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八巻敦美 院長の独自取材記事

八巻動物病院

(国立市/西国分寺駅)

最終更新日: 2023/01/22

JR中央線国立駅・西国分寺駅の二駅が利用できる便利な場所にある「八巻動物病院」。北里大学獣医学部に進学しながら、学生時代は自分が獣医師になるとは考えられなかったというのが、院長の八巻敦美先生だ。調布の動物病院に勤務後、一度はマスコミへの転身を考えたが、獣医眼科学で実績のある動物病院へ勤めることになり、人生の大きな転機となった。現在では八巻先生自身が指導者として眼科医療の技術指導を行ない、他院や大学病院から紹介・問い合わせがくるほどの実績を重ねている。開業20年とは思えないほど可愛らしくきれいな病院に八巻先生を訪ね、動物の眼科疾患や保護猫のこと、新人獣医師時代の思い出などたっぷりと話を伺った。 (取材日2014年8月20日)

遠方からも患者が訪れる眼科のスペシャリスト

獣医眼科学の専門医として長年ご活躍と伺いました。

一般の動物診療も行っていますが、眼科については他の動物病院や大学病院から紹介患者さんがしばしば来院されます。相談や治療も目のこと、特に角膜に関する疾患が多いです。なぜ角膜かというと、飼い主さんは目の奥の異常には気づきにくく、表面にある角膜は目につきやすいからだと思います。人間でも目の奥は痛いとか見えないなどと言われなければ普通はわかりませんし、動物は言葉を話せないので、見えない場所の異常にはなかなか気づくことができないのです。目の角膜の病気で最も多いのは潰瘍性角膜炎です。潰瘍性角膜炎の原因のほとんどは感染です。目を掻いたり、草の茂みに入り込む、目の周りの毛や逆さ睫毛などにより小さな傷に感染が起こります。猫の場合はケンカで目にけがをすることが多いです。角膜は細胞が常に入れ替わっていることと涙の層で覆われていることにより透明性を維持しています。また、角膜には知覚神経がたくさん分布しています。そのため、痛みがあるとショボショボしたりまぶたを閉じたりしますし、透明な角膜が白く濁ると誰でもすぐに気づくのです。目の表面の病気は早く気づくことが多いので大抵は治療することで大事には至らないことが多いです。反面、目の奥の病気は気づきにくいことと、遺伝が関係する病気が多いので失明をまぬがれなことが多々あります。

コンタクトレンズを入れることもあるそうですね。

角膜保護のためにコンタクトレンズを入れることがありますが、これは視力矯正ではなく、ケガの回復のために使います。エリザベスカラーをつけて、触らないようにさせ、およそ10日前後で取り出します。動物の視力を評価するのは困難です。病院で調べるのは視覚すなわち見えているのか見えていないかだけで、どの程度見えているかを調べることはできません。ですから視力を矯正するコンタクトレンズは動物にはないのです。しかし、白内障の手術では視力を矯正することができます。白内障は白く濁ったレンズの中身を取り除いたあとに専用の眼内レンズを挿入することで、白内障になる前と同じ視力を回復させられます。

こちらに開業したいきさつを教えてください。

実は、大学卒業後にあるご縁があり、東中野にある動物病院で数年代診をしていました。その後、友人の紹介で埼玉の病院を頼まれ、数年勤めたのち、実家がある国立に戻りました。2004年に比較眼科学会獣医眼科専門医試験に合格し、専門医の資格を取得し、現在に至ります。私の専門が眼科ということもあり、以前勤めていた病院の飼い主さんや遠方からもいらしていただいています。おかげさまで、開業して20年以上経ちましたね。

保護猫や眼球の萎縮した犬を引き取って共に暮らす

診療の際、心がけていることはありますか。

飼っている動物を日頃からよく観察されている飼い主さんの方が、正しい見方をされていることは確かにあるんですね。ただ、動物は言葉を話せないので、どこまでが正しくてどこからが思い込みなのかを区別しないといけません。ですから、まずは正確なる診断をしようと思っています。それと、動物は正直で意味なく何かをするということはないので、その理由を考えて接することを心がけていますね。噛んでしまうときも、必ず怖いとか驚いたとかそういう理由があります。咬傷事件が起きるたびに、そう思います。私自身も勤務獣医師として働き始めた頃、先輩の先生に「抑えていて」と言われて抑えていたらいきなりその子に噛まれて、ショックで泣いたことがありました。知らない人がたくさんいて、その犬も不安だったんでしょうね。

子供の頃から動物好きだったのですか。

両親とも猫が苦手でしたが、犬は好きで飼っていました。私は猫も好きなので獣医師になってから飼うことになり、最初に飼った子は19才と17才で亡くなりました。その時はつらくて、もう飼えないと思っていたのですが、その後2頭迎えています。犬は今いるのは、亡くなった母が飼っていたトイプードルと、患者さんから譲り受けた、生まれつき片目の視覚がないミックスの子です。

地域の動物ボランティアに協力されているそうですね。

できることは限られていますが、協力しています。毎年春先になると子猫がたくさん捨てられていますが、今年は「ゴミ袋の中に入れられて、生ごみの日に出されていたんです」ってボランティアさんが連れてきた子が20頭近くいました。手遅れで助けられなかった子もいますが、元気になった子は新しい飼い主さんが見つかりました。うちの猫たちは地域のボランティアさんから譲り受けた子ですが、他にももう1頭、東京都獣医師会が小笠原諸島で行っている野生ネコの捕獲と馴化・飼育に協力して引き取った子がいます。野生ネネコは、もともと人間が捨て、野生化したものだと思います。動物を飼われる方には、責任を持って最後まできちんと面倒をみてほしいと思います。

高度医療を勧めるよりも飼い主の気持ちを尊重したい

獣医師をめざしたきっかけを教えてください。

父は人間の医者でしたが、たいへん動物が好きでした。幼い頃、私が拾ってきた動物を一緒に飼ったりしていました。具合が悪くなった鳥の看病をしてくれたこともありましたね。この幼い頃の経験が、私を獣医の道へ導いたのだと思います。さらに、代診をしていた東中野にある眼科の第一人者である先生が院長を務めている病院で、獣医としての仕事のやりがいを見つけ、改めて獣医師の仕事を選んだのです。

休日はどのように過ごされていますか。

入院中の動物がいますのであまり遠くへは出かけられないですね。旅行は学会のときくらいで、先日は講演依頼があって韓国へ行きましたが、最近はプライベートで旅行は行ってないです。人ごみが苦手なので、美術館とか映画に暇を見て行っています。ストレス解消法はお料理で和食を作るのが好きですが、日々のご飯を作っている時間はがないので、休日に作って数日持つように工夫しています。あとは週に1回、運動をしています。ストレッチみたいな体操ですね。運動は好きなので、たまに自転車に乗ったりもします。

最後に読者へメッセージをお願いします。

近年、命の大切さが軽んじられてる気がします。新聞やニュースでは毎日のように大人や子供までが事件に巻き込まれて命を落とす報道を目にします。命の大切さや尊さは教えられなくても身に備わった概念として認識されていたはずですが、どこかでそれが狂ってしまったようです。私は獣医師として多くの病んだ動物を治療する中で飼い主の喜び、悲しみなどから命の大切さを実感してきました。人より寿命の短い動物を飼うことは命との別れをも経験しなくてはなりません。子供の頃にこの別れを経験することで命の大切さをしっかりと心に刻むことができますし、動物を飼うことで子供の情操をも養うことができます。歳をとって孤独感に陥っても膝に動物がいれば、撫でてあげるだけで心が安らぎます。物質文明と呼ばれる今、動物たちは人々、とりわけ飼い主に無償の愛を授けてくれます。一頭の家族が増えることでたくさん喜びと安らぎが得られます。だからこそ、命を軽んじることなく動物たちを飼っていただきたいと思います。

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