいろな資料を見せてもらい、とんでもないことになっていると知りました。「もしかしたら、死んでしまうかもしれない」と、初めての不安を感じる中、入院して3日目に私の目の前で息を引き取ったんです。その時、「知らないということは罪だ」と実感し、この道をめざすきっかけになりました。

今後の展望について聞かせてください。

ペットがいて飼い主さんがいて、幸せな生活が送れている。その状況を守りたいという思いが、私の獣医師としてのモチベーションです。完全な健康状態が第一というわけではなく、極論すれば、足が動かなくなっても寝たきりになっても、ペットと飼い主さんが幸せであればいいとも思っています。少しでも長く一緒にいるためには、できるだけ健康であることが必要だから、定期的な検診もしていきましょうというスタンスです。狂犬病予防法の流れで、犬は16歳を超えると自治体から表彰されます。16歳まで一緒に暮らしたということは、予防などをきちんとしていたということで、飼い主さんもすばらしいと称えられるわけです。その表彰式に、できるだけみんなが参加できるようにしたいというのが私の望んでいることです。

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