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久山昌之 院長の独自取材記事

久山獣医科病院

(豊島区/巣鴨駅)

最終更新日: 2023/01/22

巣鴨駅から南にある桜並木を3分ほど進むと、久山獣医科病院が見えてくる。住宅街に溶け込むような外観とつくりは、病院の方針そのものを示しているようだ。診察の際は動物を預け、飼い主は待合室で待機するのが基本スタイルの病院だが、医療情報を開示することも大切にしていることから、診察室と待合室の間には壁がなく、すぐに様子をうかがうこともできる。「飼い主さんの緊張が動物に伝わってしまうこともあるので、こうしています」と語る久山昌之院長は、動物と人間それぞれを尊重した態度を貫きながらも、朗らかで楽しい獣医師だ。時に真剣に、時にジョークを交えてという話し方は、動物病院が苦手な動物や飼い主を安心させてくれるだろう。明るく話をしてくれる久山先生にさまざまな話を伺った。 (取材日2015年4月9日)

大学病院でのつまづきと大きな財産

まず、先生のご経歴からご紹介いただけますでしょうか。

日本大学を出た後、東京大学の動物病院外科に研究生として2年お世話になりました。6年間学んだ後だったので、それなりに自信はあったのですが、初日からその診療レベル話に全くついていけず、がっくり来たのをよく覚えています。東大に所属するときの選択で外科を選んだときに「内科はどうするの?」と聞かれて「自分で勉強します」と豪語していたんですが、いまでは本当に生意気だったなと。未だにそのときの先生に、内科のことを聞くと「自分で勉強するんでしょ」なんてからかわれてしまいます(笑)。きちんと謝って、今ではいい話のネタになっています。

前途多難なスタートだったようですが、印象深いエピソードなどあればお聞かせください。

東大のいろいろな考え方は、今も自分のベースになっているかなと思います。僕がいたのはもう20年以上前ですが、そのときから東大では外科であるにもかかわらず「まずは手術をしない治療が一番」と考えていたりとか。外科だとどうしても手術を前提にして考えがちなんですが、東大はそうではなかったんです。他にも「手術の成否は、もちろん執刀医の技術が重要だが、麻酔医の能力はそれ以上に重要だ」と。そういった理由で、当時あまり普及していなかった麻酔モニターという血圧や呼吸機能などが測れる機材を使っていました。僕はここで勤め始めたときに購入しまして、業者の方には「これを個人で持ってる病院はなかなかないですよ」と驚かれましたね。でも、麻酔モニターには自分の五感ではわからない部分が写されるので、より難しい手術もできるようになって、より自信が持てるようになりました。レーザーも当時はあまり普及していなかったんですが、だいたい同じくらいの時期に購入しています。

VESENAという高齢者向けのペット支援団体にも所属していらっしゃいますが、これはどういったご関係で?

東大時代にお世話になった先生のお誘いがきっかけでした。VESENAは「高齢者の方にもパートナーとして動物を飼っていただこう」という運動をしているところです。お年を召されると「自分に何かあったとき、この子はどうなるんだろう」といった心配があったり、引き取りたくても「高齢者の方はちょっと……」と言われてしまうことがあるんですが、そういうときには獣医師が責任を持って支援しますよ、と。飼い主さんと接するときに動物や病気のことだけでなく、日頃のお話を聞くということを重要視していまして、そういった中で高齢者の方の支援もできたらと思っていました。そういうところがどこかから伝わったらしくて、それでお声がけいただいたようです。

動物と人間のより良い一生のために

漢方や東洋医学なども使われるそうですね。

専門医というわけではないんですが、もともと東洋医学には興味がありまして、勉強していたことがあります。いわゆる「いいとこ取り」をしていくような感じで、良いことやその子に合ったものなら取り入れていこうと。漢方やサプリメントについてはあまり良くないイメージを抱いている方もいらっしゃいますが、そこは自分で勉強して、自分の目で見て判断したくて。実は家内の実家が漢方薬の会社をやっていまして、わからないことがあれば義父に聞くこともありましたね。たまに「漢方で治してください」とおっしゃる飼い主さんもいらっしゃるんですが、あくまで手段の一つなので、妄信はしてほしくないなと思います。それぞれの子に合った治療法がありますから、いろいろ考えた結果「漢方がいいでしょう」ということになれば使用します。

こちらの医院にはスタッフの方も多くいらっしゃいますが、何か特別に指示を出していることはありますか。

スタッフ全員が、同じ想いと意識、考え方を持ち、ぶれない芯を持つということを徹底しています。また、病院ですから、ときには亡くなる子(動物)もいます。でも、僕達はそこで泣いていてはいけない、とも話します。すごく辛い気持ちはわかりますし、その気持ちはとても大切で嬉しかったのです。ですが、僕らには他にもたくさんの患者さんがいて、泣いていたらその瞬間は冷静な判断ができません。そこで立ち止まっていてはいけないんです。ですから、「今苦しんでいる子がいるのに、その状態じゃ助けられないだろう。それは獣医師失格だ」と。飼い主さんや動物の辛さを頭で理解することはとても大切なんですけど、感情まで引きずられてはいけない、と言ったことはあります。

それは、医療に携わる方としてはとても大切なことですね。

実は私の娘は看護学科に通っているのですが、受験生時代に医学論文の授業を受けていたのです。テーマが「患者さんの立場に立つべきかどうか」ということだったそうなんです。職住一体の病院ですので、僕が話す内容をよく聞いていて、「患者さんを思いやり、気持ちを理解しつつ、でも立場は医療従事者として冷静に強くあるべき」と論文に書き、いつも厳しい評価の先生に、とてもほめられたそうなんです。動物と人間、診る対象は違っても、生命に対する仕事としては同じですよね。娘がそんな職業を選んでくれたことが嬉しいです。その先生が娘に「あなたはいいお家で育ってきたんだよ」と100点満点をくれたそうで、思いがけないところではありますが、この仕事をやっていて良かったなとあらためて思いました。

飼い主には「おうちの子のプロ」になってほしい

動物病院が苦手な子もいると思いますが、そうしたときのコツや飼い主さんができることはありますか?

ネガティブな言葉ではなく、ポジティブな言葉をかけてあげるといいと思います。もちろん気持ちもポジティブに。「怖かったね」「嫌だね」「こんなところ来ちゃったね」ではなく、「頑張ったね」「えらいね」「楽になるよ」というように。こちらもたくさんの動物を診ていますので、今までの経験から「この子はどんなことをしたら機嫌を良くしてくれるかな?」と考えながら、撫でたりさすったり抱っこしたりいろいろやりますが、やはり一番よくわかっているのは飼い主さんだと思いますので。私たちは「動物医療のプロ」、飼い主さんには「おうちの子のプロ」になっていただきたいなあと思います。

近年、急激な気候の変化など、動物にとっても辛い季節が多いですが、そういう時期のお世話のコツはありますか。

季節によってなりやすい症状というのはあります。季節の変わり目には胃腸の調子が悪くなりやすいとか、暑い時期だったら皮膚関連の病気になりやすいとか。あとは脳の病気なども季節や天候に影響されることがあるので、「こういう病気のときはこんな天気に気をつけてください」というお話をしていますね。一番は、普段の状態を良く知っておくことです。そして、日常の中のちょっとした変化を見逃さないことです。そして「何かちょっとおかしい気がする」というときは、病院へ相談してほしいなと思います。ただ、心配しすぎて監視みたいな状態になってしまうと、それはそれで動物にとっても飼い主さんにとってもストレスになってしまうので、頭の片隅に留めておくような感じが理想ですね。言葉にすると難しいんですが、一緒に生活していると何となくわかると思います。普段の状態を知らないと「ちょっとおかしい」ということにも気付けないですから。「ピンとくる」という感覚が、僕らにも飼い主さんにもとても大切です。

最後に、先生の今後の目標などあればお聞かせください。

病院としての目標としては、この病院を広くしたいという考えもあるにはあります。と言うのも、ご覧のとおりかなり手狭で、長くお待たせしてしまうこともあるので、飼い主さんがもう少しくつろげるようなスペースがあればと思いまして。個人的な目標としては、愚直という言葉が好きなんですが、ぶれずにやり通すことを続けていきたいです。事業を大きくしたり、設備を整えたりだけが発展ではないと思います。仕事をする全スタッフが成長し続けて、高まり合うことこそ大事な要素で、今もそれは出来ていると自負しています。ですから、「現状をしっかりと保つこと」が今頭の中にある目標で、個人的には「生涯一獣医師として現役でいる」ことです。外科は特に衰えが顕著に出ますので、引き際に関する話題もたまにあるんですが、僕はこの仕事が大好きなので体力も含め現状維持し、ずっと現役でいられるようがんばります。

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