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大村知之 院長の独自取材記事

おおむら動物病院

(武蔵野市/吉祥寺駅)

最終更新日: 2023/01/22

吉祥寺駅から徒歩10分。商店街を抜けてバスが走る通りまで出ると、飼い犬を連れて散歩する人ともしばしばすれ違う。「おおむら動物病院」はこんな穏やかな大通り沿いにある。この病院の院長・大村知之獣医師は、ペットと飼い主の絆を大切にした医療を実践。親密なコミュニケーションがペットと取れるようになることを目標にした「しつけ方教室」も開いている。こういった取り組みによって、ペットと飼い主の関係はどう変わっていくのか。大村院長の話によると、変わるのは両者の「関係」だけではないという。ペットに関わった「飼い主自身」も変わっていくのだ。大村院長の話を聞いてみよう。 (取材日2013年10月25日)

散歩は飼い犬とのデート! しつけで動物とコミュニケーションを

散歩中に飼い犬が吠えてしまったり、拾い食いをしてしまう場合、どうやってしつけたらいいのですか?

犬と散歩をするのは運動やトイレのため、と思われがちですが、実はそれ以上に大事な目的があります。それはコミュニケーションです。散歩は犬と飼い主さんのデートなんです。よく散歩中携帯ばかり見ている飼い主さんがいますが、これはいけませんね。デートするときに携帯ばっかり見ているのは失礼でしょう? 犬だって同じです。それではコミュニケーションがとれないんです。犬が散歩中に拾い食いしてしまうのは、飼い主さんが犬にとって魅力的でないからです。それで、犬は自分で楽しいことを探してしまっているんです。例えば、飼い主さんがわざと歩くスピードを早くしたり、緩めたりと変えてあげる。さらに、時々声をかけてごほうびをあげる。その様に飼い主さんがリーダーシップをとってあげると、犬は飼い主さんの横にぴったりついて、飼い主さんをよく見るようになります。そして、拾い食いもしなくなります。吠えるのも同じことですね。吠える犬は自分で判断しているんです。しかし、飼い主さんとコミュニケーションが取れている犬は、なにか怖いことがあったまずら飼い主さんのほうを見るんです。その時に、飼い主さんが普通にしていれば「危険ではないんだ」と理解して、吠えません。当院で行っているしつけ方教室に参加すると、こういったことについても指導します。

「犬のしつけ方教室」について詳しく教えてください。

当院で行っているのは「しつけ教室」ではなくて「しつけ方教室」。私がしつけを行うのではなくて、飼い主さんがしつけ方を学んで、ワンちゃんをしつけるんです。しつけって「ああしちゃいけない、こうしちゃいけない」といった「ルールを覚えること」だと思うでしょ? でも、そうではなくて「犬と飼い主がコミュニケーションを取れるようになること」がしつけなんです。ワンちゃんは犬の価値観での善悪しかわかりません。犬にとっては「トイレで用を足すこと」はどうでもいいことです。しかし、それが人にとってはいいことなんだと教えてあげる。きちんとできたら、ほめて、ごほうびをあげる。そうすると、犬も「人の価値観での善悪」がわかり、それを守ると自分にとってもいいことが起こると理解します。また、ごほうびなど飼い主とコミュニケーションが取れることがわかると、命令されたからやるのではなく、次の指示そのものが楽しみになってきます。変わるのはペットだけではありません。こうしてペットの性質がわかってくると、飼い主もペットのことを思いやれるようになれます。こういった動物の性質を教えてあげるのは獣医師の務めだと思っています。学校で動物の飼育方法について指導を行うのも、そういった目的もあってのことです。

学校ではどんな指導を行っているのでしょうか?

年に4、5回くらい、訪問指導といった形で、学校で飼っている動物の診察とともに飼い方の指導を行っています。飼い方の勘違いでよくありがちなのが、犬の散歩と同じ感覚で、ウサギを広い校庭で走らせてあげる、というものです。一見、良さそうですが、ウサギは草食動物なので走るのは怖いものに追いかけられている時だけ。全然ウサギにとってはありがたくないんです。飼い方の指導ではできるだけ子どもたちに自分で考えさせるような質問をします。例えば、ウサギの眼は横についていて、広い範囲を見ることはできても距離感をつかむことができません。それを教えたうえで「もしウサギが天敵をみつけたらどんな行動を取る?」と質問すると「距離感がわからないから、天敵をみつけたらすぐ逃げる」ということが自然と子どもたちの口から出てくるようになります。ウサギの性質を知り、ウサギが喜ぶために何をすればいいかがわかってくると、今度は友だちのことも考えられるようになる。動物を飼うことはコミュニケーションの練習になるんです。正しい飼い方を知ることで、動物も幸せになれるし、教育的効果も狙えるんです。

病気、動物、そして飼い主 3つの関係で治療が決まる

治療を進めるうえで、どんなことを大事にしていますか?

動物の立場にたって考えることです。この場所に慣らせてから診察し、嫌がることはしない。そうすると、落ち着いて診察することができます。手順としては、診察室に入ったら飼い主さんから問診を取ります。その間に、動物には自由に歩き回ったり、飼い主さんにだっこしてもらったりして、この場所に慣れてもらいます。そして、動物がこの場所に慣れてきたところで診察に入ります。動物は嫌なことでなければ結構いろんなことをやらせてくれるものです。例えば、緊張している子だと、目を正面から見ると怖がってしまいます。そこで、わざとお尻を向けて、飼い主さんのほうを見てもらいながら診察します。こうすると、スムーズに診察が進むんですよ。

印象に残っているケースがあれば教えてください。

猫のかかる膵炎(すいえん)は、全身にも症状が及ぶ、重く、怖い病気です。一般的には、入院するのが一番よいといわれています。ただ、その猫が神経質な性格だった場合や、飼い主さんが一緒にいたい、ということであれば入院させないほうがよいこともあります。そのケースでは飼い主さんと入院・自宅療養のそれぞれ場合に何ができるかを考えました。しかし、とても重症だったので、結局、昼は入院して夜は自宅に連れて帰ることになりました。ご夫婦で相談して決めたのでしょうね。朝はご主人が、夜は奥さんが毎日通院していましたよ。2週間にわたる懸命の看護の末、猫は危機を脱することができました。動物の病気によって治療の選択肢がありますが、実際にどの治療法を選択するのが最適かは飼い主さんとの絆で決まります。そして、その最適な治療法を一緒にみつけていくのが診察です。飼い主さんには、検査1つ行う場合も、なぜそれが必要なのか理解してもらいながら治療します。科学的に適切な診療をするのは当たり前のことですが、それをいかに飼い主さんにとっても価値あるものにするか。学会では獣医師全体の医療レベルを上げようとしていますが、そこでもこういったことが話題になっています。

学会ではどんなことをしているのですか?

日本臨床獣医学フォーラムという勉強会なんですが、全国の医師が同じレベルで治療ができることをめざして毎週勉強会を行っています。そのため、若い医師からベテランまで幅広い層が参加します。僕はこの学会をサポートする幹事役で、講演を組んだり、年次大会を行ったりしています。毎週行う勉強会では、1000人前後ですが、年次大会ともなると6000人もの人が集まります。現在16年目のまだ若い勉強会ですが、とても活発で多くの参加者が動物と飼い主さんのしあわせに付いて考えながら勉強しています。また、飼い主さん向けの講演もあり、そういった講演は言葉もわかりやすくなっています。飼い主さんも参加できる学会というのはここだけだと思います。

ペットも人もハッピーになれる絆をめざして

休日は何をして過ごしているのですか?

スキーを昔からやっているほか、トライアスロンをやっています。僕がやっているのはオリンピック・ディスタンスといって水泳が1.5km、自転車が40km、そしてランが10kmの競技です。約3時間で完結するもので、いわゆる鉄人レースといわれている十数時間かけて行うトライアスロンと比べれば軽いほうなんですよ。昨日も17km走ってきました。トライアスロンはハワイ、沖縄、新潟など広い場所で行われるので、旅行も兼ねて家族と行くことができるのがいいですね。

なぜ犬や猫を中心に診察する獣医師になろうと思ったのですか?

都会育ちだったので、牧場に憧れていたんです。それで獣医師をめざしました。しかし、大学に入学し、さまざまな実習を通して動物は絆によって医療が変わってくることを知りました。例えば、牧場の動物の場合、特定の薬を使ってしまうと、死後の一定期間食肉にはできません。そうすると牧場の人は動物を大切にしたい気持ちはあるんですが、薬を使うかどうか治療を悩むことがあります。また、野生動物だと、環境を壊さないことのほうが大事なので、治療が可能であっても手を出さなかったりします。このように、動物を取り巻く事情によって治療の方法は変わってきてしまいます。そうすると、犬や猫といった飼い主さんとの絆が深い動物のほうが純粋に命の側面を大事にして治療ができると思ったんです。そういう絆が、自分には一番向いていると思ったんです。それで、犬や猫の治療をメインとした獣医師になりました。

最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

人とペットが素敵な絆を築ければ、両方ともハッピーになれるんです。心臓病の人で、手術後、動物を飼っている人と飼っていない人とでは、飼っている人のほうが長生きすることが科学的に実証されています。夫婦でもペットが間に入っていると、ペットを中心にしていい関係が築けることが多いですね。ペットは人をハッピーにしてくれますが、ペットにとっても人と暮らすと、医療が受けられ、充実した福祉環境で生きることができてハッピーなんです。ただし、本当にそう言えるようになるためには飼い主がペットの生態のことをいろいろ知っていなければなりません。どうしても勉強が必要なんです。そこをサポートするのが、私たち獣医師の役割。しつけ方教室、ウェブサイト、学会などいろいろな入り口を設けて、皆さんに情報を提供していますので、ぜひご覧になってみてください。

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