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土方淳子 院長の独自取材記事

ゆず動物病院

(立川市/東大和市駅)

最終更新日: 2023/01/22

西武拝島線東大和市駅から徒歩15分。「ゆず動物病院」は、立川通りから少し入った、静かな住宅街の中にある。院長の土方淳子先生の実家を改造してつくられたクリニックは、入ると待合室から診察室、奥のトリミング室と機能的につくられている。「知らない場所で開業するより、気楽に診療が行えると思いました」と笑って話す土方先生。院名の「ゆず」も、2人の子どもの名前から1字ずつ取ったそうだ。診療では常に「私が飼い主だったらどうするだろう」という思いで、飼い主の目線に立って診療を行う土方先生。今後も続けていきたいと語る「医療とは違う、女性の視点を生かした診療」について、詳しく伺った。 (取材日2015年2月12日)

治療だけではなく、さまざまな視点から見た考えを治療に生かしていきたい

診療動物は犬と猫だそうですが、どんな疾患が増えていますか?

皮膚病で、特にアトピー性皮膚炎などのアレルギー的な疾患が多いのと、がんなどの悪性腫瘍が多いですね。アレルギーは、その動物の体質が大きく影響していると思います。がんについては、当院から、専門の先生がいる大学病院や、二次的な医療施設を紹介しています。ペットフードの研究が進んだこともあり、昔は10年生きれば長寿といわれていたのが、今は10年以上生きる犬や猫が当たり前になりました。ペットの高齢化が進んできたので、さまざまな病気にかかりやすくなっているのでしょうね。

病気が多様化しているということは、治療法もさまざまなものがあるのですね。

そうですね。でも、治療の多様化だけでなく、飼い主さんの治療への意識も変わっているように思います。とことん治療をしたいという人もいれば、そこまでお金をかけられないという人もいます。ペット保険もまだ人間の保険ほど充実していませんし、診療費はそれなりにかかってしまいますから、ある程度治療してよくならなければ、それ以上は治療をせず、言い方は悪いですが「諦める」というのも、選択肢の一つだと私は思っています。人間なら80年という寿命がありますが、それに比べて犬や猫は15〜16年です。寿命が近いのであれば、信頼する飼い主さんの側に置いてあげて、静かに看取るのも一つの方法だと思っています。

普段飼い主さんに対して心がけていることはどんなことですか?

診療費ができるだけかさまないようにするのと、治療における薬の回数や種類など、可能な限り飼い主さんの負担にならないように配慮しています。例えば、同じ効果のお薬であれば、朝晩2回の処方よりも1日1回の処方のほうが飼い主さん・ペット双方にとって負担が軽いでしょう。数日だけ投与するならまだしも、一生飲ませる必要があるとなったらなおさらです。飼い主さんの中には、犬や猫の口を開けて薬を飲ませることができず、毎回投薬に苦労するという方もいらっしゃいますので、そういった飼い主さんには、ペットが喜んで飲んでくれるような、フレーバーのついた薬を処方して、負担が少しでも軽減されるようにしています。

先生は大学卒業後、どのような経験を積まれたのですか?

福生の動物病院で5年ほど勤務し、結婚を機に退職し、その後青山の動物病院へ3年ほど勤務しました。その後出産、育児のブランクがありましたが、国立の動物病院にパートとして勤務し、開業にいたりました。いくつかの場所で勤めたので、それぞれに学ぶことが多くありました。最初に勤務した動物病院の院長は、全部きちんと検査をしてしっかりと治療するという、基本的な部分を大切にしている先生。2件目以降は女性の先生で、治すことだけを考えて治療をするといったスタンスではなく、飼い主さんと相談しながら治療を行っていました。完治が難しいものであれば、無理な治療はせず、病気と付き合っていく道や看取ることも選択肢の一つだと学ばせてもらったのもこの頃で、私にはむしろ、こういった治療方針のほうが合っていると感じました。

動物を通して子どもたちが生き生きとし、命の大切さを知ることができる

ペットたちの病気を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。

一番は太らせ過ぎないようにして、年をとってきたら、定期的な健康診断を行い、病気の兆候に早く気付くことだと思います。犬や猫の1歳は、人間の4歳分に相当します。1年に1回の健康診断だと、悪くなっているのに気付かないことがあるので、できれば半年に1回くらいのペースで、健康診断を受けていただくのが理想的ですね。定期的な健康診断に連れてくる、飼い主さんは予防に対する意識が高いので、手遅れになる危険性は少ないですし、状態を診ることで将来どんな病気にかかるかをある程度予測できますから、事前に備えることもできます。例えば心臓が悪い子には、早期から薬を飲ませることで急激な悪化を防ぎ、症状を抑えながら年をとっていくことも可能です。動物たちは、具合が悪い部分を見せまいとしますから、飼い主さんにわかるような症状が出たときはかなり進行している状態です。ぜひ定期的な健康診断で、病気の早期発見と予防を心掛けてほしいですね。

やはり人間と同じように運動も必要ですか?

ある程度体にあった運動は、肥満やストレスを避けるためにも有効です。飼い主さんの中には、ただかわいいとか、珍しい犬種といった理由だけで犬を飼ってしまう方もいらっしゃいます。飼い主さんがご高齢なのに、運動が必要な犬種を飼ってしまったり、逆に若い方でも、仕事が忙しく、週に1回くらいしか散歩ができなかったりする方もいます。これでは犬も運動不足でストレスがたまり、病気になってしまいます。犬を飼うときに、勢いや感情だけで購入せずに、どんな特性を持っている犬種なのかをきちんと知ってから選んでほしいです。

先生は獣医師会でも活動されているそうですね。

学校動物委員会に参加していて、小学校で飼われているウサギなどの動物と触れ合う「ふれあい教室」という授業を、何年か前から行っています。低学年のうちに、ふわふわしたものや温かいものに触れると、優しい気持ちや大事にしないといけないという気持ちが芽生えてくるので、そこから「お友達の気持ちもわかるようにしましょう」という方向づけを行っています。教育委員会とのプロジェクトで、近隣の小学校の1、2年生を対象に何度か実施していますが、子どもたちの様子が変わっていくのに驚きますね。最初はあまり興味がなかったり、黙って聞くことができなかったりした子も、動物がいるだけで生き生きとして、すごく集中して授業を受けてくれます。動物の力ってすごいなと改めて思いますね。動物が飼えない家庭もありますから、学校の動物をとおして、命の大切さがわかる人になってほしいという狙いもありますが、将来は学校の先生がこういった授業を行えるようになってくれたらうれしいですね。

飼い主の強い思いはペットたちに必ず伝わる、それは治療ではできないこと

先生はなぜ獣医師になろうと思われたのですか?

愛媛県にある実家では、母が動物好きだったこともあり、小さい頃から常に犬や猫が身近にたくさんいました。その動物たちが病気になったときに、自分が治療できたらいいのにと思ったのと、それを仕事にできたらもっといいなと考えたのがきっかけです。日本大学獣医学科(現・日本大学生物資源科学部獣医学科)に入学したのですが、校舎が藤沢だったので、毎日2時間くらいかけて通っていました。もともとやりたかったことでしたから、勉強の大変さはまったく苦になりませんでした。むしろ面白く感じ、早く卒業して仕事がしたいと思っていました。

実際に治療の現場へ立ったときのお気持ちをお聞かせください。

大学生のときは、単に「動物を治療すればいい」という感覚でしたが、実際の臨床の現場では獣医師と動物の間に飼い主さんが存在し、飼い主さんに治療方針を理解してもらう必要があるので、まるで小児科医のようだと感じました。動物よりも人と接することが多くて、最初は自分の考えとのギャップを感じたことも事実です。でも大学の授業では決して教わることができない部分を現場で一つずつ覚えていくようになって、今のように、飼い主さんの思いも重視するようになりました。飼い主さんによっても、こちらからの要望がわかってくれる方とそうでない方がいるので、獣医師は、カウンセリング技術を磨いておく必要があるなと実感しています。

心に残っているエピソードがあったらお聞かせください。

膿胸(のうきょう)といって、けんかの傷がもとで胸に膿が溜まり、いくら治療をしても良くならない猫がいました。呼吸も改善せず、さすがにもう無理だと思い「家で看取ってあげてください」と言ってお帰ししたのですが、しばらく経ったら「元気になりました」といらしたんです。「あの状態から元気になったの?」と最初は信じられなかったのですが、飼い主さんに聞いたところ、夜も寝ないで水やお薬をあげたり、少しずつ食事をあげたりしていたそうです。飼い主さんの一生懸命さに、何とか応えようとして、猫も頑張ったのだなと思い、飼い主さんの強い気持ちはペットたちにも伝わるということを深く感じました。これは医療の範囲ではなく、飼い主さんでなければできないことですよね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

最近、家族だからとペットを人間のように見なしたり、ペットの言いなりになってしまっている飼い主さんが多く見受けられます。犬は、隙があれば自分がリーダーになろうと思う習性がありますから、甘やかして犬をリーダーにさせてしまうと、飼い主さんの言うことを聞かなくなってしまいます。治療をしようにも暴れて押さえられず難航するのですが、「嫌がるから、やめてください」と治療を止める飼い主さんもいらっしゃいます。私は狂犬病の集団注射にも出向くのですが、飼い主さんをリーダーとした関係が築けていると「大丈夫だからね」とひと言言うだけで、犬はじっとしています。それだけ飼い主さんを信頼しているのです。しかし自分がリーダーだと思っている犬は、自分で何とかしないといけないと思い、さほど痛くない皮下注射でも大暴れします。単にかわいがるだけでなく、主従関係を明確にしてほしいですね。治療を「かわいそう」と思うのは人間目線の感情ですから、犬として本来あるべき姿でいられるように、コミュニケーションをうまくとってほしいと思います。

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