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重本 仁 院長の独自取材記事

王子ペットクリニック

(北区/王子駅)

最終更新日: 2023/01/22

JR王子駅から徒歩10分の場所に位置する「王子ペットクリニック」。「動物になるべく負担をかけない治療」をモットーとする同院は、腹腔鏡下、胸腔鏡下で行う内視鏡手術やカテーテル治療、椎間板ヘルニアに対するPLDD(経皮的レーザー椎間板除圧術)といった「低侵襲治療」を得意としている。「動物にも人間と同じクオリティーの医療を届けたい」という重本仁院長をはじめ6人の獣医師が所属し、先進の医療を積極的に導入している。その一方で、下痢や嘔吐、食欲不振など一般的な病気から予防接種や健康診断、爪切り・耳掃除などの日常ケア、飼い方・しつけ相談にも対応、地域のホームドクターとしての役割も果たしている。「動物のことを考えれば、より良い治療に目が向くのは当然のこと」と語る重本院長。ストイックな姿勢の中にも動物と飼い主への優しさをにじませる重本院長に話を伺った。 (取材日2015年5月8日)

一般的な病気から高度治療まで、幅広く対応するホームドクター

5階建てのビルすべてがクリニックなのですね。

はい。2006年に縁で北区に開業し、2013年11月に現在の場所に移転しました。移転といっても同じ豊島1丁目内を数ブロック動いただけなのですが、動物たちをより良い環境で診療するために、広いスペースを確保して設備を整え、より専門性の高い医療サービスを提供したいという気持ちが強かったですね。同時にスタッフにも働きやすい環境を整えたいという思いもあり、移転を決めました。

リニューアルの際にこだわった点はありますか?

「居心地が良く、きれいな空間」をコンセプトに、いかにも「動物病院」という雰囲気ではなく、人間の病院のようにしたいと思っていました。特にプライバシーを重視して、診察室の様子ができるだけ外から見えない配置にしたり、待合室をできるだけ広く作ったり、飼い主さんや動物たちがストレスなくリラックスして過ごせるように配慮しました。また、4階に室内ドッグランを設置して、ワンちゃんたちが安全にフリーで走れるスペースを確保しました。ドッグランは基本的には当院で治療をしたワンちゃんたちのリハビリスペースなのですが、待合室が混雑しているときや、診察を待つ間にワンちゃんが吠えてしまったときにお待ちいただいたり、ペットホテル中の運動、入院中の動物たちが飼い主様と面会する場所としても活用しています。

診療対象動物と、どのような相談が多いのかお聞かせください。

犬・猫を中心に、フェレットやうさぎ、ハムスターなどの小動物も診療しています。当院のロゴは犬、猫、フェレットのシルエットがモチーフになっていますが、フェレットは来院数も多く、特に注力しています。当院では肝臓や門脈シャント手術、軟性、硬性内視鏡による検査や外科手術といった特殊治療を行っていますので、他施設から紹介されて受診される方が多いですね。中には千葉、埼玉、神奈川、福島などの遠方からペットを連れて来られる飼い主様も多くいらっしゃいます。その一方で、「うんちがゆるい」「少し吐いた」といった症状の動物の来院もたくさんありますし、耳掃除や爪切りなどの日常ケアや、便検査・血液検査などの簡単な検査や健康診断のために定期的に通院されているご近所の方も多くいらっしゃいます。難しい病気に対応していますが、当院は「地域のホームドクター」というスタンスを大切にしています。飼い主様がペットの様子に不安を感じたときは、いつでも気軽に来院できるクリニックとして便利に使っていただければうれしいですね。

「治してあげたい」「良くしてあげたい」という気持ちから出発した高度先進医療

ご施設の特長をお教えください。

先ほども少し話しましたが、動物の体にできるだけ負担をかけない治療をモットーにしており、積極的に「低侵襲治療」に取り組んでいます。侵襲という意味は体にとって害があるという意味で手術だとメスをいれるということになります。低侵襲治療とは、皮膚にあけた小さな穴からカテーテルやカメラや鉗子を挿入して行う治療法の総称です。通常の開腹手術と比べて術後の動物のコンディションが非常に良いです。個体差や手術の内容にもよりますが、手術当日か翌日に帰宅できる子が多く、入院日数もかなり短縮されます。手術のあと元気に帰っていく動物たちを見ると、「低侵襲治療は人間の医療だけでなく、獣医療にも必要」と強く感じますね。少なくとも選択肢の1つとして、飼い主さんに提示すべき重要な治療法だと思っています。

低侵襲治療は、どのような病気に対して行われますか?

当院では犬・猫の避妊手術を腹腔鏡下で行うことが可能です。開腹手術の場合、お腹を5〜20cmほど切開しますが、腹腔鏡手術では3〜5mmの小さな穴を2〜3つほどあけるだけで手術できるので、傷口も小さいのですし、術後の痛みも少なく、回復も早いと感じています。そして避妊手術以外にも、胆嚢摘出術や副腎摘出術、膀胱結石摘出、門脈シャント手術、脾臓摘出なども腹腔鏡下で行っています。また、当院では腹腔鏡のほかに大きさが異なる3種類の内視鏡をそろえており、気管や膀胱、鼻腔内の検査はもちろん、異物を飲み込んだ際の摘出時にも小さな体に負担をかけずに処置することができます。そのほか、気管がつぶれて呼吸ができない「気管虚脱」のワンちゃんに、狭くなった気管を管腔内部から広げるステントという医療機器を挿入して症状を和らげる「気管ステント設置術」や、ハンセン2型の椎間板ヘルニアに背中からレーザーファイバーを刺入し、レーザー照射して治療する「PLDD(経皮的レーザー椎間板除圧術)」も導入しています。どちらの治療も体を切開することなく処置できる、低侵襲な治療です。

新しい治療を導入するのは、大変なのでは?

大変ですよ(笑)。勉強会に参加したり、知り合いの先生に教えていただいたりして学んだ技術を何度も練習して習得していくのは時間がかかりますし、治療に必要な医療設備をそろえるための費用もかかりますからね。2013年にリニューアルしたときには手術室のスペースを広く取って、Cアームという大型のX線透視診断装置を設置しました。従来のレントゲンとは異なり、患部の位置や状態をリアルタイムで把握できるCアームを導入したことで、より精度の高い治療が可能になり、提供できる医療の幅も広がったと思います。新しい治療を導入するには費用も時間もかかりますが、「治してあげたい」「良くなって欲しい」という思いで本気で動物たちと向き合っていたら自然と今のような新しい低侵襲医療に目が向いてきました。ただし高度先進医療が全てだとは考えていません。飼い主さんのニーズやペットの状態に応じて、さまざまな治療の選択肢が考えられると思います。例えばですが、何もしないことも治療の選択肢のひとつと考えることもあります。あらゆる状況を総合的に考えてベストな治療を提示するのが一番大切だと思います。

飼い主とペットの両方を幸せにする医療をめざして

獣医師になろうと思ったきっかけは何ですか?

生まれたときから動物がそばにいる環境にいたことが一番大きいと思います。物心ついたころから、家ではリスやオウム、犬を飼っていましたし、田舎で育ったので周りには魚や蛍、カブトムシといった生き物がたくさんいました。実は両親からは「医者になれば」と言われていたんです。兄は医師になりましたし、私も医師になろうかなと考えた時期もあったのですが、やっぱり動物の命を救う仕事である獣医療に携わりたいという思いが強く、獣医師の道を選びました。私にとって動物は家族同然の存在なんです。そばにいるだけで癒やされますし、人間に対するのと同じか、もしかしたらそれ以上の愛情が湧いてくる(笑)。つらいときや悲しいときにも黙って寄り添ってくれる動物の存在感には計り知れないものがあると感じています。寿命でいえば動物よりも人間のほうが長生きしますが、命の重さは人間も動物も同じです。これからも獣医師として、飼い主様とペットの両方がなるべく幸せになれる治療を提供していきたいと考えています。

スタッフさんたちが自律的に機敏に働かれているのがとても印象的でした。

スタッフの自主性を重視するようにしています。やらされ感満載の仕事ではやりがいがないのはもちろん、クリエイティブな閃きも出てこないでしょう。ダメなことはダメと正面からぶつかって話しますが、本人に解決策を提示させ、こうした方がうまくいくんじゃないかということを自らの頭で考えられる人間に育てていくことが大事なんだと思っています。

クリニックの今後の展望をお聞かせください。

将来的には、当院を低侵襲治療に特化した専門病院にしていきたいと考えています。人間の医療では内視鏡やステント手術などの低侵襲治療はかなり浸透していると思いますが、獣医療ではまだあまり普及していないのが実情です。当院では、「team AMIST(Animal Minimally Invasive Surgical Treatment )」という動物低侵襲外科治療チーム、まあ仲間をつくって治療のクオリティーや飼い主様の満足度の向上をめざしてがんばっています。チームには当院のスタッフの他に大学時代の同期や他施設の先生、もちろんペットも飼い主様もチームのメンバーと考え、治療法をそれぞれ考えながらベストの選択をチョイスできるようにみんなでディスカッションしています。チーム医療のすすめです(笑)、お互いに刺激を受け合って足らないところをみんなで補うことが大事だと考えています。これからも良き仲間たちと一緒に、動物医療でも低侵襲治療をしっかりと確立させていきたいですね。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

動物たちは人間のように自分で症状を訴えることができず、少しぐらいの痛みや不調は我慢してしまう、もしくは飼い主様が気づかないことがあります。ですから、飼い主様は普段からペットとしっかり触れ合って、彼らのちょっとした変化を見逃さないように、様子をよく見てあげてほしいと思います。当院は開業して9年になりますが、早めに治療すれば治せる病気でも、病院に来院された時にはかなり進行していて手の施しようがないという状況をたくさん見てきました。人間と同じで、動物の病気も早期発見できればそれだけ治癒率も上がります。また、早期発見になると簡単な治療ですむことも多いですから、通院期間も短くなり、費用も抑えられることもあります。当院では治療はもちろん、予防接種や健康診断など予防医療にも力を入れています。「ちょっと食欲がない」「何となく元気がない」という程度でも、遠慮なくご相談いただければと思います。軽い症状でも、もしかしたら大きな病気が、大事な家族であるペットの背後に隠れているかもしれませんよ。

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