動物病院・獣医を探すなら動物病院ドクターズ・ファイル

動物病院・獣医を探すなら動物病院ドクターズ・ファイル。
獣医の診療方針や人柄を独自取材で紹介。好みの条件で検索!
街の頼れる獣医さん 921 人、動物病院 9,796 件掲載中!(2024年04月20日現在)

町田竜彦 院長の独自取材記事

町田家畜病院

(練馬区/保谷駅)

最終更新日: 2023/01/22

約80年の歴史を持つ「町田家畜病院」。三代目院長の町田竜彦先生は、「診察室の床や診察台は開業当時のまま。味があるでしょ?」と飾らない笑顔で話す、おおらかな雰囲気のドクターだ。大学病院の勤務医時代は腫瘍などの診断・治療の技術を磨き、研究にも力を注いできた。現在も日々の診療のかたわら、研究を続ける高いモチベーションの持ち主だ。だが学者肌というのではない。インタビューの最中、ふらりと立ち寄った飼い主の女性とざっくばらんに会話を交わし、時に豪快な笑い声を響かせる。この先生ならば大切なペットの病気も吹き飛ばしてくれるかもしれない、そんなふうに思わせてくれる温かい人柄の町田先生に診療のことや研究のこと、忘れがたい動物たちとの思い出などを伺った。 (取材日2013年2月13日)

地域の動物医療を担って80年。高度医療とも連携を図る

こちらはたいへん歴史ある動物病院ですね。

開業は80年くらい前にさかのぼりますからね。この建物も古くて、床や診察台は当時のまま。見るからに年季が入っていて、味があるでしょ? もともと祖父が近隣農家の家畜を診ていたのが始まりで、祖父の代までは牛の診療が中心だったようです。父の代には犬と猫が主流になりました。診療中の父の姿はほとんど見たことがないんですよ。子どもの頃は診察室に入ると叱られましたし、獣医師になってからも僕はずっと大学病院に勤めていましたから、一緒に仕事をした時期は少ないんです。でも手術では、今も手伝ってもらいますよ。その方が短時間で手術終わりますから。一緒に仕事をした時期がすくないことは今思えばちょっと残念な気もしますが、それぞれやり方が違うところもあっただろうし、結果的にはスムーズな形で父の後を引き継げたんじゃないかなと思っています。診療は僕も犬と猫を中心にハムスター、ウサギなどを診ています。

子どもの頃から獣医師になろうと思われていたのですか?

小さい頃から身近に動物がいたし、祖父も父も獣医師でしたから、獣医師になるのは自然な流れでしたね。やはり育った環境は大きいのでしょうね。当時実家には猫が6匹いて、どれも診療所の前に置いていかれた猫たちばかりでした。当時はそういうことがしょっちゅうあって、そのたびに保護していたから、「また増えたよ」なんて言っているうちに6匹になっちゃったんです。あるときはフェレットが迷い込んできて、飼い主が見つからないので、そのまま飼ったこともありますよ。今も実家に猫が3匹、僕の家にも猫が3匹います。結局、6匹ですね(笑)

大学病院での専門分野は?

内科全般を診る「総合診療」です。北海道江別市にある酪農学園大学を卒業後、日本大学生物資源科学部動物病院の亘敏広教授のもとで総合診療の技術を磨きました。亘先生とは今でも電話でやり取りする間柄で、診断や治療のことで意見をあおぎたいときには携帯電話を鳴らすんです。そういう意味では、大学病院時代の仲間が川崎市にある日本動物高度医療センターの腫瘍科にいるので、当院で対応しきれない症例はそちらを飼い主さんにご紹介していますし、目の病気に関しても東京大学附属動物医療センターにいる仲間にすぐに相談できます。恩師や仲間というのは本当にありがたいですね。僕のライフワークである研究も、大学時代の恩師の内田英二教授と一緒に取り組んでいます。

研究にも臨床にも魅力がある。飼い主とのやり取りには時間を惜しまない

これまで取り組んでこられた研究について教えてください。

いろいろありますけれども、『犬のアルドステロン、コルチコステロンおよびコルチゾール分泌副腎皮質がん』というテーマの研究は興味深かったですね。ちょっと込み入った話になるので、ホワイトボードに書いてご説明しますね。研究対象になった犬はクッシング症候群と呼ばれる、副腎皮質機能亢進症(コルチゾールというステロイドホルモンが過剰になる状態)が疑われていて、最初は、アルドステロン産生型副腎癌の診断を調べる検査方法を研究していたんです。  ところが同時にこの検査法は低下症も調べられることがわかったんです。すると、ある別の症例では、副腎機能亢進症と副腎皮質機能低下症(アルドステロンというステロイドホルモンが減少  する状態)も併発していたことがわかりました。それで、亢進症と低下症を一度に併発することなんてあるんだなと驚きましたけれどもね。

先生、このホワイトボードは飼い主さんに説明するときも使うのですか?

はい、図や文字に書いて説明するとわかりやすいみたいで。僕にとっても頭の中が整理されて説明しやすいんです。ホワイトボードは学生の頃から愛用しています。勉強するときはホワイトボードに書きなぐると情報や知識がスーッと入ってくるんです。学校の教室には必ず大判のホワイトボードがあったのでそれを使っていましたが、今はこうしてポータブルサイズのものを愛用しています。「動物の病気のことは専門的で難しいから、図にしてもらうとわかりやすい」と飼い主さんも喜んでくれますね。

診療で心がけていることは何でしょう?

個体に合わせた治療と、飼い主さんの要望にできる限り沿うこと、この二つをモットーにしています。人間と同じように動物も一頭一頭、違いますからね。例えば抗がん剤も製造しているメーカーは複数あって、こっちの犬はA社の薬が効いたけど、こっちの犬はB社の薬のほうが効いたということがありますし、治療にかけられる費用や時間も飼い主さんによってさまざまです。ですから、その辺をよく話し合って、動物と飼い主さん双方にベストな治療法をとことん探っていきます。僕、飼い主さんへの説明や話し合いに時間を割くことは一向に気にならないんですよ。それどころか、気づかされることがいっぱいあります。

例えばどんなことでしょう?

心臓の悪い犬がいたとしましょう。飼い主さんに「加齢による心臓疾患ですよ」とお伝えしても、「私のあげる食べ物が良くないんですかね?」と質問されることがよくあります。加齢が原因ですから食べ物のせいじゃないのに、飼い主さんはそうやって心配されるわけです。でも、それこそが飼い主さんの心情だと思いませんか? だから次は食べ物の説明に移っていって、どんどん話が長くなる(笑)。そういうやり取りが面白いし、「そうか、そういう視点があったのか!」といつも気づかされるところなんです。大学病院にはない、町の動物病院のいいところだと思います。

忘れられない動物たち、子どもが教えてくれること

忘れられない動物との出会いはありますか?

ありますよ。「よく頑張って生きたな」って誉めてあげたい雄のマルチーズがいます。こいつは本当にすごくて、5歳のときに肝変性になり、そこからアレルギー、ITP(自己免疫血小板減少症)、ガマ腫と呼ばれる唾液線のう胞、リンパ腫とさまざまな病気にかかって、最後は心不全で亡くなりました。なんと18歳まで長生きしたんですよ。最初にかかった肝変性だってとても難しい病気だし、その後もITPで長期のステロイド治療を受けたり、唾液腺のう胞(ガマ腫)で手術したりです。抗がん剤にてリンパ腫の治療も行い、何度もピンチを潜り抜けました。体重2kgにも満たない小さな体で本当によく頑張ったんです。飼い主さんだって、最期までよく面倒をみましたよね。「先生、こうなったら20歳まで!」なんておっしゃられて、素晴らしい飼い主さんだと思います。僕自身、大学病院の勤務医時代から13年間にわたって診ていたので、亡くなったときは「よく頑張ったね」と労いの気持ちしかありませんでした。ほんの2年前のことです。

動物医療において、やりがいを感じるときは?

それはもう動物たちの病気が治ってくれたときでしょう。病気が良くなった後も薬を飲み続けなければいけないかもしれませんが、飼い主さんのもとで普通に生活できる状態になってくれるのが何よりもうれしいです。僕はここの院長になる2006年まで大学病院で高度医療を手がけていましたが、動物たちはたとえ生きていても、入院したままで飼い主さんと離ればなれで、それで幸せなのかなって葛藤がありました。人間でいうところのQOL(生活の質)ですよね。医療の観点で言えば、もちろん生きていることがベストなんですよ。きっとこの葛藤は一生続くんでしょうね。だからその都度、飼い主さんとよく相談して、考えながらやっていくことが必要なんだと思います。

先生は仕事以外の楽しみもお持ちですか?

研究と子育てが楽しいですね。息抜きに論文を書いているくらいです(笑)。僕は小さい頃から何かを調べるのが好きで、身の周りにあるもの、例えば時計やラジオ、電話なんかを手当たり次第に分解するという遊びをしていました。もとに戻すことはできないから、親にしたら迷惑な話なんですけれどもね。ただ成長するに連れて、だんだん修復の仕方も覚え、それがまた面白くて。おかげさまで今は息子が壊したおもちゃを直すのが得意です。子どもは息子と娘がいて、夫婦力をあわせて子育てをしています。大変なことも確かにありますが、だからこそ面白いっていうのかな。特に息子の発想に驚かされることはしょっちゅうあって、先日もプラレールで遊んでいたら、突然息子が部屋の電気を消したんです。なぜだろうと思ったら、走らせていた電車にライトが点灯していたので夜行列車をイメージしたんですね。輪になったレールの真ん中に半円を描いて、「おっきさま!(=お月さま)」って。実は彼、自閉症なんですけれども、なんてきれいな発想なんだろうと感心してしまいました。

これから先、どんな動物病院でありたいとお考えでしょう?

方針はずっとこのまま、変わらないと思います。個体に合った治療法をとことん探る今のやり方を続け、できる限り研究にも取り組み、高度医療にも携わっていきたいですね。地域に根ざした動物医療を提供し、動物と飼い主さんの生活をサポートできればうれしいです。

動物病院ドクターズ・ファイルは、首都圏を中心としてエリア拡大中の獣医師・動物病院情報サイト。
路線・駅・行政区だけでなく、診療可能な動物からも検索できることが特徴的。
獣医師の診療方針や診療に対する想いを取材し記事として発信し、
ペットも大切な家族として健康管理を行うユーザーをサポートしています。

掲載情報について

掲載している各種情報は、株式会社ギミック、または株式会社ウェルネスが調査した情報をもとにしています。
出来るだけ正確な情報掲載に努めておりますが、内容を完全に保証するものではありません。
掲載されている医療機関へ受診を希望される場合は、事前に必ず該当の医療機関に直接ご確認ください。
当サービスによって生じた損害について、株式会社ギミック、および株式会社ウェルネスではその賠償の責任を一切負わないものとします。
情報に誤りがある場合には、お手数ですがお問い合わせフォームより編集部までご連絡をいただけますようお願いいたします。

TOP