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柴藤徳洋 院長の独自取材記事

みのり動物クリニック

(文京区/湯島駅)

最終更新日: 2023/01/22

下町の風情と山の手の情緒が調和した湯島にある「みのり動物クリニック」。院長である柴藤徳洋先生は人生経験が豊かであり、好奇心旺盛で話上手な親しみやすいお人柄であると同時に、異色な経歴の持ち主。たとえば国際協力事業団(JICA)のウルグアイ獣医研究所の強化計画にて短期専門家としてウルグアイに派遣されこともあれば、調理師免許の取得、不動産コンサルティング技能登録の有資格者でもあるという。診療では、「飼い主とペットが充実した生活を送るための手助けをする」こと目的に、飼い主の気持ちを尊重した丁寧な治療に努めている。それだけに、飼い主さんたちからの信頼は厚く、開業以来通い続ける方も少なくない。インタビューでは現在取り組んでいる自家がんワクチン治療やクリニック名に込めた思い、病気を早期発見するための工夫など幅広くお話しいただいた。 (取材日2012年11月8日)

飼い主の気持ちに寄り沿う診療を大切にしたい

長年にわたり研究畑にいらっしゃったとか。

もともとバイオサイエンスに興味があって、日本獣医畜産大学院(現在の日本獣医生命大学)や、農林水産省(現・動物衛生研究所)時代の約10年間で、動物のがん細胞と免疫の関係について研究していました。具体的には牛を対象にしたがんの特異抗原(情報)をリサーチし、それをがん治療に生かそうと考えていたんです。今でこそ免疫治療はメジャーになりましたが、当時はこうした研究をしている獣医はいなかったので異端児扱いでしたね。今でも隣のビルの2階のラボで細々と研究を続けており、現在は自家がんワクチン治療に取り組んでいます。自家がんワクチンとは猫ちゃんワンちゃんから採取したがん組織を加工して作ったワクチンです。これを元の体を投与すると、免疫細胞が活性化され、活発にがん細胞を殺すようになるんです。手術では取りきれないような微小ながん細胞も攻撃できるため、がんの再発や転移を予防できる可能性があります。 そして副作用がほとんどないことも大きなメリットですね。当院では現在は理化学研究所のグループと一緒に、乳がんの子に対する臨床試験をスタートしています。今後はほかのがん治療にも広げていくことが目標ですね。

ここに開業した理由を教えてください。

私が開業した2003年頃は、住人が少なく、動物病院も少ない街でした。ですが、いずれ新しい住民が都市に戻ってきて、動物病院は必要になるだろうと考えたんです。また、ここは二次高度獣医療施設も近いですし、僕の母校へのアクセスも良いので高度医療が必要になった場合は連携が取りやすいというメリットがあります。すべての治療を私が一人でこなさなくて済む分、飼い主さんの気持ちに寄り沿う医療を実現しやすいと思いました。そして、私が幼少時代を過ごした福岡天神と雰囲気が似ている点も開業の決め手の一つだったかもしれません。今でも開業前の自分の考えは間違ってなかったと感じています。

この場所に開業してよかったと感じることは?

下町と山の手のそれぞれの良い点が一緒になっているところです。非常に人情に厚いし、人と人の触れ合いが強い地域ですね。うれしいことに何もないのに寄ってくれたり、差し入れをいただくことも多いんですよ。その一方で、新しいマンションが続々と建って、活気づいてきたと感じています。そして何よりうれしいのは当院の治療方針に対して理解のある飼い主さんが多いことです。なぜその治療が必要かを説明すれば、こちらの提案を素直に受け入れてくださいます。ただ、まだまだ住んでいる方が少ないため、ほかのクリニックに比べ来院患者数は少ないかもしれません。でもそれでいいと思っています。そのかわり1匹1匹丁寧な診察をすることを大切にしたいですから。バックヤードでは診察に時間をかけ過ぎだと怒られますが(笑)。

ペットたちとの日々の触れ合いを大切にし、早期発見早期治療に努める

「みのり動物クリニック」の院名の由来を教えてください。

僕が通っていた幼稚園の名前がみのり幼稚園だったからなんです。そう言うとみなさん冗談だと思うようですが、ふざけているわけではないんですよ。そこは浄土真宗系の幼稚園で、名前の「御法(みのり)」は「仏様のお話し」という意味なのです。仏様の教えで一番重要なことは「生き物は必ず死ぬ。それまでどう生きるのか」ということ。必ず亡くなる生き物を飼う以上、どのように日々を過ごし、どんな最期を迎えさせてあげたいですか?という問いかけがクリニック名には込められているんです。ですから、このクリニックの目的は「病気をただ治療すること」ではなく、「獣医師として飼い主さんとペットが日々を充実させるお手伝いすること」。飼い主さんには「亡くなるまで精一杯のことをしてあげられた」と思っていただくことが究極の目標ですね。それができればまずペットロスにはなりません。そのために私も最後の最後まで責任を持って飼い主さんに寄り沿っていきます。

治療するうえで大切にしていることはなんですか?

日進月歩で進化する医療技術をキャッチアップするのは当たり前です。しかし、最新の治療法を提供することと飼い主さんに満足していただくことは別の問題。治療は飼い主さんの希望をくみ、一緒に作っていくものだと考えています。ただし、ときにはこちらの主張を通させていただくこともあります。例えば、猫ちゃんに対する胃ろう設置について1ヵ月説明し、飼い主さんから許可をいただいたことがありました。その子の場合、始めはごはんを食べていたのですがだんだん食事を拒否し、飲み込む力がなくなったため、毎日点滴をしに通っていました。しかし、ごはんを食べられないだけで、自分でウンチもオシッコもできるんです。ですから、胃ろうによって直接胃にお水やお薬を入れられるようにすれば、ご自宅で飼い主さんがケアできます。もちろん、猫ちゃんにとっても食事と薬を摂取できることで負担は格段に減ります。胃ろうは寝たきりの方が受ける治療というイメージがありますが、ペットの場合はそんなことはないんですよ。そうした誤解を解くのも私の役目だと思います。

早期発見早期治療のために工夫していることがあるとか。

早期の段階で病気を発見するには、定期的に診る必要あります。ですからその工夫として、フィラリアの予防薬を春先に1年分まとめて渡さずに、毎月来院いただいて診察室で飲んでもらうようにしています。そのときにしっかりとワンちゃんの体を入念にチェックしています。すると、目の傷や耳のただれなど飼い主さんでは気づかない体調の変化が見つかることも多いんです。もちろん、チェックしてどこも悪いところがなければ、フィラリアの投薬費用しかいただいていません。また、そのように毎月会っていると、飼い主さんともワンちゃんともコミュニケーションが取れ、信頼関係を築けるというのも大きなメリットですね。

飼い主に寄り沿うことを大切にしつつ、専門性の高い診療もしていきたい

ところで先生は福岡市出身だそうですね。

福岡県福岡市というと博多を思い浮かべる方も多いと思いますが、私はあくまで“福岡”出身。博多は町人の町、福岡は城下町という歴然とした違いがあるんですよ。私が暮らしていたのは、東京でいえば銀座や日本橋にあたるような中心地でした。そんな町中にあったので決して大きな家ではありませんでしたが、常に犬や猫を飼っていましたね。そのため、子どもの頃からたくさんのペットたちが亡くなるのを見てきましたし、動物病院に連れていくこともしょっちゅうでした。獣医さんが診察している間、何もしてあげられないことにもどかしさを感じたことも幾度となくありましたね。今思えば、それが獣医師になる原点だったのかもしれません。

先生は獣医師以外にもいろいろなキャリアを積まれたからとか。

実は獣医師以外にも資格をいくつか持っているんです。一つは調理師免許です。学生時代が長かったものですから、10年くらい同じ寿司屋さんでアルバイトしていました。それで周りの勧めもあって調理師免許を取ったんですよ。また、学生のころ住んでいたマンションの前に大きなビルが建ったことで、日照権の侵害と富士山が見えなくなってしまったという景観トラブルがありました。そこで必要に駆られて住宅関係の法律を勉強しました。それが高じて宅地建物主任者、さらに経験を積んで不動産コンサルティング技能士を取ったんです。どちらも一見獣医師の仕事とかけ離れているように見えますが、開業して経営などもこなすようになってからはその経験はとても役に立っていますね。

今後の目標を教えてください。

飼い主さんに寄り沿うことを大切にしつつ、専門性の高い診療もしていきたいです。一つは先ほどお話しした自家がんワクチンの臨床試験で、もう一つは、日頃よく見ている子に対して、問題行動の改善をお手伝いしたいですね。例えば、吠え癖や噛み癖があっても、その子の性格だからと諦めている方は多いことでしょう。しかし、そうした行動はカウンセリングと薬物治療で改善することもあるんですよ。例えば、歳を取った猫ちゃんが攻撃的になるのは甲状腺機能亢進症の可能性があります。その場合、お薬で症状は劇的に良くなります。新薬の治験などにも積極的に参加し、飼い主さんとペットの良い関係づくりのお手伝いをしていきたいですね。

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