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池田 純 院長の独自取材記事

池田動物病院

(日野市/日野駅)

最終更新日: 2023/01/22

JR日野駅から徒歩10分。犬は番犬として飼われ、病気になっても動物病院に行くという概念自体が一般的ではなかった36年前。池田動物病院は開業した。院長の池田純先生は、病理学で培われた病気の根本を見つめる目と、症状を分析する豊富な知識でこれまで多くの動物たちを診療してきた。ケガをした鳩を連れて行った多摩動物園付属病院での獣医師と出会いがきっかけで、志すようになった獣医師の仕事は63歳となった今も続いている。そんな長きにわたる経験の中で生まれた疑問。動物の尊厳とは何か?ペットを治療するのは誰のためか?つらいペットとの別れから、もう二度と飼いたくないと思わせるような治療ではいけない。ベテラン獣医師の胸の内を伺った。 (取材日2014年7月2日)

飼っていた伝書鳩のケガを機に抱いた獣医師の夢

1978年に開業とお伺いしましたが、ペットのための動物病院はめずらしかったのではないですか。

大学での教育は、診療対象は家畜というのが一般的な時代でした。そのためペットの動物病院は少なく、日本語で書かれた獣医学書なんてほんの数冊程度しかありません。しかも内容のほとんどが豚や牛を扱ったもので、犬や猫などのペットを扱ったページはほんのわずかでした。若い頃は、先進的だった英語の獣医学書を翻訳するところから始めて貪欲に勉強しました。でも、それ以外の技術は実地で学ぶしかありませんよね。たまたま、米軍基地で先進的な獣医療を経験し、開業なさった先生のことを知り、働かせてもらえるように頼み込みました。何度も断られましたが諦めずに通い続け、やっと働けることになったときはうれしかったですね。そこでは現代の治療に近い技術を学ぶことができました。今とは全く違う、学ぶことに飢えた時代だったと言えるかもしれません。

その時代に、獣医師になろうと思ったのはどうしてですか?

日本の国づくりが進み、ビルが次々と建てられていく高度経済成長期。兄は時代の波に乗って建築の道へ進み、父は私に土木の道へ進むことを期待していました。だから、私が獣医師になりたいというと、「そんなものになって、一体何になる!」と大反対されましたね。動物病院に未来を感じる人なんて、当時はまだまだ少なかったんです。それでも諦めなかったのは、自分が幼い頃から昆虫少年で、その後もとにかく生き物と触れ合っていることが大好きだったからです。中学生になるころには、昆虫だけでなく、当時流行していた伝書鳩まで飼いだすようになりました。自分で自宅に鳩小屋を建てて、多い時には40羽〜50羽の世話をしていました。すると、電線にからまってケガをする鳩が出てきたんですね。私はその鳩をどうすれば助けられるのか必死に考え、近くにあった多摩動物園附属病院の獣医師のもとへ連れて行きました。その時の獣医師との出会いが私の運命を変えたんです。本当に格好良かった。弱っていた動物たちが元気になっていく姿に魅了されました。高校に入った私の心にはすでに、「絶対に獣医師になるんだ! 」という固い決意がありました。その強い思いをつき通し、当時の麻布獣医大学に入りました。

先生の説明は、とてもわかりやすいと評判だとお聞きしました。

大学入学後は、病理学に熱中していました。そのため、病気の原因は一体何なのか?今苦しそうにしているのは、体の中でどういうことが起きているからなのか?というメカニズムのことを、どうしても説明したくなってしまうんですね(笑)。医者は、症状から体の中を予想するのが仕事ですので、そんな時は、病理学の知識の有無が思った以上に役に立ちます。見ながら、触りながら診療していくとより深い治療につながるんですね。例えば呼吸困難一つをとっても、肺が膨れないことに起因するものなのか、空気の道が通りにくくなっているのか、心臓の病気や貧血だって原因の一つですから、しっかりと見極めて説明したい。原因がわかると飼い主さんの気持ちも楽になります。診察室には、いつも白い紙を用意して下手な絵を描きながら、治療の何倍も時間をかけて説明しています。飼い主さんから「この紙をいただいてもいいですか?」と言われると、よかったとうれしくなりますね。

飼い主が「またペットを飼いたい」と思えるような治療とは

同院の特色を教えてください。

個人的に実施していることですが、当院では治る見込みのないペットの飼い主さんには、安楽死という選択肢があることをお伝えするようにしています。とても異端なことかもしれません。ただ、大変な看病の末にペットを亡くして、「かわいそうだし、こんなつらい思いをするならもう二度と動物は飼いたくない」とおっしゃる飼い主さんが多くいらっしゃるんですね。これまで十数年間にもわたって、飼い主さんはペットと過ごすことは本当に素晴らしいことだと思ってきたのに、最後に行った私の治療のせいでその思いが帳消しにされてしまったわけです。こんな治療は間違っているのではないか?私が行ってきた治療は一体何だったんだろうか?と思い、とても悩みました。結果として、私は安楽死という選択肢もあるんだということを、飼い主さんにきちんと伝えることにしたんです。獣医師は治る見込みのない動物にも延命治療を施すことがあります。それは飼い主さんの望んだ結果かもしれないけれど、そのせいで二度とペットを飼いたくないと思ってしまうのなら、やっぱり私は背中を押してあげるべきだと思います。もちろん十分に説明した上で、最終的な決断は飼い主に決めてもらいます。ただ、自分ではなかなか決断できないことだけに、獣医師に背中を押されて楽になる飼い主さんは確実にいるんですよね。安らかなお別れができたことで死を受け入れることができ、すっきりとした顔で新たなペットを迎えられている姿を見ると、私がお伝えしたことは間違いではなかったのかもしれないと思えるのです。

診療では、何か心がけていることはありますか?

「見る・触る・聴く」ということを大切に診療にあたっています。今は検査機器が発達しているので、すぐに血液を採取したり、MRIで体内の状態を知ることができます。ただ、どうしてもそれだけでは気づけない病気もあるんですね。目の中や口の中を診て、身体に触れて、聴診器で音を聴く。どこが悪いのかを探すために一律で行う検査ではなく、目星をつけて病状の進行具合を調べる意味で行う検査の方が、動物や飼い主さんにとっても負担が少ない。昔から「手当て」という言葉があるくらいですから、実際に五感を使って動物に触れながら診療することは基本中の基本であり、重要なことだと思いますね。

ペットとの楽しい生活を、何度でも続けて欲しい

同院ではどのような動物を診ることが多いですか。

犬・猫を中心に、鳥・ハムスター・ウサギ・フェレットなどの小動物も診ています。当院では、猫よりは犬の方が少し多いですね。この地域で長く開業していることもあり、ほとんどが地元で古くからおつき合いさせていただいている馴染みの飼い主さんやペットです。昔、ペットを抱っこして来院していた小さなお子さんが、親となって娘さんや息子さんを連れて来てくれるということも増えてきました。随分長い間、獣医師として働いていることを実感しますね。

休日はどのように過ごされているのですか?

猫を3匹、犬はジャック・ラッセル・テリアを1匹飼っているので、一緒に過ごします。また、江戸の歴史が大好きなので、時代ものの本を読んで過ごします。日本文化財などが展示してある上野の博物館にも行ったりしますよ。いつかは日本の歴史に関係している地を旅したいですね。当院のある日野市周辺も、新撰組の土方蔵三と縁のある土地柄で、土方の旧家が現在は資料館になっています。あとは、趣味の落語を楽しんだりして気ままに過ごしています。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

飼い主の皆さんには、しっかりと説明してくれる、かかりつけの獣医師を見つけて欲しいですね。もし、説明が足りないと感じたときには、納得するまで何度でも質問するべきです。それに答えることが獣医師の義務なのですから。それとこれは私からのお願いですが、人間よりも寿命が短いということをしっかりと自覚した上でペットを飼ってもらいたい。本当なら、ペットを飼う人は必ず講習を受けてから飼うようになれば良いと思っているくらいです。そして、もう二度とペットは飼わないと思ってしまうようなつらい最期ではなく、何度でもペットとの楽しい生活を送ることができるような最期を迎えられることを、心から願っています。

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